著者
佐竹 哉太 山田 誠 松井 孝太 松井 茂之 鹿島 久嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

生存時間分析はイベントが発生するまでの時間を分析するための手法であり、多くの分野で使用されている。 この生存時間分析の中で最も良く用いられるモデルとして、Cox比例ハザードモデルがある。Cox比例ハザードモデルはイベントの詳細な分布が分からない場合でも利用でき、また線形式の係数により特徴の重要性を解釈することができる。しかし一方で特徴の線形な関係性しか利用できないという問題がある。非線形なCoxモデルも研究されているが、それらのモデルでは解釈ができない欠点がある。本研究では、CoxハザードモデルにFactorization Machines (FM)を導入したモデルを提案する。このモデルでは共変量間の相互作用を利用でき、また解釈も可能である。提案手法の性能を評価するため、実際の遺伝子データから特徴選択を行い、それによって選択された特徴を用いて実験を行った。その結果、提案手法が既存手法に比べ良い性能を示すことを確認した。
著者
高橋 佑典
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

住宅価格の分析を行った従来の研究では,モデルの推計価格に対して明確な説明が可能なことから,多くが線形モデルとして推計している.しかし,専有面積や築年数などでは,住宅価格に与える影響が区間で異なり,非線形性を持つことが知られている.また,線形モデルの課題として,築年数と建築年代といった多重共線性を持つ説明変数を同時に投入すると,モデルの推計値が不安定になることが挙げられる.一方,線形モデルの課題に対処するため,非線形性を考慮した推計が行われている.しかし,非線形モデルを扱う課題として,モデルが複雑になり説明性や再現性が低下することが考えられる.本研究では,これらの線形モデルと非線形モデルの課題に対処し,住宅価格推計時の説明性と推計精度の向上を目的として,モデルを2段階に分けた場合の戸建住宅における取引価格の推計を行った.結果として以下のことがわかった.1つ目は非線形性をうまく表現できる手法として,決定木と勾配ブースティングを組み合わせた手法が有効であること.2つ目は戸建住宅の価格を決める主要な要因の非線形性を考慮し,推計精度の向上が見込めることである.
著者
紺野 剛史 金月 寛彰 福田 大輔 園田 俊浩
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,日本の高齢者人口は増加している. 介護期間を短縮する方法として,高齢者の転倒リスク検出を検討した. 本論文の目的は,非接触センサーで転倒リスクを検出することである.40人の被験者による5メートルの歩行テストのビデオを撮影し,次に,OpenPoseを使ってそれらを処理した.最後に,リハビリ運動指導員は転倒リスクを3段階で評価した.本稿では,3つの機械学習モデルについて転倒予測の精度評価を報告する.その結果,非接触センサーを使用してもすべてのアルゴリズムで約80%の精度が得られることがわかった.
著者
瀬田 和久 池田 満 角所 収 溝口 理一郎 Kazuhisa Seta Mitsuru Ikeda Osamu Kakusho Riichiro Mizoguchi
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.597-608, 1998-07-01
参考文献数
26
被引用文献数
19

Recently much attention has been paid to the notion of "ontology" in the expectation that it can serve as the new, strong foundation of knowledge engineering. In the conventional approach to theory of knowledge, to give the operational semantics of knowledge representation has been regarded as of major importance and the analysis of contents of knowledge has been considered to be subordinate to it. To solidify the foundation of knowledge engineering, however, the many researchers, espcially in the field of knowledge sharing and reuse, has strongly felt necessity of the change of such a way of thinking. The key to the problem is to understand the essential interaction between "form" and "contents" on equal importance. This implies that deep understanding of "content" will give us new insight into design of knowledge representation. The notion of "ontology" can be key to this issue. We have investigated the property of problem solving knowledge and tried to design its ontology, that is, task ontology. The main purpose of this paper is to discuss the basic issues concerning the task ontology. It provides three major advantages as follows. (A) It provides human-friendly primitives in terms of which users can easily describe their own problem solving process. (B) The systems with task ontology can simulate the problem solving process at an abstract level in terms of conceptual level primitives. (C) It provides ontology author with an environment for building task ontology so that he/she can build a consistent and useful ontology.
著者
瀬戸 卓弥 竹内 優志 橋本 正弘 伊藤 惟 市原 直昭 川久保 博文 北川 雄光 宮田 裕章 陣崎 雅弘 榊原 康文
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

