著者
斎藤 奨 Chiang Chun-Wei Savage Saiph 中野 鐵兵 小林 哲則 Bigham Jeffrey
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

クラウドソーシングにおいて、ワーカーの多くが十分な賃金を獲得できていないことが問題視されている。原因の一つとして、まだ取り組んだことのないマイクロタスクの「割の良さ」を正確に見積もることの難しさが挙げられる。本研究では、他のワーカーによる過去のタスク作業履歴をもとに、新たに発行された未知のタスクに必要な作業時間と時給を推定する手法を提案する。Amazon Mechanical Turkのワーカー84人に独自に開発したウェブブラウザ拡張機能をインストールさせて9,155件のタスクデータを抽出し、異なる方法で計測した4パターンの時間の候補からワーカー自身に一つ選ばせることで作業時間のラベルを付与した。さらにGradient Boosting Decision Treeのモデルから作業時間を回帰推定するTurkScannerを設計・評価し、約150次元の特徴ベクトルから高い精度で作業時間を推定することを示した。
著者
渡部 雅也 楊 坤 Dinesh Malla 坂本 克好 山口 浩一 曽我部 東馬
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ディープラーニングと強化ラーニングは近年急速に発展しています。ゲームやロボット制御などの分野にディープラーニングを適用する多くの研究が大きな成功を収めています。本論文では、強化学習アルゴリズムであるAlphaZeroをゲームAIのためのこれまでにないレベルの多用途性を最適制御問題に適用する可能性を検証する。従来の制御メカニズムを使用することによって処理することが困難であると考えられているノイズの多い環境下で動作を制御するその能力についての洞察を得ることを目指している。
著者
逢澤 昌志 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

線画の色付けには、特別な技術、経験、そして知識が必要です。そのため、近年では線画の自動彩色の研究が注目を浴びています。しかし、既存手法は課題を抱えています。そのうちの1つが、グレースケール人物線画とその自動彩色結果の間で白目領域における不一致が生じるという問題です。人の肌や白目はどちらの場合も白く表現されることが多いため、既存のアプローチではその境界を判断できない場合が多く存在します。そこで、白目領域を考慮した自動彩色が求められています。本研究では、既存の白目領域検出による自動彩色手法に対して、データセット作成における負担軽減のシステムを用いた新たな自動彩色手法を提案します。結果として、白目領域検出の精度が低下しましたが、データセット作成に要する時間を短縮することに成功しました。
著者
北川 晋吾 岡田 慧 稲葉 雅幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年ロボットは倉庫や工場などの社会導入が推められており人のような双腕マニピュレーション動作を行うことが期待されている。本研究では複雑環境でのターゲットピッキングを対象とし、必要に応じて単腕・双腕を使い分けるピッキングシステムを構成することを目的とし、双腕ロボットによる自律学習型のターゲットピッキングシステムを提案する。まずロボットは自動生成したデータセットを用いて把持点と物体インスタンスの可視・遮蔽領域認識を学習し、その後実世界での把持試行を通して再学習を行う。最後に単腕・双腕を選択的に実行するターゲットピッキングシステムを構成し、実世界の複雑環境での検証実験を行う。
著者
野口 克洋
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究では、神話学者ジョセフ・キャンベルのヒーローズ・ジャーニーとして知られる単一神話論に基づく物語創作を、計算機上で再現する手法を提案する。物語中での任意の地点におけるイベントの作用や強度を、三角関数を用いて数理的に求めた。単一神話論における物語の類型の一部について表出を確認し、提案手法の有効性の検討を行った。
著者
白濱 淳也 川本 一彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

確率的正則化のモデルやアテンション機構を組み合わせ,より高性能な確率的正則化のモデルを作成する.ShakeDrop を軸にStochastic Depth と SENet を組み合わせる.データセットの CIFAR-100 を用いて誤認識率で比較した結果,提案する手法は全て ShakeDrop 単独よりも低くなった.
著者
小鷹 研理
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

