著者
荒川 悦雄 岩見 隆太郎 本久 靖子 亀沢 知夏 鴨川 仁 フォグリ ヴォルフガング
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.119-128, 2016-03-15 (Released:2016-03-15)
参考文献数
18

放射線教育用の3次元X線CT装置を開発した。X線源,被写体搭載用回転ステージ,及び二次元検出器などの主要部品がよく見える構造とした。被写体にピーマンの果実を選び,CT像とこれを得るまでの代表的な解析過程を図示した。その過程とはレントゲン写真,ラドン変換を施したサイノグラム,及び逆ラドン変換の際に現れるフーリエ成分の実部と虚部である。学生が当装置の原理と構造を視覚的に理解する教育への利用を提案する。
著者
新山 大樹 太田 千香子 小泉 篤 桑野 真由美 中川 太
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.57-68, 2014 (Released:2014-01-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

PETとMRI双方を利用した複合的な画像診断は,PETによる機能画像及びMRIによる形態画像それぞれ単独の評価に比べて,統合的な情報により正確で迅速な疾患の検出やステージング評価,治療モニタリング及び経過観察の向上という利点が考えられる。PETとMRIはどちらも臨床的な手段としてすでに確立されており互いに相補的な情報を提供するものであるが,さらにそれぞれの装置を統合化させたPET/MRI装置ではそれ以上の広範囲な臨床応用が期待される。特に統合型PET/MRI装置のメリットとして,一回の検査で両方の撮影を行うことにより,高精度の位置情報を持つ画像が得られるだけでなく従来撮影された単独のPET検査とMRI検査をソフトウェア上で重ね合わせた画像では実現できなかった情報を得られる可能性がある。本稿ではこれらの期待を実現可能にするべく発表された臨床用PET/MRI装置の総論として主な特長及び課題を報告する。
著者
滝澤 行雄 山下 順助 石郷岡 清基
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-12, 2014 (Released:2014-01-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

日本酒のX線照射マウスに対する放射線防護効果を検討した。供試の日本酒は米と米麹のみで醸造した純米酒(アルコール濃度10.5%)で,9週齢雄性C57BL/6JJms系マウスに純米酒0.6mL/匹を経口投与し,その約30分後にX線7.8Gy(照射線量率1.078Gy/分)を照射した。また,純米酒0.2mL/匹を7日間反復経口投与後30分後にX線を7.8Gy照射し,引き続き同様に7日反復経口投与を行った。対照マウスには普通酒(アルコール濃度15.0%),純エタノール(10.5%)及び生理的食塩水を経口投与した。なお,普通酒は米と米麹に,醸造アルコールを加えている。X線照射マウスに対する放射線防護効果は30日間の生存率で評価した。その結果,大量1回投与(0.6mL)において,純米酒投与群の生存率は80%でエタノール投与群よりも高かった。生理食塩水投与群では26日目に全頭死亡した.純米酒投与群と生理食塩水投与群との間に有意差(p<0.01)が認められた。少量連続投与(0.2mL)においては,純米酒投与群の生存率は普通酒投与群より高かった。純米酒投与群の生存率は生理的食塩水投与群より有意に高かった(p<0.05)。日本酒はアルコ-ル飲料の中でもアミノ酸が多く,特にアミノ酸総量では純米酒(1771mg/L)が普通酒(932mg/L)の約2倍高であり,放射線防護効果にアミノ酸の寄与が思考される。純エタノ-ルにも防護効果はみられるが,日本酒に比べ低かった。以上,唯一日本酒のみの特徴といえるアミノ酸類に放射線防護効果があることが示唆された。
著者
Ying WANG Noriaki KATAOKA Naoyuki KANDA Ryuta YAMADA Minami WATANABE Shogo MORITA Hiroshi IMAIZUMI Naoki KANO
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.553-561, 2015-09-15 (Released:2015-09-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

Hydrogen explosion occurred at Fukushima Dai-ichi nuclear power plants in Japan on 12―15th March, 2011. At the same time, lots of radioactive materials have been released including tritium(T), and caused serious environmental impacts. In order to investigate the effect of the accident of Fukushima Dai-ichi nuclear power plant on environment, we collected the short precipitation(hourly collected precipitation) and spring water for several years after the accident. As to the precipitation collected, T and radiocaesium were measured by using liquid scintillation counter and high-purity germanium detector, respectively. Furthermore, we also measured the concentration of ions(Na+, Cl-, Ca2+, and SO42-) in spring water. From the above-mentioned matters, the following points have been obtained:(1)The variation of T concentration in recent three years(2012, 2013 and 2014) can be clarified. (2)The effect of the accident on spring water in mountains around the Fukushima prefecture is so small. (3)As to the short precipitation on 15th March, 2011, the activity of radiocaesium was not detected, but the activity of T was detected significantly.
著者
真辺 健太郎 遠藤 章
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.375-384, 2011 (Released:2011-09-29)
参考文献数
26

改訂された放射性核種データICRP Publ.107(ICRP107)及び従来のデータICRP Publ.38(ICRP38)を使用し,放射性核種データの改訂が内部被ばく線量係数に及ぼす影響について調べた。ICRP107及びICRP38に基づく作業者の経口摂取に対する線量係数を計算した。計算は,内部被ばく線量計算コードDCALを使用し,774核種の876の化学形について行った。ICRP107に基づく線量係数が,ICRP38に基づく線量係数に比べて10%以上増加または減少した化学形の数は,それぞれ61及び28であった。経口摂取に対する線量係数が変化した主な原因は,先に報告した吸入摂取の場合と同様にエネルギーデータの変化であることがわかった。また,電子と光子のエネルギー割合,壊変様式及び半減期の変化も,線量係数の変化の原因であることも明らかになった。次に,経口摂取及び吸入摂取に対する線量係数が変化した程度と原因を比較した。その結果,電子と光子のエネルギー割合の変化は,吸入摂取に比べ経口摂取の方がより大きな影響を及ぼすことがわかった。一方,β線エネルギースペクトルの形状の変化は,吸入摂取に対する線量係数が変化した原因の一つであったが,経口摂取に対する線量係数には影響を及ぼさないことが明らかになった。
著者
礒村 公郎 樋口 正信 柴田 尚 塚田 祥文 岩島 清 杉山 英男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.157-163, 1993-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

