著者
小森 一輝 城阪 早紀 八木 智生
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s150-s153, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
9

本発表は古典教育において、古典本文と絵画資料の比較検討という、デジタルアーカイブコンテンツの活用モデルを提案するものである。従来、デジタルアーカイブの教育活用においては、教育内容とコンテンツとの紐づけが課題となっていたが、発表者らが実践した古典の授業モデルでは、コンテンツと教育内容との紐づけが比較的容易で汎用性があることを示す。さらに、この数年でICT環境が急速に整備されたことにより、学習者が自身の端末でコンテンツを操作したり編集したりと、コンテンツを教材として活用しやすくなった。このようなコンテンツの積極的活用は、学習者のデジタルメディアリテラシーを向上させるだけでなく、学習者が古典に関するコンテンツを享受し、それを発展させていく継承者としての態度や技能を育成するためにも有効であると考える。
著者
二重作 昌満
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s51-s54, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
3

本研究では、国民のレジャー活動の推移を検証するレジャー・レクリエーション研究の視点から、円谷プロが約60年に渡り大衆的に発信してきた特撮映像作品(全98作品、全2063話)に焦点を当て、各時代を生きる子ども達がどんな遊びをし、変化する時代背景によって日本の子ども達のレジャー活動はどう多様化していったのか、その変遷について悉皆調査及び作品関連資料の分析による検証を実施した。その結果、約60年に渡り発信されてきた円谷プロの特撮映像作品における子ども達のレジャー活動は変遷を遂げており、当初は複数の子ども達が空き地等で行なう外遊びが主流だったものの、時代の推移と共に空き地や道路といった特定の場所で遊ぶ描写が減少していったほか、教育ママや学習塾による束縛を理由に悩む子ども達、さらには家庭用コンピュータや携帯電話といった新メディアの普及による子ども達のコミュニケーションの変化等が描写されてきたことが確認できた。
著者
毛利 仁美 福田 一史 ジュヒョン シン
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s43-s46, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
7

国内におけるビデオゲームアーカイブに関連する研究では、その保存や情報組織化といったトピックが活発であるが、展示以外の利用・提供に関する研究は数少ない。そこで本研究では、調査や学術活動の支援に資するゲームアーカイブの検索・提供サービスのあり方、利用を通じたアーカイブの機能について探索的に検討するという目的のもと、立命館大学ゲーム研究センターの所蔵資料を用いたゲームアーカイブの提供サービスを実施した。本発表では、提供サービスにおいて実施された質問票調査やレファレンスカウンターの対応記録等より分析された、ユーザの利用状況や資料探索行動、オンライン目録サービスの評価を報告する。

2 0 0 0 OA 活動報告

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.162-164, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
著者
荒木 純隆 緒方 靖弘 太田 亮子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.157-160, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)

視聴者の感想を整理することで、DAショートトークの視聴者満足度の高さと、多岐にわたる講演要望からニーズの高さを再確認できた。一方でこれまでの集客方法による参加者拡大の難しさや、アーカイブ公開している動画の活用が少ないという反省点もあり対策を検討・実施していく。さらに、研究者と産業界のコラボレーションを促す施策も取り入れ、新たな活動も開始していくことを計画している。
著者
神崎 正英 後藤 和子 原田 真喜子 柴野 京子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.153-156, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
3

デジタルアーカイブ(DA)は公共財的な側面と私的財な側面を持つ混合財であり、関係者のバックグランド・視点も多様である。講演会・議論を通して情報共有と相互理解を熟成するために開催してきたDAショートトークの内容から、テキスト分析の手法でDAの産業化における諸課題を抽出し、二次元マップとして提示することを試みた。この結果を広く公開するため、部会のウェブサイトに掲載して各DAショートトークをマップ上に配置し、さらに発表資料アーカイブへの動線機能も持たせた。DA産業化マップを通じてショートトークが共通の議論のプラットフォームとして活用されることを期待し、その取り組みを報告する。
著者
原田 真喜子 太田 亮子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.149-152, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
11

産業とデータ・コンテンツ部会が開催するDAショートトークを開始してから一年が経過する。DAショートトークの特徴は、毎月の定期開催と発表動画のアーカイブ配信である。一年を経て、運営方法については定形化され、準備から開催までスムーズに進めることができるようになってきた。筆者らは、事務局として発表者との連絡やアーカイブ配信、ウェブサイトの運用を担ってきた。本稿では、リモートミーティングを中心とする運営と、既存のウェブツールの利用によって実現したDAショートトーク運営の手法について共有を行う。本稿による運営手法の共有が、デジタルアーカイブ振興に関わる諸活動の一助になることを願う。
著者
黒橋 禎夫
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.145-148, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
2

デジタル知識の構築や循環を持続的なものにするためには産業化の視点がかかせない。そのためには、DAに関する多様な活動や技術を共有し、さらにはDA産業化に関する活動・課題の鳥瞰図が必要である。このような動機から、2022年度から月1回のペースで開催しているDAショートトークの概要について述べる。
著者
真喜屋 力
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.142-144, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)