筆者の研究室は, 2016年以降, HMDを使って腕または脚が伸縮する感覚を誘発する研究(Elastic Limb(s) Illusion)を継続的にすすめている. このプロジェクトの中で. これまでに4つの異なるシステムを考案してきたが, いずれについても, 運動学的な力学作用(引っ張る/引っ張られる, 押し込む/押し込まれる)と, 見かけ上の四肢の長さの伸張との動的な関連付けをベースとし, それらの作用量を体重計の値を通して見積もる点で共通している. これらの4つのシステムは, 過去に様々な展示会で出展され, 錯覚の誘発に関して極めて個人差の少ない手法であることを示してきたが, 個々のシステムについて得られている効果の認知的根拠および, 各システム相互の関連について, これまでに俯瞰的に論じる機会がなかった. 本稿では, 4つのシステムをあらためて概観し, 他の研究者によって報告されている関連研究と比較しながら, Elastic Limb(s) Illusion研究の学術的な展望を議論する。
著者
松野 元樹 田中 翔 原 拓希 川本 峻頌 下山 翔 川島 崇 積田 大介 城戸 康 橋本 司 高木 友博
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究ではマルチエージェントシステムを念頭に、タスク実行に必要なリソースとメンバー能力のマッチング問題を考える。我々はタスク・リソースマッチング問題に対し深層強化学習を用いて現代的な解法を構築し、基準となるいくつかの既存手法と多角的な観点から比較しながら提案手法の評価を行った。数値実験の結果により、深層強化学習は組み合わせ最適化問題において実行時間と組み合わせ精度の両立を狙う際に有用であるということが明らかにされた。
著者
田草川 智秋 内田 英明 藤井 秀樹 吉村 忍
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年、環境保護の観点から電気自動車(以下EV)と再生可能エネルギーへの期待が高まっているが、将来的なEVの大規模な普及に対して、大都市におけるEVの充電需要やそれに対する太陽光発電の重要性をシミュレーションにより明らかにする必要がある。本研究ではEVエージェントを実装した交通シミュレータを用いて、EVの普及による岡山市周辺の電力系統への影響を定量的に評価し、現状の太陽光エネルギーによる発電量と比較した。結果として、EVによる消費電力を太陽光発電によって安定的にカバーするためには充電時間の適切な誘導やEVの性能向上を行う必要があることを示した。
著者
前田 巌 松島 裕康 坂地 泰紀 和泉 潔 ディグロー デビット 富岡 博和 加藤 惇雄 北野 道春
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,社会の様々な場面で機械学習・深層学習手法による予測が活用されている.深層学習手法を用いて学習したモデルは高い精度で予測を行うことができるが,予測信頼性を十分に考慮できておらず,予測の困難な外挿データに対しても高い確信を持って予測を行ってしまう危険がある.本研究では画像識別タスクに対して,通常の深層学習手法および近年提案されている不確かさを考慮した深層学習手法を適用し,外挿データに対するモデルの頑健性を検証した.通常の深層学習手法により学習したモデルはモデル学習用データに存在しない特徴を持つデータに対して高い確信度で予測を行ってしまうが,不確かさを考慮した深層学習手法により学習したモデルはそのようなデータに対し確信度を低く出力し,誤った予測を回避することが可能となる.実験結果より深層学習手法における不確かさ評価の重要性が示唆された.
著者
川口 輝太 井上 裁都 長田 誠也 山下 達雄
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究では,実際のユーザの行動データを使って,各地域と観光要素の紐付けを行い,地域ごとの観光要素のクラスタを抽出することを目的とする.分析対象として,ニュースサイト「Yahoo!ニュース」を用いた.Yahoo!ニュースの閲覧者は,興味のある地域や娯楽のテーマをフォローすることで,そのテーマが紐付けられた記事を優先的に閲覧できる.そこで,ニュース閲覧者の興味対象のテーマと実際の記事に付与されているテーマを併用した,観光要素別の地域ランキングと地域別観光要素ランキングの作成手法を提案する.
著者
太田 真人 花房 諒 岡留 剛
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

低精度センサーが多数配置され,高精度センサーが少数(またはゼロ)配置されている複数の地理的領域における物理量の空間分布の推定手法を提案する.本研究は,ドリフトを含む低精度センサーの観測値は誤差が大きく,疑似教師データとし,正確な物理量の空間分布は未知なため教師なし学習になる.提案手法により,高精度センサーを少数有する領域に対して,高精度センサーの観測値に基づき,領域内に配置された低精度センサーのバイアスを補正し,物理量の空間分布を推定する.また,高精度センサーが存在しない領域は,同じクラスタ内の情報を共有するマルチタスク学習方法により,領域内の物理量の空間分布を高精度に推定する.いくつかの実験で,提案手法が物理量の空間分布を正確に推定することを示す.
著者
佐藤 怜 秋本 洋平 佐久間 淳
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Neural Architecture Searchが深層学習のアーキテクチャを自動的に設計するためのアプローチとして注目を集めている. 本研究では, アーキテクチャと重みを同時に最適化するone-shotアーキテクチャ探索の高速化を目的とし, 貢献度分配を導入した方策勾配による探索法を提案する. 提案手法では, 貢献度と呼ばれるアーキテクチャを構成する複数の部分それぞれに対しての報酬を定義し, これをアーキテクチャパラメータの勾配の計算に用いる. 実験で, 最近提案された勾配法によるone-shotアーキテクチャ探索の先行研究と比較し, 提案手法では同程度の精度のアーキテクチャをより高速に発見できることを示す.
著者
三宅 陽一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ステートマシンとビヘイビアツリーにいる新しい意思決定システムを開発し、それを実際のゲームタイトルに導入した。これをAI Graph と呼び、ノードの定義を工夫することで、2つの意思決定アルゴリズムをハイブリッドでかつ連結して使用することを可能とした。また開発時の工夫として、一度使ったグラフを何度も再利用できるようにし、エージェントの意思決定を深く作り込むことを可能とした。
著者
水野 貴之 小髙 充弘
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

