著者
神崎 宣次
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.4N2OS26a05, 2020

<p>人工知能や自動運転車などの新規技術の社会への浸透の過程においてELSIの検討が重要という認識は広く共有されるようになっている。その検討の際の重要な概念のひとつに「社会的受容」がある。社会的受容が検討される際にはエネルギー技術関連の先行文献が言及されることが多いが、そこで用いられている社会的受容概念は現にどの程度受容されているか、受容のための条件はどういうものかなどの異なった内容を含みうる多義性を抱えている。この多義性は倫理という観点から、対象となる技術のより詳細な分析を行おうとする際に障害となるものである。 本報告では、[Taebi 2015] が導入している Social Acceptance と Ethical Acceptability の区別を概念分析として更に発展させるという方法によって、この障害を解消する提案を行う。またこのような概念の区分を行うことによって、ELSIとして一括りにされてしまう弊害としてしばしば見落されてしまう、倫理とその他の社会的条件との間にある緊張関係も明らかになる。</p>
著者
日高 昇平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.AI30-H_1-10, 2016-11-01 (Released:2016-11-02)
参考文献数
30

A long-standing dream in research on artificial intelligence (AI) is to build a strong AI, which understands and processes the input, unlike a weak AI which just processes it as programmed. Toward realization of this dream, we need a mathematical formulation on what understanding is. In the present study, starting off by revisiting Shannon’s mathematical theory of communication, I argue that it is a model of information transmission but not that of information understanding, because of its common codebook shared by the sender and receiver. I outline the steps to build a model of information understanding, by seeking possibilities of decoding without the shared codebook. Given the model of information understanding, I discuss its relationship to other known problems in AI research, such as the symbol grounding problem and frame problem.
著者
岡田 和夏 和田 勇歩 東藤 大樹 横尾 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2E1J103, 2019 (Released:2019-06-01)

我々は,充足可能性問題を解くソフトウェアであるSATソルバーを用いた計算機科学的アプローチで,多次元離散空間上の単一施設配置問題の解析を試みる.エージェントの選好は,自身の所在地から施設の配置位置までの距離が小さい程,効用が高いとする単峰的選好と,自身の所在地から施設の配置位置までの距離が大きい程,効用が高いと考える単溝的選好の2種類とする.本論文では,まず,グラフとエージェントの選好から,自動でCNF形式のSATインスタンスを生成するアルゴリズムの提案を行い,パレート効率性および架空名義操作不可能性に関する施設配置問題のSAT符号化を行った.次に,PicoSATを用いて実際に多次元離散空間上の施設配置問題を解き,パレート効率性および架空名義操作不可能性を同時に満たすメカニズムの存在性が,理論的結果と一致することを確認した.最後に,SATソルバーによって,サイズ2×3の格子空間において単溝的選好の場合,パレート効率性,架空名義操作不可能性,および全射性を同時に満たすメカニズムが存在しないことを示した.
著者
小村 友希 坂本 航 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3F4OS14b04, 2019 (Released:2019-06-01)

不完全情報ゲームの一つである人狼ゲームでは,各プレイヤがそれぞれ役職を持ち,村人陣営と人狼陣営に分かれてゲームを行う.役職・陣営の推定は,勝敗を左右する基本的な能力の一つであると認識され,精力的に研究が行われているが,その多くは推定精度の向上を主たる目的としている.しかし,より高度で戦略的に行動するエージェントを実現するためには,高い推定精度はもちろんのこと,推定の根拠や基準を明示化し,エージェントの構築に対して直接的にフィードバックを行えることが望ましいと考えられる.これらのことを背景に,本論文では,役職・陣営推定モデルの解釈を目的とした明示的推定理由の抽出を行った.具体的には,第4回人狼知能大会決勝戦のログデータを対象とし,決定木およびランダムフォレストによる推定モデルの構築と,inTreesによる解釈可能モデルの抽出を行い,これらの結果を比較,考察した.
著者
Shota SUZUKI Takayuki ITO Ahmed MOUSTAFA Rafik HADFI
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2G5ES302, 2020 (Released:2020-06-19)

Online discussion platforms require extracting the discussion structure in order to support understanding the flow of these discussions. Towards this end, this paper proposes an approach that performs node classification which is the first step towards extracting the structure of online discussions. In this regard, the proposed approach employs a graph attention network (GAT) in order to directly learn the discussion structure. In specific, the GAT, which is a type of graph neural networks (GNNs), encodes the graph structures directly. In addition, the GAT, which is based on attention architecture, is able to deal with different graph structures. In order to evaluate the proposed approach, we have conducted a set of experiments on the persuasive essays dataset that is styled using the issue-based information system (IBIS). The experimental results show that the proposed approach is able to classify the nodes in online discussion structures accurately.
著者
大道 博文 目良 和也 黒澤 義明 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.3Rin404, 2020

