著者
中村 和之 酒井 英男 小林 淳哉 小田 寛貴 浪川 健治 三宅 俊彦 越田 賢一郎 佐々木 利和 瀬川 拓郎 中田 裕香 塚田 直哉 乾 哲也 竹内 孝 森岡 健治 田口 尚 吉田 澪代
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、14~16世紀のアイヌ文化の状況を明らかにすることである。この時期は、近世のアイヌ文化の成立期であるが、文献史料と考古学資料が少ないため、状況がわかっていない。そのため、漢語・満洲語・日本語史料の調査を行うと同時に、遺物の成分分析や年代測定、それに遺跡の電磁探査など、さまざまな分析方法で情報を収集した。その結果、14~15世紀の北海道でカリ石灰ガラスのガラス玉が発見された。本州でほとんどガラス玉が出土しないので、アムール河下流域からの玉と考えられる。この時期は、元・明朝がアムール河下流域に進出した時期に重なるので、北方からの影響が強くアイヌ文化に及んだことが推定できる。
著者
泉 吉紀 酒井 英男 中村 和之 斉藤 大朋
出版者
独立行政法人国立高等専門学校機構 函館工業高等専門学校
雑誌
函館工業高等専門学校紀要 (ISSN:02865491)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.68-73, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
7

We conducted ground penetrating radar survey on the Chashi Sites of Shibecharigawa basin of Shinhidaka in Hokkaido, with the purpose of investigating the internal structure of the Chashi. The surveyed sites were Shibechari-Chashi and Hoinashiri-Chashi. Shibechari-Chashi was thought to be the fort of Shakushain, leader of Hidaka Ainu. There was the anomaly likely to be a ditch around Chashi. In the case that it was a buried ditch, Shibechari-Chashi would come to have the largest area in Hokkaido. In Hoinashiri-Chashi, the reflection related to the chashi was gained at the main/center part of the site. Also, the anomaly detected on the west side was thought to be the reaction of the buried ditch. These results showed the Chashi was surrounded with the ditch and strengthened its protection.
著者
前川 要 千田 嘉博 高橋 浩二 村越 潔 酒井 英男 モリス マーティン 宇野 隆夫
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

