著者
原 秀穂 篠原 明彦
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum Ser. A Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.61-94, 2006-06

The genus Spinarge, previously represented by three Chinese species, is redefined to include 11 Palaearctic species, and is transferred from the Athermantini to the Argini of the Arginae. This genus is characterized by the fifth abdominal tergum with a dark median line (=inconspicuous median groove) in the female and a long median process in the male. A key to the world species and descriptions or redescriptions of the following nine species are given: S. affinis sp. nov. from Japan, S. chrysoptera (Gussakovskij, 1935), comb. nov. from China, S. fulvicornis (Mocsary, 1909), comb. nov. from Japan, Korea and China, S. flavicostalis sp. nov. from Japan, S. metallica (Klug, 1834), comb. nov. from Europe to Kamchatka, Primorskij kraj, Sakhalin and Korea, S. nigricornis sp. nov. from Japan, S. prunivora sp. nov. from Japan and Korea, S. pumila sp. nov. from Japan, and S. sichuanensis Wei, 1998, from China. Larvae are gregarious leaf feeders on broad-leaved trees such as Betula, Prunus and Sorbus.
著者
前島 正裕
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館研究報告E類 : 理工学 (ISSN:03878511)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.25-29, 2001
被引用文献数
1

This item is a calculator made by Dr. Tathujiro Sasaki, Mr. Ryo Shiga and others for working out nine simultaneous linear algebraic equations. The original machine was designed and made by Dr. John B. Wilbur in 1936. Some machines of this type were made in the world. However all of them seemed to disappear except this Japanese one. This report shows some details of this machine, which was researched for an exhibition"The Heroes of Information Age"at the National Science Museum in between March 6 and June 5,2001.
著者
吉澤 和徳
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.29-34, 2000-12-25

This paper reports the following 23 psocopteran species collected through biological investigations of the Imperial Palace of Japan in 1998 and 1999; Trogiidae- Cerobasis guestfalica (Kolbe); Amphientomidae - Stimulopalpus japonicus Enderlein; Caeciliusidae - Paracaecilius japanus (Enderlein), Valenzuela badiostigma (Enderlein), V.oyamai (Enderlein), V. flavidus (Stephens)(new record from Japan), V. scriptus (Enderlein); Stenopsocidae - Graphopsocus cruciatus (Linnaeus), Stenopsocus aphidiformis Enderlein; Ectopsocidae - Ectopsocopsis cryptomeriae (Enderlein),E ctopsocus sp.,E. briggsi McLachlan; Peripsocidae Peripsocus phaeopterus (Stephens,1836) (new record from Japan),P. quercicola Enderlein,P. sp.; Pseudocaeciliidae Mepleres suzukii (Okamoto); Philotarsidae - Aaroniella sp.; Mesopsocidae - Idatenopsocus orientalis (Vishniakova),M esopsocus laticeps (Kolbe); Hemipsocidae - Hemipsocus chloroticus (Hagen); Psocidae - Amphigerontia jezoensis Okamoto,B laste sp.; Myopsocidae - Lichenomima muscosa (Enderlein). Psocopteran fauna of the Imperial Palace is composed of species commonly found in lowland areas of Japan. In contrast,it lacks some species very common in lowland areas of Japan,s uch as Matsumuraiella radiopicta Enderlein (Amphipsocidae), Heterocaecilius solocipennis (Enderlein) (Pseudocaeciliidae), and species of Psococerastis and Trichadenotecnum (Psocidae). Species of Liposcelidae and Lachesillidae probably inhabit buildings in the Imperial Palace but those areas were not investigated.
著者
海老原 淳 岡 武利 松本 定
出版者
国立科学博物館
雑誌
筑波実験植物園研究報告 (ISSN:02893568)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.17-25, 2005-12
被引用文献数
1

The Vandenboschia radicans complex, one of the 'cosmopolitan species' of pteridophyte, shows great morphological variation within the Japanese Archipelago. The study by Ebihara et al. (2005) which clarified the complicated origin of this complex resulted from reticulate evolution also revealed that the Pacific coast of the Kanto region possesses the most diversified genomic-formula. In this study, we focused on the V. radicans complex of the region (Izu, Miura and Boso Peninsulas) by enriching samples, and discussed possible causes for the diversity. Of the three peninsulas, Miura Peninsula exhibits particularly diversified genomic formula in spite of less variable alleles and narrower distribution range than the other two. These results suggest that the present populations of Miura Peninsula have been locally formed by reticulate evolution based on limited number of ancestral lineages.
著者
柏谷 博之
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum Ser. B Botany (ISSN:03852431)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.p129-133, 1988-12

