著者
及川 恒之 小林 健史 太田 亨
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

FOXP2遺伝子は転写因子をコードしており、その機能は言語に関わる非常に興味深い遺伝子である。FOXP2の標的遺伝子を単離するため、FOXP2 transgene細胞を作成しマイクロアレイ法で検出した。この網羅的スクリーニングにより、多数抽出された。今回は、2way ANOVA解析により、ヒトFOXP2で2個、FOXP2 isoformで31個、chimp FOXP2で6個の遺伝子が変化したところまで、候補を絞った。次に神経芽細胞腫由来Tg FOXP2の細胞を作製し、再現性を解析した。両者の細胞で発現促進された遺伝子群が数個が認められ、グリア細胞由来やマトリックス形成に関するものであった。
著者
塚本 容子
出版者
北海道医療大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、(1)HIV患者における抗HIV薬のアドヒアランスの現状調査;(2)現状を基に、アドヒアランスサポートプログラムを構築する;(3)アドヒアランスサポートプログラムを実施し、そのプログラムを評価, 以上の3点を目的として実施した。サンプル抽出に関しての問題点もあるが、我が国のHIV患者のアドヒアランスは米国の患者と比較して、高く保たれていた。しかし治療による副作用が発生しても、医療従事者(特に医師)に対して副作用に対しての現状を伝えられていなかった。また治療決定の際に、積極的な関わりができている患者も少なかった。この現状結果を基に、患者が積極的に治療決定が行えるようなサポートをプログラムを構築し、実際使用しその評価を行った。その評価に関して、であるが改善点はいくつかあったが、90%以上の患者がそのプログラムを良いもしくはとても良いと評価していた。またアドヒアランスサポートプログラムがすべての外来にあると良いということも意見として挙っていた。今後の課題としてこのプログラムを継続的に行い、患者のアウトカム、プログラムの経済性に関して調査する必要がある。
著者
明野 伸次
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
no.11, pp.95-100, 2004
被引用文献数
1

本稿では男性看護師に対する業務評価・役割期待に関しての文献を検討し、今後の研究課題と方向性を得ることを目的とした。その結果、男性看護師に対する業務評価・役割期待は「看護師である男性」と「男性である看護師」との二面性の認識から行なわれていた。「看護師である男性」とは、特に女性患者に村する「羞恥心を伴うケア」は困難として、その業務評価と役割期待は低く、一方、力仕事や機械類に強い、また判断力があるといった、一般的な「男性的イメージ」から男性看護師に対して業務評価と役割期待をしている認識である。「男性である看護師」とは、性別に関係なく「専門職」として男性看護師に対して業務評価と役割期待をしている認識である。以上から、今後の研究課題と方向性に関して、「男性である看護師」という認識からの業務評価と役割期待は、本来看護に求められる「専門性」に関して、十分に検討していく必要がある。また「看護師である男性」という認識からの業務評価と役割期待は、性の違いに関してジェンダーという一方の方向からのみ捉えるのではなく、「セクシュアリティ」という広い視点で考えていく必要があると示唆された。
著者
遠藤 哲也
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

和歌山県で販売されていた鯨内臓食品の水銀濃度は著しく高く、肝臓から最高で2000ppmの総水銀が検出された(Sci. Total Environ.,300,15-22,2002).この肝臓食品をラットに1回経口投与したところ、無機水銀による急性腎毒性が認められた(Arch. Environ. Comtam. Toxcol.,44,412-416,2003).最も一般的な鯨食品である赤身肉の水銀汚染度は鯨種により大きく異なること,また捕獲地域でも異なることを明らかにした(Endo et al., Environ. Sci.Tech.,37,2681-2685,2003).PCBなどの有機塩素系化合物の汚染度にも顕著な種差があることを示した(J.Toxicol. Environ.Health A,65,1211-1235,2002).市販されていた赤身肉のなかで最も汚染度が高かったものには,81ppmの総水銀と26.2ppmのメチル水銀が含まれていた(Chemosphere,54,1653-1662).この鯨肉をラットに1週間連続経口投与したところ,急性毒性症状は認められなかったが,メチル水銀による特徴的な体内水銀分布が認められ,頻繁に摂取すれば慢性中毒になることが示されたChemosphere, in press).鯨脂肪食品からの抽出物は催奇性を有することをラット胎児培養を用いて明らかにした(Organohalogen Compounds,55,421-423,2002).マグロの水銀汚染にも明らかな種差が認められ,その汚染度は魚体の大きさと関係すると思われる(食品衛生学発表,東京,2004).
著者
川上 智史 荊木 裕司 原口 克博 尾立 光 川村 周徳 久保田 端尚 宮田 武彦 渡辺 敏彦 飯岡 淳子 入戸野 誠 尾立 達治 大沼 修一 関口 昇 横内 厚雄 松田 浩一
出版者
北海道医療大学
雑誌
東日本歯学雑誌 (ISSN:09109722)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.57-62, 1989-06-30

