著者
益子 宗 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.136-144, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

運動が不足すると健康が阻害されることが知られ,室内で手軽に利用できる運動器具が普及している.しかし,どのような運動をどれくらいの時間行えばよいかといった運動処方を知るためには専門的知識が必要であり,過度な運動による事故や十分な運動効果を得ることが困難であった.そのため,運動効果が得られるように運動器具の負荷を自動制御するフィットネスマシンや,運動にゲーム性をもたせることで継続的な運動を促すことが提案されている.しかし,運動が単調であるために運動の達成感が得られず運動を継続できないことや,あらかじめ設定されたゲームの難易度が個人の運動習慣や心肺能力によって異なる有効心拍数を考慮していないために,ユーザによっては十分な運動を行うことができず運動効果が得られないといった問題があった.そこで本研究では,実時間で計測したゲームプレイ中のユーザ心拍数を運動強度の指標とし,心拍数に応じてゲーム内容を動的に変更することで,ユーザ個々にあった運動効果と運動達成感を与えるゲーム制御手法を提案する.最後にボクササイズにゲーム要素を付加したフィットネス支援ゲームを構築し,評価を行なう.
著者
高木 佐恵子 岡田 陽介 岩崎 慶 吉本 富士市
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.135-144, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
22

魅力的な外見は一般に好まれる傾向にあるため,通常,人々は自分をよりよく見せようとする傾向がある.我々は,顔の個人的特徴をできるだけ残しつつ,その美しさを向上させるために,顔データを変形する手法を提案する.顔の魅力に関する既存研究を調査した結果,小さい,かつ/または,アンバランスな目と,突出した口を変形対象とする.変形は,3 次元の顔データに対して適用される.用いる顔データには,顔の部分(目や唇など)に分類された特徴点が含まれている.変形は,特徴点の移動により実現し,その移動は特徴点を囲む計測サンプル点の座標にも反映される.提案手法を適用して変形した8 人分の顔データを用いて,アンケート調査を行った.その結果,提案手法が個人的特徴を残しつつ美男美女化することに有効であることが確認された.
著者
高橋 誠史 河原塚 有希彦 桑村 宏幸 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.200-204, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本論文では,ジェスチャ認識と映像提示および,簡易なモーションベースの組み合わせによるVRアプリケーションを提案する.我々は,映像の中を泳ぐ感覚を視覚的に提供するアプリケーション⌈UoQ⌋を既に開発したが,泳ぐ腕の動作に伴う身体の姿勢制御を行うことで,さらなる没入感の追及を試みた.提案するVRアプリケーションでは,腕の動きを画像解析し,解析された動きにあわせて,表示される映像コンテンツを演出すると同時に,モーションベースの姿勢制御を行うことで映像の中を泳ぐような感覚を提供する.モーションベースの姿勢制御には,エアブロワによる空気吐出を応用している.実験の結果,腕の動きに合わせて映像の速度や身体の揺れを演出したことに対して,没入感と浮遊感が得られるとの評価を受けた.
著者
角 文雄 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.165-172, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

キャラクタアニメーションの制作に於いては,登場するキャラクタの動きは,重要な演出上の要素である.アニメータは,ある特定の意図した動きを,キャラクタに振り付ける必要がある.しかしこの作業は,アニメータの経験,ノウハウ,技能に大きく依存すると共に時間を要する.本論文では,キャラクタへのポーズ付け作業を,一回の操作で簡単に行える新しいインターフェイスについて提案する.操作する関節と関連する関節が,同時に動いてポーズが決定できるように,運動力学計算を操作と同時並行に実施することで実現している.さらに,決定されたキーフレーム間の補間と力学的最適化を,順動力学計算と逆動力学計算を連続的に実施して,動きを生成する方法について提案する.この時,より滑らかで自然な動きとなるように緩和係数を導入する.また,干渉チェックを高速に実施する方法についても提案する.
著者
朱 朝江 村岡 一信 水野 尚
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.146-155, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16

トンボは季節を感じさせる身近な存在の一つであり,コンピュータグラフィックスによるトンボの表現は,景観シミュレーションやバーチャルリアリティなどの季節感を向上させる要素として期待できる.本論文では,空気力学に基づくトンボの飛翔モデルを提案する.本モデルでは,翅のはばたきによる力を考慮してトンボをリアルタイムで飛翔させる.トンボの飛翔の特徴である急上昇,急停止,ホバリング,急旋回などを行うことができ,さらに,空間に制御点を配置することでトンボの飛翔経路を容易に定めることができる.
著者
中野 誠士 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.85-86, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

