著者
五味 愛 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.117-125, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
21
被引用文献数
1

筆者らは,実写撮影画像の視線情報を高速検索するシステムVIEWGLEの研究に従事し,その中で大容量画像から類似部分画像の高速抽出アルゴリズムを用いている.本論文では,この類似部分画像抽出アルゴリズムを一般化した手法を提案し,その処理時間や正確さについて考察する.本手法は3ステップから構成される.最初のステップでは大容量画像に対して前処理を施し,その結果を蓄積しておく.続いて入力画像を提示されたときに,2つめのステップとして大雑把な類似度判定を行い,大容量画像中から少数の候補部分画像を抽出する.続いて3つめのステップとして,それら候補部分画像と入力画像の類似度を算出し,応答曲面法を用いて類似度が最大となる最適部分画像を出力する.本手法では,厳密に確実に画像を検索できる保証はない.しかし本論文の実験結果から,本手法が高速に,ある程度の満足のできる類似画像を抽出できることが示されている.
著者
大山 喜冴 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.126-135, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
25

映画やテレビCMの製作,およびマルチメディア技術において,画像の印象に合った音楽を用いることは非常に重要である.そこで我々は,ユーザが任意の音楽と画像を入力した際に,画像の印象に合わせて音楽を自動アレンジする手法の研究を進めている.本論文ではその初期成果として,画像の色分布および対象物からその印象を推測し,その印象に合ったリズムパターンで音楽を自動アレンジする手法を提案する.本手法では前処理で,ユーザに多数のサンプル色,サンプル画像,画像に写る対象物をキーワードとして提示し,この各々から連想されるリズムパターンを回答させる.この回答結果から各々のリズムパターンに対して,どのような画像から高い連想度を得られるかを推測する算出式を導出する.続いて本処理では,任意の入力画像に対して,各々のリズムパターンの連想度を算出し,最も連想度の高いリズムパターンを用いて自動アレンジした音楽をユーザに提示する.
著者
中野 敦 河村 仁 三浦 枝里子 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.145-153, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
2 6

近年,能動的に行動するキャラクタの生き生きとした反応を見て楽しむインタラクティブな創発型コンテンツが見られるようになってきた.これらのコンテンツでは,ユーザが仮想世界に干渉すると,それをキャラクタが知覚して反応する様子が見られる.しかし,その反応したキャラクタがさらに他のキャラクタの行動に影響を与えて新たな話に展開するといった現実世界では容易に起こりえる連鎖的なエピソードの発生はあまり見られない.このような連鎖的なエピソードを能動的に行動するキャラクタによって生じさせることができれば,より創発性の高いコンテンツとなることに加えて,ユーザは仮想世界のキャラクタがより生き生きと行動していると思えるようになり,コンテンツへの没入感を高められるはずである.そこで我々は,ストーリーの断片であるエピソードを階層的なAND/ORの達成条件を持つツリー構造のイベントの流れ(エピソードツリー)として表現し,連鎖的なエピソードを生じる創発的なストーリーを生成するための手法を提案する.提案手法では,キャラクタがユーザからの干渉を知覚しながら複数のエピソードツリーから現在の状況に適していて,かつ優先度の高いイベントを動的に選択し,実行していくことによって,多数のエピソードが連結されたストーリーやエピソード内にその他のエピソードが途中挿入されたストーリー,そして複数のキャラクタが同時に異なるエピソードツリーを実行していくことによって並列的にエピソードが進行するストーリーを生成する.実験として,ユーザがオブジェクトを仮想世界へ追加したり,仮想世界のオブジェクトに触れたりすることで,多様なエピソードの連鎖を鑑賞できるゲームコンテンツ(Spilant World)を制作した.このコンテンツを通して手法の有効性について評価を行った.
著者
アブドレイン プルカット 藤本 忠博 千葉 則茂 ゲニ マミチミン
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.154-166, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

