- 著者
-
星野 翔太
島居 傑
北村 伸哉
- 出版者
- 日本救急医学会関東地方会
- 雑誌
- 日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.3, pp.86-90, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
- 参考文献数
- 19
80歳代女性。最近の野山への外出歴あり。某日に発熱し, 近医受診のうえで経過観察となっていたが, 発症8日後に呼吸苦, 意識障害を呈したため, 当院救急搬送となった。来院時, ショック, 下顎呼吸, 昏睡を認め, 体幹部に皮疹と下肢に刺し口を疑う血疱も認めた。病歴と身体所見からリケッチア症を疑い, 塩酸ミノサイクリンを含む抗菌薬投与を開始した後, 集中治療室での治療を行った。しかし, 治療開始後も全身状態は不良であり, 電撃性紫斑病の合併も認め, 入室3日後に死亡した。同日, Rickettsia japonica PCR陽性が判明し, 本症例は日本紅斑熱であったことが確定した。同疾患は治療が遅れた場合, 本症例のように重篤な経過をたどる場合がある。日本紅斑熱患者の治療では, 適切な診断や早期治療が重要と考えられた。