研究成果の慨要を下記の3つに分けて記す。(1)遺跡の年代われわれの唐川城跡における3年間の測量・発掘調査の最大の成果は、中世城館ではなく古代環壕集落であることを明らかにしたことである。いままで、中世城館として考えられ、環境集落の研究史では全く採り上げられなかった。それは、第1次調査における土塁の盛り土から出土した土師器碗破片と土塁の上から検出された鍛冶炉跡SX02の埋土基底部から出土した土師器甕口縁部より明らかとなった。遺跡の存続年代は、従来の土器編年観から10世紀半ばから11世紀初頭頃で、年代的には、50年から60年ほどの期間である。(2)規模・機能と集住唐川城跡については、従来略測図のみ公表されていたが、今回トラバース測量を実施して正確な測量図を作成した。その結果、面積が約8万2千m^2、浅い空堀状の遺構,2条の空堀跡と外土塁、竪穴住居跡あるいは鉄生産関連遺構と考えられる窪みを多数確認した。これらのことから、唐川城跡は,二条の空堀と浅い空堀状の遺構によって,北から3つの郭で構成され、そして中心の郭が最も大きく高いことが判明した。また城城内に竪穴住居跡,鍛冶関連遺構が41箇所存在することを確認した。また、小鍛治の関連と想定される小型の窪みは16箇所以上存在する。第2次発掘調査では、2軒の住居跡を検出したが、いずれも新旧2時期存在した。そのことから、41箇所の2倍程度、つまりすくなくとも百軒弱の集落であることが推定できる。井戸は、井戸は北側郭と南側郭に各1基確認した。どちらの井戸も上端幅約10m,深さ約2.5mを測る。第1次調査では、南側郭の井戸を半分断ち割りしたが、湧水層が確認できず溜井戸の可能性がある。また、井戸周辺に竪穴住居跡あるいは,鍛冶関連遺構と推察する円形の窪みを確認した。鉄生産の際の水を溜める遺構の可能性がある。(3)手工業生産今回の大きな成果の一つは、精錬炉が盛り土をした階段状遺構の頂上から2碁見つかったことである。付章の深澤・赤沼論文によると、鯵ヶ沢町杢沢遺跡と同様の竪型炉であり、関連性が考えられる。従来、環壕集落からは、小鍛冶炉を検出した例はあるが、精錬炉を検出したのは初めてである。北側井戸周辺では直径約2m前後の窪みが約7箇存在しており鉄滓が地表面採集できる。さらに南側井戸東側平坦面にも10基以上の窪みがあり、ここでも鉄滓が地面採集できる。これらのことは、少なくとも北郭と南廓では、精錬と小鍛冶を一連の工程で、土木工事を含めて、大規模かつ組織的に行っていたことを示している。また、内面漆塗りの土師器甕が出土したことは、漆容器として使用された可能性がうかがわれ、漆生産工房があったことを推測させる。
著者
前川 要 天野 哲也 酒井 英男 千田 嘉博 斉藤 利男 玉井 哲雄 深澤 百合子 辻 誠一郎 MORRIS Martin
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、ロシア連邦サハリン州を中心として、北東日本海域における古代から中世の交流の実態を考古学的に明らかにすることを目的とした。そのために中世陶器の流通の問題、北東アジアにおける在地土器生産の問題、北海道の中世チャシや東北北部の防御性集落、ロシア沿海州の土城について考古学的な調査を進めた。また関連分野では、建築史学、植生史、言語学、文献史学、炭素同位体年代測定法の各研究者をそろえ、学際的な研究組織を構成した。そして年2回の研究会議を開催し、研究成果の発表と検討を行った。2001年度より3年間にわたって、サハリン白主土城の測量調査および発掘調査を行った。初年度は測量調査を中心に行い、2・3年目に本格的な発掘調査を行った。その結果、土塁と堀に関して、版築を行っていること、金後半から元にかけて使われた1尺=31.6cmの基準尺度が使用されていたことが判明した。これは、在地勢力によって構築されたとは考え難く、大陸からの土木・設計技術である可能性が高いことが明らかとなった。また土城内部から出土したパクロフカ陶器片から成立時期を9〜11世紀頃の年代が想定できるが、版築技術などからは、土城内部の利用時期と土塁・堀の構築時期には、時間差があると考えられた。調査研究の成果を公表するために、最終年度に2月26・27日に北海道大学学術交流会館において北東アジア国際シンポジウムを開催した。シンポジウムは、1・白主土城の諸問題、2・北東アジアの古代から中世の土器様相、3・北東アジアの流通の諸様相の三部構成で、北東アジアにおける古代から中世にかけての交流の実態について発表が行われた。考古学だけではなく、文献史学・建築史学・自然科学など関連諸分野の研究報告が行われ、また国外からも7名の研究者を招聘した。白主土城の歴史的な位置づけのほか、北東アジアにおける土器様相、交易の様相について検討された。
著者
杉本 利英 野崎 保 酒井 英男
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.23-29, 2013-05-15 (Released:2015-11-30)
参考文献数
15

