著者
雨宮 政
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.p273-277, 1985-12

Simple reaction times(SRTs) and choice reaction times(CRTs) for mentally retarded(MR) children and normal(N) children matched on MA were analyzed. The main results were as follows; 1)In SRT experiments, there were great RT differences between MR group and N group, but in CRT experiments, no significant CRT differences between them were noticed. 2)Between MR-C group, selected from MR group by the condition that the members were the same SRT level that N group members, and N group, no significant differences in CRTs were seen. It was inferred that MA 5-8 N children responded on the same way of MR children in CRT tasks that demanded higher mental activities.
著者
飯田 都
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.367-376, 2002-09

本研究の目的は,教師の児童認知だけでなく児童の教師認知を視野に入れ,学級適応感における児童の認知機能の役割に関して,探索的検討を行うことであった。教師-児童の関係性が明確であり,且つ教師の要請に関する認知の仕方の独自性が顕著であった児童4名を対象とし,彼らの教師の要請像の様相を検討した。その結果,(a)教師の要請に関する児童の認知が,自己高揚的であった場合,その児童は不得手とする要請に関しては,教師の否認による要請を過小評価し,一方,得手の要請は過大評価する。また,認知された方向づけは承認が中心である。(b)教師の要請について児童の認知が自己卑下的であった場合,当該児童は不得手な要請に関する否認による方向づけを過大評価し,得手の要請に関しては過小評価する。また,否認による要請の方向づけが強く認知されている,等の認知的特徴に関わる事例が報告された。これらの結果は,教師の要請に対する児童個々の要請認知のあり方が,学級適応感を規定する重要な要因であることを示唆するものであった。児童の学級適応感を理解する上で,教師の対児童認知のみならず,児童の教師認知要因をも考慮する必要性について考察した。
著者
山崎 瑞紀 倉元 直樹 中村 俊哉 横山 剛
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.305-314, 2000-09

山崎・平・中村・横山(1997)に引き続き, 本研究においては, アジア出身学生の対日態度, 及び対異文化態度と, それらに影響する要因の関係を検討した。態度形成モデルは, エスニシティ(民族性)の観点から構成された。「対日態度」, 「対異文化態度」, 「友人関係」, 「肯定的経験」, 「否定的経験」, 「自分たちのエスニシティがホスト社会に受け入れられているという認知」といった構成概念が測定された。日本語学校に通う399名のアジア出身学生が質問紙に回答した結果, 以下の点が示唆された:(1)「日本人による受容の認知」は, 肯定的な対日態度, 対異文化態度の形成に重要な役割を果たす, (2)中国出身の学生は, 韓国出身の学生よりも, 日本人と豊かな「友人関係」を形成しており, 「肯定的な経験」が多く, 滞在社会は自分たちの民族文化に対して関心を持っている, と感じており, より親和的な「日本人イメージ」を形成している, (3)さらに, 前回, 留学生を対象に行った調査結果と比較したところ, 日本語学校生は留学生よりも, 「肯定的経験」が少なく「否定的経験」が多いこと, 「日本人との交流意図」, 「異文化との交流意図」が低いことが示唆された。

1 0 0 0 OA 臨床・障害3

著者
森野,礼一
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報
巻号頁・発行日
vol.24, 1985-03-30
著者
福田 由紀
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.348-354, 1991-09-30

The purpose of this study was to investigate the developmental relationship between the image operation in three-mountain task and mental rotation task in terms of ability of a point-of -view operating. Subjects ere 17 first graders, 18 third graders, 13 fifth graders and 31 university students. Subjects were asked solve both three-mountain task and mental rotation task. The results showed a different shape of developmental performances in both tasks. In a three-mountain task, first and third graders could not perform satisfactorily, whereas in a mental rotation task, they could make good scores. Moreover, both patterns of errors and RT according to the rotated angles were also proved different between tasks.
著者
福沢 周亮
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 = The Japanese journal of educational psychology (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.158-165, 1970

