著者
若倉 雅登
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学教育
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.142-143, 2017

<p>快適な視覚は眼球だけでなく,ものを見る準備や,見た対象物を認知するまでの高次脳を含めた機構が健常な場合に得られる。ところが,この機構を乱す原因のひとつに薬物がある。とりわけベンゼン環とジアゼピン環を持つベンゾジアゼピン系薬物とその類似薬の連用は,視覚の高次脳機構を乱す可能性が高い。すでにそれは薬物性眼瞼けいれんとして報告しているものを含め,羞明(眩しさ),眼痛,霧視など視覚のノイズを発現させることを報告し,「ベンゾジアゼピン眼症」として広く認知されるべきである。</p>
著者
加藤 雅人
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.64-67, 2007-02-20 (Released:2017-06-30)

人が紙の原料を植物から取り出して紙として使用するまでの間には,様々な材料や薬品が使用される。それらの物質は,古来,より手間がかからずに,より用途に適した紙を作製するために使用してきたものであり,紙の保存性の良し悪しは考慮されていなかった。近年,酸性紙の劣化問題などから紙の保存性に着目されるようになり,紙の製造に使用された物質による劣化の促進あるいは抑制効果が,紙の劣化メカニズムと関連付けて研究され,実際の保存処理にも応用されるようになってきた。
著者
貝原 巳樹雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
情報化学討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.J10-J10, 2010

小さなステップの積層によって学習すると高速かつ高精度で学習できるという人工知能の考え方を、講義で活用しようと考えた。発想法の一種、イメージを多用し、キーワードとつなぐ形態のマインドマップや思考展開図にマインドマップをインストールしたパノラマによって実施した事例とアンケート結果、およびその課題について報告する。
著者
鎌田 正裕
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.38-39, 2001
参考文献数
3
著者
渡辺 正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.593-596, 1996
参考文献数
2
被引用文献数
1

身近な現象にどれほどよく当てはまるか-そこに重きを置くならば, なぜか16個の元素をずらずら並べた例の「イオン化列」はまっさきに「不合格」の印を押すべき素材だろう。いかにも根拠はございますという顔つきながら, じつはあの「右へならえ」は, 理想化をとことん進めた極限, 仮想世界の中でしか成り立たないからだ。現実世界に合わせたければ, 元素の数はぐっと間引いて10個以内, できれば8個くらいにするのがまともな神経だといえる。そのへんを一緒に考えてみたい。
著者
内田 智士
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.12-15, 2023-01-20 (Released:2024-01-01)
参考文献数
5

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対してメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが実用化された背景には,mRNAの設計や送達に関する長年の多岐にわたる技術開発があった。本稿では,mRNAの化学修飾や脂質性ナノ粒子を中心に基盤技術を説明したのち,mRNAワクチン,医薬の課題と今後の展望に触れる。
著者
阿多 誠介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.16-19, 2014-01-20 (Released:2017-06-16)

1985年のフラーレン発見に端を発したナノカーボン材料は,科学および工学の両面において,いま最も注目を集める物質の一つである。そしてナノカーボンは今,徐々に私たちの生活の中で実用化されつつある。本稿ではナノカーボン材料の歴史から,材料としての多様性,応用・実用化の状況について,代表的なナノカーボン材料であるフラーレン,グラフェン,カーボンナノチューブを中心に紹介する。
著者
大場 武
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.204-207, 2020-05-20 (Released:2021-05-01)
参考文献数
8

水蒸気噴火は一般に小規模な噴火である場合が多いが,致命的な被害をもたらす可能性がある。水蒸気噴火の原因である熱水溜りから地表に漏れ出る火山ガスの化学組成変化をモニタリングすることにより,火山活動を評価することが可能になってきた。活動的火口湖における火山活動評価では,湖水の化学組成が有益な情報を与えることが示された。
著者
多田 英司 西方 篤
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.612-615, 2017-12-20 (Released:2018-06-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

金属の腐食反応は,金属のイオン化(酸化反応)と環境中の酸化剤の還元反応がカップルして進行する酸化還元反応である。本稿では,金属の腐食反応とその後の“さび”(腐食生成物)の形成過程について,鉄と銅を例にして概説する。
著者
犬童 愛祐美
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.504-505, 2017-10-20 (Released:2018-04-01)
参考文献数
1

日本消防検定協会は国内で唯一の消防用機械器具の検定機関である。消火器一つをとっても,その機能や種類はさまざまであり,化学の知識を生かす場面は多い。私が進路として化学を選択したきっかけから,化学の知識がどのように消防に役立ち,消防機器の検査に活かされているか,消火器を例に化学科出身者としての目線で紹介する。
著者
山村 庄亮 三義 英一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.438-443, 1993-07-20 (Released:2017-07-13)

人の場合, 眠りは意識が分化される一つの方法と考えられ, 通常地球の動きに合わせた時間的, 同期的動きをするともいわれている。植物の場合でもオジギソウ, ネムノキなどは体内時計により制御されたリズム, すなわち概日リズム(circadian rhythm)によってほぼ1日周期で就眠運動を行う。そして, 今世紀のはじめには, これらの運動が化学物質によって引起こされることがすでにわかっていた。しかし, 植物の就眠物質と覚せい物質が明らかになったのは, つい最近のことである。物質サイドから生物に共通な体内時計の本質を突止めることができるか, 興味のつきないテーマである。
著者
池田 菊苗
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
東京化學會誌 (ISSN:03718409)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.820-836, 1909 (Released:2009-02-05)
被引用文献数
15
著者
椿 範立 荒川 泰己
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.464-467, 2022-10-20 (Released:2023-10-01)
参考文献数
6

持続可能な社会に向けて地球温暖化の原因物質の1つである二酸化炭素をペットボトルの原料となるパラキシレン(PX)に変換する触媒について紹介する。筆者らは二酸化炭素からPXを合成する際に6段階の触媒反応が必要であった従来の方法を改善し,この触媒反応を1段階とする新規ハイブリッド触媒を開発した。その中で,初めに反応性の高い合成ガスからPXを合成する方法について考察し,その後,二酸化炭素の水素化によるPX直接合成を成功させた。そのため本稿では,合成ガスからPX合成について解説した後に二酸化炭素の水素化によるPX直接合成を解説する。
著者
安井 永三 鈴木 汎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.612-615, 1960-04-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
12

ベンゼン中に含まれる微量のチオフェンをイサチンの発色で定量する方法については,既に幾つかの報告があるが,発色の条件を詳しく検討した報告はなかった。著者らの研究によると,イサチンの硫酸溶液は,作製後8日以上放置しなければ一定の発色を与える溶液とはならず,硫酸濃度は92%以上が必要で,硫酸は銘柄によって発色に差が生ずること,酸化剤は,イサチンでの発色を迅速完全にするためには是非必要であって,鉄ミョウバンを使用したときに良好な結果を示すことがわかった。またチオフェンを含有するベンゼンをイサチン硫酸溶液と長く接触させておくと,発色は減少するからべンゼンを添加した直後に発色剤とふりまぜること,ふりまぜる時間は5分以上が必要であり,発色後呈色が安定するまでには2時間が必要であることがわかった。共存物質の影響としては硝酸根および亜硝酸根が最も呈色に妨害を与え,塩素根,炭酸根の影響は割合に少ない。また酸化剤として過塩素酸塩の効果はない。以上のような諸条件を参考にして日常分析に使用出来るベンゼン中の微量のチオフェンの定量指針を定めたが,この方法によれば,0.01%から0.00005%に到る広い範囲において,再現性±10%以内の精度をもち,他の方法にくらべてすぐれた方法であることがわかった。