著者
杉尾 一
出版者
上智大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2017-08-25

本研究では、ボーアによる認識論的量子解釈の立場から物理量概念を分析することで、物理量を実在の要素とみなすのではなく、物理的対象を分節し、理解するための認識の枠組みという認識論的解釈を提示した。そして、近年、論争となっている弱測定による弱値の物理的解釈を認識論的に行い、参照枠としての量子系に依存する物理量とみなす解釈を提示した。言い換えるなら、物理量とその値は、観測者が設定した参照枠としての物理系に依存しており、属性というよりも、私たちが参照枠を通して入手可能な情報と考えることができることを示した。
著者
青木 清
出版者
上智大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1987

魚類の中枢神経系は, 他の脊椎動物と比較して単純で神経生理学的な面からの解析に適していると考えられるところから, 日本産ウグイとメダカを用いて視覚性眼振運動(Optokinetic nystagmus:OKN)を制御する中枢神経機構について, 電気生理学的, 行動生理学的に解析した.1.自発性眼球運動と, 白黒の縦縞模様のスクリーンの回転によって誘発される2種類のOKNにおける, ウグイの動眼神経核内での単一ニューロン活動を記録して, その活動様式を調べた. 白黒の縦縞のスクリーンを, 時計方向に回転させた時反応した41個のニューロンは, 水平面上の眼球運動をおこすとともに, 3つの活動様式を示した. その三つの様式は, (1)魚の鼻側方向の急速眼球運動時に高頻度発射するタイプ, (2)(1)とは反応タイブが似てはいるが, 急速眼球運動時に限って特異的に高頻度を示すバーストタイプ, (3)通常は眼球の位置に関係のないある一定の頻度で発射していて, 急速眼球運動の間だけ活動が休止するボーズタイプである. これら(1)(2)(3)のニューロンでは, サッケード(自発性眼球運動, における急速運動)と視運動性眼振の急速相との間には, ニューロン活動に違いが見られなかった.2.OKNに直接関与する運動系の神経系を明らかにする為に, ウグイの脳の視床-前視蓋領域に局所的電気刺激を与えて, 視覚からの入力のある時と同じOKNを発現させ, その機能的役割について調べた. 両側の視床-前視蓋領域のうち右側領域を電気刺激すると常に引き起される眼振は時計回転方向のものであり, 左側領域では反時計回転方向となった. 視床-前視蓋領域の部位では, 終脳核群と互いに連絡があり対象同定に関与している.3.野生型ヒメダカの孵化直後から成魚までの視運動反応の発達を調べ, 発達に変化のみられる日令に従って中枢神経系の発達を電気生理学的に解析して制御機能を明らかにした.
著者
藤村 正之 二方 龍紀 石田 健太郎 玉置 佑介 フングン ユウ
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

時間配分は、生活の質の向上とも関連して、日常生活のみならずライフスタイルや社会心理と相互に規定しあう重要な社会学的な事象である。本研究では、(1)基礎的な文献研究、(2)家計・消費行動に関する2次データの分析、(3)生活時間と生活の質の関連に関する調査票調査の実施・分析を行った。実証研究から、24時間の基本配分としての仕事と家事、それに影響する性別・家族構成・就業状態、その残余として諸行動が派生するという構造が確認された。
著者
鈴木 宣明
出版者
上智大学
巻号頁・発行日
1992