The ultimate purpose of this study is to investigate the mechanism of learning to read Japanese ideographs on the part of primary school children. In this paper is described the planning to construct learning materials and then the analysis of them. 1. The Ss chosen for testing meaningfulness and familiarity of two-syllable Japanese words are 150 children of the 5th grade in Ashikaga city, Tochigi Prefecture. For measuring meanigfulness, they are asked to write out the associated words when given a stimulus word of two syllables. For Lamiliarity, they are asked to rate each of the 100 two-syllable 'words according to "Four-point rating scale". Table l indicates production values(m) of meaningfulness. Table 2 indicates f-values, familiarity of the 100 words. The coefficient of the correlation between Tables 1 and 2 is 0.955, the tegression line being Y'=1.23X +0.84. 2. The Ss chosen for testing meaningfulness and rfamiliarity of figures are 171 children of the 5th grade in Ashikaga city. The procedure adopted is the same as above, Fig. 1 and Table 3 indicate production values(m) of figures. Fig. 2 and Table 4 indicate f-values. The coefEicient of the correlation . between Tables 3 and 4 is O. 880 and the regression line is Y'=1.20X +1.63, which is approximately the same as the regression line of the two-syllable words. 3. The experiment of paired-associate learning is planned to analyze the children's mechanism of learning to read Japanese ideographs. The Ss are 120 children of the 5th grade in Ashikaga city. Learning materials of paired-associates are figures (i.e. S's) and two-syllable words (i.e. R's). The results obtained are in this order : H(H=high familiarity)-H, L(L=Low familiarity)-H, H-L, and L-L. This indicates that high familiarity of two-syllable words is the most significant factor in effective learning. Similarly, high familiarity of figures plays an important role in effective learning.
著者
福沢 周亮
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 = The Japanese journal of educational psychology (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.158-165, 1970

rights: 日本教育心理学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110001892006/
著者
古籏 安好
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.26-31, 1968-03

集団行動の諸要因の相互関係を公式化するためのカギは集団参加性にある。そこでまずこの概念について取り扱い,その3因子である連帯性・勢力性および親和性の相互関係を分析的に考察した。ここで用いた技法を集団行動の3変数すなわち集団生産性・集団凝集性および集団参加性の相互関係の分析にも適用した。この技法は重相関と重決定係数を算出し,変数相互の相対的寄与量をみることによって,相互関係を見とおすというものである。これによって,若干の成果を得た。その主要な点は次のようである。 (1)集団凝集性と集団参加性はともに課題遂行に有意の相関をもつことが示されたが,相対的寄与量からいえば,凝集性よりも参加性により重みがあることをより明確にできた。 (2)集団参加性は,平等的集団での場合には階層的集団よりも生産性に関連が深くなる。平等的集団では,階層的集団よりもいっそう相互作用が積極的かつ効果的で,課題遂行に寄与し,課題遂行と参加性との対応がより大きい。しかし平等的集団でも知能水準の下位群の場合には,そういう傾向はそれほど明確に示されないので,課題遂行と参加性との対応にはある限界があるだろう。 (3)3つの変数のおのおのが,相互に他の2変数によって推定される割合いは,課題Iの方が課題IIよりもおよそ大きくなる傾向がある。この要因は,成員の目標達成のための手段的相互依存関係の程度にあると考えられる。一般には,課題の困難を増すにつれて協同の度合いを高めなければならないが,課題Iは課題IIよりもこのような協同事態により適切なものとなっていることを示す。 (4)こうして,協同・競争の集団を力学的な活動体系とみる考え方を実証しえたと思われるが,3変数の相互関係の基本的な様相(configuration)からは,協同と競争の集団間に差はみとめられない。 しかし,集団成員のパーソナリティ特徴は,集団過程に劣らず重要である。集団過程とパーソナリティの相互関連を検討することが,今後の課題となる。これは他の機会に発表したいと考えている。
著者
廣澤愛子 大西将史 岸俊行
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第57回総会
巻号頁・発行日
2015-08-07