Recently, sedative and antiphlogistic treatment is conducted with low energy laser irradiation. The purpose of the this study was to evaluate the effectiveness to decrease of pain just after irradiation by a GaAlAs semiconductor laser. The irradiation apparatus was SEMI LASER NANOX (LX-800 : G-C. Co.) with the following features : a wave lengh of (around) 780nm : the laser energy, 30mW ; exposure time, SOsec to ISOsec/ per treatment. Diagnosis of pre-and post-operative sensitivity were classified into the following four grades : Grade 0 no pain. Grade I mild pain. Grade II strong but tolerable pain. Grade III intolerable pain (simultaneous with stimulation). The results were as follows: 1. In the hypersensitivity of dentin, the treatment was not effective with 2 cases of grade III, but with all of grade I , II (35 cases) the pain decreased just after irradiation. 2 . It was effective in all cases with pain like periodontitis after root canal filling and pain after extraction of teeth. 3 . It was effective in all cases with gingivitis, stomatitis, and gingival ulcers after infilttation anesthesia etc..
著者
眞島 いづみ
出版者
北海道医療大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

平成29年度は、平成28度の唾液細菌叢解析に引き続き、健康な児童50名分の唾液サンプルを更に追加して、出身地域別にその細菌叢を解析した。結果として、地区間に有意な差は認められなかったが、口腔清掃状態別にそれを解析すると、先の解析結果同様、清掃状態が悪化するに従い、Veillonella属細菌の割合の増加が認められた。これらの解析から、う蝕や歯周病の直接的原因である口腔バイオフィルムの初期形成に重要な役割を果たすVeillonella属細菌が、口腔清掃状態が悪化するに従い、定着しやすくなることが明らかになった。更に、本口腔細菌叢解析の過程で、既報のVeillonella属細菌には分類されないVeillonella属細菌未同定株を分離した。ゲノムシークエンスデータによるAverage Nucleotide Identity算出、複数のハウスキーピング遺伝子の塩基配列解析、生化学的性状検査等を行った結果、本未同定株を新菌種Veillonella infantiumとして確立し、国際機関に株の寄託を行った(JCM 31738T、 TSD-88T)後、口腔内におけるその出現頻度を明らかにした。また、研究実施計画に基づき、上記新菌種を含む口腔Veillonella全7菌種標準株のドラフトゲノム解析後、KEGGデータベースを用いて比較ゲノム解析を行った。特に口腔バイオフィルムの初期形成に影響を与えることが示唆されているVeillonella tobetsuensis由来Autoinducer (AI)-1、AI-2及びCyclo-Leu-Proの代謝経路を含めた機能解析、当該産物産生責任遺伝子の同定作業を遂行した。これら研究成果により、口腔バイオフィルム初期形成菌であるVeillonella属細菌を応用した口腔感染症の予防及び治療法の確立の可能性が強く示唆された。
著者
冨家 直明 田山 淳 小川 豊太 村椿 智彦
出版者
北海道医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では成人の肥満に対する認知行動療法の効果をシステマティックレビューを用いて明らかにすることである。レビューのデータベースにはThe Cochrane Library、MEDLINE、PsycINFO、CINAHLが活用され、認知行動療法、リラクセーション法を用いて体重をアウトカムにした論文が調査の対象になった。メタアナリシスが実施され、11研究が対象になった。認知行動療法は有意に体重を減少させた。リラクセーション法に関しては十分な研究数が集まらなかった。認知行動療法は成人肥満の体重減少にともに効果的であるといえた。
著者
飯嶋 雅弘 橋本 正則 六車 武史
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、高周波マグネトロンスパッタリング法によりブラケット用アルミナの表面をバイオアクティブガラス改質した試料(BG試料)を試作した。BG試料を人工唾液に浸漬したところ、試料表面には針状およびタブレット状の石灰化物が形成された。これらは、レーザーラマンとエックス線回折よりリン酸カルシウム系の石灰化物と同定された。脱灰エナメル質の再石灰化挙動を調べるナノインデンテーション試験では、BG試料とともに浸漬したエナメル質が、単独で浸漬したエナメル質よりも高い再石灰化挙動を示した。アルミナに対するバイオアクティブガラスを利用した表面改質層は、エナメル質の再石灰化誘導能を発揮することが明らかとなった。
著者
小林 健史 橋本 竜作
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は専門家の少ない地域において住民参加型授業を通して、特別支援教育体制を構築することを目的とした。我々は住民参加型授業を活用した介入を通して、教員をエンパワメントしつつ、さらに簡便かつ効率的に相談者が地域に存在する社会資源を活用しやすくするツールを作成し支援を行った。その結果、社会資源の少ない地域に合致した特別支援教育体制構築の手がかりが示された。
著者
齋藤 いずみ 遠藤 紀美恵 笹木 葉子 坂梨 薫 成田 伸 水流 聡子
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