博士論文
著者
堤田 泰成
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

本研究の課題は、ショーペンハウアーの哲学、特にその救済思想(「意志の否定」論)を中世キリスト教思想の受容と展開という点から明らかにすることにある。最終年度にあたる本年度は、昨年度の研究成果を踏まえつつ、当初の年次計画通り(2) 普遍と特殊、(3) 自由意志と恩恵、というテーマから研究課題を遂行した。(2)について、ショーペンハウアーが中世スコラ学の「個体化の原理」というタームを用いて現象界の数多性を説明している点に着目し、「一者」としての意志(普遍)とその現象である個体(特殊)の問題を、トマスやスアレス、ロック、ライプニッツの個体論なども参照しながら検討した。これにより、中世スコラ学からスアレス、近世哲学を経由してショーペンハウアーへと至る「個体化の原理」の哲学・思想史的系譜を文献的な裏付けをもって解明することができた。(3)について、ショーペンハウアーの「意志の否定」論とキリスト教の恩恵論との関係性を、エゴイズム(我意)の放棄という共通項から考察することを試みた。昨年度の研究成果からショーペンハウアーの「意志の否定」論とキリスト教の神秘主義、聖人論との間に予想以上に深い関連があることが判明したため、彼が「意志の否定」の体現者と見なしているアッシジの聖フランチェスコを考察の対象とした。ショーペンハウアーの所蔵していた『聖ボナヴェントゥラによる聖フランチェスコ伝』(ビヒャルト編、1847年)の書き込みの検討を行い、彼がフランチェスコのうちに清貧・禁欲・同情という「意志の否定」において重要とされる三つの要素を見出していたこと、またフランチェスコの人間と自然への歓びに溢れた生活のうちに本来的な自己を実現・現実化する積極的な生(人生)の肯定のあり方を見出していたことなどを確認した。
著者
アルンブルスター L. 本間 英世
出版者
上智大学
雑誌
ソフィア (ISSN:04896432)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, 1960-06
著者
三輪 公忠
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-12, 1991-03-31

日ソ間の交渉をみる限り, 北方領土問題にはあいかわらず出口が見えないようである。本稿はその出口を探しだすだけでなく, 北方領土問題を米ソの協力を得て日本が積極的に新しい安全保障機構の構築のために貢献する出発点とすることを提唱する。本稿は北方領土の運命は1945年12月のモスコー外相会議における米国務長官 James Byrnes とソ連外相 Molotov との一種の取引によって定まったという一つの秘められた事実を発掘する。大西洋憲章に鑑み, 領土の併合をいっさいしないと決めたローズベルト大統領の理念にもかかわらず, アメリカの軍部, 特に海軍は, 戦争中に軍事占領したミクロネシアをその戦略的重要さのゆえに手放すつもりはなかった。ローズベルトの死後, トルーマン大統領の下で, 国務長官となったバーンズは二律背反の主張と立場を見事な妥協外交で両立させることに成功した。すなわち日本の北方領土はソ連領とし, 代わりにアメリカは日本の旧連盟委任統治領(ミクロネシア諸島)をアメリカの国連戦略信託統治領として軍事的にも自由に使用できることとしたのである。このように北方領土問題にはこれまで忘れられてきた起源があるのである。してみれば米ソの協力なくして日本にとっての北方領土問題の解決の道はないのも明白である。では, この際日本はどのような解決策をとることができるか。その一つは, アメリカにとって未解決のパラウ共和国との問題とリンクすることにある。アメリカがこの共和国との信託統治領関係を解消できずにいるのは, この国の非核三原則憲法のためである。日本はこのアメリカの問題解決に, 北太平洋の非核地帯化への主導的立場をうちだすことで大きく貢献することができる。すなわち, ソ連の武器弾薬を含み, 北方領土上にあるいっさいの軍事施設(それは東シベリアの他地方からそのために運びこまれたものでもよい)を普通の社会施設などと共に買いとるというかたち(前例は沖縄返還のときあった)で, ソ連の経済的ニーズに応えつつ, そのように獲得したものは, たとえば日米加ソの国際監視団の監視のもとで一定期限内に廃棄処分にする。そして同時進行的に, 1986年に発効した南太平洋非核地帯(SPNFZ)に連続する非核地帯を構築する。こうして, 日本は悲惨な戦争体験から学んだ日本国憲法の平和主義と非核三原則をポスト冷戦下の新秩序の形成に積極的に生かしてゆくことができる。それはすでに欧州安保協力会議(CSCE)のメンバーである米ソ加に日本が加わる一つの実際的な方向性であり, やがて, 中国そして統合されるであろう朝鮮半島の国の参加をみすえた未来図である
著者
東郷公徳
出版者
上智大学
雑誌
上智大学外国語学部紀要
巻号頁・発行日
vol.2006, no.41, 2007-03-10
著者
下楠 昌哉
出版者
上智大学
雑誌
ソフィア (ISSN:04896432)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.96-103, 1999
著者
飯野 友幸
出版者
上智大学
雑誌
ソフィア (ISSN:04896432)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.339-352, 2000
著者
尾形 利雄
出版者
上智大学
雑誌
ソフィア (ISSN:04896432)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.p618-620, 1994