目 的 解離とは,苦痛をもたらすものを自己から切り離す心的作用であり(Putnum,1997),解離性同一性障害に代表されるような病的解離もあれば,単に苦痛な事柄をなかったことにしようとする非病理的な解離もある。Putnum(1997)によると,病的解離は正常な人が稀にしか体験しないものであり,病的解離と非病理的解離は異なる認知構造を有すると言う。そして両者の大きな違いは,非病理的解離が苦痛な状況を切り離したことを覚えている点である。近年,非病理的解離の増加が指摘されているが(岩宮, 2009),その研究は,病的解離と比べて極めて少ない。そこで本研究では,病的解離とは異なる認知構造を有する非病理的解離の尺度を作成する。なお,非病理的解離は自分にとって苦痛なものを意識的に切り離す行為であるため,ストレスへの対処行動と考えることができる。そこでこの尺度を解離的対処行動尺度と呼ぶ。方 法 調査協力者 大学生154名(男80名,女74名,平均年齢20.51,標準偏差1.35)を対象に質問紙調査を実施した。 調査内容 (1) 解離的対処行動尺度 いじめ体験に関する記述回答(廣澤,2008),及び回避的なストレス対処行動に関する既存の尺度を参照し,苦痛な体験を「切り捨てる」14項目,苦痛な体験と「距離を置く」12項目,辛い気持ちを「割り切る」10項目,計36項目の尺度を作成した。評定は全く当てはまらない~非常に当てはまるまでの6段階である。 (2) 解離性体験尺度 病的解離との弁別的妥当性を確認するために,Bernstein&Putnam(1986)による解離性体験尺度の日本語版28項目(田辺・小川,1992)を用いた。「0%:そういうことはない」から「100%:いつもそうだ」の11件法で回答を求めた。 (3) 対人ストレスコーピング尺度 加藤(2001)による本尺度は,ポジティブ関係コーピング16項目,ネガティブ関係コーピング10項目,解決先送りコーピング8項目から成る。評定は,当てはまらない~よくあてはまるまでの4段階である。結果と考察 解離的対処行動尺度の因子分析 尺度の候補項目について3因子を指定し,因子分析(主因子法,Promax回転)を行った。そして因子負荷量が.35未満の項目,当該因子以外への負荷量が.20以上の項目,計21項目を削除し,再度因子分析(主因子法,Promax回転)を行ったところ,想定した3因子構造(切り捨て6項目,距離を置く5項目,割り切り4項目)が得られた。3因子の累積寄与率は47.7%であった。因子負荷及び因子間相関をTable1に示す。 解離的対処行動尺度の信頼性の検討 3因子ごとのα係数は,切り捨て(α=.77),距離を置く(α=.75),割り切り(α=.68)であった。「割り切り」のα係数がやや低いが,項目数が4項目であることを考えると,許容範囲と考えられる。 解離的対処行動尺度の妥当性の検討 解離性体験尺度との相関では,「切り捨て」「距離を置く」「割り切り」のいずれも相関が見られず,病的解離との弁別的妥当性が確認された。次に対人ストレスコーピング尺度との相関では,「切り捨て」及び「距離を置く」はネガティブコーピングと(r= .31,r= .26),「割り切り」は先送りコーピングと(r= .36),弱い正の相関が見られた。対人ストレスコーピングとの関連が見られたことから,本尺度の構成概念妥当性が示された。また,抑鬱や友人関係における否定的影響との関連が指摘されているネガティブコーピングと相関が見られた「切り捨て」及び「距離を置く」は,望ましくない結果をもたらす対処行動と言える。一方,「割り切り」と相関が見られた先送りコーピングは,ストレス緩和や友人関係における満足感の向上との関連が指摘されており(今田, 2000など),肯定的結果をもたらす対処攻略と言える。このように,解離的対処行動は肯定的・否定的両面の結果をもたらす心性であることが示唆された。
著者
内田照久
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第61回総会
巻号頁・発行日
2019-08-29

問題と目的 本研究は,「教育測定データの蓄積」を,個人の学力評価や処遇決定のための資料的役割に留めず,教育制度の改善に向けた施策や配慮が必要な児童生徒の支援制度の設計を行うための,基盤となるエビデンス・データとして,有効に役立てて行くことを目指す。本報告では,はじめに大学入試に係るデータから,初等中等教育から高等教育まで連なる社会的な教育課程と,子どもの発達成長との適合性について考察する。方 法 はじめに,厚生労働省の人口動態調査を基に,平成30年度センター試験の新卒志願者と同学年コーホートに属する者の月齢別の出生者数を集計した。4/1生まれの者は前年度の学年コーホートに入るため,その補正も行った。その上で,月齢ごとに,センター試験の志願率をもとめた(Fig. 1)。 次に暦月齢ごとに,センター試験の英語筆記,国語,及び数学IA及びIIBについて,その平均点をもとめた(Figure 2)。結果と考察 Figure 1の月齢ごとのセンター試験志願率を見ると,歴月齢が高い程,その志願率が上昇していることがわかる。そして,いわゆる早生まれの暦年少者は構成比率が低く(37.1%~),月齢が高くなるとその比率が次第に上昇して,4月生まれの暦年長者の志願率が最も高くなっている(41.3%)。 一方,Figure 2の月齢別の試験成績を見てみると,今度は逆に早生まれの暦年少者で平均点が高く,月齢が高くなるにつれて低下する傾向が見られる。この現象は数学で最も顕著で,3月生まれの暦年少者では平均が113.3点であったが,4月生まれの暦年長者の平均は110.2点であった。なお,英語でもこの低下傾向が読み取れるが,国語では必ずしも明瞭ではない。 これらの原因として,中学受験をはじめとした早期選抜の影響が考えられる。初中教育段階での選抜では,月齢差による発達面の能力差が厳然と存在するので,暦年齢の関数の形で人数の偏りが発生すると推察される。そして,その構成比率が上位の学校まで持ち越されて,大学の受験機会にまで影響を及ぼしている可能性がある。 一方,暦年少者のポテンシャルは,決して低いものではないと考えられる。センター試験の成績では,暦年少者の方が暦年長者よりも数学や英語で平均点が高く,月齢に対する逆転現象が起きていた。暦年長者は,成長発達面で先んじていたが故の上位校合格者が多いとも考えられる。しかし,高校段階になると,学力の個人差は,発達差ではなく,学習の成果として顕在化するようになろう。すると,相対的人数は少ないが,成長面での不利に抗して勝ち残ってきた,潜在的ポテンシャルの高い暦年少者の集団が,暦年長者集団を学力面で,凌駕した帰結と捉えることもできるかも知れない。引用文献川口大司・森 啓明 (2007). 誕生日と学業成績・最終学歴 日本労働研究雑誌, No.569, 29-42.付 記 本研究は,平成28~30年度 大学入試センター理事長裁量経費の援助を受けた。
著者
三輪聡子 小野田亮介 秋田喜代美
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第58回総会
巻号頁・発行日
2016-09-22

