著者
Hussein Karam Masayuki Nakajima
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.61-70, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

Quadratic map basins is a method used to generate the images of Julia and Mandelbrot sets and has been applied to visualize the attractors of iterated function systems (IFS). Three dimensional extension of such mapping with animation is an aspiring goal and a challenging task. In this paper an extension algorithm of quadratic map basin for classifying points in the complement of a 3-D linear fractal shapes are discussed. Such extension produces fractal surfaces that exhibit self-similarity and suggest smooth evolution under animation. The proposed technique has fast computations and simple representation whereby a computer can automatically select parameters and generate a large collection of aesthetically appealing 3-D fractal patterns. The simple representation and the speed of computation of our algorithm make 3-D fractal patterns reliable for interactive machine.
著者
白井 暁彦 長谷川 晶一 小池 康晴 佐藤 誠
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.117-124, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

我々は「タンジブル・プレイルーム」の実証コンテンツとしてインタラクティブ作品「ペンギンホッケー」を開発した.このシステムは,プロジェクタを用いた接触可能な映像空間,大空間が扱えるフォースフィードバックディスプレイを持った通常の何もない子供部屋である.子供たちはコンピュータによって生成されたオブジェクトだけでなく,友達や実空間の物体とともにインタラクションすることができる.ペンギンホッケーは,人工知能ペンギンと遊ぶ,シンプルな3次元ホッケーゲームである.プレイヤはコンピュータで生成されたオブジェクトと,友人といっしょにインタラクションを楽しめる.このコンテンツは小学校程度の低年齢層の子供に体験者層を設定している.このシステムは複合現実感のアプリケーションの1つとしてだけではなく,自然な生活空間への触知の実装でもある.
著者
松本 美保 横井 茂樹 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.125-131, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

In Japan, there are currently more than 600 academic societies and most of these societies do not have their respective websites developed by professional web-masters. In many instances, there is a lack of clearly understandable information architecture and methods of website design are generally weak. In recent years, a number of useful web-developing software applications have been simplified and many complicated tasks cannot be completed without the expertise of system engineers. The authors attempted to conduct a research on many academic societies relative to how these societies deal with information architecture and related design methods. We have developed a model website and have proposed an ideal website prototype so that members of other academic societies may explore the model in the developments of their own websites in accordance with their own needs.
著者
菊地 貴行 小柳 剛 佐藤 美恵 春日 正男
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.132-133, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4

近年のセキュリティ問題において,顔画像を用いた個人認証に関する研究は盛んに行われている.それらの研究において用いられる画像のほとんどは正面顔や横顔であるが,カメラに対する顔の向きが処理結果の精度に大きく影響するため,正面顔を正確かつ自動的に検出することは重要な課題となる.そこで本論文では,正面顔の自動検出に有効な顔の特徴量についての検討を目的とし,カメラに対する顔の角度が既知な画像の分析を行う.入力画像として,人物の正面方向と横方向に配置した2 台のカメラから撮影した複数枚の画像を用い,それらの画像に対し、独自に定義した特徴量を計算し,顔の水平方向および垂直方向に対する正面顔検出への有効性を示す.
著者
藤本 忠博 大野 義夫 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.134-146, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

In this paper, we propose a framework of “fractal deformation” using displacement vectors based on “extended Iterated Shuffle Transformation (ext-IST)”. An ext-unit-IST is a one-to-one and onto mapping that is extended from a unit-IST, which we have proposed, and is basically defined on a code space. When the mapping is applied on a geometric space, a fractal-like repeated structure, which is referred to as “local resemblance in space/scale directions”, is constructed on the relationship between points on the domain and those on the range. By applying the mapping to displacement vectors given on a geometric shape, the shape can be deformed in the fractal-like repeated manner. This fractal deformation is easy to control by changing the displacement vectors intuitively. In addition, a continuous transition between a continuous deformation and a fractal deformation can be realized. We demonstrate how the fractal deformation technique produces attractive results by showing various examples.
著者
茅 暁陽 長坂 好恭 山本 茂文 今宮 淳美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.147-159, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
24
被引用文献数
4 2

