著者
藤原 直樹 制野 勇介 八坂 有起 関 裕美子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.301-305, 2016-05-01 (Released:2016-05-02)
参考文献数
20

【目的】小児集中治療専従医配置による診療体制の変化と患者予後との関連を検討した。【方法】当院PICUは2010年度に小児集中治療専従医による診療が導入された。前後2年間の全入室患者を対象とし,後方視的コホート研究を施行した。【結果】前期520名,後期591名が対象となり,重症児集約化の傾向が増した後期の重症度スコア(pediatric index of mortality 2,PIM2)は有意に高かった(P<0.001)。多変量解析の結果,小児集中治療専従医の存在と低いPICU死亡率との間に有意な関連が認められた[OR 0.36(95%CI 0.15~0.89),P=0.026]。PICU入室期間の短縮および侵襲的人工呼吸管理日数の減少においても,小児集中治療専従医の存在が関与していた。【結論】小児集中治療専従医配置が患者予後を含む臨床的アウトカム改善に寄与した。
著者
関 裕也 松本 直人 隆島 研吾 関 貴子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.334-337, 2006-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
4

本研究の目的は「学生が満足する実習指導因子」を明らかにすることである。理学療法学科夜間部の学生を対象に,実習指導に関するアンケート調査を実施した。調査内容は「実習指導への満足度」と,満足度との関連が予測される実習指導要素13項目である。分析手法は,まず13項目の実習指導要素について因子分析を実施し,それにより抽出された因子と「実習指導への満足度」との相関係数を構造方程式モデリングにより求めた。分析の結果,「肯定的・支持的指導」と「積極的・成長促進的指導」の2因子が抽出された。「実習指導への満足度」と各因子はいずれも高い正の相関関係にあった。また両因子間にも正の相関が認められた。これより「学生が満足する実習指導因子」には上記2因子があり,かつ両因子を兼ね備えることで,より満足度の高い実習指導につながることが明らかとなった。
著者
関 裕也 関 貴子 黒沢 明子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B3O1059-B3O1059, 2010

【目的】脳卒中片麻痺の麻痺側下肢筋力を対象とした研究では、大腿四頭筋のみを指標としているものが多い。しかし、脳卒中片麻痺の下肢筋力と他の因子との関係を調べる上で、大腿四頭筋のみの指標で十分なのだろうか。日々の臨床では、麻痺側大腿四頭筋を重点的に強化しても能力が改善しない例を多く経験するため、大腿四頭筋以外に重視すべき筋があるのではないかと疑問に感じている。そこで今回、ハンドヘルドダイナモメーター(以下、HHD)を用いて脳卒中片麻痺患者の大腿四頭筋を含む複数の下肢筋力を測定し、バランス・歩行・ADLとの相関を検討した。<BR>【方法】対象は、歩行能力が監視レベル以上の脳卒中片麻痺患者22名(男性14名、女性8名、平均年齢61.9±8.8歳、平均罹患期間66.2±70.1ヶ月)である。HHD(μTasF-1:アニマ社製)を用いた麻痺側下肢の筋力測定は、前脛骨筋、下腿三頭筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、股関節屈筋、伸筋、内転筋、外転筋を対象に行った。測定は、最大努力の等尺性収縮を5秒間行わせた。1回の練習後、30秒以上の間隔をあけ2回測定し、最大値を採用した。そして得られた値(N)に、関節からセンサーまでの距離(m)を乗じてトルク値を求め、さらにデータを標準化するためにトルク値を対象者の体重(kg)で除して筋力値(Nm/kg)とした。バランスおよび歩行指標はFunctional Reach Test(以下、FRT)、10m歩行速度(以下、歩行速度)、Timed U p & Go Test(以下、TUG)を計測した。歩行速度とTUGはいずれも最速歩行で計測した。ADL指標はFIMを用いた。統計学的解析は、各筋力値とFRT、歩行速度、TUG、FIMの間で、Pearsonの相関係数検定を実施した。<BR>【説明と同意】本研究は、ヘルシンキ宣言に沿って計画した。対象者には本研究についての説明を行い、同意を得た上で計測を行った。<BR>【結果】前脛骨筋、大腿四頭筋、股関節内転筋、外転筋においてFRT(r=0.44, 0.45, 0.65, 0.64)、歩行速度(r=0.52, 0.51, 0.68, 0.70)、TUG(r=-0.45, -0.49, -0.64, -0.71)、FIM(r=0.45, 0.46, 0.65, 0.58)の全指標と相関が認められた(前脛骨筋と大腿四頭筋はp<0.05、股関節内転筋と外転筋はp<0.01)。また、股関節伸筋はいずれの指標とも相関が認められなかった。その他の筋に関しては、部分的な相関しか認められなかった。<BR>【考察】結果より、バランス・歩行・ADLと相関の認められた筋は、前頸骨筋、大腿四頭筋、股関節内転筋、外転筋であった。特に股関節内転筋と外転筋は前2者に比して高い相関が認められた。股関節内転筋が全指標と相関するのは仮説に反していたが、股関節外転筋との同時収縮で骨盤の側方安定性を得るために重要な役割を果たしていると解釈できる。以上より、脳卒中片麻痺の能力との関係を調べる際、大腿四頭筋だけでなく骨盤の側方安定性に関与する股関節内・外転筋群も指標として用いる方が、より的確に関係性を捉えることができると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】脳卒中片麻痺の麻痺側下肢筋力を対象とした先行研究の多くは大腿四頭筋のみを指標としているが、本研究結果から股関節内・外転筋群の方が指標として適している可能性が示唆された。さらに、麻痺側股関節内・外転筋群を強化し、同時収縮を促すことで、脳卒中片麻痺の能力が向上する可能性も示唆された。この点については、今後検討を重ねていきたい。
著者
加藤 宏 益子 邦洋 関 裕 朽方 規喜 安藤 高夫
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.380-382, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
4

