著者
井上 徹志 張 筱墀 池田 彩花 河野 祥子 勝山 一朗 山田 昌郎 金子 元 渡部 終五 山田 明徳 工藤 俊章
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.261-268, 2014 (Released:2015-01-07)
参考文献数
29
被引用文献数
1

食材性二枚貝であるフナクイムシは,他の食材性の動物同様,その消化管内にセルロースを利用する細菌が生息していることが予想されるが,その細菌相に関する知見はほとんどない。本研究では,フナクイムシ(Teredo navalis)由来のセルロース分解菌を単離することを目的に,フナクイムシ由来の197株およびフナクイムシ周辺環境としての木片由来の47株の単離株について,セルロース,キシラン,アルギン酸などの難分解性多糖類に対する分解活性を判定した。セルロース分解活性を示したフナクイムシ由来34株,木片由来7株の単離株について,16S rRNA 遺伝子の部分配列による相同性検索の結果,単離株は10属に分類された。フナクイムシ由来のセルロース分解菌は,耐アルカリ性あるいは好アルカリ性,中度あるいは高度好塩菌を含み,フナクイムシがセルロース分解能をもつ極限環境微生物の分離源になり得ることが示唆された。
著者
池田 彩夏 魚里 文彦 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.288-298, 2019 (Released:2021-12-20)
参考文献数
18

幼児の危険認知の発達をどのように促すべきかは,発達心理学における課題の1つである。幼児への効果的な教育方法として,多くの研究が絵本の読み聞かせを取り上げているものの,防犯教育への絵本の読み聞かせの効果に関しては,直接的な検討はされていない。そこで,本研究では,絵本の読み聞かせが幼児の危険認知の発達を促すかを検討した。さらに,絵本による教育効果と共感性の関連を併せて検討した。4~6歳児を対象に,仮想場面において,未知人物から誘われた際に回避行動を取るか否かの選択,および,その行動理由を尋ねる課題を実施し,絵本の読み聞かせ前後での課題得点を比較した。分析の結果,適切な回避行動および行動理由の回答は読み聞かせ後に増加しており,特に年長児に対し行動理由を尋ねる課題において,読み聞かせの効果が顕著であった。また,共感性と読み聞かせの効果との関係を検討したところ,共感性が高い子ほど,読み聞かせによる危険認知課題の得点の上昇が大きい傾向があった。考察では,絵本の読み聞かせ効果の発達的変化および本研究成果の応用的側面について議論した。
著者
阿部 稚里 池田 彩子 山下 かなへ 市川 富夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.187, 2005 (Released:2005-12-08)

【目的】私達は、日常摂取しているビタミンEの約半分を植物油から摂取している。サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油などに含まれるビタミンEは、生理活性が最も高いα-トコフェロールがほとんどであるが、コーン油、大豆油、ゴマ油などには、α-トコフェロールよりもγ-トコフェロールが多く含まれる。そこで、本研究では、ビタミンEとしてα-トコフェロールのみを摂取した場合と、α-およびγ-トコフェロールを同時に摂取した場合の体内のα-トコフェロール濃度を、ラットを用いて比較した。【方法】ビタミンE無添加飼料を4週間摂取させたラットに、α-またはγ-トコフェロールのみを各10mg、あるいはα-およびγ-トコフェロール各10mgの混合物をそれぞれ胃内に経口投与し、8または24時間後に屠殺した。血清および組織のα-およびγ-トコフェロールを、HPLC法で定量した。【結果】α-トコフェロールの摂取によって、8時間後には血清、肝臓、肺、副腎のα-トコフェロール濃度は著しく上昇したが、心臓、筋肉、脂肪組織、皮膚などでは、24時間後でもその上昇の程度は小さかった。α-トコフェロールのみを摂取した場合と、α-およびγ-トコフェロールを同時に摂取した場合で、血清および肝臓のα-トコフェロール濃度に変化は見られなかったが、肺、心臓、大動脈などのα-トコフェロール濃度は、γ-トコフェロールの同時摂取によって有意に低下した。以上の結果から、体内のα-トコフェロール濃度は、γ-トコフェロール摂取によって低下することが明らかになり、ビタミンE同族体の摂取量によっては、ビタミンE要求量が増加する可能性が示された。
著者
奥村 優子 池田 彩夏 小林 哲生 松田 昌史 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.201-211, 2016