本論文は,流れ場の可視化手法として近年注目されているLIC(Line Integral Convolution)法を利用し,2 次元画像を自動的に鉛筆画に変換する手法を提案する.LIC 法では,流線上に定義されているローパスフィルタを用いてホワイトノイズを畳み込む処理を行うため,出力画像には明るさにばらつきをもった線状の軌跡が見える.このような軌跡で鉛筆のストロークを近似し,入力画像のトーンにマッチしたホワイトノイズとストロークの方向を表すベクトル場にLIC 法を適用することで鉛筆画を生成する.従来のCG による鉛筆画の表現法は,個々のストロークをポリラインという幾何学的プリミティブを用いて表現するため,複雑なデータ構造が必要な上に,トーンのマッチングやクリッピング処理などにも多くの時間を要していた.それに比べて提案手法は,簡単なフィルタリング処理を施すだけで入力画像にマッチしたトーンをもった鉛筆画を生成することができる.本論文ではさらに,入力画像のテクスチャをより自然に表すためのストローク方向決定法も併せて提案する.

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著者
渡邊 淳司 Maria Adriana Verdaasdonk cell/66b
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.160-162, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
12

cell/66b はモノクロの単純な幾何図形の映像とリズムを作り出すためだけの音をダンスに付与し,ステージを構成してきた。これは表現という行為において観察者のイメージ,価値観を想起させるための最小限かつ本質的な部分を抽出した結果である.舞台に多くの複雑な情報を付与できるようになった現在において,敢えてモノクロの幾何図形の映像及びリズム音のみの音楽を使用することによって,パフォーミングアートにおける身体と映像&bull音楽の関係性を問い直している.
著者
松尾 高弘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.163-166, 2002 (Released:2008-07-30)

メディアアート作品「trails world」は、美しい軌跡の世界をインタラクティブに描き出すことができるインスタレーション作品である。体験者は、インターフェイスとなるペン型のデバイスで、それぞれ異なった芸術的特徴を持つ軌跡のテーマと描画色を決定し、映像が映し出されたテーブルに対し描画操作を行う。描かれた軌跡は、テーマによって異なるインタラクティブCGの動きと、それらを演出するサウンドを伴って、様々な形態や色彩を持った軌跡の世界を構成する。描画過程において体験者は幻想的な美の世界に引き込まれてゆく。
著者
菊池 司 Arif Affendi Bin Jamal 岡崎 章
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.167-175, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
7

近年の急速なコンピュータの性能向上と低価格化に伴い,コンピュータは広く一般の人々に普及し,多くの人々がコンピュータを使用したアート作品,およびコンピュータ・グラフィクス作品を自分の手によって制作でき,また,日常的に目にする機会も多い状況となっている.しかしながら,コンピュータ・グラフィクス作品の多くは,技術的・映像的な話題が中心になることが多く,その作品全体を見つめる視点に欠けている傾向がある.そこで本研究制作では,イスラム文化を代表するカリグラフィーを題材とし,2 次元平面で描かれるものであるカリグラフィーを,3 次元コンピュータ・グラフィクスを利用することにより仮想3 次元空間で表現し,カリグラフィーのさらなる表現力の可能性を探ること,さらにはコンピュータ・グラフィクス作品の中においてイスラムの文化を表現し,作品全体を通して文化的な視点に立った作品を制作することを目的とする.これにより,3 次元化され,さらには動きが付加された,新しいカリグラフィー作品を制作できたことを示す.
著者
中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.176-181, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
1

今年で29回目となるSIGGRAPH2002 は,7月21(日)から26 日(金)まで,メキシコ州サンアトニオのHenry B.Gonzalezコンベンションセンタで、例年通り華やかに開催された。SIGGRAPH はACM に属する一つの研究会であり、CG(Computer Graphics)やInteractive 技術に関する国際会議であり、最新のVirtual Reality やMultimedia に関する最新の試みなどが発表される。このSIGGRAPH のコンセプトは、まさに芸術科学会の目指す、アートとテクノロジの融合であり、かつ会員の多くが、会場で見かけることができた。まさにSIGGRAPHは、当学会の会員においても最も重要な国際会議であると言える。そこで、今年より、できれば、毎年、本論文誌を利用して、その報告を行いたいと考えている。なお、本論文誌には、東工大の高橋 裕樹先生により、論文の概要の報告(1)がなされるので、ここでは、おもに、エレクトロニクスシアターを中心としたSIGGRAPH2002 の報告を行うことにする。なお、SIGGRAPHは、1週間にわたり、並行して多くの行事が開催されるので、一人での報告は、困難であると言える。多少の観点の違いがあってもお許し願いたい。
著者
高橋 裕樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.182-199, 2002 (Released:2008-07-30)

