著者
佐藤 敏之 今川 憲英 猪田 大介 高木 俊輔
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.297-302, 2016 (Released:2017-03-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

白色ポルトランドセメントからなるコンクリートを構造体として使用した,3次元曲面のRC構造物の設計・施工に関する記録である。外・内装とも化粧打放し仕上げとなるため,コンクリートの材料・調合の面から,無収縮挙動に近いものを目標にひび割れ低減対策を実施した。厚肉床壁構造および3種類のコンクリート強度を採用することで,開放的な建築空間,東西断面のワイングラス形状を実現している。困難な杉板浮造りの曲面打ち放しコンクリートを実現するため,3Dモデルでの杉板・Pコン割付の検討,色見本・実大モックアップの作成等の事前準備を経て,型枠・配筋・打込み等で細心の検討を行いながら作り込みを行った。
著者
上野 敦 十河 茂幸
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.967-974, 2013 (Released:2014-12-01)
参考文献数
3

近年,骨材が多様化しており,物性の範囲も広くなっている。このため,既往の測定試験法ではその適用が困難となる場合がある。コンクリートの配(調)合設計上重要な意味を持つ,細骨材の密度および吸水率試験もその1つである。コンクリート基本技術調査委員会では,細骨材品質WGを設置し,細骨材に対する密度および吸水率試験法の整理を行い,それらの測定原理に基づいて,各種の細骨材にこれらの試験方法の適用が困難となる細骨材物性を検討してきた。本報告は,この活動の一環として実施した実験結果をまとめ,広範囲の物性を有する細骨材の密度および吸水率を,異なる測定原理の試験方法で測定した場合の結果の変動について検討したものである。
著者
下澤和幸 山﨑順二 今本啓一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

国内では,実構造物の建設時における品質管理の一つの手段として,非破壊試験が導入されるようになり,特に表層透気試験であるダブルチャンバー法[Torrent法]が,かぶりコンクリートの品質評価に適用されてきている。しかし,本試験の測定値の評価基準は未だ整備されておらず,その評価には海外での検査指針等に示された基準値を参照しているのが現状である。本論では,実構造物を模擬したコンクリート試験体による透気試験や物性のデータをもとに,透気係数と中性化速度係数との関係を求め,ダブルチャンバー法による透気試験データを評価するための指標値の一案を示した。
著者
田中舘悠登 羽原俊祐 山本英和 馬場孝輔
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

近年,岩手県をはじめとする東北地域では,凍結防止剤の散布に伴い,スケーリングが顕著となり問題となっている。本研究では,スケーリング発生条件について評価し,その発生条件を基に最低気温と凍結防止剤の散布量から,岩手県におけるスケーリングの危険度マップを作成した。スケーリングは凍結防止剤の種類が異なった場合でも,-5℃以下で発生し,濃度が高いほどスケーリングが発生する最低温度の閾値は低くなることが分かった。作成したスケーリング危険度マップは,既往の凍害危険度マップとある程度一致した。加えて,国道4号線の県北区間ではスケーリングの危険度が高いことを示唆した。
著者
岡崎百合子 岡崎慎一郎 浅本晋吾 全邦釘
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

コンクリート橋梁の劣化は,塩害や中性化等に起因する損傷と活荷重等の作用が互いに関連し,極めて複雑な様相を呈することから,その損傷予測に対し,膨大な情報の裏に潜むパターンを認識できる機械学習が注目されている。本研究は,コンクリート橋梁の劣化に関するデータのように,入力パラメータが多く,時間軸上に稠密でもなく等間隔でもないデータ群を対象として,機械学習の各アルゴリズムを用いた回帰モデルの性能比較を行い,最も適したアルゴリズムの選択を試みるものである。
著者
岡崎慎一郎 金崎浩司 和田健司 石丸伊知郎
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

本稿では,結像型二次元フ-リエ分光法技術を用いて,小型で除震不要な近赤外分光システムを試作し,コンクリ-ト表面の全塩化物イオン濃度の二次元イメ-ジングの適用性に関する検討結果について,報告を行うものである。検量線の作成時においては,フリーデル氏塩と思われるピ-ク波形において,他の物質に由来するものの影響が含まれていたため,波形のピ-ク分離を行った。また,試験体断面の塩化物イオン濃度における二次元イメ-ジングが,短時間でかつ高精度で行えることを確認した。また,屋外の測定を実施し,概ね問題なく塩化物イオン濃度の二次元イメ-ジングが可能であることを確認した。
著者
川西弘一 橋本和明 林和彦 石田哲也
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

著者らは橋梁コンクリートを対象とし,近接目視及び打音検査実施前に赤外線サーモグラフィ法による非破壊調査を実施することで,点検結果の信頼性向上と点検の効率化について論じてきた。また,既報では蓄積した点検結果より,熱画像による損傷種別の特定法,生存時間解析に基づく劣化リスク評価を示してきた。本論は,赤外線調査で抽出した損傷箇所の温度差と面積の経年変化に着目し,損傷毎の温度差履歴の特性を把握し,実橋調査と生存時間解析による劣化リスク評価から,本法でコンクリートの密実性が評価できる可能性を示した。
著者
西田真弓 石神暁郎 緒方英彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