倒壊・崩壊による瓦礫の落下運動ように,相互作用しながら複雑な運動をする多数の物体のアニメーションを生成するためには,その運動の物理シミュレーションによるのが効率的である.本研究では原理が解り易くインプリメントし易い多面体の運動シミュレーション法の開発を目的とし,粒子要素法における,法線方向とせん断方向にフォークトモデルを用いたペナルティ法を多面体に拡張し,衝突,接触,摩擦力を統一的に扱うことができる手法を開発した.
著者
早乙女 恵子 高橋 季穂 笹田 晋司 佐藤 誠
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.105-107, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

近年、世界中の主要な美術館、博物館におけるデジタルアーカイブ作業が多く見られる。その理由の一つは展示物のテーマ内容を、従来の紙面や映像などといったもので参加者に伝えるよりも、より効果的で深い没入感を与えられるからである。また劣化を免れえない重要な文化財や、作法、祭礼、演奏といった無形の文化財もVR技術を用いデジタル化しインタラクティブ性を付加することで、従来からの視覚的な伝達のみでなく、より直接的に人間の持つ多様な感覚を刺激することが可能になる。本研究は故宮博物院所蔵の古典的打楽器“編鐘”の演奏体験を東工大GUI システムのSPIDAR、そして鐘の音の自動演奏システムを用いることにより高い臨場感、再現性を実現している。本研究においてはSPIDAR を用いて参加者から入力された力量のエネルギ-の制御を行い、それにより仮想空間内での鐘の音の自動演奏が可能である。SPIDAR を用いて参加者から入力された力量は仮想空間内の隣接する鐘の振動、音といったような物体同士の相互作用に大きく関り、それにより得られる感覚は参加者にフィ-ドバックされる。また仮想空間内で起こる事象はすべて物理計算に基づくものであり、参加者は実物とほぼ同じような体験をすることが出来る。最終的に本研究は仮想空間内での自動演奏を用いて、従来の再現のみであるデジタルア-カイブにインラタクティブ性をもつア-ト的要素を含めた、研究と作品を融合させた新たなア-トの研究を目標として行う。
著者
白井 暁彦
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.22-34, 2004
被引用文献数
1

この論文は,近年のコンピュータゲームに代表されるエンタテイメントシステムの定義に関する論文である.芸術科学分野において,エンタテイメントシステムは,メディアアートやテクノロジアートといった他のインタラクティブシステムと混同され,もしくはその解釈をあいまいにして語られることが多い.本論文では中世から近代,現代の「遊び」に関する科学的研究を引用しつ,近年のコンピュータを用いた遊びのためのシステムである「エンタテイメントシステム」の解説と定義を,最新の実例とともに行うものである.
著者
高木 佐恵子 岡田 陽介 岩崎 慶 吉本 富士市
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.135-144, 2005

魅力的な外見は一般に好まれる傾向にあるため,通常,人々は自分をよりよく見せようとする傾向がある.我々は,顔の個人的特徴をできるだけ残しつつ,その美しさを向上させるために,顔データを変形する手法を提案する.顔の魅力に関する既存研究を調査した結果,小さい,かつ/または,アンバランスな目と,突出した口を変形対象とする.変形は,3 次元の顔データに対して適用される.用いる顔データには,顔の部分(目や唇など)に分類された特徴点が含まれている.変形は,特徴点の移動により実現し,その移動は特徴点を囲む計測サンプル点の座標にも反映される.提案手法を適用して変形した8 人分の顔データを用いて,アンケート調査を行った.その結果,提案手法が個人的特徴を残しつつ美男美女化することに有効であることが確認された.
著者
長谷川 誠 林 正樹
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.15-21, 2002

近年、様々な情報伝達メディアの急速な普及に伴い、テレビ番組に関連するコンテンツも多様化し、複数のメディアを通じて楽しむ視聴形態が促進しているため、ひとつのコンテンツからマルチメディアアウトプットを自動的に作る、メディア間相互変換の研究が重要になってきている。本研究では、このメディア間自動変換のひとつとして、テレビ番組台本をマンガという印刷物に変換して提供するアプリケーションについて検討を行った。今回、マンガ生成を行うテレビ番組台本として、テレビ番組記述言語TVML(TV program Making Language)により制作されたものを対象とし、そこから得た情報を解析することで、マンガに使うコマ画像の選定・データ化、マンガを作る際に必要な情報の抽出、マンガ特有の視覚効果であるフキダシなどの生成を行い、それらを組み合わせてマンガ画像を出力するアルゴリズムを提案し、それに基づいてマンガ自動生成システムを構築した。本研究により、マンガ自動生成システム構築へ向けての見通しが得られた。提案したシステムは、テレビ放送のもとになる番組台本を解析することで、マンガという文字と絵によるメディアに変換する試みであり、これにより、テレビ番組のコンテンツをマンガに変換し、自由に携帯し、時間や場所に拘束されずに楽しむという新しい視聴形態を提供する可能性を開くことができた。
著者
福永 大輝 越智 景子 大淵 康成
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.10-18, 2019-03-15 (Released:2023-05-02)
参考文献数
14