SIGGRAPHは,CG(Computer Graphics)とInteractive Technologyに関する国際会議である.今年は,7月21日から26日までの6日間に渡りアメリカ合衆国テキサス州 San AntonioのConvention Centerで行われた.本論文では,SIGGRAPH&prime2002で発表された論文全67件を概説する.
著者
原田 雅樹 木本 伊彦 藤井 俊彰 谷本 正幸
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.64-73, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

フラクタル画像符号化の高速化を実現するために,以下の二つの手法を提案する.第一の手法では,スケーリングパラメータの計算回数を削減させるために,一つのレンジブロック内の最大振幅と一つのドメインブロック内の最大振幅との比(以下ここではこれを最大振幅比と呼ぶ)を用いる.符号として選択されるドメインブロックにおける最大振幅比はスケーリングパラメータ付近の値をとるため,ある閾値を超える大きな最大振幅比を持つ場合にはスケーリングパラメータの計算を行わない.第二の手法では,スケーリングパラメータそのものの計算量を削減させるために,一つのレンジブロック内の輝度偏差と一つのドメインブロック内の輝度偏差との比(以下ここではこれを偏差比と呼ぶ)を用いる.偏差とスケーリングパラメータとの間には相関があるため,計算量の少ない偏差比に定数をかけてスケーリングパラメータを近似的に求める.
著者
岡田 稔 水野 慎士 鳥脇 純一郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.74-84, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

本論文では,仮想彫刻に基づく仮想木版画の生成法と応用について解説する.提案法は芸術•工芸の模擬を目指した非写実的画像合成法(NPR) のひとつである.一般に絵画などを志向したNPR で用いられている技法は,(a) ABR: 生成外観を模擬したレンダリング手法,(b) PBR: 物理モデルに基づくレンダリング手法,に大別されるが,本論文で解説する仮想木版画は(b) PBR に基づくものである.まず仮想彫刻システムによって仮想版木が生成される.次いで仮想版木,仮想紙,仮想馬連,仮想絵の具により,仮想木版画画像が生成される.このように提案法は木版画の制作工程を重視したものであるため,生成画像は物理的な裏付けを持ち,外観上も良い結果を与えている.また,仮想木版画手法を用いた仮想浮世絵の知的符号化,及びそれを通した仮想彫刻と仮想木版画の問題点と今後の課題についても言及する.
著者
長 篤志 原田 哲也 木下 武志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.85-88, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4

物体毎に異なる視点や投影法で描画された3 次元コンピュータ•グラフィックス(以下,多視点画像)を,効率的に生成するためのコンセプトと画像描画処理の手順を提案する.従来の3次元コンピュータ・グラフィックス制作用ソフトウェア(以下,ソフトウェア)へ,容易に多視点画像生成機能が追加できるようコンセプトを定めた.各物体には従来のソフトウェアには無かった「多視点パラメータ」群が設定される.提案された画像描画処理の手順を使用すれば,多視点パラメータ群を操作することにより,通常の透視投影の画像に近い画像から連続性を保ちつつ多様な多視点画像を生成できることがわかった.提案手法は多視点画像を生成するための便利で効果的な方法であるといえる.
著者
村上 恭子 鶴野 玲治
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.89-96, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13

本論文では、ノンフォトリアリスティックレンダリング技法の一つの展開として、CGによりパステル画風の画像を生成する技法を提案する。 まず三次元オブジェクトをもとに、ベクタ化するための特徴点を抽出し、パステルのストロークモデルを生成する。次に、支持体である紙面の凹凸や、数種類のストローク技法によるパステルへの圧力変化、紙面上の同じ場所に複数の顔料付着した場合の混色などを考慮し、各ストロークごとに顔料の付着モデルを生成する。その後、これらのモデルに対しレンダリングを行う。 このようにして得た画像はある程度パステル画らしい特徴と雰囲気を持ったものであると同時に、視点の移動や画角の変化、光源や対象の移動や変形なども自由である。また、顔料の付着率やストロークの幅といったパラメータを変化させたり、レンダリングの際にぼかし効果(ブレンド)を加えることによって、様々な描画効果を得ることができる。
著者
尹 新 藤本 忠博 村岡 一信 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.108-110, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
7
被引用文献数
8 6