問題と目的 学校における教育は,教師と児童・生徒間のみならず,子どもたちの家庭での姿を知る保護者と連携しながら進められる必要がある。その点で,教育は学校に閉じた場ではなく,学外にも開かれた場であるべきだといえるだろう。実際に,小学校学習指導要領(文部科学省,2008) の総則においても,「2(12)学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること」と明記されており,保護者との連携の重要性が示されている。教師と保護者が有意義な連携をはかっていくには,教師・保護者間での教育観の共有が必要になる。そのため,日々の学校教育を通して,教師が保護者に自身の教育観を伝えることは,学校教育の質を高める上でもきわめて重要な活動となる。 そこで本研究では,教師の「教育指針」に焦点を当て,初任の小学校教師が自身の教育指針を保護者といかに共有していくかについて明らかにする。そのために,本研究では,教師が保護者宛てに発行する「学級通信」に着目した検討を行う。学級通信は保護者に向けた単なるお知らせではなく,児童の様子や教師の教育指針が含まれている(鈴木,2012)。学級通信に示される内容に着目することで,保護者に示される教師の教育指針の変化についてミクロに捉えることが可能となる。方 法対象 小学校1年生の学級(32名)を担任した20代の初任男性教員1名を対象とし,その1年間に発行された学級通信の内容(全72号)を分析対象とした。なお,本研究が焦点をあてた教師は,1ヶ月に平均6通の学級通信を作成していた。分析の枠組み 学級通信から,教師が自身の教育観や信念に言及している箇所を「教育指針の提示部分」として命題単位で抽出した。そして,それらの記述を(1)目指す児童・学級の在り方に関する「児童・学級に関する指針」,(2)保護者への願い・依頼である「保護者に関する指針」,(3)目指す教師自身のあり方に関する「教師に関する指針」の3カテゴリに分類した。結果と考察全体的特徴 カテゴリごとの提示数をTable 1に示す。全体的傾向としては,児童に関する提示数が最も多く,保護者や教師に関する指針の記述は少ない傾向が認められた。教育指針の提示傾向 月ごとの教育指針の提示数から(Figure 1),新学期が始まった翌月の5月と,夏休みが終了した翌月の9月に相対的にみた提示数の頻度が高くなっていることが確認された。すなわち,教師は児童が家庭から学級に移行・参入した時期を一定期間看取り,その翌月に児童・学級に関する教育指針(例:結果だけでなく過程を自分で褒められるようにしたい)を多く打ち出していることが示された。また,少数ではあるが5月と9月は保護者に関する指針(例:授業参観ではなく授業参加してほしい)も確認されることから,家庭から学級への移行に際して,教師は保護者に向けても教育指針を強調する学級通信を刊行していたことが示唆された。 一方,教師の指針に関しては,一年の終盤に提示が確認されるにとどまった。この点について,教師は「はじめから自分の想いは前面に出さなかったと思います。…もっと関係性ができてから出すようになりました。」と述べており,保護者との信頼関係を構築しながら,自身の教師としての在り方を明確化し,それを共有していたことが推察される。以上より,教師は保護者との関係性構築を通して,自身の専門性を深め,共有するようになっていたと考えられる。