食道癌は10年生存率が20%前後の癌であり、膵臓癌や肝細胞癌と並んで致死率の高い癌である。また、食物を運ぶ蠕動運動による狭窄と癌による狭窄の判別が難しく診断の難しい癌であることも知られている。そこで本研究では、過去に食道癌と診断された患者のCT画像を用いて畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と 再帰型ニューラルネットワークの学習を行うことにより、新規のCT画像に食道癌が存在するか否かを判別するシステムの構築を目的とした。結果として、CNNとLSTMを用いた診断支援システムの構築に成功し、80%を超える精度で分類を行うことができた。
著者
上野 未貴
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

創作者は表現したいものをいかに伝えるかに想いを巡らせ,創作物を創っている.その過程には,対象とするテーマだけではなく,創作者個人の感性や体験,表現材料や技法の工夫など,多くの要素が存在する.創作現場には情報技術の進化が関わっているが,分野が発展したことで生まれる新たな研究が人が創る過程にどう関わるのか,未来の表現がどう変容するのか,本稿では表題のセッションに関わる研究とその展望について述べる.
著者
谷田 泰郎 高椋 琴美 齋藤 有紀子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

人間の理解に基づくコミュニケーションは非常に重要である。然しながら、そのメカニズムを理解することは必ずしも重要ではない。本稿では、膨大な情報から情緒的価値(感覚的な感性価値)のみを抽出する「心のモデル」を提示する。
著者
森 直樹 藤野 紗耶
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,機械学習の飛躍的な発展を背景として,人工知能(Artificial Intelligence: AI)が社会における重要な基盤技術として注目されている.しかしながら,創作に関する分野への AI の適用は現在でも極めて困難であると考えられている.本研究では AI 技術を用いた人間の心に響く絵本の自動生成について検討し,現在提案中である"ユーザ内のとある感性観測に基づく対話型デジタル絵本'' (Interactive digital picture book with Observing ∃ Kansei ∈ User: IO∃K)において重要な絵本オブジェクトの自動配置手法を提案する.IO∃K はユーザに内在しているある感性に着目し,その感性に基づいて作られた画像とストーリーを融合してデジタル絵本を作成するシステムである.なお,IO∃K という名称は,著者たちにとって深い思い入れがある国鉄 103 系電車に着想を得ている.今回は IO∃K の持つモジュールの中で,オブジェクト自動配置モジュールについて提案する.
著者
大知 正直 城 真範 森 純一郎 浅谷 公威 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

研究への投資戦略策定のために,早い段階で有望な研究や研究分野を特定することは重要である.また,近年の論文出版数の急増及び専門知識の細分化のため,将来の技術動向を自動で予測する技術の開発が必要である.一方で技術の現状を表す指標には様々なものがあり,どの指標による未来予測を示すかは分析の目的に依存する.つまり,様々な指標による技術動向の自動予測を行うための基盤技術の開発が課題である.そこで,本稿では,出版社の論文データの様々な異種ネットワーク情報を用いて,未来の様々な技術指標を自動で予測するための分散表現を抽出する手法を提案する.実験の結果,論文間の参照関係の予測のF値は95.6%で,出版後3年後のh-indexは一定の条件下で64.4%だった. この結果は,論文間の参照関係を十分に写像できていることを示している.一方で,将来のh-indexの予測精度は比較手法と同等であり,さらに研究を深める必要がある.本論文の成果は,論文データ向けの異種ネットワーク分散表現が技術動向の自動予測を行うための基盤となる可能性が示唆している.
著者
吉田 光男 荒瀬 由紀 角田 孝昭 山本 幹雄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 = Proceedings of the Annual Conference of Japanese Society for Artificial Intelligence
巻号頁・発行日
vol.29, no.2I1-1, pp.1-4, 2015