素材の経年変化はよく見られる自然現象であるため,金属の腐食や石の風化などの表現法の開発が活発に行われてきている.本論文では,木材の経年変化のビジュアルシミュレーション法について提案する.本文では,まず分枝を考慮した木材モデルの表現手法について述べ,次に木材の色および形状の経年変化を表現する手法について述べる.さらに,これらに基づくいくつかのシミュレーション例により手法の有効性を示し,最後に今後の課題について言及する.
著者
新川 貴詩 寺島 信義
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.111-116, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
6

現代美術作品を立体映像で撮像するにあたり、作品の形式や傾向によっては、既存のコンテンツ制作技術では十分に対応できないこともある。たとえば、現代美術のひとつの傾向に、「サイトスペシフィック・アート」「アースワーク」などと称される、大地や野原、都市の路上などの景観を重要視して作品を設置する作品形式がある。既存の立体映像コンテンツはパンフォーカスで撮像されるケースが大半を占めるが、この撮像手法は、そのような美術作品に対しても有効なのか。あるいは、その種の作品は、作品(近景)と風景(中・遠景)とのバランスをどのような焦点および被写界深度で撮像するのが適切なのか。そこで主観評価実験を行ったところ、パンフォーカスという撮像手法は必ずしも妥当ではないと示唆された。
著者
緒方 正人 村木 茂 マ クワンリュー 梶原 景範 劉 学振 越塚 健児
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-7, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

科学技術上の諸問題を計算機を用いて解き,結果を直感的に把握したいとの要求,あるいは高度医療におけるMRI,CT, 超音波診断装置などのデータの表示,などから大容量の3次元情報を可視化する高速かつ安価なボリュームレンダリングシステムが必要とされている.ボリュームの可視化は, 処理するデータ量が膨大であることから,高速表示には,高価なスーパコンピュータや専用ハードウエアが用いられている.本論文は,市販のPC を複数用いて構成する低価格な高速ボリュームレンダリングシステムを提案し, その性能評価を示す.このシステムの高速化は,提案の空間分割シアーワープ法(Spatially Partitioned Shear-Warp Method)法により達成する.
著者
張 暁華 中西 良成 小林 希一 三ッ峰 秀樹 齋藤 豪
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-14, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

カメラの実写映像に基づいた立体物の電子映像部品化を目的として、被写体の表面反射パラメータ、すなわち、拡散反射および鏡面反射パラメータを良好かつ安定に求める方法を開発した。これまでは反射パラメータを求めるに当って、先ず、拡散反射成分と鏡面反射成分を分離してから求めていたが、この場合、被写体が複雑なテクスチャを持つ場合、あるいは、鏡面反射成分が多い場合には分離が良好に行えず、パラメータの取得が困難であった。本方法は、従来の方法と異なり、光源および被写体の色信号を予め知ること無しに、パラメータフィッティング法を用いて一挙に反射パラメータを求めることを特長としている。また、求めた反射パラメータを用いることにより、従来困難であった被写体に対しても拡散反射成分と鏡面反射成分を良好に分離することが可能である。論文では、反射パラメータの取得法の詳細、実験結果、考察等について述べる。
著者
長谷川 誠 林 正樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.15-21, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

近年、様々な情報伝達メディアの急速な普及に伴い、テレビ番組に関連するコンテンツも多様化し、複数のメディアを通じて楽しむ視聴形態が促進しているため、ひとつのコンテンツからマルチメディアアウトプットを自動的に作る、メディア間相互変換の研究が重要になってきている。本研究では、このメディア間自動変換のひとつとして、テレビ番組台本をマンガという印刷物に変換して提供するアプリケーションについて検討を行った。今回、マンガ生成を行うテレビ番組台本として、テレビ番組記述言語TVML(TV program Making Language)により制作されたものを対象とし、そこから得た情報を解析することで、マンガに使うコマ画像の選定・データ化、マンガを作る際に必要な情報の抽出、マンガ特有の視覚効果であるフキダシなどの生成を行い、それらを組み合わせてマンガ画像を出力するアルゴリズムを提案し、それに基づいてマンガ自動生成システムを構築した。本研究により、マンガ自動生成システム構築へ向けての見通しが得られた。提案したシステムは、テレビ放送のもとになる番組台本を解析することで、マンガという文字と絵によるメディアに変換する試みであり、これにより、テレビ番組のコンテンツをマンガに変換し、自由に携帯し、時間や場所に拘束されずに楽しむという新しい視聴形態を提供する可能性を開くことができた。