The air-borne magnetic surveys are reported to determine the distribution of susceptible layers to landslide in the southwestern Toyama, including the boundary between the Hida belt and the green tuff region. The results show the strong magnetic anomaly for the igneous rocks but the weak magnetic anomaly for the hydrothermal alternation zone or thick colluvial deposits that are susceptible to landslide, and therefore determine the landslide areas in the Funatsu granitic rocks and the colluvial deposits in the Neogene formations. Further, there is a strong positive correlation between the boundary of the anomalies and the group of faults that divide granitic rocks and Neogene formation in the area. The air-borne magnetic survey is not affected by small variation such as intrusive rocks due to its relatively low resolution of less than several meters, suggesting that this technique could be a powerful tool for the first screening survey for the susceptible layers to landslide, although the magnetic properties of the regional rocks have to be clarified in advance.
著者
川上 紳一 大野 照文 高野 雅夫 酒井 英男 石渡 良志
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ナミビアで採集した縞状炭酸塩岩の解析に基づいて、スノーボール・アース仮説を検証することである。現生代後期の氷河堆積物を覆う縞状炭酸塩岩は温暖な気候で堆積したものと考えられており、地質学における大きな謎であるとされた。氷河堆積物と縞状炭酸塩岩の組み合わせは、地球表面が前面的に凍結したとすると合理的に説明ができる。しかし、そのようなことは気候学的にありえないとされてきた。申請者らは、ナミビアで採集したラストフ縞状炭酸塩岩の化学的分析を行い、縞の解析から堆積速度の見積もりを試みてきた。層厚14mの縞状炭酸塩岩は、酸素、炭素同位体比からみて、3つの区間に区分されることが明らかになった。酸素同位体、炭素同位体比の変動は、スノーボール・アース仮説から導かれる論理的帰結と合致しているものと解釈された。現生代後期の炭酸塩岩の堆積環境の解析に、酸素同位体比が利用できることを世界に先駆けて示すことができた。一方、縞の解析では、区間2にメートルオーダーの明瞭な堆積サイクルが認められていた。このサイクルは、カルサイトに富んだ部分とドロマイトに富んだ部分の繰り返しで特徴づけられる。それぞれのサイクルには、ミリメートルスケールのラミナがあり、メートルスケールの堆積サイクルには、約1500枚のラミナが含まれていることが明らかになった。ラストフ縞状炭酸塩岩のラミナが1年ごとの環境の繰り返しを反映していることを論じた。一方、ナミビアのマイエバーグ縞状炭酸塩岩にはミリメートルスケールの縞とセンチメートルスケールの縞が形成されている。このような縞が潮汐リズムを反映したものである可能性を指摘した。この解釈によるとマイエバーグ縞状炭酸塩岩の堆積速度は、約25cm/年となる。これらの縞の解析から縞状炭酸塩岩に記録された炭素同位体比の変動の時間スケールは、数1000年であると見積もられた。これは新生代古第三紀の突発的温暖化事件(LPTM)における炭素同位体比の変動の時間スケールに比べ、一桁近く小さいことになる。以上の結果を総合すると、われわれが採集した氷河堆積物を直接覆う縞状炭酸塩岩の地球化学的特徴は、スノーボール・アース仮説と符合していることが明らかになった。
著者
水畑 和子 堀川 恵司 酒井 英男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.344-347, 2016-07-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
4

富山県は,三方を急峻な山々に囲まれ,深い湾を抱くように平野が広がっている。豊富な水資源は,稲作等の農業を盛んにし,また急な川が多いので水力発電所が多く,大量の電力を必要とするアルミ産業を発展させた。過去には,日本の四大公害病の一つ「イタイイタイ病」が発生し,最近では,立山に日本で唯一の氷河があることが確認された。魚津では,国の特別天然記念物に指定された約2000年前の杉林の埋没樹根も発見されており,富山市を中心に半径50kmの中に高低差4,000mの時空を超えた多様な自然環境が見られる。本稿では,富山の川のカドミウム濃度の現状と立山の雪と魚津埋没林の地下水に関する研究について紹介する。
著者
酒井 英男 小林 剛 泉 吉紀 中山 武 服部 克巳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.136, no.5, pp.291-296, 2016

