著者
石井 菊次郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.202-203, 1999-03-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
眞鍋 敬
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.400-401, 2008-08-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

酸と塩基(ルイス酸とルイス塩基)の親和性の傾向を理解しやすくする概念として,硬い酸・塩基および軟らかい酸・塩基という考え方が導入されている。一般に,硬い酸は硬い塩基と高い親和性を持ち,逆に軟らかい酸は軟らかい塩基と高い親和性を持つ。この考え方は,酸と塩基の熱力学的な親和性の理解だけでなく,反応速度の理解にも役立つものである。
著者
増田 敏充 平野 秀樹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.568-571, 2018-12-20 (Released:2019-12-01)
被引用文献数
1

ドラフトチャンバーは実験作業で使用する最も一般的な排気フードの1つである。古くから実験室で一般的に使用されている装置であり,排気と言う目に見えない機能を主とする装置であるがゆえにその進化,進歩があまり理解されていない部分がある。実際の製品を例にそれを説明することで,より良い実験環境の構築の一助としたい。
著者
海老原 充
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.428-431, 1998-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

クラーク数はアメリカの偉大な地球化学者, F.W. Clarkeの名前を冠した数値で, クラークの死後, ソ連(当時)の地球化学者フェルスマンによって提唱されたものである。本来の定義である「地下10マイルまでの岩石圏, 水圏, 気圏を含めた元素の重量%」という考えは, その後の地球化学の発展に伴って, 科学的意義を失ってきた。本稿ではクラーク数という概念や数値そのものが中学・高校の教科書ではほとんど取り上げられなくなった背景を説明し, それに変わる概念として地殻の元素存在度について解説する。
著者
酒井 保藏 鈴木 秀一 若林 章一 高橋 不二雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.11, pp.1880-1884, 1988-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

本研究はリボ核酸 (RNA) から5'-イノシン酸 (IMP) を連続生産するのに水酸化ジルコニウムダイナミック膜を被覆したセラミック膜 (Zr-CM膜) を分離膜として応用することを目的としている。2種の酵素 (5'-ホスポジエステラーゼと AMP(5'-アデノシンーリン酸, 以下 AMP と略す) -デアミナーゼ) を用いて RNA からモノヌクレオチドへの反応と, 生成したモノヌクレオチドの一種 AMP から IMPへの反応を行なった。同時に Zr-CM膜を用いて酵素や未反応 RNA を反応器内に保持しつつ低分子成分である IMP などのモノヌクレオチドを分離した。このメソプランリアクターの操作では沸過された IMP などのモノヌクレオチドに見合う分の RNA を逐次添加している。ここで反応系を定常状態にして RNA から IMP への連続生産を期待した。本研究はその基礎的条件として, 高分子排除率, 透過流束, 酵素活性の時間変化, RNA から IMP への変換率, 炉液中の IMP 濃度などを検討した。その結果, 酵素活性が一定になるように反応途中で失活分に相当する量の両酵素を逐次添加していれぽ高分子排除率, 透過流束, および炉液中の IMP 濃度は一定となり, RNA から IMP の連続生産が可能になること明らかにした。
著者
鈴木 真一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.518-522, 1996-08-20 (Released:2017-07-11)

指紋は個人識別に決定的な結果を与える極めて重要な物件であり, その科学的研究は100余年の歴史を有する。また最近では, 種々の化学物質や特殊な波長を有する光を用いた高度な潜在指紋(紙などに付着した白色光下では観察不可能な指紋)の顕在化についての研究や, 電子計算機を用いた検索の高速化, 自動化が進められている。本報では化学的潜在指紋の検出法を中心に, 化学的指紋研究の歴史や現在の指紋研究を概括する。
著者
鈴木 誠
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.107-110, 2011-02-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

