著者
佐藤悠士朗 櫨原弘貴 添田政司 山田浩嗣
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

再振動締固めは,コンクリートの施工において耐久性を向上できる工法の一つである。再振動締固めはできるだけ遅い時間に行なうと良いとされているが,明確な再振動締固めを行う時期の検討は少ない。本研究では,再振動締固めを行うタイミングの指標として, N式貫入深さを用いて,再振動締固め時期の違いがコンクリートの長期品質に及ぼす影響について検討を行った。その結果,再振動時期の遅いN式貫入深さ100mmの際に,再振動を行うことでコンクリートの比抵抗や透気係数の改善が確認された。また,塩分浸透の抑制および鉄筋腐食の抵抗性の向上にも効果的な方法であり,これらの効果は,長期材齢においても確認することができた。
著者
加藤猛 今本啓一 清原千鶴 山崎順二
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

透気試験によって仕上材付きコンクリートの中性化速度の評価を行うためには仕上材およびかぶりコンクリートの透気性をそれぞれ適切に評価する必要がある。そこで仕上材付きコンクリートの透気性をダブルチャンバー法およびドリル削孔法により測定した。さらに両者の測定結果を複合させることを試みた。中性化速度評価手法の適用性を実験的に検討するために4種類の仕上材と3種類の基材コンクリートを組み合わせた試験体を作製した。検討の結果,ダブルチャンバー法およびドリル削孔法の透気抵抗性を複合させた手法による中性化速度評価の可能性と評価区分案を示した。
著者
十川貴行 小松怜史 田中伸介
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

コンクリート床版上面の表層品質が防水層との一体性に及ぼす影響を検討するために,打込み面の養生期間および表面研磨の有無の条件が異なる試験体を製作し,建研式引張試験,せん断疲労試験,膨れ抵抗性試験を実施した。表層品質はシングルチャンバー法によって評価した。その結果,打込み面のごく表層の品質が防水層とのせん断疲労抵抗性に大きく影響することが分かり,建研式引張試験で現行の引張接着強度の基準を満足するだけでは,防水層とのせん断疲労抵抗性を適切に評価できないことが分かった。また,防水層の膨れ抵抗性評価には表層品質を適切に考慮する必要性が示された。
著者
大熊千紗都 岡崎慎一郎 吉田秀典
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

塩害等により鉄筋腐食したコンクリート構造物の腐食速度を非破壊で評価する手法として,分極抵抗法がある。この手法は,鉄筋に微弱な電流を流し,電位変化量から鉄筋の分極抵抗を測定することで,鉄筋の腐食速度を定量的に評価するものである。本測定で得られる測定値は見かけの分極抵抗であり,真の分極抵抗を得るためには被測定面積を乗じなくてはならないが,被測定面積は腐食の不均一性に強く影響され,腐食速度の評価精度が低下する懸念がある。本研究では,不均一に腐食した鉄筋コンクリートを対象に,電気分散性状が被測定面積および真の分極抵抗値の相違に与える影響を検討するものである。
著者
藤井隆史 綾野克紀
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

本研究では,細骨材の全量に高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの圧縮強度,静弾性係数,引張強度,曲げ強度,乾燥収縮,クリープおよびアルカリシリカ反応抑制効果について,砂岩砕砂を用いたものと比較検討した。高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの静弾性係数は,同じ圧縮強度の砂岩砕砂を用いたものに比べて大きくなるが,引張強度および曲げ強度は,砂岩砕砂を用いたものと同程度である。一方,高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートの乾燥収縮およびクリープは,砂岩砕砂を用いたものに比べて小さくなる。また,細骨材に高炉スラグ細骨材を用いれば,粗骨材のアルカリシリカ反応による膨張が抑制される。
著者
田中こころ 菊池史織ラニヤ 尾崎風香 緒方英彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

硬化コンクリートの密度の測定方法はJISで規定されておらず,密度を求めるために必要な体積は便宜的にノギス法や浮力法で測定されている。しかしノギス法では,劣化などにより表面形状が一定でない場合において体積を正確に測定することができない。また浮力法では,ひび割れなどの影響で吸水する場合において体積を正確に測定することができない。そこで本研究では,これらの問題を解決するために,新たな密度測定方法として砂充填法を開発することにした。その結果,砂充填法に使用する充填砂が密度の測定におよぼす影響を明らかにし,本手法の実用性を明らかにした。
著者
加藤諭 緒方英彦 清水邦宏 金子英敏
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

既存の無機系補修材料の付着強さ試験は,コンクリート表面に鋼製治具を設置する際に接着剤を使用するため,表面の付着物や水分状態等に試験結果が影響を受ける。この課題解決のために著者らは,金属アンカーを用いた治具による付着強さ試験方法の研究・開発を進めている。本論では,新たなアンカー治具を開発し,付着強さと荷重-変位曲線,破壊形態に注目し考察することで,金属アンカーの適当な埋込位置に関して検討を行った。その結果,界面破壊時における荷重-変位曲線の傾向および界面破壊のためには下地層内部2~3mmの深さにアンカーを埋込む必要があることを明らかにした。
著者
林詳悟 山本達哉 全邦釘 林和彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

筆者らはトンネル覆工コンクリートの点検効率化の取り組みとして,可視画像から得られるひび割れの長さや幅などの情報と,覆工表面の三次元形状からはく落の危険性を推定する手法の確立に取り組んでいる。本文は,ひび割れには発生原因によって,表面のひび割れ形状と,内部のひび割れ面の形状には密接な関係性があると考え,ひび割れ表面形状とひび割れ面に発生するせん断強度の関係を明示することで,ひび割れの形状から,はく落危険性を評価する手法を提案するものである。
著者
五十嵐 泉
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.253-259, 2015