「リズムアクションゲーム」というジャンルに分類されるゲームにおいては、プレイヤーの操作に応じたサウンドが再生されることで楽曲演奏を体験できることに重点を置いたものが多く存在する。本稿では、このリズムアクションゲームを対象に、ゲームデータの自動生成を目的に「キー音」の自動推定を行った。「キー音」とはプレイヤーの操作に応じて発音されるサウンドのうち、もともと楽曲中に含まれる音を切り出したものである。ある発音時点に存在するサウンドがキー音となるか否かについて、音響的特徴とサウンドが再生される時系列情報を使用して機械学習による推定を行った。その結果、同じ楽曲のみから学習を行う場合では90%程度、他の楽曲とデータを混合して学習を行う場合であっても60%以上の精度を得られることがわかった。キー音の音響的特徴、またサウンドの再生時系列についての分析結果は、今後リズムアクションゲームのゲームデータの自動生成を目指すにあたり、大きな基盤になると考えられる。
著者
勝本 雄一朗 瓜生 大輔 徳久 悟 奥出 直人 稲蔭 正彦
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.111-118, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
20

本論文は,ユビキタスコンピューティング環境下におけるインタラクティブなコンテンツを制作するための設計手法として,ユビキタスコンテンツ設計手法を提案する.本手法はデザイン思考によって発見したIdeationをもとに,開発支援環境xtelを用いたPrototypingを通じて,コンテンツの企画・設計・開発を行う.従来手法と比較して,本手法はPrototypingの段階でインタラクションを含むコンセプトの検討を行うことができる.そのため限られた時間内においても効率的にPrototypingを行うことができ,制作者に魅力的なコンテンツの創造を促すことができる.本論文では,本手法のケーススタディとして雨刀を取り挙げ,本手法の有用性を議論する.雨刀とは振ると刀の音がするビニール傘状の遊具である.
著者
甲田 春樹 金谷 一朗 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.119-129, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
11

近年のグラフィック演算性能の向上に伴い,グラフィックデザインのみでなく動画コンテンツの個人レベルでの創作が可能となり,今後,専門知識を持たない一般ユーザが容易にアニメーション作成可能なインタフェースへの需要が高まると考えられる.しかし,従来のアニメーション制作環境におけるGUI(Graphical User Interface) では,操作別の構造をしており,学習コストや効率性の観点から問題である.また,アニメーション制作の根幹となるモーションの入力では,キーフレーム補間法が多く採られており,速度変化を伴うモーションを扱うには試行錯誤の調整作業が要求される.本論文に於いては,モーションの入力にドローイング動作の身体性を利用した速度入力を可能とするインタフェースを提案する.提案インタフェースにおいては,オブジェクトの配置された仮想空間とは別に,ペンタブレット等の入力面に固着するパラメータ平面を設定する.パラメータ平面の軸には並進や回転などのモーションの制御変数が割り当てられており,ユーザはスタイラスペンを用いたドローイングにより制御変数の時間変化を試行錯誤的に設計する事が可能である.また,主に初心者を対象とした被験者実験から実装システムの操作の簡便性を確認した他に,ドローイングの揺れに関して,フーリエ成分のフィルタリングによりモーションの印象を左右する周波数パラメータを得た.
著者
タヌイジャヤ シンダルタ 大野 義夫
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.130-139, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
14

Researchers have been constantly developing new methods for generating realistic human motion. A common and popular approach is to use motion capture data or mocap data. However, this approach produces a mountain of data and there is an increasing necessity for quick and efficient mocap data search methods. For text documents, search results are usually returned in the form of a list of documents' titles. This allows users to quickly browse the search results and easily find the documents that they are looking for. Applying this method to mocap data requires the extraction of keyposes since displaying every frame will only present excessive and unnecessary information. The authors of this paper propose a simple and efficient method to automatically extract keyposes of mocap data. The proposed method requires only O(kn) operations. Thus, users can vary the search parameters and results will be presented interactively. Our results show that the proposed approach is applicable to mocap data of complex motions and motions composing of many motion segments.
著者
ソソラバラム バトゥチメグ 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.140-153, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

本論文では,ポイントベースレンダリングにとって重要であるレンダリングのパフォーマンスと品質を改善する新しいアルゴリズムを提案する.提案する手法では,ポイントの数を減らすことによりレンダリングパフォーマンス,また,異なったサイズのポイントを用いることによりレンダリングの品質も改善することが可能である.具体的には,バイラテラルフィルターを用いて,特徴点を保持しながらポイントの数を減らす.この手法により,ポイントの大きさとポイントの分布が自動的にバランスをとるためレンダリングの品質が改善される.また,レベル・オブ・ディテールによる異なる詳細度レベルに対応するモデルの生成も可能である.最後に,いくつかの実験例により本手法の有効性を示す.
著者
山田 光宏 佐藤 康二 麻生 明義
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.154-162, 2010 (Released:2011-03-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

