著者
後飯塚 由香里
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.454-455, 2018-09-20 (Released:2019-09-01)
参考文献数
14
著者
齋藤 努
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.376-379, 2018-08-20 (Released:2019-08-01)
参考文献数
4

日本刀の刀身は,内側の軟らかい鉄(芯鉄)を外側の硬い鉄(皮鉄)で包み込むことで製作される。皮鉄の素材を作るための技法として,刀匠が継承している卸し鉄という工程がある。低炭素の鉄に浸炭させる場合も,高炭素の鉄から脱炭する場合も,行っている作業は同様にみえるが,刀匠は,炉の深さや送風の強さなど,それぞれの目的に応じて理にかなった条件を達成させていることがわかった。
著者
中村 朝夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.624-627, 2017-12-20 (Released:2018-06-01)
参考文献数
7

一口にペーパークロマトグラフィーといっても,用いる展開溶媒によって分離の機構は異なる。分離条件の最適化を図る際には,分離機構に対する理解が必要である。ペーパークロマトグラフィーは,簡便であることと材料が廉価であることが魅力であるが,必ずしも分離能が高いわけではないので,とくにデモンストレーションには,より分離能の高いTLCの利用も検討すべきである。
著者
半田 昌之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.826-830, 1992-12-20 (Released:2017-07-13)

たばこと塩の博物館(東京, 渋谷)では, 毎年夏休みの期間, 博物館夏休み学習室として「塩」をテーマとする特別展を開催している。塩は, 生命に欠かせない大切な物質として古来から人間と深い関わりを持ち, 現在も調味料や工業用原料として, 空気のように日々の暮らしに溶け込んでいる。この特別展では, 展示とともに「塩の実験室」での様々な実験を通して, 塩についての理解を促すとともに, 身近な物質から「科学するおもしろさ」を認識してもらいたいという意図を持っている。「塩の実験室」の基本的な構成と実験の概要を紹介した。
著者
江沢 洋
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.724-730, 1993

だれが原子をみたか。その歴史的考察は前に書いたので, 今回は「だれが原子や分子の内部をみたか」に勝手にプランを変えた。学校物理は原子核の発見を話題にするくせに原子が含む電子数をみた研究はとりあげない。そこから始めてド・ブロイ理論を自己流に述べ, これが意外とよく原子内部の量子力学をみていることを主張。アルカリ金属原子の価電子を主量子数数十まで励起すると, そこでは電子の軌道運動がみえるという実験を紹介する。いや, ただの軌道ではなくて量子力学が染みついている。プランでは電子の量子飛躍をみる実験, 分子をなしている原子核の波束をみる方法など, 盛り沢山だった。量子力学をみる時代が始まっていることを伝えたかった。
著者
加藤 正義
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.182-187, 1966-02-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
16

「アルミニウムの腐食に関する研究」の一環として,クエン酸のようなアルミニウムに対するキレート化剤が,アルミニウムの腐食に対していかなる影響を及ぼすかを知るための基礎的知見を得るために表題のような研究を行なった。測定は滴定法によった。すなわち硝酸カリウムによってイオン強度を0.1に保った,クエン酸単独液,クエン酸とアルミニウムイオンとを1 : 1 モル比に混合した液および2 : 1 モル比に混合した液を標準濃度の水酸化カリウム溶液で滴定し, その滴定曲線からキレートの結合比と安定度定数を求めた。その結果pH = 3.7 ~ 4.5 の範囲内では, アルミニウムはクエン酸と1 : 1 のモル比で結合し, クエン酸のもつ水酸基も配位に与かることを知った。またその安定度定数K= [AlCit-] / [Al3+] [Cit4-] は1014±0.1であると計算された。3.7よりも低いpH域では酸性キレートがAlCit-と共存すると考えられ,また4.5よりも高いpH域ではアルミニウムイオンが加水分解する反応と, AlCit- にさらに水酸基が配位して(OH) AlCit2- という塩基性キレートが生ずる反応とが併発するものと推定された。加水分解生成物をBrosset に従いAl6(OH)153+ と考えて, この(OH) AlCit2-の安定度定数K' = [(OH)AlCit2-] /[AlCit-][OH-]は106.6±0.3と計算された。
著者
山口 佳隆
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.198-201, 2017-04-20 (Released:2017-10-01)
参考文献数
5

金属錯体の諸性質は,混成軌道の立場から考える原子価結合法,金属のd軌道と配位子との静電反発によるd軌道の分裂に基づく結晶場理論,さらに分子軌道法を用いた配位子場理論から考察することができる。結晶場理論を用いた金属錯体のd軌道の分裂を説明し,電子遷移に伴う金属錯体の色について解説する。
著者
笠岡 成光 田中 栄治 阪田 祐作 内藤 龍之介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.12, pp.2267-2274, 1987-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