我が国の建築物の敷地は,コンクリートブロック造による塀(以下,ブロック塀という)等で囲うことが多い。全国に現存するブロック塀は,建設時に確認申請がなされていないものがほとんどで,その構造は関連法令や日本建築学会のブロック塀設計規準に適合していないものが数多くみられる。既存ブロック塀は,大地震の発生のたびに多数倒壊して時には死傷者を出し,市街地の通行人が潜在的危険にさらされているといえる。また,道路側に倒壊したブロック塀は,地震災害時の緊急車両等の通行を阻害することが危惧されている。これらのこと等を踏まえ,日本建築学会の「既存メーソンリー構造耐震診断・改修検討小委員会」に「ブロック塀等の耐震診断・改修指針編集ワーキンググループ」(2010~2012年)を編成し,ここでの検討を基に,2014年3月に,「既存コンクリートブロック塀の耐震診断指針(案)・同解説」が刊行された。本稿ではその概要を紹介する。
著者
福永 隆之 武若 耕司 山口 明伸 審良 善和
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.21-31, 2018 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
2

本研究の目的は,鹿児島県各地に分布するシラスを混和材として利用したセメント系材料の耐塩害性能の評価である。その際,主に,試験前後の生成物の変化や各種塩化物イオン量に着目することにより,シラスを用いた供試体の塩化物イオンとの反応性および塩分浸透特性について明らかにすることを試みた。その結果,シラスを混和した供試体は,塩水浸漬環境下において,シラスの反応率が促進されることを確認した。加えて,塩化物イオン固定化率の上昇および見掛けの拡散係数が低下する結果を得た。これは,シラスを混和することにより,ポゾラン反応生成物が生成され,その水和物によって,内部組織の緻密化および塩化物イオンの固定が起きたためと考察した。また,シラス中の微粒分の含有割合が大きいほどシラスの反応率および耐塩害性能が高いことが示された。
著者
小松 怜史 田島 涼 細田 暁
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.33-40, 2018 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
3

本研究では,コンクリート床版上面の品質を表面吸水試験(SWAT)で評価する手法を検討した。水セメント比,空気量,セメント種類,養生条件の異なる供試体を製作し,SWATで品質評価を検討するコンクリート床版上面(仕上げ面から5mm程度)が十分乾燥していることを現場で判断する方法を検討した。その結果,市販の水分計(Kett社,HI-100)でカウント値が120(電気抵抗値:約2.6×104kΩ)を下回った時に,仕上げ面から5mm程度が十分乾燥していることが分かった。この条件で,SWAT計測開始から100秒間のコンクリートの累積吸水量を用いて,コンクリート床版上面の品質を評価することを提案した。この評価指標は仕上げ面の微細なひび割れによるコンクリートのスケーリング抵抗性の低下を検出することが可能であった。
著者
寺西 浩司 丸山 一平 齊藤 和秀 平岩 陸 森 堅太郎
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.11_8-11_16, 2011 (Released:2012-11-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

NPO法人コンクリート技術支援機構(ASCoT)に組織された「コンクリートの収縮ひび割れ研究委員会」は,コンクリートの乾燥収縮ひずみの推定方法の提案と,収縮ひび割れ対策の整理の2つの課題に取り組んだ。1つ目の課題に関しては,委員会で共通実験を行ったうえで,骨材の影響の考慮に主眼を置いた推定方法を提案した。この方法は,骨材の気乾含水率,比表面積,または粗骨材からの乾燥収縮ひずみの直接的な測定値から骨材の乾燥収縮ひずみを推定し,その値を基に,複合理論によりコンクリートの乾燥収縮ひずみを計算するものである。また,2つ目の課題に関しては,各種ひび割れ対策の有効性を,効果,コストメリットおよび汎用性の面から評価した。
著者
山田 一夫 羽原 俊祐 本間 健一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.91-99, 1998-07-17 (Released:2012-11-13)
参考文献数
11

The false setting of cement caused by the aeration was studied from the analysis of the cement characters, its hydraulic reactivity, its hydration reaction, the paste rheological properties and the relationship among them. The aeration of cement was simulated by the treatment of cement exposing under an environment of temperature, 20°C and relative humidity, 80%. With a longer treatment, cement showed larger amounts of ignition loss. Hydration products with particle sizes under 0.3 μ m were formed on cement particles and the amount was increased with the increase of treatment time. Although the treatment did not change the Blaine specific surface area, it changed the BET specific surface area as much as 1.4 times higher during seven days of treatment. The treatment significantly decreased the hydration reactivity of interstitial phases of cements. The treatment longer than certain period of time brought a false setting in cements, which was not occurred in fresh cement paste. When aerated cements was mixed with water, sulfate ion was supplied to liquid phase from alkaline sulfates or calcium sulfate hemihydrate. However, the sulfate ion was not consumed by the ettringite formation reaction because of the low reactivity of interstitial phases. As the results of poor consumption of sulfate ion, gypsum crystals deposited from liquid phase to form large automorphic plate crystals and finally cement paste was thought to show the false setting, i.e. plaster set.
著者
岩田 道敏 渡邊 誠司 永田 敏秋 盛田 行彦
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.55-62, 2007

東海道線新橋・浜松町間環状2号線交差部工事では, 営業線供用下での橋梁の架替え工事を効率的に実施する方法として, 仮設材である工事桁を埋設型枠で囲み, 内部を高流動コンクリートで充てんすることによって本設桁として利用する工法を初めて採用し, 実施工に供した。本稿では, この工法の概要にっいて施工状況と併せて述べるとともに, 夜間線路閉鎖.工事における高流動コンクリートの打設状況およびコンクリート打設後のH形鋼とコンクリートの一体性に関する検証結果にっいて報告する。