世界の3億社と1.4億人に関する株所有情報を含むデータセットを用いて,グローバルな株所有ネットワークにおける中国の間接支配を調べる.はしめに,ネットワーク上のパーコレーションモデルを拡張することによって,支配関係をグローバルな株所有ネットワークのサブグラフ(サブネットワーク)として抽出する.このモデルは,直接所有だけではなく,支配下企業を介した間接所有も加味して,企業が支配されるか(ノードがパーコレートするか)を定める.次に,中国株主と米国企業(投資会社とGAFA)による世界支配を,支配に必要な所有比率を変化させて観測する.中国株主が協調することで,世界支配は大きく拡大する.中国は, 1%を超える間接的な株所有によって世界の全従業員の47%を支配している.中国による支配は,タックスヘブン地域,フランス,南アフリカ,ナイジェリアで顕著である.フランスは旧植民地であるアフリカで多くの企業の株を持っている.支配関係は階層構造を持っている.すなわち,中国はフランスを介してアフリカを支配している.特に,採掘業で顕著である.中国の世界支配は強いけれども,米国企業による支配はその比ではない.
著者
原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

深層学習モデルはその複雑な内部のネットワーク構造がゆえに、モデルがどのような認識機構に基づいて画像認識を行っているかを人間がうかがい知ることはできない。このモデルのブラックボックス性を緩和して説明性を高めるために、特に画像認識の分野において視覚的な説明性を向上させる方法の研究が進めらている。これら視覚的な説明では、深層学習モデルが画像中のどの領域を根拠に認識を行なっているか、その認識対象を特定してハイライトする。本研究では鮮明なハイライトを得るための前処理方法として活性固定化を提案する。活性固定化ではまず前処理として深層学習モデルの認識に寄与している主要な構造だけを残して、残りの非主要部を枝刈りする。その後で既存の視覚的説明法でハイライトを生成する。このように前処理として活性固定化によりモデルの非主要部を枝刈りすることで、非主要部に由来するノイズを除去した鮮明なハイライトを生成できる。
著者
松吉 俊 内海 彰
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

メタファー写像と後編集を利用した物語自動生成のフレームワークを提案する。このフレームワークは、以下の手順からなる。1. メタファー写像データベースの構築、2. 複数シミュレーターによる状態遷移列の生成、3. メタファー写像を利用した言語化、4. 後編集、5.アーカイブ化。本提案手法の主な特長は次の通りである。内部表現を一切利用しないことが選択可能、モジュールごとの評価が比較的容易、不適切な表現が出力されないように事前に制御可能、物語文章を逐次生成する場合、読者からの質問に回答可能であり、読者からの要望に応えて物語の現状を途中改変可能。
著者
坪田 亘記 小川 徹 山崎 俊彦 相澤 清晴
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では個別の漫画でのキャラクターの分類を目的とする.キャラクターの顔とコマのバウンディングボックスが与えられているという条件で,深層距離学習によって個別の漫画への適応した特徴量を作成してクラスタリングを行う手法を提案する.深層距離学習に必要な正ペアと負ペアを,漫画特有の性質である同じキャラクターは近くのページやコマに登場しやすく,同一のコマに現れるキャラクターはほぼ異なるという性質を考慮して推測する.個別の漫画に適応したことによりクラスタリングが改善した.
著者
斉藤 絢基 中村 聡史
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

コミックの創作を行う際,キャラクタのセリフやナレーションなどで用いられる文字をキャラクタの性格や場面の雰囲気に合わせた文字デザインを行うが,日本語フォントはその文字数の多さから,英語フォントに比べバリエーションが少なく,また高価であるため,その場その場にあった文字デザインをすることは容易ではない.そこで本研究では,任意の既存のフォントを組み合わせて新たなフォントを作り出す手法を実現し,そのフォントの組み合わせ度合いを自在に変化させることによって,新たなフォントを生成する手法を提案する.また,提案手法を用いたコミックで使用する文字のデザインを支援するプロトタイプシステムを実装し,提案手法の有用性を議論する.
著者
平岡 誉史 山西 良典 西原 陽子
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では,コミックのコマの重要度を推定する手法を提案する.提案手法はPage-Rankのアイデアを応用したものであり,コマ同士のリンク関係を用いてコマの重要度を推定する.コマ同士のリンク関係はキャラクターの画像情報や台詞情報などのコマ中に含まれるメタデータをもとに構築される。各コマの重要度はコマのリンク数によって求められる。実際のコミックに対して提案手法を適応し,どのようなコマが高い重要度を持つと推定されるのか検証を行った.また実験結果より提案手法の有用性を検討した.