超高齢化社会が到来し, 在宅医療と救急医療の連携推進が求められている。二次救急病院である当院は, 2014年12月から病院救急車を活用した患者搬送システムを運用している。出動件数は年々増え続けて, 2019年12月までに出動総件数1,874件 (在宅療養患者救急搬送523件) に達しており, 47%が慢性期病院への搬送であった。病院救急車は, 在宅医療従事者をサポートしながら高齢者を地域全体で支えるセーフティネットの役割を果たし, 急性期病院や消防救急車の負担軽減にも貢献する。加えて, 当院では, 院内多職種が協働して訪問診療にも取り組んでいる。2018年度の訪問診療件数は8,688件に達し, 525件の緊急往診に対応した。24時間救急対応可能な病院が在宅医療の一部を担うことは在宅療養支援の強化につながり, 在宅医療との相互理解や連携を深める点でも有意義である。
著者
岡田 裕樹 小菅 友裕 尾関 裕彦 津川 和夫
出版者
京都市立病院紀要編集委員会
雑誌
京都市立病院紀要 (ISSN:02861356)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-19, 2018-09-15

チーム医療における安全や質の確保にノンテクニカルスキル( NTS)が重要視されている.NTSとは,コミュニケーション・チームワーク・状況認識等を包含する総称であり,CT・MRI検査等を行う診療放射線技師においても,チーム医療の一員としてNTSの向上が求められている.今回,毎年病院内で行われている「外来・入院患者満足度調査アンケート」から,当院の診療放射線技師の患者対応や職員対応について現状把握し,今後の改善点について考察を行った.
著者
前田 吉昭 森吉 仁志 佐古 彰史 栗原 将人 井関 裕康 小谷 元子 綿村 哲 大森 英樹 池田 薫 勝良 健史 亀谷 幸生 坂内 健一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