A particle-based method is one of the most commonly used methods for fluid simulations. It has certain advantages over other fluid simulation methods; for example, it is easy to simulate irregular and complex fluid motion with topological changes. However, the surface reconstruction for particles remains a challenging problem. In this paper, we propose a surface reconstruction method for moving particles whose motion data are given by a particle-based simulation method. Our method utilizes a level set method to reconstruct a surface because the level set method enables the surface to change its topology free according to the irregular arrangement of particles. Moving particles' data such as positions and velocities given by a gridless particle-based method are effectively used in the level set method executed on a grid space. As a result, a suitable surface is reconstructed so as to follow the moving particles with topological changes. Besides, our method makes isolated splash particles to appropriately contribute to the surface reconstruction. Some experimental results show the useful performance of our method.
著者
新庄 貞昭 高橋 誠史 木村 秀敬 白井 暁彦 宮田 一乗
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.167-178, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
42

本解説では,グラフィックプロセッサ(GPU)を取り巻く環境やその利用法,開発環境の現状,およびGPUのコンピュータビジョンへの適用事例を紹介し,GPUコンピューティングの可能性を探る.GPUはプログラマブルシェーダの導入後,シェーダのバージョンアップにあわせてスペックの向上が行われてきた.またCPUと比較して制約は多いが,プログラミングを工夫することにより速度向上が可能である.GPUは幅広く利用されているが,特筆すべき適用事例としてコンピュータビジョン,物理シミュレーションがあり,汎用計算においては分散コンピューティングによるナノテクへの応用も報告されている.本解説では,GPUに加えて最近のCPUアーキテクチャの革新であるマルチコアプロセッサCPUについても触れるとともに,最新OSのひとつであるWindows Vistaでのグラフィックユーザインタフェースへの利用にも触れ,今後の応用の可能性を探る.
著者
佐藤 陽悦 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.92-94, 2006-12-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
4

近年, 3次元計測技術の向上により, デジタルアーカイブなどのコンテンツ作りのために, レンジセンサと呼ばれる主にレーザスキャン型の奥行き (デプス) 計測装置を活用した3次元形状モデル (3Dモデル) の獲得技術に関する研究が多数報告されてきている. 一方, CGの製作過程において, 建造物などは, 一般にモデラなどによりプリミティブ等で構築していくことが多い. その際, レンジセンサ計測データなどを元にCGモデルを構築することが有効である. その場合現状のCGコンテンツの制作では, クリエータが形状モデラを利用し, インタラクティブにモデリングを行うことが多い. 本論文では, このような実際的な形状モデリングを支援する技術として, 点群データへのプリミティブ当てはめツールの開発を目的として, 計測データのユーザによる指定領域に適合するプリミティブの最適なパラメタを求めるためのGA (遺伝的アルゴリズム) を用いた手法について基礎的な検討を行った.
著者
川野邊 誠 亀田 昌志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.95-105, 2006-12-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
11

音楽 (音) と色の関係は, 芸術, 科学の分野で古くから広く研究されてきている. 従来研究のほとんどは, 音楽の個々の構成要素のパラメータと色の関係を求めている. そこでは, 各構成要素から受ける印象には着目しているが, 音楽から受ける印象を深く考慮していないことが多い. さらに, 1楽曲に対して1色を関係付けていることがほとんどである. しかしながら, 楽曲にはその途中で曲調が変化するものが多い. そのため, 従来研究の成果から音楽と色を関係付けると, 感覚的に一致しないことが多かった.音楽の印象は楽曲の進行に伴い変化するものであり, 楽曲に合わせた色との対応を取る際, 楽曲の印象とその変化を考慮する必要があると考える. 本論文では, 楽曲から受ける印象の時系列変化に対応するために, 曲調変化を感知する箇所で楽曲を区切って印象評価を行い, その結果と先行研究で構築した「楽曲と配色間の共通印象を介したメディア変換モデル」を使用し, 感覚的一致度の高い楽曲と配色の組み合わせを実現する.本手法に基づいて, 各々の区間楽曲に対する一番強い印象のみを用いて配色との関係を求めた場合, 組み合わされた区間楽曲と配色の感覚的一致度は全体平均で約58%となった. そこで, 区間楽曲に対する全ての印象を用いて, 区間楽曲に適切な印象を総合的に判断可能なアルゴリズムを提案する. 本アルゴリズムに基づき区間楽曲と配色を組み合わせた結果, 一番強い印象のみを用いる方法と比較して, 約24%の感覚的一致度の向上があることが明らかとなった.
著者
庄司 こずえ 村山 紀章 今野 晃市
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-10, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
11