人間の様々な動作において1/fβゆらぎがみられるが,ヒューマンアニメーションに1/fβゆらぎを適用した研究は,従来,みられない.そこで,本論文では,人間の動作として拍手を採り上げ,1/f^βゆらぎを用いたヒューマンアニメーションに関して検討している.まず,1/fβゆらぎを拍手の周期や振幅に対して加えた,拍手のヒューマンアニメーションを制作した.次に,SD法を用いて被験者による評価実験を行い,実験結果に因子分析およびテューキーのWSD検定を適用した.その結果,拍手の周期および振幅を一定とした場合よりも,拍手の周期を一定とし拍手の振幅のみに1/fゆらぎを加えた場合のほうが,より自然で,違和感のない,人間らしいものとなった.
著者
山本 景子 南部 俊輔 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-37, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14

キャプチャデバイスの進歩により,長時間のコンテンツ収録が可能になったことから,限られた動作だけを記録するのではなく,動作の一部始終をキャプチャする機会が増えている.それに伴い,コンテンツ検索,すなわち長時間に亘るキャプチャデータの中から,ユーザが必要とするシーンを選び出すための技術が必要とされている.本論文ではこの問題に対して,人が中心となる動作風景を撮影した映像を対象とし,動作時に映像と共に対象者の把持圧の変化を記録し,把持圧情報から求められる動作状態を提示することで,内容検索を支援する手法を提案する.筆者らは把持圧から,把持状態,把持対象,把持して行う動作についての情報が得られると考える.そこで,把持圧計測装置を構築し,動作映像と同時に取得した把持圧を分析することで,対象者の状態を判別する手法を提案し,実験により判別精度の検証を行った.ユーザが動作毎に所望のシーンを効率的に閲覧する支援となるコンテンツ検索支援システムを構築し,提案手法の動作確認を行った.
著者
高橋 哲也 今野 晃市 曽根 順治 徳山 喜政 原美 オサマ
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.38-48, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
17

ハードウェアの低価格化,高性能化により,リアリティのあるVirtual Reality(VR)環境構築は容易に実現可能になってきている.VR技術は医学,工学,教育,ゲーム,グラフィック関連のアプリケーションなどでの利用が期待されている.従来,VR 環境構築に関する要素技術は数多く研究されている.要素技術の一つである衝突検出法は,計算コストが高くインタラクティブ性を損なう一因である.一つの考え方として,PCクラスタなどによる分散処理によって,高速化することで問題点を解決できる.本論文では,PCクラスタで動作する衝突検出法を用いたバーチャルタッチングシステムを提案する.本システムは,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突を高速に検出し,衝突部分の局所領域に関して力覚を提示するシステムである.本手法は,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突をPCクラスタを用いて高速に計算し,レスポンスを向上する.また,計算量が少なく処理が高速な力覚提示スレッドで擬似的に力覚を生成することによって,スムーズな力覚提示を行うことが可能である.
著者
村木 祐太 今野 晃市 徳山 喜政
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.49-57, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
12

N辺形形状の曲面当てはめは,古くから多くの人により研究されている.しかし,フィレット操作で生成されるような稜線の長さが極端に異なる形状への曲面当てはめにおいては,歪んだ形状が生成されたり,隣接面と不連続であったり,ユーザーによる手動入力が必要であったりと,どの手法も一長一短である.これら3つの問題を同時に解決するのは,いまだ困難である.本論文では,稜線の長さが極端に異なる形状に対して正N 辺形を生成するように分割曲線を生成することで,隣接面とG1連続かつ滑らかな曲面生成を可能にする手法を提案する.はじめに,分割する稜線のパラメータを決定し,領域を分割する稜線を生成する.その後で,分割した各領域に曲面を当てはめる.
著者
渡辺 賢悟 伊藤 和弥 近藤 邦雄 宮岡 伸一郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.58-65, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

キャラクタデザインは,ゲームやアニメといったコンテンツ制作において重要な作業である.デザイン作業は複数人のアイデアを,コミュニケーションを介してまとめながら進められるが,絵が描けるデザイナと描けない者の間でアイデアの視覚化の能力に差があるため,アイデアを交換・共有するのが難しい現状がある.本研究では,絵が描けない者のアイデアの視覚化を支援するため,絵画手法の1つであるコラージュに着目する.複数の既存画像から一部分を切り出し,組み合わせるだけの作業で視覚化を行えるシステムを提案する.画像合成処理にPoisson Image Editingを用いることで,高品質なコラージュ結果を実現する.また,合成部品の切り取りを簡単にするため,部品領域の最適化処理を実装する.作成したシステムと,従来のソフトウェアを使用して視覚化した結果を比較し,システムの実用性を検証する.