ウェブ検索エンジンに入力されるクエリの検索頻度は人々の興味関心を反映しており,流行の分析などに有用なデータである。しかし,その検索頻度データを検索エンジン事業者以外が利用することは困難である。そこで本論文では,検索結果の上位に表示される傾向のあるWikipediaのページビューデータを用いれば検索頻度を推定できると仮定し,その推定可能性を検証する。The frequency of a web search query generally reflects the degree of people's interest in the subject matter. Search logs are therefore a useful resource for trend analysis. However, accessing search logs is typically restricted to search engine providers. In this paper, we investigate whether search frequency can be estimated from another resource, namely, Wikipedia page view of open data. As a result, frequently searched queries revealed remarkably high correlations against Wikipedia page view. This fact suggests that Wikipedia page view is effective for understanding popular web search trends happening around the world.
著者
伊藤 孝行 柴田 大地 鈴木 祥太 山口 直子 西田 智裕 平石 健太郎 芳野 魁
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

オンライン上のクラウド(Crowd)スケールの議論の支援が次世代の民主主義プラットフォームとして注目を集めている.大規模な合意を形成できれば,これまでには不可能だった,大規模な人数による意思決定が可能になる.そこで,筆者らは複数の実フィールドでオンラインの議論支援システムCollagreeを開発し,幾つかの社会実験を行い有用性を確認している.ここでは,炎上を防ぎながら議論を適切にリードするために人間のファシリテータがオンライン議論をファシリテートした.課題は,規模が非常に大きいことから,人手でファシリテーションを行うのが困難な点である.オンラインで24時間休むことなく議論を管理することは非常に難しい.そこで本研究では,自動ファシリテーションエージェントを実装することで,大規模な人数の人たちの意見を効率的に収集し,合意を形成するシステムを実現する.評価として,名古屋市と協力して,名古屋市次期総合計画の中間案に対する市民の意見集約の場の一つとして,本システムを導入した.その結果,自動ファシリテーションエージェントは予想以上にうまく動作し,参加者からの投稿数が増加する傾向が見られた.
著者
神先 凌太朗 中島 遼 井上 綾 田中 瞭 小島 未央奈
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

