著者
平野 富夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.124-125, 2009-03-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

光学特性を活かした塗料はいくつかあるが,塗料そのものが発光するようなものは特殊な例を除いては存在しない。エレクトロルミネッセンス現象を利用したEL塗料を開発した。その構造と原理およびその将来の可能性について解説した。
著者
水畑 和子 堀川 恵司 酒井 英男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.344-347, 2016-07-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
4

富山県は,三方を急峻な山々に囲まれ,深い湾を抱くように平野が広がっている。豊富な水資源は,稲作等の農業を盛んにし,また急な川が多いので水力発電所が多く,大量の電力を必要とするアルミ産業を発展させた。過去には,日本の四大公害病の一つ「イタイイタイ病」が発生し,最近では,立山に日本で唯一の氷河があることが確認された。魚津では,国の特別天然記念物に指定された約2000年前の杉林の埋没樹根も発見されており,富山市を中心に半径50kmの中に高低差4,000mの時空を超えた多様な自然環境が見られる。本稿では,富山の川のカドミウム濃度の現状と立山の雪と魚津埋没林の地下水に関する研究について紹介する。
著者
伊東 章
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.204-205, 2018-04-20 (Released:2019-04-01)
参考文献数
2

エチレンプラントは石油化学コンビナートの中核であり,日本には大きなエチレンプラントが11ほどあり,日本全国で年間630万トンのエチレン,570万トンのプロピレンが作られている。エチレンプラントでは油(ナフサ)を熱分解することにより,反応性の大きい二重結合を持つ炭化水素ガスであるエチレン,プロピレンを製造している。熱分解後は多数の蒸留塔で成分分離が行われる。
著者
道家 達將
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.54-58, 1991-02-20 (Released:2017-07-13)

天保5年(1834)名古屋生まれの, 実にユニークな, 奇人とまで言われた化学技術者がいる。その名は宇都宮三郎。尾張藩100石取りの武士の三男で, はじめ儒学・武術を学ぶが, 西洋砲術家上田帯刀の門に入ったことから舎密(化学)に興味をもつようになり, ついには23歳のとき尾張藩を脱藩して江戸で兵科舎密にうちこむ。柳河春三, 桂川甫周, 福沢諭吉らと親交を結び, 勝海舟の世話で幕府の蕃書調所精煉方(のち開成所化学)で働く。公的機関に化学の名をつけたのは彼が最初という。明治維新で解雇されるが, 開成学校教師, 工部省技師に再び雇われ, 明治15年(1882)工部大技長となる。我が国最初のセメント・耐火煉瓦・炭酸ソーダの製造, また竈(かまど)づくりや酒造法の科学的改良などに成功。明治35年に没し, 父祖の墓所のある愛知県豊田市の幸福寺に葬られた。今回は, この宇都宮三郎の人と仕事を紹介し, 彼のゆかりの地をたずねる。
著者
中込 真
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.80-81, 2018-02-20 (Released:2019-02-01)
参考文献数
9
著者
杉本 渉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.122-123, 2008-03-20 (Released:2017-06-30)

電池反応の基礎あるいは定量的,熱力学な取り扱いを理解する上で必要な起電力,電極電位,ネルンストの式などの概念を解説する。
著者
五嶋 孝吉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.705-706, 1939 (Released:2009-12-22)
参考文献数
4

本邦各地に於ける水道水を夫々充分に精製したる後,其の密度を同様の方法によりて精製したる大阪水道水と石英浮秤を用ひて比較した.試料採集地は次の9ケ所である.東京,大阪,室蘭,新潟,徳山,門司,鹿兒島,基隆,高雄.其の結果によれば此等各地の水道水の密度の間には實驗誤差±0.5γの範圍に於て何等差異をも發見しなかつた.よつて此等各地の水道水は何れも同位元素組成が同一であるものと考へられる.
著者
北川 徹三 小林 義隆 遠藤 瞭 楠木 英吾
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.1263-1267, 1966-07-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

アンモニアの爆発危険性について研究を行なった。すなわち,エネルギー源として火花放電を用い,アンモニア-酸素-窒素系,アンモニア-空気-窒素系,アンモニア-酸素-ジクロルジフルオルメタン系,アンモニア-空気-ジクロルジフルオルメタン系の爆発範囲および,アンモエア-空気系について最小着火エネルギーを測定した。その結果は,常温,常圧下のアンモニア-酸素-窒素系における爆発臨界点の組成はアンモニア18.4,酸素13.4,窒素68.2vol%であり,アンモニア-酸素-ジクロルジフルオルメタン系においてはアンモニア30.0,酸素22.5,ジクロルジフルオルメタン47.5%であった。ジクロルジフルオルメタンを添加した場合には爆発に際し,ハロゲン化アンモニウムの生成が観察された。また,アンモニア-空気系の常温,常圧下における最小着火エネルギーを測定した結果は,アンモニア濃度19.5%に存在し,その値は170mJ で, 一般の炭化水素ガスなどに比較し, 非常に大きい結果を得た。
著者
中沢 允伸 吉田 兼紀 小門 宏 井上 英一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.137-142, 1971-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
7
被引用文献数
3