<p>近年,VRゲームやVirtual YouTuberなどアバターを介したコミュニケーションが普及しつつある.このようなアバターを通じてユーザの心理状態を伝達させるために,特定の感情を示す表情をアバターに表出させる方法や,自身の表情や動作をアバターと同期させる方法がよく用いられている.代表的な表情同期手法としてFace Trackingが挙げられるが,表情を持たない収録済みの音声や合成音声から表情を作り出すことができない.そこで本研究では,音声のみを用いて表情アニメーションの自動生成を行うことを提案する.具体的には発話音声の音響的特徴量を入力とし,表情動画から解析されたAction Unitのパラメータを教師データとして学習モデルを設計する.評価として,既存手法(CNN)と提案手法(CNN-LSTM)のLoss値を比較した.実験の結果,提案手法のLoss値の方が既存手法よりも下がっていることを確認した.また,出力結果を時系列にグラフ化すると提案手法の方がより滑らかに推移していることも確認できた.このことは表情アニメーションにおいて自然な表情として知覚できることを示している.</p>
著者
大屋 雄裕
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3N1OS11a01, 2020 (Released:2020-06-19)

人工知能を含め、システムが利用者から信用され利活用される条件を分析するとともに、その一要素としての説明可能性についてその内容を明確にすることを目的とする。 そのため、状況と帰結の関係として因果連関(原因と結果)と意味連関(理由と説明)があり、責任実践において注目されアカウンタビリティ(説明責任・答責性)の基礎となるものは後者であることを明らかにする。また、法制史・比較法的知見をもとに、使用者と被用者の知識・能力水準の格差という観点からシステムの信用性を維持する手法を分類し、今後の制度化に向けた示唆を提示する。
著者
YANG KAI 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1K1OS2a04, 2018 (Released:2018-07-30)

日本のコミックにはオノマトペがよく現れる.また,新しいオノマトペは日々創造され,コミックに登場している.当然ながら,造語された新しいオノマトペは日本語辞書では見つけることができない.そのため,中国語を母国語とする人にとっては,その新しいオノマトペの意味や印象を理解することは難しい.そこで,本稿では,日本語オノマトペから中国語オノマトペへの機械翻訳を提案する.提案する翻訳システムは音象徴性仮説に基づくものである.この翻訳システムは現在構築中である.本稿では,システムの構成要素について述べ,それらの実現可能性について議論する.
著者
本武 陽一 五十嵐 康彦 竹中 光 永田 賢二 岡田 真人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回全国大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.2I23in2, 2017 (Released:2018-07-30)

ノンパラメトリックなスパース変数選択法として,L1VMがL1正則パラメータλをone-standard ruleなどのアドホックな手法によって最適化されて適用されてきた.本研究では,L1VMで抽出された説明変数を用い,交差検証誤差やベイズ自由エネルギーによって各λから求められた説明変数を評価する枠組み(λ-スキャン法)を提案する.提案手法をスペクトル分解に適用し,その有効性を検証する.
著者
倉橋 節也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1C33, 2007

<p>中国明清時代の名門一族の系譜を、社会ネットワークと逆シミュレーション手法を用いたエージェントモデルで再現し、最高難易度の官僚登用試験である科挙合格者を多数輩出した一族の秘密に迫る。</p>
著者
野中 朋美 新村 猛 藤井 信忠
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1F3OS2a04, 2020 (Released:2020-06-19)

本稿では,レストランサービスにおける配膳ロボット導入による従業員満足と生産計画に関する基礎的分析を行う.和食レストランに導入された配膳ロボットを事例として,配膳スタッフ,調理場スタッフ,接客スタッフのオペレーションおよび個々の従業員が暗黙的に頭の中で計画,更新する生産計画に着目する.この配膳ロボットは,調理場で出来上がった料理を接客フロアに運ぶものであり,作業者が行き先を指定し,店舗内を巡回しながら料理を運搬する.また,下げ膳の食器類を洗い場まで運ぶ役割も担う.ロボット導入前後における生産性と従業員満足を,配膳,調理場,接客の職種別に分析することにより,人と機械の仕事の切り分けや協調,工程設計の変化に対して,従業員がどのように適応しているのか,また,ロボット導入に伴い自身の仕事やオペレーション改善をどのように捉え対応しているのかを考察する.2019年12月から2020年1月にかけて,ある導入店舗を対象に実施した従業員アンケートおよびインタビューの結果をもとに分析を行う.
著者
野口 渉 飯塚 博幸 山本 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a03, 2018 (Released:2018-07-30)

生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.
著者
野村 真由美 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2L105, 2018 (Released:2018-07-30)

本研究では,政治家の日常の発信であるTwitterに焦点を当てる.議員のツイートから論点となりそうな単語を抽出するとともに,それらを整理し,また論点に対する立場から議員を分類する.
著者
中川 慧 今村 光良 吉田 健一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2J203, 2018 (Released:2018-07-30)

時系列およびクロスセクションの属性を持つデータセットに対する時系列勾配ブースティング木を提案する。 我々の時系列勾配ブースティング木は、内部ノードに時系列およびクロスセクションの属性を持つ弱学習器をもち、時系列間の非類似度に基づく基準例分割テストまたは通常の不純度に基づく分割を行う。 時系列間の非類似性は、Dynamic Time Warping(DTW)または金融時系列に対してはIndexing DTWによって定義される。 TOPIXを対象とした株価予測の結果は、提案手法は収益性、精度ともに優れていることが確認できた。
著者
加藤 旺樹 穴田 一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2J204, 2018 (Released:2018-07-30)

近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が多く行われている.テクニカル分析を用いた投資では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し売買を行う.しかし,そのためには専門的な知識を必要とする上,利益を上げにくいという問題がある.そこで,本研究ではテクニカル指標を用いた高確率で利益を生み出す投資戦略の構築を目的とする.