Study of the electric self-potential (SP) and the magnetic field was conducted at the explosion seismic experiment in Ooyama, Toyama Prefecture. The explosion was induced by 450 kg gun powder placed at a depth of 32.2-75 m. The SP was measured by four electrodes arranged in a line crossing the explosion point, where the distance of each electrode from the explosion ranged from 10 to 100 m. Induced SP changes consisted of two portions, namely, fluctuations with shorter periods (∼10 ms) and fluctuations with longer periods (∼50 ms). Regarding the latter, the amplitude was in proportion to the span length of electrode couples and the fluctuations arrived faster at the electrode couples nearer to the explosion. Further, the increment of ground level in SP was observed in each electrode couple after the explosion, which was concordant with the distribution of apparent resistivity underground studied by the survey. The magnetic field measured by the fluxgate magnetometer at the site 35 m north from the explosion also showed change of a few nT after the explosion. This may have been caused by change of magnetic properties underground.
著者
伊藤 孝 村尾 英彦 酒井 英男
出版者
公益社団法人 日本地すべり学会
雑誌
日本地すべり学会誌 (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.264-272, 2019 (Released:2019-10-09)
参考文献数
7

すべり方向は大規模な地すべりの移動方向を解釈するための鍵である。一般的には, すべり方向はすべり面の条線, あるいは粒子配列から測定されてきた。しかし, 地すべりからすべり方向を解読することは依然として容易ではない。本研究では, リングせん断試験の試料を用いた岩石磁気測定からすべり方向を測定するための迅速な方法を示す。 せん断試験を行った供試体から採取した試料では, 帯磁率異方性の最大軸はせん断方向である円型供試体の接線方向を向き, せん断試験を行っていない供試体試料の最大軸が一定方向にそろっているのとは明らかに違っていた。残留磁化の方向も, せん断試験を行った多くの試料では, せん断方向である円型供試体の接線に近い方向を向き, 帯磁率異方性の測定結果と同様な結果が得られた。これらの結果は, リングせん断試験により供試体の磁性粒子が円周方向に配列したことを示している。本研究は, 磁気特性からすべり運動の方向を再現できる可能性があることを示している。
著者
酒井 英男 小林 剛 岡田 敏美 芳野 赳夫 早川 正士 富沢 一郎 中山 武 太田 健次
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所研究資料 (ISSN:0917057X)
巻号頁・発行日
vol.157, pp.287-317, 1993-03-29

Electromagnetic properties were measured at the joint observation of the explosion seismic experiment at Ooyama, Toyama Prefecture on Oct. 17, 1991. The explosion was induced by 450 kg gun powder placed at a depth of 75 m. This paper represents the preliminary results of the experiments. (1) Electric self-potential : The measurement of the electric self-potential (S.P.) was made at two stations. One station was set up around the explosion point, and the other station about 1.5 km apart from the explosion point. At the station about 1.5 km apart from the explosion area, we observed no distinct change in S.P. before the arrival of seismic wave. At the station around the explosion point, four electrodes were arranged in the line of east-west direction crossing the explosion point. The distance of the each electrode from the explosion point ranges from 10 m to 100 m. The seismograph sensor was arranged at the distance of 130 m for the comparion with the change of the S.P. Up to 150 mV changes in S.P. were observed by the electrode couples before the arrival of seismic wave. The detailed analsis revealed that the induced changes in the S.P. consist of two portions : the fluctuation with shorter period (〜0.001 second) and with the frequency of the longer period (〜0.05 second). The propagation speed of the fluctuation with the shorter period was much higher than that of the fluctuation with the longer period. The fluctuation of the shorter period might have been related to the explosion process of gun powder. About the fluctuation with the frequency of the longer period, the following properties were elucidated. The amplitude of the fluctuation in S.P. is in proportion to the span length of the electrode couples. The fluctuation in S.P. arrived faster at the electrode couples situated nearer to the explosion point. (2) Magnetic field The magnetic field was measured by the fluxgate magnetometer at the site 35m north from the explosion point. The apparentchanges of magnetic vertical component and of horizontal component were observed at the time of 0.25 seconds after the explosion. Increase of total magnetic field of 2〜3nT after the explosion was found. This increment was confirmed by the total magnetic field survey around the fluxgate sensor. (3) VLF electromagnetic radiation No clear radiation of VLF electromagnetic wave was seen because of the possible contamination of the other natural radio noises. However, a possibility of VLF radiation connot be denied. Further study of the VLF data should be carried out.
著者
相馬 恒雄 船木 實 酒井 英男 椚座 圭太郎
出版者
富山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

