著者
青山 紘一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.31, no.8, pp.679-692, 1988 (Released:2012-03-23)

情報化が急ピッチで進むなかで, 知的所有権が企業の経営資源として一段と重要になってきた。本号では, 前号の「知的所有権の現状と動向」をふまえ, 現実に発生している知的所有権紛争のうち, “情報”関連の, (1)コンピュータのハードおよびソフトにまつわる事件(互換機・OS事件, アプリケーション・ソフト事件, コンピュータ犯罪), (2)トレードシークレット事件(企業秘密漏洩事件, 産業スパイ事件)を紹介し, 併せて今後知的財産をどう保護し活用すべきかについて考察した。
著者
国立研究開発法人科学技術振興機構
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
JSTnews (ISSN:13496085)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.7, pp.6-11, 2018-07-02 (Released:2018-08-10)

地球上には宇宙から素粒子が絶えず降り注いでいる。名古屋大学の中村光廣教授と森島邦博特任助教らは、巨大な物体でも突き抜ける素粒子ミューオンの観測により、エジプトのクフ王・ピラミッド内部を透視し、未知の巨大空間を発見した。開発したミューオンの観測装置は、宇宙の謎の解明のみならず、原子炉内部の調査や火山のマグマ観測、社会インフラの点検へと活躍の場を広げている。
著者
西岡 常夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.447-454, 1975-09-01 (Released:2016-03-16)

和文タイプライタの発展過程,現状,将来の問題点を解説した総合展望。まず和文タイプの機能および機構とその具備すべき要件を解説し,ついでその発展過程を大正4年の1号機から現在まで概観する。和文タイプと使用者とのインタフェイスの面を特に取りあげ,文字数,文字盤,活字,文字配列が各メーカ・各機種により多種多様であることを示し,その標準化の困難さを指摘する。最後に和文タイプが清書・植字機械に止まっている現状から,情報システムの入力機械として脱皮すべきことを強調する。
著者
田辺 祐子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.818-825, 2015-02-01 (Released:2015-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

学術出版社のシュプリンガー(Springer)で近年特に力を入れて取り組んでいるオープンアクセスプログラムと電子書籍に関連する現状や最新情報を報告する。隆盛著しいオープンアクセスであるが,本稿ではジャーナル論文ではなく,オープンアクセス書籍,およびそれにまつわる昨今の出版状況に主眼を置く。また,新しい学術書籍の出版プログラムSpringerBriefsおよびSpringer Book Archives,最新の取り組みとしてSpringer SmartBooksの紹介,関連して電子教科書に対する国内外の利用者からのフィードバックを詳説する。
著者
高木 聡一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.746-753, 2013-01-01 (Released:2013-01-01)
参考文献数
4
被引用文献数
3 5

政府が保有するデータの公開と利活用を行う「オープンデータ」が注目を集めている。わが国においても政府が「電子行政オープンデータ」を策定するなど,政策課題として取り組み始めたところである。本稿では,こうしたオープンデータについて先行して取り組む欧州の政策動向を概説することにより,オープンデータの概念,経緯,および推進上の主要な論点を明らかにする。とりわけ,データ公開の現状,政策的取り組みの経緯,データのライセンス,民間とのコミュニケーション施策を取り上げる。こうした欧州における先進動向を踏まえ,今後日本が進めるにあたっての課題を考察する。
著者
小林 正啓
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.240-250, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
27

自動運転が実用化段階を迎えつつある。しかし,特に完全自動運転を実用化するに当たっては,さまざまな法制度上の課題に対応しなければならない。自動運転技術は事故を減らすだろうが,ゼロにすることは絶対にないから,事故が起きたときの法的責任の所在も論じられなければならない。本稿では,自動運転技術が直面することになる法制度上の課題を概観するとともに,対応策の方向性について,提案を行う。
著者
松澤 孝明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.379-390, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)
参考文献数
22
被引用文献数
2

「研究不正」は他の法令違反とは異なる原則や特徴を有しているため,「過失」から生じる場合が意外に多く,その対策として各国・地域では研究倫理教育が重視されている。現在,わが国の研究倫理教育は自国や自機関のルールに関するコンプライアンス教育(予防倫理の考え方による教育)が中心であると考えられる。しかし,研究不正の定義や各国・地域の研究公正システムには,各国・地域の国情や,国家イノベーションシステムの違いを反映して,国・地域による多様性が存在する。このような研究倫理における不均一性の存在は,研究活動のグローバル化に伴い研究不正が非意図的に発生するリスクを増大させる。また,研究機関間・研究分野間の移動や研究不正に対する時間的な認識の変化によっても同様のリスクは発生する。したがって,予防倫理による知識教育だけでは,このような非意図的に発生するリスクに十分対応できるのかは疑問であり,若手研究者の育成に当たっては知識に加え,新しい課題や状況に直面したときに適切な行動を選択できる能力を習得することが必要である。このため,博士課程における構造的訓練の実施など,研究倫理教育の指導方法の構造化が必要ではないかと考えられる。
著者
目黒 純
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.779-787, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)