目的:分娩時の看護人員配置の現状を把握し、根拠に基づく安全と質の保証された看護人員配置にするために、以下の4病院の分娩基礎データを収集した。地方の複数病院の分娩を集約化した公立病院の産科、専門特化した大規模産科病院2施設、混合科が進む産科の計4病院において、2003年1年間の全分娩事例約2500事例を調査した。文部科学省疫学研究の倫理指針に基づき実施した。方法:カルテ、分娩記録、助産録などからデータべースを作成し、月別・曜日別分娩数、曜日別入院数、曜日別異常分娩数、曜日別母体搬送数、曜日別緊急帝王切開数、曜日別児の体重別出生数、曜日別妊娠集数別出生数など、24時間分布としては分娩数、入院数、緊急帝王切開数、母体搬送数などを調査した。結果:月別分娩数は特に有意な差は見られなかった。曜日別分析:曜日別分娩数はハッピーマンデイ政策などにより、週の中盤に分娩が集中し、有意に人手の少ない週末は少なかった。妊娠週数の早い32週以前の分娩、出生体重1500g未満の異常分娩では、母体と児の安全のために週末に意思決定するためか金曜日に分娩が有意に高かった。特に母体搬送、緊急帝王切開では金曜日に高かった。曜日別時刻別分析では金曜日の午後から夕方までの時間帯に緊急帝王切開や分娩のリスクが高い分娩が多いことが明らかになった。24時間分布別分析:時刻別分析では、管理分娩の傾向が高い施設では日勤帯の分娩が多く、自然分娩が多く介入の少ない施設では24時間に分布していることが、統計的にも明らかになった。緊急帝王切開は人手のいない夜間帯にも少なくない現状である。考察及び課題科学的根拠に基づく分娩時の看護人員配置のデータとして非常に有益と思われる。また金曜日の午後から緊急性の高い児の出生や帝王切開が行われることは産科のみならず、NICUにも本情報を共有することが重要である。NICU の実態調査も必要性が高いと思われる。
著者
家子 正裕 高橋 伸彦
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

強力な血栓リスクであるループスアンチコアグラント(LA)の測定方法の標準化を検討した。LA活性は残存血小板数が1,200/μL以上の血漿で有意な変動を示すため、1500 g, 15分間以上の遠心分離を行いバフィーコートより5mm上までを採取した血漿(残存血小板数:3,000/μL未満)が推奨される。一方、APTT試薬のLA感受性は活性化剤に影響されず、リン脂質の種類、濃度、配合比率が重要と思われた。APTT交差混合試験では、患者血漿10, 20%がLAに、50%が内因系凝固因子の欠損症やインヒビターの検出に有用であり、これらの5ポイントによる測定が推奨される。