Full description based on fertile specimens is given to Ramalina hossei VAIN., which has long been overlooked by lichenologists. Variation of secondary products of the species is also discussed.
著者
DAVIS P. G.
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series C, Geology & paleontology (ISSN:0385244X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.91-106, 1996-12

Archaeopteryx is the oldest known undisputed bird. It is also the most famous and well studied fossil bird taxa. Although the taxonomy of the two known species of Archaeopteryx has been discussed, little information on the taphonomy of the skeletal specimens has been included in these papers. The aim of this paper is to review the mainly anecdotal information published upon the taphonomy of Archaeopteryx and in the light of new techniques in avian taphonomy, reassess and produce a taphonomic history for the specimens.
著者
上野 俊一
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.137-153, 1975

屋久島からは, これまでにチビゴミムシ類が3種知られ, そのうちのひとつは固有種, 他のひとつは固有の新属新種であることがわかっていた。1974年の夏に行なった現地調査で, 従来調べられていなかった地域からさらに1新種が発見されたので, 屋久島産のチビゴミムシ類は全部で4種になった。これらは次ぎのとおりで, あとのふたつが新種および新属新種である。1) ホソチビゴミムシ Perileptus japonicus H.W. BATES 2) ヤクシマチビゴミムシ Epaphiopsis (Pseudepaphius) janoi (JEANNEL) 3) ワタナベチビゴミムシ E. (P) watanabeorum S. UENO 4) ツヤチビゴミムシ Lamprotrechus convexiusculus S. UENO 以上の4種のうち, ホソチビゴミムシだけはよく発達した後翅をもち, アジア東部に広く分布しているが, 他の3種は後翅の退化した飛べない虫で, 屋久島以外の地域から発見される可能性がない。ヤクシマチビゴミムシとワタナベチビゴミムシは, ともにケムネチビゴミムシ属 Epaphiopsis のサイカイチビゴミムシ亜属 Pseudepaphius に含まれる。この亜属の種類は日本の南西部に広く分布するが, とくに四国と九州とでいちじるしい種分化を遂げ, 亜属の起源がこのあたりにあったことを示唆している。屋久島産の2種も, もともとは南九州から移住したものに違いないが, 木土の種類とは上翅の剛毛式が明らかに異なるので, 特別の種群として区別できる。したがって, これらの種の共通の祖先は, かなり早い時期に南九州の母体から隔離され, その後さらに同所的な種分化を起こして今日にいたった, とみてよかろう。両種はたがいによく似ているが, ワタナベチビゴミムシのほうが小型で扁平, 体色が暗く, 前胸背板の後角がひじょうに鈍くて小歯状にならず, 上翅の条線は浅くて点刻がきわめて弱い。また, 雄交尾器の形態にも顕著な相違が見られる(図2acd;5参照)。最後のツヤチビゴミムシは, 四国の高山に生息するヒサゴチビゴミムシ属 Iga のものにかなりよく似ているが, 上唇の前縁が深く切れこんで二片状になっていること, 前胸背板の側縁が完全であること, 上翅の剛毛式がいちじるしく異なること, 前脛節の外縁に縦溝がないことなどの点で明らかに異なり, 後者との関係も直接的なものではないらしい。しかし, どちらの属も, かつてヒマラヤから東アジアにかけて広く分布していた有翅の祖先型から分化し, 高山の特殊な環境だけに生き残ってきた遺存群であろと考えられる。この原型に近いと思われる形態を現在までとどめているのは, 台湾, 北ベトナム, 北ビルマおよびヒマラヤに分布するハバビロチビゴミムシ属 Agonotrechus である。いっぽう, 特殊化した型のほうは, 四国, 屋久島, 台湾, 雲南, チベットおよびヒマラヤ東部のいずれも高山のみに生息していて, それぞれ孤立した特徴をもち, 相互の関係がかならずしも近くはない。この群のチビゴミムシ類は九州からまったく見つかっていないが, ツヤチビゴミムシの起源が九州のどこかにあったことはまず間違いなかろう。おそらく更新世の初期に九州から屋久島へ侵入したものが, 島が分離されるとともに八重岳の高所へ定着して現在まで生き残ってきたのであろう。要するに, チビゴミムシ相から見た屋久島は, 大きくとれば九州や四国と同じ生物地理学上の地域に含まれるけれども, これらとのあいだにかなり顕著な断絶が認められる。隔離された島としての歴史がそれほど古くないにもかかわらず, このように特殊性が大きいのは注目すべき事実で, おそらく八重岳が孤立した高山として離島の役割を果たし, しかも降水量が多くて良好な生活環境が保たれてきたことに起因するのであろう。
著者
萩原 信介
出版者
国立科学博物館
雑誌
自然教育園報告 (ISSN:0385759X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-17, 1983-03