本論文では,屋外の3DCGを生成するために,シャドウボリュームを利用してソフトシャドウを高速に生成する手法について提案する. 本手法では,「影の明度」と「ソフトシャドウの範囲」の二つのパラメータを持たせて,時間帯の違いによるいろいろなソフトシャドウの描画を可能にしている. また,本手法は携帯端末上への実装を目標としており,ソフトシャドウを表す影テクスチャを生成し,ハードウェアに依存しない処理でソフトシャドウを生成することができる.
著者
鈴木 亮 天野 敏之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.11-20, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10

現代の美術品の位置付けでは美観回復のための不可逆的な修復が許されないことが多い.本研究では,この問題に拡張現実感技術を応用して実世界での美術品の仮想復元を行う手法を提案する.提案手法では,あらかじめ計測した劣化のない状態のテクスチャ画像から修復のための補正画像を生成する.美観回復を行う方法として,マーカトラッキングにより稀覯資料の位置検出を行い,その後液晶プロジェクタで補正画像を投影する.また,稀覯資料の姿勢を検出し,phong のモデルに基づいて光沢復元を行う.サンプル画像による退色復元と光沢復元の実験結果より,補正画像を投影することにより現実世界での仮想的な退色復元と光沢復元が実現できることを確認した.
著者
ゾリーグ グンジェー 藤本 忠博 千葉 則茂
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.21-36, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3

In this paper we present our solution for shadow generation, visibility sorting and GPU based shading of translucent point data for point based rendering. Our Translucent Shadow Mapping Algorithm uses a spherical coordinate system and solves the distancebased sorting, transparency calculation, shadow mapping, omni-directional mapping and light intensity attenuation problems in one step. We also propose a novel algorithm for visibility sorting of unstructured point data using the Hierarchical Bucket Sorting approach. This algorithm uses less memory and produces precise back-to-front ordered slices compared to previous methods. Finally, the shading calculations are performed in the GPU, using the rendering-oriented attributes of the point splats. Furthermore, we demonstrate the efficiency and flexibility of our novel approach of point splatting by showing several rendering results for visualizing mixed 3D data sets.
著者
岩瀬 亮 鈴木 茂樹 中 貴俊 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.37-43, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13

知恵の輪を解く際の難易度は,輪を外す手順の組み合わせの複雑さや,輪が移動可能な経路全体の構造の複雑さが主に関連していると考えられる.本論文ではこれら複雑さを表す量を仮定し,知恵の輪の難易度との関連性を明らかにすることにより,知恵の輪の難易度を定量的に評価する方法を提案する.これを実現するためには,知恵の輪の解を計算機処理により求めるためのアルゴリズムや,探索空間の構造化を実装する必要がある.本研究ではまず,実在する知恵の輪を対象としてこれを実現した.次に,シミュレーションで得られた諸量と実際に人が感じる難易度との関連性を被験者実験を通じて評価し,それらの諸量の知恵の輪の難易度としての妥当性を検証した.
著者
矢原 弘樹 高橋 瑛逸 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.44-52, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

近年,3次元計測技術の発展に伴って,3次元身体モデルを利用した身体に適合する製品設計が注目されてきている.しかし,3次元スキャナ等で計測された身体の表面形状データは座標系が定められていない.そこで,従来は座標系を定めるために必要な身体の部位に,3次元スキャナで計測可能なマーカーを専門家があらかじめ貼る事で解決していた.しかし,マーカーを貼ることは手間や顧客への心理的負担がかかるという問題があった.本稿では,足部モデルの座標系を定義するのに必要な身体の部位MT(脛側中足点)とMF(腓側中足点)の位置を,すでにそれらの位置が定められているサンプルモデルセットをあらかじめ用意しておき,それらの統計的な情報を基にマーカーの位置情報無しの表面形状データのみの足部モデルのマーカーの位置を推定することで,座標系を設定する手法を提案する.そして,FFD法を用いた身体モデル生成法を用いることで,推定されたMT,MFの位置推定の精度向上を試みる.
著者
牧野 貴雄 中口 俊哉 津村 徳道 高瀬 紘一 岡口 紗綾 小島 伸俊 三宅 洋一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.53-64, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13