<p>評判は,人間社会における利他行動の促進や社会秩序の維持に重要な役割を果たしている。評判を戦略的に獲得するために成人は"評判操作",つまり,他者に見られていることに敏感となり,他者の自分に対する印象や査定を操作する行動をとることが示されている。一方で,就学前の子どもにおいて,幼児が場面に応じてどのように評判操作をするのかは不明な点が多い。そこで本研究では,幼児の評判操作に関して2つの検証を行った。1点目は,5歳児が他者に観察されている場合に良い評判を得るように,また悪い評判を付与されないように評判操作をするかどうかであった。2点目は,5歳児が目のイラストのような他者を想起させる些細な刺激によって評判操作をするかどうかであった。研究1では,幼児が自分のシールを第三者に提供することで良い評判を得ようとするかを検討した結果,観察者,目の刺激,観察者なしの3条件で分配行動に有意な違いはみられなかった。研究2では,幼児が第三者のシールを取る行動を控えることにより悪い評判を持たれないようにするかを検討した結果,観察者条件では観察者なし条件に比べて奪取行動が減少した。一方,目の刺激条件と観察者なし条件とでは,行動に違いはみられなかった。これらの結果から,5歳児は悪い評判を持たれることに対して敏感であり,実在の他者から見られている際に戦略的に評判操作を行うことが示された。</p>
著者
池田 彩乃 千葉 祐貴 羽田 久一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.16, pp.1-5, 2013-10-29

SNS やメールなど速報性のあるコミュニケーション手段の一般化により、人々はいつもディスプレイから離れることが出来ないでいる.本研究ではディスプレイの見過ぎから生じる問題を解決するために、ディスプレイを見た疲れを癒しつつメールや SNS 上のメッセージの新着の確認や返信などの操作が出来るぬいぐるみ型操作デバイスを提案し実装を行った.本システムではぬいぐるみに特定の動作をさせることでコンピュータにコマンドを送り、音声合成によりメッセージを確認することが出来る.さらにメッセージの返信には音声認識を用いることでぬいぐるみと遊ぶ感覚で画面を利用せずにネットワークコミュニケーションを行うことが可能となる.With the vast spread of rapid communication tools such as SNS and e-mails, many people are more addicted to device displays. The authors have developed and demonstrated a stuffed toy device, which heals people's fatigue from gazing displays, yet at the same time, enables people to receive notifications from SNS. Notifications can be checked by a device user letting the stuffed toy to operate certain movements to send commands to computer. In addition, by using speech recognition when replying to messages, network communication is realized in such a way to play with the toy, not by using displays.
著者
池田 彩子
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.162-165, 2020-03-25 (Released:2021-03-31)

In the last 30 years, the research on vitamin E metabolism has made great progress. Initially, dietary vitamin E was thought to be absorbed by passive diffusion in the small intestine, but it has become clear that transporter proteins, such as Niemann-Pick C1-like 1 and ATP- binding cassette transporter A1, are involved in at least a part of the intestinal absorption of vitamin E. The α-tocopherol transfer protein (α-TTP) has also been shown to play an important role in maintaining levels of vitamin E in the body. Among vitamin E isoforms, α- tocopherol, which has the highest affinity for α-TTP, is preferentially transported from the liver to extrahepatic tissues. The importance of α -TTP in vitamin E metabolism has influenced the Dietary Reference Intake for Japanese. In addition, carboxyethyl-hydroxychroman was identified as the major metabolite of vitamin E. This finding revealed that vitamin E is metabolized by a kind of drug metabolism reaction.
著者
三嶋 和也 内海 友加利 池田 彩乃 安藤 隆男
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.185-196, 2018-03-31 (Released:2018-10-06)
参考文献数
11

本研究は、特定の地域における義務教育段階にある肢体不自由児の就学先ごとの彼らの障害の状態等の実態を明らかにした。肢体不自由特別支援学校とその通学区域にある小・中学校の通常学級、知的障害特別支援学級、知的障害特別支援学校を対象に質問紙調査を実施した。その結果、障害部位では、どの形態においても下肢障害の割合が最も高かった。移動の自立度が高い児童生徒が通常学級に多く在籍するのに対して、肢体不自由特別支援学校では、独歩や移動の自立度の割合が低かった。また、肢体不自由特別支援学校では、独歩の割合は中学部段階で増え、自立度も高くなる傾向があることから、小学校等から肢体不自由特別支援学校の中学部へと就学先を変更している可能性が示唆された。本研究において得られた結果は地域における肢体不自由児の多様な学びの場における指導の連続性を考究する基礎的な資料となると考えられる。
著者
池田 彩子
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.539-545, 2014 (Released:2017-02-01)
参考文献数
16