数論、代数幾何学、微分幾何学、トポロジー、それに数理物理、素粒子論を中心として、非可換な対象物を扱い、新しい幾何学の流れを構築することを目標に置いている。本研究の特徴は、基軸となる研究である変形量子化問題と非可換幾何学を推進し、これによる微分幾何学の非可換化(量子化)手法を確立させ、それを発展させるというまったく新しい立場からの研究を行うことにある。特に、Non-formal deformation quantizationの手法を用いて、数学および素粒子物理学との融合研究を進め、この分野の国際的なネットワークを構築することを目的としている。
著者
西川 青季 上野 慶介 井関 裕靖
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は,調和写像の無限遠境界値問題を一般の負曲率等質リーマン多様体に対して研究することである.このような空間の中で,カルノー群とよばれる巾零リー群の1次元可解拡大として得られる「カルノー空間」は,対称空間の一般化として重要なカテゴリーをなす.本研究の目標は,このカルノー空間のカテゴリーにおいて,理想境界として現れる巾零リー群上の幾何学・解析学と,内部領域として現れる可解リー群上の幾何学・解析学の相互関係を,「調和写像の無限遠境界値問題」を通して調べることであり,そのためにはまず,解として得られる調和写像の無限遠理想境界の近傍での正則性(微分可能性)を詳しく調べる必要がある.昨年度の研究において,研究分担者・上野は,「複素双曲型空間形から実双曲型空間形への固有な調和写像で,無限遠境界まで連続的可能性をもって延びるものは存在しない」ことを証明したが,その際調和写像の無限遠境界での正則性は,カルノー空間の不変計量の無限遠境界の近傍での発散のオーダーと密接に関係することが明らかになった.今年度は,この点に関してさらに考察し,次の結果を得た.1.定義域のカルノー空間のステップ数が,値域となるカルノー空間のステップ数よりも小さい場合(例えば,複素双曲型空間形から実双曲型空間形への場合),無限遠境界の近傍での不変計量の発散のオーダーが同じであっても,固有な調和写像の無限遠境界の近傍での漸近挙動は,その境界値から完全には決定できない.2.定義域のカルノー空間のステップ数が,値域となるカルノー空間のステップ数よりも大きいか等しく,かつ無限遠境界の近傍での不変計量の発散のオーダーが同じである場合には,固有な調和写像の無限遠境界の近傍での漸近挙動は,その境界値から完全に決定される.西川はこの結果を,上海で開催された国際研究集「International Conference on Modern Mathematics」において,招待講演として発表した.
著者
井関 裕靖
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は離散距離空間の高次元的な構造を見出すことにより離散距離空間の「形」を捉え、さらにこれを離散群の剛性理論等へ応用することを目標としていた。離散距離空間の「高次元的な構造」を満足な形で捉えることは叶わなかったが、その研究過程で得られた観察や結果から、ある種のランダム群が非正曲率空間に対する強い固定点性質をもつことを示すことができた。また、離散距離空間の非正曲率距離空間への埋め込みに対するスペクトルギャップの幾つかの評価を与えることにも成功した。
著者
五福 明夫 関 裕士 田中 豊
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.65, no.632, pp.1544-1549, 1999-04-25
被引用文献数
4

This study investigates a computer support system applying functional modeling techniques for the conceptual design phase of engineering systems. The previous paper proposed a systematic representation of design information from the viewpoints of goals, functions, and structure. This paper describes a support system of component assignment to functions by effectively using past design cases, where two case retrieval techniques are proposed. The one called "function flow simplification matching" simplifies the function flow of a case and compares it with the function flow specified by the designer. This matching technique realizes flexible case retrieval. The other is the utilization of ordinal component hierarchy data abstracted from past similar plant designs. The data is used to go into the details of design structure step by step. The feasibility of the component assignment technique is investigated by some design trials of a fluidized refuse incineration plant.
著者
酒井 たか子 加納 千恵子 李 在鎬 小林 典子 関 裕子 田中 裕祐 河野 あかね 清水 秀子 加藤 あさぎ 甲斐 晶子 董 然 孫 辰 杜 暁傑 阿部 宥子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

多言語背景で日本語を学習している年少者の学習支援に役立つ情報を提供する目的で、教科の学習に必要な語彙調査研究を行った。理科に関しては、小学校3年生から6年生の教科書の分析、教員による重要度判定を行い重要語彙の表を作成した。また学習言語を中心として日本語力診断テスト(SPOT、漢字SPOT、漢字テスト)を作成し、インターナショナルスクールでの縦断的研究、公立小学校での調査を行い、テストの有効性を確認した。
著者
小谷 元子 塩谷 隆 新井 仁之 熊谷 隆 井関 裕靖 納谷 信 楯 辰哉 石渡 聡
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

幾何学と確率論の異なる分野の関わりを通じて、これまで扱えなかった特異性のある空間や離散的な空間の幾何学の新たな研究方法を開拓することを目的とし、ランダムウォークの量子版である量子ウォークや、非対称ランダムウォークの長時間挙動の幾何学的理解、ランダム群の固定点性質、Alexandrov空間のBishop-Gromov型の不等式、ランダムグラフの収束性などに関する結果を得て、発表した。