概要: ①人工知能(AI)が発達した未来社会においては, AIが裁判官を務める場合が考えられる. そこで本稿では, 裁判官とAI裁判官である場合の二つの状況において信頼度に影響を与える指標を明らかにしたい. 今回用いた指標は従来から言われている誠実さ, 能力(中谷内, 2018)に加え, 思いやりであると考えた. 思いやりという指標は裁判の現場でも述べられており(最高裁判所資料, 2013), Mayer(1995)の信頼に影響する能力, 正直さに加え慈悲という項目をおいていることとも関連が深い.②:結果としては,裁判官,AI裁判官, のどちらにおいても思いやり条件で信頼度を高めるという有意差が見られた. しかし思いやり条件下において, 誠実さ, 能力も同様に上昇した. そのため, 思いやりが誠実さ, 能力に影響し, その片方, あるいは両方を経由して信頼度に影響していないとは言い切れない結果となった.
著者
大塚 基広 平 博順 真貝 寿明
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,解答解説機能付き微積分ソルバの開発を行った.開発した自動解答ソルバは,主に大学生1年生レベルの微積分学について,教育目的として開発された.今まで,数式処理ソフトは多数開発されてきたが,解説を付与するものは少なく,答えのみを返すものが多かった.そこで本研究では,計算結果を出力するだけではなく,導出過程も出力し,加えて,グラフ描画や,接線を求める機能,Taylor展開や偏微分といった問題にも対応できるソルバの開発を行った.本ソルバでは,本学部1年生の講義「微積分学I」の期末試験の過去問について,70%の精度で解答として通用するものを作成できた.また現在,ソルバで解けない問題に対しても,ヒントを提示するようにして,対処している.
著者
中村 凌子 鈴木 浩子 渡部 勇 高木 友博
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年, オンラインギャンブルデータを用いた行動分析の分野が発展している. しかし, 時系列の行動変化に関する研究は十分になされていない. そこで本研究では, 問題ギャンブリング (ギャンブルにより生活に問題が発生している状態) に至るプレイヤーの早期発見を目的として, オンラインギャンブル行動データにおいてShapeletによる距離測定を用いた時系列変化を定量化する分類器を提案する. 特に, 短期間での局所的な行動特性を表すLocal-Shapeletと長期間での大局的な行動特性を表すGlobal-Shapeletの予測能力を調査した. 予測実験は, 時系列特徴量の方が非時系列特徴量より有効であることを示す. また, 局所的な時系列特徴量と大局的な時系列特徴量の両方を特徴量として用いた方が精度が高いことも示す.
著者
松下 真也 高野 敏明 友次 克子
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本研究の目的は,少数言語の解明に向けた支援である.具体的には,少数言語を音声から文字に書き起こす作業の支援を目指す.本稿では,文字の書き起こしに向け,2言語間における音素の対応関係について調べた.実験では,英語と日本語の音素の対応関係を調べた.結果として,音素波形の一部が類似している場合,異なるであろう音素でも似ている音素として扱われることが得られた.
著者
浅野 孝平 全 眞嬉 徳山 豪
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,深層学習をはじめとする高い識別性能をもつ機械学習モデルが様々な分野に応用されている.それらのモデルの多くはブラックボックスであり,ユーザがモデルの挙動や予測の原因について知ることが困難になっており,モデルや予測結果に解釈性に関する研究が活発に行われている.予測の原因となる特徴を特定する手法としてLocal Interpretable Model-agnostic Explanations (LIME) がある.しかしながらLIMEでは,個々の特徴の重要性を測ることはできるが,重要な特徴の組み合わせを特定することはできない.そこで,本研究では予測に影響を与えた特徴の組み合わせに着目した,新たなモデル依存性のない説明手法を提案する.提案手法では,特徴の組み合わせの中から,対象となる予測結果を得るために必要な特徴の組み合わせを探索アルゴリズムによって発見する.計算機実験によって従来のLIMEよりも高い予測能力を持つことが示された.また,画像分類への応用を行い,提案手法の有用性を検証した.
著者
篠原 裕之 石黒 達治 中村 遵介 山崎 俊彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

企業において商品を上市する際には、パッケージデザインに関する好意度調査を行い、良好な結果が得られたデザインを採用する事が多い。しかし、十分な消費者パネルを集めた調査には多額の費用が必要である、一度の調査にかけられるパッケージデザインの数に上限があるという課題がある。そこで、未調査のパッケージデザインを好意度調査に供した結果を畳み込みニューラルネットワークを用いて予測する事、その際にパッケージデザインの中で好意度に対して好影響を及ぼすと予測される要素と悪影響を及ぼすと予測される要素をClass Activation Mappingを用いて可視化する事、を目的に研究を行った。その結果、パッケージデザインのプレスクリーニングテストや調査においてデザイン上重要であると予測される要素をデザイナーにフィードバックすることが可能になった。
著者
浅尾 泰彦 坂本 龍太郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

画像認識において、画像全体のうち意味のあるものとそうでないものの境界を見極めることは重要な問題である。本稿では準写真という「写真らしい画像」を定義することで、この問題への数学的アプローチを試みた。「写真らしさとは何か」という問いを数学的に定式化するために、depthという画像に対して実数値をとる関数を導入し、その漸近挙動を解析した。また例において実際の写真が準写真であることを確かめた。depthの概念は方体複体の0次パーシステントホモロジーの階数から着想を得ており、将来的に高次の階数を解析することでより精密な画像の分類が得られると期待できる。また画像認識において近年積極的に活用が進められている深層学習の、学習データ選定への応用も期待できると考えている。本稿で画像認識における純粋数学の活用の1つのアプローチを提案したい。