本論文では,ビデオチャット等のアプリケーションにおける新たなコミュニケーションツールとして,使用者の感情を誇張して表示する顔色変化シミュレーションシステムの提案を行う.まず2 台のCCD カメラで撮影した動画像から自動的に使用者の顔領域と表情を認識する.認識した表情に合わせて顔の肌色をリアルタイムに変化させて表示することによって,感情を誇張することが可能である.本システムでは肌色変化処理として,独立成分分析に基づく色素成分解析法を用いている.肌の物理特性に基づいた処理であるため,日焼けや紅潮など現実に近い肌色変化が可能である.肌色変化処理においてはGraphics Processing Unit(GPU)を,表情認識においては色情報による高速な追跡・認識手法を用いることで,動画像に対してもリアルタイムに処理を実行することができる.結果画像に対する評価実験を行い,本システムが単純な画素値変化と比較して感情強調に有効であることが確かめられた.
著者
岩井 大輔 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.65-75, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16

本論文では,熱情報の入力をVR 空間と物理空間との間を繋ぐチャネルとして利用した画像創作支援システムを提案する.筆者らはこれまで,赤外線カメラから入力されるスクリーン上の温度変化を絵道具の接触判定に利用して描画作業を支援するシステムを構築してきた.本論文では,このシステムを発展させ,赤外線カメラより取得される熱情報を積極的に利用して,心理マッピングモデルに基づいたユーザの持つ熱感覚を利用した画像創作支援を行う.熱印象を介して彩度・色相といった画像パラメータを直観的に操作するThermoRetouch と,熱現象を介して3 次元形状モデルの塑性パラメータを操作し形状を変形させるThermoModeler を提案する.これらのシステムでは,自らの熱感覚が画像に反映されるため,直観的で発想を重視するような画像創作が可能となる.
著者
渡場 康弘 酒井 晃二 小山田 耕二 金澤 正憲
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.11-17, 2006-03-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2

特異点グラフと文字認識技術を利用して, ボリュームデータ間の類似性を視覚的に比較できる手法を提案する. 特異点グラフは, ボリュームデータの特徴を三次元空間における曲線という単純な図形で表現したものである. そこで, 特異点グラフを比較するために, 二次元空間で曲線を比較する手法である文字認識技術を利用した通過ボクセル判定法を考えた. この手法は, 文字画像を各ピクセルの値で比較する手法を拡張したもので, ボクセル単位でグラフの通過状況を比較する手法である. そして, ボクセルごとの判定結果に従ってボクセルの色を決めることによって, その類似状況を可視化することが可能である. しかし, この手法にはいくつかの問題点がある. そこで, グラフが細かい線分で構成されていることから, 文字認識技術の1つである方向線素特徴ベクトルを利用して, 通過ボクセル判定法の問題を解決した.
著者
西川 智子 佐藤 甲癸
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.18-22, 2006-03-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
11

ホログラムの立体像は大変リアルであるために虚像の三次元空間に様々なイメージをふくらませることができる。本論文の主題は私たちの存在の意味をホログラムを用いて表現することです。なぜなら現実の存在をホログラムの虚像を用いて表現できると考えたからです。私たちは、パルスレーザを用いて作製した一連のホログラム作品 “石の思い出” を用いて幸福、輝き、平穏など人の一生を表現することができ、その有効性を明らかにできました。そこで “砂漠の薔薇” と呼ばれる石は我々の存在そのものを意味していています。
著者
水野 一徳 山田 雅一 福井 幸男 西原 清一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.23-32, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