ビタミンK代謝に及ぼすビタミンEの影響を明らかにするために,ラットのビタミンK濃度に対するトコフェロール摂取の影響を調べた。ラットにα-トコフェロール(αT)添加飼料を6週間摂取させたところ,肝臓以外のさまざまな組織のフィロキノン(PK)濃度が低下した。また,PK経口投与後の組織への移行を調べたところ,αTによっていくつかの肝外組織のPK濃度が低下した。さらに,トコフェロール異化の律速酵素であるトコフェロール水酸化酵素が,PKの水酸化も触媒することが明らかになった。PKの水酸化は,PK異化の第一段階である。そこで,トコフェロールの異化を阻害するゴマリグナンが,PK濃度に与える影響を調べたところ,セサミン添加飼料の7日間の摂取によって,肝臓のPK,メナキノン-4 (MK-4),トコフェロール濃度が上昇した。以上の結果から,体内のPK濃度は,トコフェロール代謝の変動によって大きく影響を受けることが明らかになった。
著者
東 祥子 永松 麻紀 池田 彩 宮崎 明子 小澤 健太郎 田所 丈嗣
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.83-87, 2013 (Released:2013-08-02)
参考文献数
10

49歳,女性。1999年に口腔内のびらんが出現し,四肢体幹にも拡大し,生検で尋常性天疱瘡と診断した。ステロイド内服では病勢を抑えることが困難であったため,ステロイドパルス,シクロホスファミドパルス,血漿交換,アザチオプリンなどで加療した。その後病勢は安定し,プレドニゾロンを漸減し,抗デスモグレイン1抗体,抗デスモグレイン3抗体ともに陰性化し経過は良好であった。2009年6月頃から顔面および下肢に小型のびらんを伴う紅斑が出現し,全身に拡大した。生検で有棘層最上部から顆粒層にかけて表皮内水疱と棘融解像を認め,抗デスモグレイン1抗体のみの上昇を認めた。尋常性天疱瘡から落葉状天疱瘡への移行例と考えた。(皮膚の科学,12: 83-87, 2013)
著者
池田 彩夏 小林 哲生 板倉 昭二
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.8-21, 2016-03-01 (Released:2016-09-01)
参考文献数
41

In the field of language development, one interesting issue is how Japanese-speaking children acquire the case markers that play a role in understanding a sentence’s struc-ture, because previous studies reported that caregivers often omit them when talking to their children (e.g., Rispoli, 1991). Although grasping the characteristics of parental input on case markers is crucial for understanding a child’s acquisition process of them,the studies so far have shown insufficient data to clarify the qualitative and develop-mental characteristics of case marker inputs because of small sample size or a limited target age. This study used a larger sample of mothers (N=52) with children who ranged from 1 to 3 to measure their tendency to talk to their children using a struc-tured production-elicited task. Our results revealed that Japanese-speaking mothers tended to omit case markers more frequently when speaking to children than to adults. The omission rate also differed depending on the child’s age, the type of case mark-ers, verb transitivity, and maternal views about speech to children. Additionally, the mothers tended to omit arguments more frequently when speaking to children, sug-gesting that Japanese-speaking children have fewer opportunities for listening to case markers because of sentence simplification. These findings have important implications for investigating the relationship between parental language input and child language development.
著者
池田 彩夏 小林 哲生 板倉 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.89-94, 2013-01-17

オノマトペとは、音、動き、質感など様々な感覚表現を表す言葉であるが、その一部に複数の感覚に由来するものが存在する。例えば、「ざらざら」は視覚と触覚の両方のイメージを喚起するが、このことを幼児も大人と同じように理解できるかはよくわかっていない。本研究では、視触覚表現を表すオノマトペを対象に、日本人4歳児がオノマトペの示す視覚表現及び触覚表現をどの程度理解しているかをクロスモーダルマッチング法を用いて検討した。その結果、4歳児はオノマトペと視覚及び触覚のマッチング課題に成功し、両課題に正答する幼児も多かった。また課題成績は対象年齢内でも月齢とともに上昇し、その個人差は幼児の語彙力や母親の言語入力との関連を示した。これらの結果から、4歳児はオノマトペの示す視触覚表現とそのクロスモーダルな表現をすでに理解しているが、この時期にそれらの理解をより精緻なものに向上させていることが示唆された。
著者
池田 彩乃 千葉 祐貴 羽田 久一
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-40, no.16, pp.1-5, 2013-10-29

SNS やメールなど速報性のあるコミュニケーション手段の一般化により、人々はいつもディスプレイから離れることが出来ないでいる.本研究ではディスプレイの見過ぎから生じる問題を解決するために、ディスプレイを見た疲れを癒しつつメールや SNS 上のメッセージの新着の確認や返信などの操作が出来るぬいぐるみ型操作デバイスを提案し実装を行った.本システムではぬいぐるみに特定の動作をさせることでコンピュータにコマンドを送り、音声合成によりメッセージを確認することが出来る.さらにメッセージの返信には音声認識を用いることでぬいぐるみと遊ぶ感覚で画面を利用せずにネットワークコミュニケーションを行うことが可能となる.