寒冷地に位置する農業用のコンクリート開水路では,凍害劣化を対象とし,劣化要因である水分の侵入抑制を期待できる表面保護工法の適用が進められている。しかし,表面保護工法適用後のモニタリングでは,その耐久性は目視等の外観にて判断することが多く,母材コンクリートの健全性の評価や,再補修の適正時期の見極めは困難となっている。本研究では,寒冷地において表面保護工法施工後10年が経過した供用中のコンクリート開水路の補修効果の検証を行った。その結果,表面保護工法の種別による母材コンクリートへの影響は大きく,母材コンクリートの健全性や含水状態を把握することの重要性が示された。
著者
田中湧磨 藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

高炉スラグ細骨材を細骨材の全量に用いたコンクリートは,AE剤を用いることなく高い凍結融解抵抗性を得ることが可能である。ただし,早強ポルトランドセメントを用いた場合には,高炉セメントや普通ポルトランドセメントを用いた場合よりもより長い水中養生を行わなければ,その効果が得られない。しかし,早強ポルトランドセメントを用いた場合にも,結合材の一部に高炉スラグ微粉末を用いることで,凍結融解抵抗性が得られやすくなる。高炉スラグ微粉末を用いると,圧縮強度が小さくなるが,硬化促進剤を用いることで水結合材比を下げることなく,若材齢での強度発現性を高められる。
著者
青木 義彦 岩清水 隆 山田 佳博 永野 浩一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.683-688, 2012-08-01
参考文献数
6
被引用文献数
1 8

高さ300mと日本で最も高いビルとなる「あべのハルカス」では,設計基準強度(<i>F<sub>c</sub></i>)が150 N/mm<sup>2</sup>の高強度コンクートと降伏応力度が440N/mm<sup>2</sup>の高強度鋼材を組合せた超高強度CFT柱を採用している。地上22階,高さ112 mまでの圧入が必要であった<i>F<sub>c</sub></i>=150 N/mm<sup>2</sup>の超高強度コンクリートについては,圧送性向上のためにセメントとして低熱ポルトランドセメントをベースにシリカフュームをプレミックスしたセメント(SFCS)<sup>1)</sup>を使用した。本稿では先立って実施した実大施工実験と実施工の結果について報告する。
著者
石倉 武 最首 貞典 助清 満昭 友澤 史紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.16-23, 1999
被引用文献数
2

コンクリート廃材からの再利用はこれまで主に路盤材, 埋戻し材に用いられてきたが, 今後適用先を拡大するためには再生材料の高品質化が必要である。このような観点から原子力発電所の解体時に大量に発生するコンクリート廃材から, 高品質の再生骨材を製造する技術開発を実施してきた。機械すりもみ法および加熱すりもみ法による再生骨材製造技術に関する (1) 再生骨材, (2) 再生骨材を用いた再生コンクリート, (3) 実大壁モデルについて小規模装置で試験した結果, 普通骨材に匹敵する品質の再生骨材の回収に成功した。
著者
大即 信明 鎌田 敏郎 今本 啓一 長田 光司
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.638-643, 2014

日本コンクリート工学会では,コンクリートのひび割れ調査,補修・補強指針-2013-を同指針-2009-の小改訂版として刊行した。この指針は,ひび割れに関心のあるすべての方が,ひび割れ発見から,調査,原因推定,評価,判定,補修・補強を体系化して行える指針である。本稿では同指針の内容を解説する。
著者
阿部 公博 藤田 秀徳 武村 浩志
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.194-199, 2012 (Released:2013-02-01)

熊川橋は,常磐自動車道の延伸工事のうち,福島県双葉郡大熊町に位置する熊川を横過する PC 3 径間連続波形鋼板ウェブ箱桁橋である。本橋梁の品質および耐久性をより向上させるため,設計段階から温度応力解析によるひび割れ対策や FEM 解析による上げ越し計算などの種々の検討を行うとともに,施工においてもひび割れ対策や PC 鋼材の防錆対策など,様々な点に対して配慮した。本稿はこれらの内容に対して報告するものである。
著者
藤原 喜啓 上岡 政夫 宝示戸 恒夫
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.31-40, 1994-05-01 (Released:2013-04-26)

中筋川ダムではコンクリート打設工法に拡張レヤー工法を採用しており, その面状打設の特徴を反映させ, ダム堤体下流面をステップ形状にすることとなり, このステップを含めたダム全体め景観設計を行った。ステップ形状を踏まえたうえで全体コンセプトの十分な検討を行い, ステップのデザインを活かすかたちでダム全体のデザインにいくつかの試みを行っている。ここでは, 下流面ステップ形状の検討経緯, 全体コンセプトの考え方, 細部デザインの試みとその施工について述べる。