1.飛騨ナップと、飛騨帯(飛騨/宇奈月変成帯)の上昇と中生層のテクトニクスを関係させて考察した。飛騨帯は250Maの衝突変成(6Kb:地下20Km)のあと、180Maには2Kb、170Maには地表付近まで上昇した。上昇にともない飛騨外縁帯を被覆する来馬層群が削剥され、付加体堆積物である美濃帯が形成した。上昇の終了と同時に手取層群が飛騨帯と飛騨外縁帯を被覆しており、飛騨ナップの形成により飛騨帯と飛騨外縁帯が接合したと考えた。2.変成岩の熱履歴と古地磁気方位の変化からナップ運動を知るために、神岡地域の高温変成岩、母岩のミグマタイト、さらにそれらを取り込む神岡鉱床のヘデン岩についてEPMA分析とテリエ法により検討した。変成岩およびミグマタイトの形成は、250Maの飛騨変成作用以前であり、その後3回以上の変成作用をこうむっている。各岩石の熱消磁のパターンは異なるが、岩石学的な熱履歴との対応づけは今後の課題である。3.熱水変質岩の磁力の安定性と保持機構を調べるため、神岡鉱床のヘデン岩40個について残留磁化測定(交流消磁法で500Oeまで)とVSM(振動型磁力計)による磁化特性の測定(10KGaussの磁場で700℃まで)を行った。残留磁化は安定なものと不安定なものがあり、安定なものも磁化方向はバラバラであった。磁性鉱物を検討した結果、磁化を担っている鉱物は全てヘマタイトであることが判明した。磁化の不安定性と集中度が良くなかったことについては今後の課題である。4.飛騨外縁帯の結晶片岩の年代測定を岡山理科大学にて行った。青海地域の8個の試料の年代は264-338Maであり、青海地域が西南日本の三郡変成帯の延長であることを示す。飛騨帯を特徴づける250Ma変成作用を被っていないので、180Ma頃と推測される飛騨ナップ形成以前には、飛騨帯宇奈月変成帯と飛騨外縁帯は接していなかった。
著者
酒井 治孝 瀧上 豊 酒井 英男 谷村 好洋 豊田 和弘 百原 新 桑原 義博 山中 寿朗 藤井 理恵
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒマラヤ山脈上昇史の鍵を握る変成岩ナップは, 約1440万年前に地表に露出・急冷し, 年間3-4cm の速度で南南西に前進し, 約1100 万年前に運動を停止した.冷却は先端から北方へ向け年間約1-1.5cm の速度で進行した.古カトマンズ湖の泥質湖成堆積物の堆積開始は約100 万年前まで遡り, 寒冷期には化学的風化が進まず, 堆積速度が遅く, 温暖期には化学的風化が促進され, 堆積速度が速かったことが判明した.
著者
川田 邦夫 小林 武彦 船木 實 酒井 英男 広岡 公夫
出版者
富山大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