マツ林床下におけるシュロの実生を用いて約3年間にわたる月別乾物生長, 死亡要因を調べ, 同時に林内照度, sunfecks, 気温の季節変化を測定しシュロの生長との対応を試みた。また前報(萩原, 1980a, b)の被陰格子内の生育との比較を行った。以下次のことが明らかになった。1. 林内の相対照度は夏季0.1%と低く, 4月下旬が最も高く2.5%となった。2. Sunfecksの割合は夏季2.3%と低く, 4月下旬が最も高く9.0%であった。3. 林外に比較し最低気温は冬で2.5℃高く, 最高気温は夏で2.5℃低かった。4. 実生の死亡要因としては胚軸伸長期の乾燥死が5%, 秋の落葉・落枝に被覆された死亡が3年間で18%, 1年目の冬の乾燥死によるものが15%, 虫害や競争によるものが4%であり照度不足が直接の原因と考えられる死亡は認められなかった。5. 乾物生長はきわめて遅く3年間で320mgと種子重の350mgまで達しなかった。6. 生長は年間を通し直線的で明瞭な生長休止期は認められなかった。7. 被陰格子内の実生との比較では2%照度区とほぼ等しい生長をしていることが明らかとなり, sunfecksの効果と秋から春の照度の上昇が生長の促進また生活の維持に大きく寄与していると考えられた。8. 1年目の実生の冬期の乾燥害は分布北限地域では, シュロの定着に大きな障害となっていることが予想された。
著者
島 正子
出版者
国立科学博物館
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

昨年度本研究費で改良した本館既設の質量分析計を用いて、E3に属する頑火輝石球粒隕石、やまと6901隕石と清鎮隕石中に存在する長寿命放射性核種、^<87>Rb,^<87>Srを測定した。隕石をその構成鉱物成分に分けて各成分中の主成分元素を定量すると共に、上記^<87>Srを質量分析したところ、両隕石とも、幾種類か存在する珪酸塩鉱物から抽出した上記核種はすべて2×10^9年という年代を示す直接上にくるのに対して、硫化鉱物から抽出したものは親核種である^<87>Rbが娘核種である^<87>Srに対して極端に少ない方向に直接から大きく外れること、これら各点のデ-タすべてを足し合わせたもの、隕石全体を分離することなく測定したものは、共に普通の球粒隕石の年代である4.5×10^9年を示す線上にくることを示した。現在、他の長寿命放射性核種対である^<147>Sm-^<143>Ndの測定を行い、両結果を合わせてこの隕石の成因に関する結論を出したいと考えている。1984年青森県に落下した青森隕石中の宇宙線生成放射性核種の測定は、当時まだ本館に低バックグラウンド放射能測定装置が設置されていなかったので、試料を理化学研究所に持ち込んで測定してもらった。その結果の一部は宇宙線生成ヘリウムやネオンなどの安定希ガスのデ-タと大きな不一致を示し、どうにも納得できなかった。そこで一昨年度本研究費で整備した微量放射能測定装置を用いて測定し直した。その結果上記不一致は解消されたので、現在研究報告をまとめているところである。これまで続けていた、1986年に香川県落下した国分寺市隕石中の宇宙線生成放射性核種の測定、及び山形大学の高岡宣雄教授と西ドイツマックスプランク研究所のL.Shultz教授に測定を依頼していた宇宙線生成希ガスの測定はすべて完了したので、青森隕石の報告書に引続き、報告書をまとめるために準備をしている。