フィンランドで大学に進学する場合は,まず日本の大学入試センター試験に該当するフィンランド大学入学資格試験(Matriculation Examination)に合格しなければならない。その後一定期間の兵役を体験し,一定の学資を貯めた後各大学が行う個別試験を経て,希望する大学に入学する。大学の学費は無償であり,医・教育学部の人気は高い。試験科目は多岐に渡り,高等学校で履修すべき到達度を測定する卒業試験の意味合いも兼ねている。心理学や哲学など日本の大学入試センター試験には見られないものも多い。特に語学については3科目必修となる。これは,フィンランドが国家戦略として目指す多言語活用能力(plurilingualism)育成に基づくものである。試験時間は,基本的には1教科当たり6時間にも及び,受験者に考えさせる論述問題がほとんどである。これらのことは,フィンランドがどのような人材を育成しようとしているかを明確に示すと同時に,日本の大学入試に対して多くの知見を提供するものである。
著者
黒瀬 雄士
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.196-197, 2006
参考文献数
2

万年筆のブルーブラックインクは,鉄イオンが空気中で酸化することを利用しつくられてきた。生徒自身がインクをつくることで,酸化還元反応や陽イオンの学習において興味を持たせることができるのではないだろうか。ブルーブラックインクからインク消しまで,簡単な操作で,短時間に,失敗なく,本物に近いものをつくることを目標とした。
著者
斎藤 真澄 遠藤 彰 三木 彦一 奥田 永昭 伏崎 弥三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.547-551, 1961-03-05 (Released:2011-11-25)
参考文献数
16

テルペン炭化水素の自動酸化についての研究の一環としてd-リモネンの自動酸化を行なった。d-リモネンは40~70℃という比較的低い温度で,開始剤を用いなくとも,空気により酸化されてヒドロペルオキシド(HPO)を生成した。開始剤としてBPOを使用すれば,反応初期におけるHPOの生成の速度は増大した。いずれの場合にもHPOの濃度はある一定値以上には増加しない。また触媒として重金属塩を用いるとHPOの生成速度はやはり増大するが,このHPOの最高濃度は著しく低くなる。これらのことからHPOは酸化反応中にも熱分解し,重金属塩はHPOの生成とともにその分解をも促進することがわかった。生成物としてはケトン,アルコールおよびアルデヒドの存在が認められた。ケトンおよびアルコールは還元するとメントールになるので,これらはそれぞれ3位にカルボニル基あるいはヒドロキシル基をもつことがわかり,ヒドロペルオキシドの構造もそれに相当するものであることが決定された。このほかカルボンの存在も認められたので6位でも反応がおこっていることを示す。次に反応機構をより明らかにするため反応速度を測定した。初速度と酸素圧,リモネン濃度,BPO濃度との関係を求めた結果次の速度式が得られた。γTiは熱による開始反応の速度で,BPOを用いた時にもこれを無視することはできなかγ=(γTi+kB[BPO])1/2[O2][RH]/(C[RH]+D[O2])った。この速度式の定数を実験から求め,それから計算した活性化エネルギーは21kcal/molとなった以上の結果からd-リモネンの自動酸化では主としてまず3位で酸化がおこってHPOを生成し,それが分解してアルコール,ケトンになることがわかった。その反応性はすでに行なつたα-ピネンのそれよりもやや大きく,テルピノレンよりは小さい。したがって同じモノオレフィンでは単環構造のほうが双環構造より反応し易いといえる。
著者
加茂 直樹 平田 博文
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.114-118, 1996-02-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
2

化学反応速度の初歩の理論を解説した。アレニウスの半経験的な式に現われる活性化エネルギーおよび頻度因子を, ガス分子の衝突理論およびアイリングの活性化複合体理論によって解説した。化学反応が起こるためには, 分子が衝突し, 1)衝突に際し適当な向きになっており, 2)ある値のエネルギーを供給できるだけのエネルギーをもって衝突しなければならない。1)は活性化エントロピー, 2)は活性化エネルギーが決定する。
著者
八木 健太郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.600-603, 2013-12-20 (Released:2017-06-30)

リンは,体を構成するミネラルのひとつであり,筋肉,神経,内臓などすべての組織に含まれている。体内に含まれるリンは体重の約1%で,体内に豊富に含まれる多量ミネラルである。また,肥料の三要素にも数えられ,生物にとって必須な元素であるにもかかわらず,高校教科書での取り扱いは数ページ程度である。単体の取り扱いには注意が必要であるが,その他化合物は,化学の基本的な実験で使用したり,案外身近に存在しているものが多い。本稿では,地味な印象の強いリンを少しでも身近に感じてもらえるよう,リン発見の歴史から精製法,生体との関わりなどを紹介していく。