南極氷床などに見られる火山灰を含む汚れ層は、しっかりした自然残留磁化をもっていることが知られており、その磁化の獲得機構を明らかにしようとするのが、この研究である。このため一方で、雪粒子に磁性をもつ岩石粉末を混ぜ、低温室に保持しながら地球磁場による磁化獲得の過程を時間毎に磁化測定と顕微鏡観察を行って調ベ、他方、北アルプス立山にある比較的古い氷体を残す雪渓の雪氷試料について自然磁化獲得の実際を調ベた。実験室の研究では自然雪や人工的にふるい分けした雪などに各種磁性物質の粉末を混入したものを初期試料とし、約-20℃、-10℃、-2℃等の条件下で保持したものを調ベたが、磁性粒子を含む雪氷の磁場方向への磁化獲得の機構は雪氷の変態に伴って磁性粒子がある時期に向きの自由度を持ち、その過程で磁場方向に向いた状態で定着するものという結果を得た。乾雪の場合、雪粒子の結合が丈夫になっていく過程では焼結によって変態が進行するが、最初無方位に弱く付着していた磁性粒子は水分子の表面拡散や昇華による結合部への移動に伴い、雪粒から離れて向きを変える機会を得、外部磁場による力を受けた状態で再付着したり、結合部のくびれた部分などに集まり気味に固定される。このことは少し厚めに製作したアニリン固定法による雪氷試料の薄片観察により確認できた。湿雪の場合、ざらめゆきへの変態となるが、雪粒子表面にある水膜によって磁性粒子は容易に自由度を得る。そして凍結・融解のくり返される中で雪粒同士の結合部のくびれや凹部に強く集合した状態で磁場方向に配向気味に固定されることがわかった。野外の雪渓で採取された試料は中緯度にある氷河や雪渓で見られる湿雪の変態によって氷化に至ったものと考えられる。現段階で詳細な結論までには至っていないが、汚れ層の部位に磁化の集中化が現われていて、氷体の流動に関わる知見を得る可能性をもつ。
著者
広岡 公夫 時枝 克安 前川 要 宇野 隆夫 酒井 英男
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

考古地磁気学的研究は、主に遺跡に残されている焼土を伴う遺構から試料を得て、その熱残留磁化を測定して行われてきた。その結果、過去2,000年間の地球磁場の変動(考古地磁気永年変化)が相当な精度で明らかにされている。しかし、データが蓄積されてくるにしたがって、日本列島内でも、同一時代で地域的に地球磁場方位に無視できない差異が存在することが明らかになってきた。考古地磁気年代推定は、永年変化曲線を用いて行われるので、地域差が直接推定年代値に影響を与えることになる。これを避けるためには、地域差を補正した地域毎の永年変化曲線を作る必要がある。本計研究計画の年度中に、出来るだけ多くの地域でその地域の永年変化曲線をつくることを目指したが、最近データの増加が著しい北陸地方の中世(西暦500〜1550年)と、従来から古窯の考古地磁気データが多く、詳しい土器編年も行なわれている東海地方の中、近世(西暦900〜1700年)の補正永年変化曲線を得た。今まで測定例が殆どなかった、北海道の10・11世紀のデータや、青森県からも2例のみではあるが、須恵器窯のデータが得られたし、何よりも、相当数のデータが、韓国から得られたことは、東アジアの考古地磁気研究および、地磁気の地域差を考える上で大きな成果であった。また、考古地磁気年代推定法のよく焼けた焼土遺構であれば遺構の種類を問わないという特徴を有しており、その特徴を生かして、最近、鉄生産に深い関連を持つ炭焼窯が北陸地方で数多く発見され、調査されているが、それに考古地磁気測定を適用したところ、従来から予想されていた奈良・平安初期のもの、近世、近代のもの以外に、12〜13世紀の中世にも相当数の炭焼窯が存在することが明らかとなった。
著者
中村 光一 櫻野 仁志 角 紳一 安井 晋示 酒井 英男 鵜飼 裕之
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

冬季自然雷の落雷電流とその大地・接地系への分流電流、さらに電気設備系、通信装置系への伝播サージ電流の測定を行った。観測地は石川県内灘風力発電所地内と同県加賀市山麓の北陸放送ラジオ送信局の2個所である。前者では100m級の高構造体への直撃電流とその大地への分流、後者ではいわゆる逆流雷による雷サージ電流の観測に成功した。同軸型接地電極の基礎的な研究を併せて行った。国際会議(4件)、電気設備学会全国大会(7件)で研究報告を行った。