「OpenStreetMap」は,オープンデータ地図の作製を目的とした世界的な活動である。作製された地図データは誰もが無償で自由に利用することができるだけでなく,利用者自身もまた地図の作製に参加することもできることから,「地図のWikipedia」とも呼ばれる。また,単に地図を画像として利用できるだけでなく,そのソースデータを入手しデータ処理が可能であることから,企業活動や学術的研究などその活用は多岐にわたる。本稿では,OpenStreetMapの作製に携わるコミュニティーの世界各地における活動と,福島県会津若松市における整備状況および行政による活用について紹介する。
著者
佐藤 翔
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.414-424, 2013-10-01 (Released:2013-10-01)
参考文献数
40
被引用文献数
5 3

本稿ではオープンアクセス(OA)運動の背景から現在までの流れを概観し,現在のOA運動における争点を整理する。現在,Gold OAはビジネスとして成立することを示し,Green OAは機関リポジトリ等においては成功しているとは言えないが,助成機関によるOA義務化を伴うことで成功例が現れている。そして公的助成研究に対するOA義務化の方針は確実に広がりつつある。商業出版者もOAを受け入れ,OA運動における主導権をめぐって図書館と対立するようになっている。その中で問題となっているのが再利用可能性とエンバーゴである。
著者
佐藤 一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.828-835, 2016-02-01 (Released:2016-02-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

ビッグデータの発展により,個人に関する情報が大量に集積・利用できるようになった。新たな利活用が生まれる一方で,プライバシー侵害に関する不安も大きくなっている。科学技術分野においては,オープンサイエンスを念頭に,複数の研究機関で研究データのシェアリングが期待されているが,そのデータにパーソナルデータが含まれる場合は,法制度およびプライバシー上の配慮が必要となる。本稿ではパーソナルデータがシェアリング対象に含まれる場合の留意点を解説するとともに,個人情報保護法の改正の動向についてまとめる。
著者
瀧ノ上 正浩
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.629-640, 2017-12-01 (Released:2017-12-01)
参考文献数
15

本稿では,近年,研究が発展している「分子ロボティクス(分子ロボット工学)」について,基礎から最新の動向まで解説する。分子ロボットは,情報分子DNAを利用したナノテクノロジーであるDNAコンピューター・DNAメモリー・DNAナノ構造形成等の生体分子情報技術を基礎にしており,生体内での計算や,診断・治療,人工細胞構築,大容量分子メモリー,脳型コンピューター開発などへの応用が期待されている。DNAにあまり触れたことのない読者を想定し,本分野を理解するために必要なDNAナノテクノロジーやDNAの塩基配列設計の基礎を簡潔に説明した後,最近の注目研究の動向に加え,われわれの研究グループが近年研究を進めている,DNA分子とマイクロ水滴を利用した,細胞型分子ロボット(人工細胞)の構築を詳しく解説する。
著者
高橋 匡 平尾 啓
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.745-754, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
12

近年,社外の技術やアイデアを社内に取り入れるオープンイノベーションを活用し,技術開発を行う企業が増えている。このような背景を受け,筆者らは2014年度「PAT-LIST研究会」活動において,顧客ニーズに即した技術開発を自社で行う(自前主義)か,他者と提携して行う(オープンイノベーション)か,どちらが得策かを検証する情報解析手法を開発した。本稿では消臭技術を対象として,商品情報・特許情報の活用による技術動向把握,アンケート情報と特許情報の比較による顧客ニーズの推定,技術補完が期待される提携先候補の探索を組み合わせた情報解析手法を紹介する。
著者
南 亮一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.291-297, 2014-08-01 (Released:2014-08-01)
参考文献数
2

2009年および2012年に行われた大規模な著作権法改正のうち,特に図書館の諸活動や学術情報の流通の観点から意義があると思われる,(1)国立国会図書館の所蔵資料の電子化およびその活用(著作権法第31条第2項および第3項の追加),(2)視覚障害者サービス関係(著作権法第37条第3項の改正),(3)インターネット上での著作物等の活用の円滑化関係(権利者不明の場合の利用の円滑化を含め8項目),(4)著作物等の軽微な利用の許容関係(著作権法第30条の2および第30条の3の新設),(5)公文書管理法に基づく著作物等の利用関係(著作権法第42条の3の新設)を取り上げ,改正の経緯や内容について,解説した。
著者
藤井 孝藏
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.531-538, 2014-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
3

自らが発行する学術論文誌をより有意義なものにすることは多くの学会にとって共通の課題である。3万人を超える学会員を有する日本機械学会では,2007年に英文誌の再編を行ったが,わずか7年で,和文誌,英文誌を含めた大規模な再編を行うに至った。再編にかかわる議論は多くの学会に共通な事項を多数含んでいる。本稿は,再編に至る背景,学会内での議論の経緯,再編の考え方,再編後の姿などを記すもので,その一部でも他学会の参考になることを期待している。
著者
小林 龍生
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.802-809, 2013-02-01 (Released:2013-02-01)
被引用文献数
1

“本”を“本”たらしめている根幹は,紙葉を一定の順序で並べて固定化する製本という行為にある。EPUBでは,spine情報がこの製本という行為に相当する。本稿では,製本という行為の果たした役割を “本”の歴史と読文行為(文書を読むこと一般)の中で相対化することにより,電子化ネットワーク化された文書一般と電子書籍の関係を考察し,将来の電子書籍の在り方についての1つの可能性を示す。