日本国内の数か所で採取した蘚苔類中の134Cs, 137Cs, 7Be および40Kを測定した結果, 55試料すべてから137Cs, 7Beおよび40Kが検出され, 134Csは33試料から検出された。蘚苔類中の134Cs/137Cs放射能濃度比は平均0.057±0.026でチェルノブイリ事故時の134Cs/137Cs放出比から算出した採取時の存在比 (0.10) に比べて小さく, 核実験等のチェルノブイリ事故以外の137Csを含んでいることが示唆された。蘚苔類中の134Cs, 137Cs濃度は採取地点の標高と正の相関が認められた。成長年次が明瞭で各年ごとに成長した植物体を容易に分離できるイワダレゴケを試料として, 成長年別にイワダレゴケ中の放射性セシウムを測定した結果, 137Csは古い葉ほど濃度が高く, 134Csは1986, 1987, 1988年にのみ検出され, 過去数年にわたる放射性セシウムの蓄積傾向を把握することが可能であることが示唆された。
著者
塩沢 昌 田野井 慶太朗 根本 圭介 吉田 修一郎 西田 和弘 橋本 健 桜井 健太 中西 友子 二瓶 直登 小野 勇治
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.323-328, 2011 (Released:2011-08-29)
参考文献数
4
被引用文献数
17 24

福島第一原子力発電所事故で放射性物質が多量に降下してから約2か月後に,耕起されていない水田の深さ15cmまでの表土を厚さ1~5cmの6層に分割してサンプリングし,放射性セシウム(134Csと137Cs)の鉛直濃度分布を求めた結果,放射性Csの88%が0~3cmに,96%が0~5cmに止まっていた。しかし,量的に大半は表面付近に存在するものの,15~20cmの層まで新たに降下した放射性Csの影響が及んでいた。濃度分布から求めた放射性Csの平均移動距離は約1.7cmで,70日間の雨量(148mm)から蒸発散量を引いて体積含水率で割った水分子の平均移動距離は約20cmと推定され,土壌への収着により,Csの移流速度は水の移流速度に比べて1/10であった。しかし,文献にみられる実験室で測定した収着平衡時の土壌固相と土壌水との間の分配係数から計算される移流速度よりは2~3桁大きく,現場の移動現象が収着平衡からほど遠いことを示している。一方,耕起された水田では,表層の高濃度の放射性セシウムが0~15cmの作土層内に混合されて平均値(約4000Bq/kg)となっていた。
著者
小藤 久毅 山本 政儀
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.263-265, 1999-04-15
被引用文献数
2 2

<I>Uranium concentrations in some natural mineral waters sold in Japan (domestic 20 and foreign 9) were measured by ICP-MS. The</I> U <I>concentrations were found in a wide range, differing by a factor of 40000, about 0.4-1.6×10</I><SUP>4</SUP>ng/l. <I>The values over guidance level (2</I>μg/1) <I>were observed in two domestic samples and one foreign one. Occurrence of such a high</I> U <I>concentration indicates the need of further survey of</I> U <I>concentration of mineral water to consider uranium intake.</I>
著者
平尾 良光
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.709-721, 2008 (Released:2008-11-28)
参考文献数
25

大分県大分市の16世紀末における大友氏の遺跡から発掘された鉛や青銅製品に関して,材料産地の推定という研究のために鉛同位体比法が応用された。これらの資料の中でいくつかは中国,朝鮮半島,日本などの東アジア産の材料とは大きく異なった鉛同位体比を示した。この鉛同位体比は16,17世紀の長崎県の原城遺跡,熊本県の田中城址からの資料,韓国6世紀の武寧王陵からの資料にも見いだされた。また,この特別な鉛は1~5世紀頃のカンボジア,プンスナイ遺跡からも検出された。地域が異なり,時期が違うこれら資料に関する鉛同位体比の一致は偶然かもしれない。しかし,この地域における一つの鉛鉱山産材料の流通や交流として説明できるかもしれない。一つの推論は次のようである。すなわち,東南アジアでは前400年以降に青銅やガラス製作技術が発達した。5,6世紀に製造されたガラス製品が中国の海岸線をたどり,韓国までもたらされた。その後,16,17世紀になって,ヨーロッパ人が東南アジアに寄港し,日本へ持って行くために鉛,火薬,その他の物資を調達した。
著者
高田 大輔 安永 円理子 田野井 慶太朗 中西 友子 佐々木 治人 大下 誠一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.517-521, 2012 (Released:2012-10-26)
参考文献数
6
被引用文献数
9

放射性核種の降下時に土壌表面を被覆していた鉢植え樹体と非被覆の鉢植え樹体を比較することにより,土壌由来の放射性Csのモモ樹体中への移行を検討した。土壌中の放射性Csは被覆処理により6分の1に低下した。被覆の有無にかかわらず,根の放射性Csは検出限界値以下であった。地上部の放射性Cs含量は地下部に比べて多いが,被覆の有無による差は見られなかった。以上のことから,事故当年において地上部の放射性Cs濃度に対する土壌中の放射性Csの寄与は極めて少ないことが示唆された。