沖縄最古の木造劇場の首里劇場の調査報告。建築、演目リストなど様々な専門家を集めて行った。今後はデジタルアーカイブとして公開予定。
著者
原 裕昭
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.138-141, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
2

沖縄県立図書館では、2018年度からルーツ調査、移民資料の調査・収集、企画展示などの沖縄県系移民に関する事業を実施している。主な事業の対象は、北米や南米にある海外沖縄県人会及び県系人である。デジタルアーカイブを活用した「沖縄県系移民渡航記録データベース」「移民資料収集」の取り組みを紹介し、地理や言語の壁を越えそして過去と現在を繋ぎ、沖縄と世界のウチナーネットワークの再構築を目指す当館の取り組みを紹介する。
著者
内村 千尋
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.134-137, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)

党派を超えて沖縄の民衆から愛された政治家、瀬長亀次郎(1907-2001)。彼が残した手記や文書など、膨大な資料の保存・公開活動を行う資料館「不屈館:瀬長亀次郎と民衆資料」の10年にわたる取り組みと「民衆資料」の重要性について、館長・内村千尋(亀次郎の次女)が語る。
著者
山田 豊
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.129-133, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
19

女性の手にイレズミを施し、それが、『女性のあこがれの象徴』だった。そんな普通の日々が、ある日を境に、180°逆転し、悪と化してしまった。入れているものは警察に検挙され、入れていることに恥ずかしさを感じるようになった。1899年(明治32年)に禁止令が発令され、沖縄の女性の手からハジチが消滅した。その沖縄の失われた文化について、デジタルアーカイブの必要性を考える。
著者
水島 久光
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.121-123, 2023-08-01 (Released:2023-10-11)
参考文献数
4

第7巻3号特集「デジタルアーカイブの未来と沖縄」の企画主旨(昨年の大会との連続性)と問題提起、および各論の紹介。
著者
阿部 卓也
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s1, pp.s59-s62, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
16

アーカイブ構築に関する構想力は、常にその時代ごとの技術水準に規定されている。本報告の目的は、アーカイブの歴史を、テクノロジーからの影響や相互作用という視点で読み直すことである。特にアナログ的な「複製技術」の進展が、近代以降の日本で、文書資料を中心とするアーカイブ構築活動をいかに支えてきたかを考察する。漢字仮名まじりで必要文字数が多い日本語文書の複製においては、明治以降、ゼリーグラフや謄写版など「イメージを複製するテクノロジー」が主流になるという、世界的に特異な展開があった。そこから青写真、青焼き、PPC、マイクロフィルムなどへと至る20世紀末までの技術の変遷が、文書館や図書館でのアーカイブ構築活動とどう響き合ってきたかという問題を整理する。その上でデジタルアーカイブの現状を、そうした過去の文脈から断絶・飛躍したものではなく、連続したものとして捉えることを目指す。
著者
一ノ瀬 修一 浦野 あずみ 佐藤 武彦
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.91-94, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)
参考文献数
3

従来、原資料の非接触撮影には、カメラ撮影方式が用いられている。原資料が数メートルにも及ぶ巨大な古地図等を光学解像度400dpiで撮影する場合は、複数回に分けて分割撮影し、画像処理ソフトを用いて接合して再統合する手法が用いられる。しかしながら、画像接合時に一定の寸法歪みを回避できない問題があった。我々はテレセントリックレンズを採用した非接触式のイメージスキャナ「オルソスキャナ」を開発した。温度依存性を評価した結果、1メートル長に付き、0.1ミリメートル未満の寸法精度を達成する能力があることが判った。その結果、1万対1という高い寸法精度でデジタルアーカイブが可能となるだけでなく、分割撮影画像の接合作業が全自動で行えるようになり、大幅な撮影作業時間の短縮が期待される。
著者
星 泉 岩田 啓介 平田 昌弘 別所 裕介 山口 哲由 海老原 志穂
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s198-s201, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
3

チベット高原では都市への移住と村落部の生活変化が急速に進み、家畜飼養と密接に結びついて長期間かけて形成されてきた民俗文化が、十分な学術調査がなされないまま、急速に失われようとしている。発表者らはこれを憂慮し、チベット高原東北部の青海省ツェコ県において、牧畜民出身の研究者と現地の人々とともに6年間にわたる現地調査を実施し、牧畜民の民俗文化を体系的に整理した『チベット牧畜文化辞典』を刊行した。調査の過程では、辞典には収録しきれない語り・映像・写真・音声・文学作品など多岐にわたる情報が得られ、発表者らの手元に残されている。これらを有機的に結びつけた形でアーカイブすることによって民俗文化を再現的に活写することを課題とし、現在実験的試みを続けている。本発表では、この一連のプロセスから成る研究の営みを「フィールド・アーカイビング」と位置づけ、その意義と可能性について論じる。