ホトクロミズムを示すスピロピランは, 溶液中あるいは高分子フィルム中で光発消色をくり返すに従い, その発色種の飽和濃度値が次第に減少してくる (疲労) ことを見出した。疲労は発消色をくり返さずとも, 紫外光を連続的に照射し続けても生じたが, この両者の疲労現象は必ずしも同一のものではない。ここではこの疲労現象を取り上げ, これに及ぼす種々の影響因子ならびにその原因を検討した。温度効果, スペクトル変化, その他の実験結果から, 疲労には少くとも2種類の過程が存在することがわかった。一つはスピロピランの無色種が関与しているもの, 他の一つは発色種が関与しているものであり, 前者の過程が支配的であった。また溶液中での測定結果から, スピロピランの分子間距離が小さいほど疲労は促進され, したがって疲労はスピロピラン分子間の相互作用により生じるものと考えられる。また高分子中での疲労はフィルム中に残存する残留溶媒によっても大きく影響され, その他マトリックスの種類, スピロピラン濃度などにも影響された。また溶液中では溶存酸素を除去すると疲労は促進された。
著者
宮下 文秀
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.476-479, 2012
参考文献数
6

物質の質量を正確に秤量することは,化学実験を行う上で基本的かつ重要な過程の一つであり,そのために,その操作や装置の原理を理解,把握することが求められる。その質量を正確に測定するには,天びんは欠かせない。天びんには,その原理からいくつかに分類することができる。ここでは,代表的な天びんとして機械式(釣り合い)天びん,バネ式はかり,直示化学天びん,そして電子天びんとしてロードセル式と電磁式を取り上げ,各々の原理とその特徴などについて説明する。
著者
中村 亘男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.438-440, 1995-07-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
5

量子化学に対する理解を深め, これを活用し, 更によいものに育てていくためには, 量子化学の生い立ちとその発展の歴史を多少とも知っておく必要があろう。そこで, ボーアによって出された原子模型から, ハイトラー-ロンドンによる量子論に基づいた最初の化学結合理論, 量子化学の誕生とその後の発展について概観する。その中で, 量子化学を現代の膨大な体系にまで育て上げてきた先駆者たちの努力の後を振返り, 量子化学の現状と将来についても触れる。
著者
久保 輝一郎 加藤 誠軌 白崎 信一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1767-1771, 1962-11-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
13
被引用文献数
3

α,β,γ-FeOOHの空気中での熱分解過程を高温X線回折,示差熱分析,熱天秤,電子顕微鏡などによって追跡した結果,三者とも約50~240℃で吸着水が離脱するが,続いておこる1分子の結晶水(2FeOOH=Fe2O3・H2O)の離脱とα-Fe2O3への結晶化過程では,三者でその生起温度範囲と結晶化学的挙動に著しい違いが誌められた。なお,γ-FeOOHの脱水によってはX線的には直接α-Fe2O3に変化し,γ-Fe2O3の生成は認められなかった。高温X線回折図形から計算した粉末の格子面間隔変位は,脱水過程では脱水自体による格子面間隔の縮小あるいは膨張により,また結晶化・焼結過程では格子の熱膨張だけによると考えられ,後者は出発物質のオキシ水和鉄の種類によってその値に多少の差が認められ粉末の構造敏感な性質の一つと考えられる。この際,Tammann,Mansuriらの考えた絶対温度での自己拡散の顕著になる温度と融点との比を0.5(無機化合物の場合)にとると格子の熱膨張および自己拡散の顕著になり始める温度はほぼ一致する。
著者
加藤 逸郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.726-729, 1998-11-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4

硫酸工業は歴史が古く, 当初の硝酸式硫酸製造方法は現在全て接触式に切り替わった。原料は環境問題等から硫化鉄鉱から回収硫黄および製錬ガスに変わった。触媒は圧力損失の減少および接触面積の拡大を図ったリング触媒が登場した。SO_3吸収工程の吸収熱は廃棄されていたが, 高濃度・高温度硫酸でSO_3を吸収し, 発電に利用する技術が開発された。硫酸冷却器は従来のイリゲーションタイプに代わってステンレス製電気防食式のシェル・チューブタイプのものが普及しつつある。