フェノール樹脂系繊維状活性炭(ACF)の細孔特性ならびに分子ふるい吸着特性を明らかにし,種々の吸着質分子に適応するACFの至適な製造法確立の資とするために,重合度の大きく異なる(平均分子量:106~90万)8種のポリエチレングリコール(PEG)'の水溶液における吸着等温線(25℃)を測定した。ACFは賦活度の異なる9種を用い,また比較のために5種のヤシ殻系粒状活性炭(ACG)にっいても同様に検討した。ACFは,約4nm径以下のミクロ孔領域にのみ先鋭な単峰型細孔分布をもち,ACGは,ミクロ孔以外にトランジショナル孔およびマクロ轟の幅広い分布をもっている。これらの活性炭への特殊な分子構造をとりうるPEGの水溶液での吸着を試み,,各PEGの分子量と吸着可能な活性炭の細孔径との関係を検討し,分子ふるい吸着効果の顕著に現われる臨界細孔径(最小細孔径)と臨界賦活収率を評価した。得られたおもな結果おまび知見は,つぎのとおりである。,(1)PEGの活性炭への吸着は,ACGに対しても約4nm径以下のミクロ孔に対してのみ起こり,吸着形態は直鎖らせん状の結晶に近いと推定される。(2)活性炭に吸着されうるPEGの臨界分子寸法は,その短軸径によって決まり,約0.4nmである。また,'PEGの吸着可能な活性炭の臨界細孔径は分子量に無関係に約1.8nmである。
著者
山口 迪夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.606-609, 1989-12-20 (Released:2017-07-13)

従来, 食品学や栄養学の領域でいう「食べ物の酸性・アルカリ性」は, 食品自体が酸性であるか, アルカリ性であるかというより, 食べ物が体内で代謝された後, 生体に対して酸性に働くか, アルカリ性に働くかを意味する場合が多かった。これがいわゆる「酸性食品・アルカリ性食品」の理論といわれてきたものである。この理論に従えば, 食品自体が酸性であってもアルカリ性食品になる場合がある。そして, 酸性食品かアルカリ性食品かを決めるのは, その食品のミネラル組成, すなわち陽性元素と陰性元素の各合計量(当量)でどちらが多いかである。しかし, 近年になりその理論の栄養学あるいは生理学的意義は次第に科学的根拠を失い, 現在の教科書や専門書からは「酸性食品・アルカリ性食品」の言葉が完全に消え去ろうとしている。
著者
山根 良行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.430-431, 2018-09-20 (Released:2019-09-01)
参考文献数
3

金は人間生活とのつながりが非常に深い物質である。高等学校の化学基礎におけるイオン化傾向の単元で,金は王水にのみ溶けると記載されているが,これまでヨウ素が含まれるうがい薬やヨードチンキに溶け,その溶液で金コロイドを生成することが紹介されている。今回は,学校で身近にあるヨウ素-ヨウ化カリウム水溶液(以下,ヨウ素液と略記する)を用いて,金コロイドを生成する方法を紹介する。
著者
若倉 雅登
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.142-143, 2017-03-20 (Released:2017-09-01)
参考文献数
3

快適な視覚は眼球だけでなく,ものを見る準備や,見た対象物を認知するまでの高次脳を含めた機構が健常な場合に得られる。ところが,この機構を乱す原因のひとつに薬物がある。とりわけベンゼン環とジアゼピン環を持つベンゾジアゼピン系薬物とその類似薬の連用は,視覚の高次脳機構を乱す可能性が高い。すでにそれは薬物性眼瞼けいれんとして報告しているものを含め,羞明(眩しさ),眼痛,霧視など視覚のノイズを発現させることを報告し,「ベンゾジアゼピン眼症」として広く認知されるべきである。
著者
後藤 俊夫 高橋 敞 岸 義人 平田 義正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.508-511,A40, 1964-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11

フグ卵巣の水抽出液を加熱除タンパク後,イオン交換樹脂に吸着させることを骨子としたテトロドトキシンの新抽出法を考案した。この方法によれば少なくとも全一量の50%以上の毒を結晶状に得ることができる。また通常の再沈殿法で精製したテトロドトキシンにはアンヒドロエピテトロドトキシンが混在し,それを除去するにはピクラートを経て精製する必要がある。この精製テトロドトキシンを用いれば,臭化水素酸塩を結晶として得ることができる。
著者
大松 亨介
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.492-495, 2016-10-20 (Released:2017-04-03)
参考文献数
6

反応活性の高いレアメタルを用いた遷移金属触媒は,いまなお化学合成における主役であるが,金属元素を一切含まない有機分子も,化学反応をコントロールする触媒としての機能を秘めている。本稿では,キラルと呼ばれる性質をもった有機分子の重要性と,キラルな分子の化学合成で活躍している有機分子触媒に焦点を当てる。
著者
若林 文高
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.76-79, 2017-02-20 (Released:2017-08-01)
参考文献数
4

理科教育では原子・分子などの「粒子概念」の習得が重要である。スペクトルを実際に観察して光の不思議に興味をもち,また歴史的にその謎を解き明かすことで「原子・分子」について理解を深めてきた経緯を学ぶことにより,「原子・分子」を身近に感じられるようになると考えられる。スペクトルの歴史的・現代的意義を述べたあと,身近になったDVDを回折格子として用いる「DVD分光器」の製作法と,それを用いたスペクトルの観察,通常のパソコンと表計算ソフトを用いたスペクトル解析法について述べる。最近のデジタル技術の急速な進歩で,驚くほど高精度の分光実験が身近な材料や電子機器でできるようになった。