近年の計算機性能の向上に伴い, 道路交通における様々な現象を再現しようとする試みが盛んに行なわれている. 本論文では, マルチエージェントを用いて道路交通問題をモデル化し, 交通流を微視的にシミュレートする方法について述べる. 本モデルは, 道路交通を構成する要素 (車両, 交差点, 道路, 信号) をエージェントとして表現しこれらの相互作用によって交通流を再現するものである. 本論文では特に, 実際の交通流を動的かつ直接的に形成する車両エージェントについて詳しく述べる. 車両エージェントは, 行動決定, 個性という2つの知識ベースを持ち, これらに基づいて各単位時間の行動を決定する. また, 決定された行動の候補は, 3つの単位運転操作 (アクセル, ブレーキ, ハンドル) の繰り返し組み合わせることにより達成される. 交通流を3次元的に可視化してシミュレートすることにより, 車両エージェントの相互作用によって渋滞等の現象が発生していることを示す.
著者
永井 康雄 藤原 雅俊 多田村 克己 秦 学英 中前 栄八郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.45-56, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
37

本論文は, 自然光環境下で使用する屋外移動体, 例えば車等の比較的小さい工業製品のデザイナーへの支援システムとして, 臨機応変に現場撮影可能な可搬性に富んだ2種類のパンビデオシーケンス撮影技法と, この背景パンビデオシーケンスを活用し, 設計段階でデザイナーが気軽にCGモデルを試行錯誤できる幾何学的・光学的に均整のとれた2種類の合成法を提案する. (1) 背景パンビデオシーケンスに移動体を同期させる方法であり, デザイナーは合成のためのスキルを必要としない. (2) 移動物体に背景パンビデオシーケンスを同期させる方法であり, デザイナーは移動体の軌道・速度を自由に設定できる.先ず開発の本題の背景を記述し, 背景パンビデオシーケンスの撮影手法, カラーデザインのための天空輝度分布取得法, 移動体に背景パンビデオシーケンスを同期させるための再編集法, CGモデルと背景パンビデオシーケンスの合成法を提案し, 適用例を挙げてその有用性を示す.
著者
澤野 弘明 岡田 稔
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.57-68, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
22
被引用文献数
5 6

本論文では, 拡張現実感 (AR) 技術を用いた表示方式 (以下, 本表示方式) のカーナビゲーションシステム (以下, 本システム) を提案する. 本システムでは, (I) 走行中の車載カメラから実写動画像の取得, (II) コンピュータビジョン技術による道路幾何情報の抽出, (III) CG技術による3D-CGシーンのリアルタイム生成, (IV) 元の動画像とオーバレイ表示, という戦略をとる. 本システムの利点は, 道路幾何情報のリアルタイム収集・解析による詳細な3D-CGモデリングデータ作成コストの削減, AR技術によるカーナビゲーション表示における瞬時の視認性の向上, である. 本表示方式の有効性についてシミュレーションを用いて被験者100人に対してアンケートした結果, 85%以上の被験者から従来の3D-CGによる表示方式に比べ, 本表示方式の方が瞬時の視認性が高いという回答が得られた. また, 実写動画像を入力情報として, 簡易なAR表示のみを行う試作システムによる実験を行った. さらに, 本表示方式を実装するためにシステム実装時に考慮すべき点とアルゴリズム上の問題点をまとめ, 今後の課題を示す.
著者
長嶋 洋一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.69-79, 2006-09-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
30

FLASHやショートムービーなどのコンテンツを制作するクリエイタ/デザイナが、著作権について心配することなく音楽トラックの素材として自由に利用できる、「コンテンツクリエイター共同体のためのフリー音楽クリップ」生成システムFMC3 (Free Music Clip for Creative Common) を開発した。多数のFLASHコンテンツの調査から求められる音楽クリップの特徴を検討抽出し、本質的に著作権問題を起こさない、従来の自動作曲システムとは異なるアプローチによるアルゴリズム作曲の手法によって、音楽的専門知識の必要なくコンテンツ制作に適した音楽トラックを手元で自動生成/アレンジするシステムをMacintosh/Windows両環境で提供した。生成される音楽クリップのパラメータを100バイトのplain textに整理圧縮して、検索/交換に役立つ体系を実現した。