著者
Pavetti Infanzon Alicia Tanaka Kenji Tanaka Shigenobu
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2015年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.100050, 2015 (Released:2015-12-01)

Changes in vegetation traits are capable of affecting the exchanges processes of momentum, heat, and moisture between the atmosphere and the surface influencing climate over different spatial en temporal scales. Paraguay had dense forest cover until 1970 but due to agricultural expansion, the country lost two thirds of its Atlantic forest. This study aims to assess the impacts of the actual land cover changes, produced in Paraguay between the years 2000 and 1990, on the climate under wet and dry conditions. For this, the meso-scale numerical prediction model CReSiBUC was used to perform two sets of simulations for November (wet setting) and July (dry setting) 2006-2012. Each of these simulation sets used different vegetation scenarios and NDVI data but kept constant all other boundary and initial conditions. Thus, the potential effects of land-use change on precipitation were modeled and the mechanisms that may drive changes in local/regional climate were studied.
著者
森脇 亮
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.57-67, 2016-01-05 (Released:2016-04-15)
参考文献数
52

渦相関法を用いた地表面フラックスに関する研究は平原・海上・森林といったフィールドにおいて先行して行われてきたが,1990年代以降,都市域においても渦相関法を用いたフラックスの観測事例が増えてきた.フラックス観測データの蓄積により都市-大気間のエネルギー収支の定量的な把握が進んでいるが,一方,都市における熱収支は裸地や植生におけるそれとは異なる取り扱いが必要であることも明らかになっている.本稿では都市接地層で行われるフラックス観測について,適切な観測サイトの選定方法,観測高度の設定,観測を行う際に留意すべき事項,熱収支の考え方について解説する.また熱収支・CO2 フラックスの時間・季節変化の特徴,発生/吸収源などについて,これまで得られている知見を,著者らの研究を中心にまとめた.最後に,都市版のフラックスネットとして立ち上げられたUrban Flux Networkについて紹介しながら,近年の研究動向などを解説する.
著者
松井 宏之
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.496-502, 2006 (Released:2006-12-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

JMA-80型地上気象観測装置(以下,JMA-80)からJMA-95型地上気象観測装置(以下,JMA-95)への測器の更新に着目し,測器の更新により生じた観測気温の差を試算し,以下のような知見を得た.1)測器更新前後での地上気象観測値とアメダス観測値の差を用いて,測器更新時に生じた極値の差を概算することができる.2)JMA-80からJMA-95への更新により,月平均最高気温は+0.14±0.04℃(平均±標準偏差),月平均最低気温は-0.04±0.01℃(同)程度ジャンプしている.3)月平均最高気温,月平均最低気温の変化により,月平均較差も+0.18±0.04℃(同)程度ジャンプしており,ジャンプ幅の約7割は月平均最高気温のジャンプが寄与している.
著者
北 祐樹 山崎 大
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.267-278, 2022-07-05 (Released:2022-07-07)
参考文献数
32
被引用文献数
1 3

国や自治体が整備する洪水ハザードマップは広く利用される一方で,水系ごとに洪水ハザードマップを個別作成することの大きな時間とコストが課題である.本研究では,グローバル河川氾濫モデルCaMa-Floodによる広域シミュレーション出力から日本の1,000年確率規模の想定浸水域を作成し,公的なハザードマップと比較することで,モデル出力をハザードマップとして活用する可能性を議論する.再解析流出量を入力としてCaMa-Floodで計算した水位を極値解析して1,000年確率規模の水位を得,高解像度の地形データでダウンスケールして想定浸水域図を作成した.得られた想定浸水域を公的ハザードマップと比較すると,バックウォーターによる浸水や分岐河道での浸水域が概ね表現されていた.一方で,上流からの越水や集水域境界を跨いだ流れで生じる浸水が一部表現されないという課題が確認され,CaMa-Floodで作成した想定浸水域内に含まれる人口は公的なハザードマップに比べ29 %少なかった.グローバル河川氾濫モデル出力が洪水ハザードマップとして一定の精度を持つことを確認し,ローカルな洪水リスク評価への活用などの可能性を示した.
著者
稲岡 諄
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.166, 2023-05-05 (Released:2023-06-08)
参考文献数
2
著者
宮内 和樹 小山 直紀 山田 正
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会/日本水文科学会 2022年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.271, 2022 (Released:2022-12-20)

本研究は、浮体式太陽光パネル(FPV) 設置の有無による日射量の違いがため池内の水質に与える影響を定性的に評価することを目的とし、仮想のため池において生態系モデルを用いて数値計算を行った。その結果,FPV の池の被覆率にかかわらず,Chl-a濃度は水温が藍藻類の最適水温(30℃)付近である9月まで増加し続け、その後水温低下の影響を受けて、減少に転じることが分かった。また、FPVによる池の被覆率が30%、50%、70%と増加するにつれてChl-a濃度の増加する速さは鈍化し、ピーク値でそれぞれ約15%、30%、50%抑えられる可能性を示した.栄養塩濃度についてもFPVの被覆率を増加させることで、ため池の富栄養化を防ぐことができる可能性を示すことができた。
著者
白木 克繁
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.85-92, 2007 (Released:2007-04-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

粗い空間刻み幅を用いて浸透数値計算を行う際に,グリッド境界透水係数の算出法の相違がどのような影響をもたらすか比較検討した.また,新たに粗い空間刻み幅においても定常状態の圧力水頭分布を近似計算できる,変動重み付け法(η法)を提示した.計算手法として,圧力水頭算術平均法,体積含水率算術平均法,透水係数算術平均法,透水係数相乗平均法,透水係数調和平均法,上流法,η法を比較した.定常状態の数値実験より,上流法,η法を除いて,粗い空間刻み幅の時に圧力水頭分布に空間的な振動が発生することが分かった.ここで,透水係数算術平均法での振動幅がもっとも大きかった.乾燥土壌への浸透数値実験より,透水係数算術平均法,上流法,η法で安定して計算可能であることがわかった.一方,圧力水頭算術平均法,体積含水率算術平均法,透水係数相乗平均法,透水係数調和平均法において,空間刻み幅を粗くした場合に計算不能になる場合があることが分かった.排水過程での非定常数値計算より,圧力水頭算術平均法とη法が粗い空間刻み幅においても精度の良い近似結果を示すことが分かった.総合的に見て,粗い空間刻み幅を用いる場合はη法が有効であるが,事前にη値を算出するという前処理が必要になる.
著者
乃田 啓吾 岡根谷 実里 沖 大幹
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2012年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.104, 2012 (Released:2012-12-01)

水資源は人間生活にとって必要不可欠なものであるが、将来的な人口増加、生活水準の向上によって、その需要が逼迫すると言われている。特に淡水利用の約70%を占める農業用水の不足は、世界的な食糧問題を引き起こすものと懸念されている。元来、水が時間的・空間的に偏在する資源であることに加え、農業生産システムは気候、作物等によって地域・国ごとに大きく異なる。そこで本研究では、水不足が引き起こす食糧問題に注目し、その影響を受けやすい地域を特定することを目的とする。具体的には、食糧生産のために使用された水の総量を農業投入水量定義し、これと農業生産量に正の相関が認められる国を、食糧生産が水不足の影響を受けやすい国として判別する。人口1,000万人以上かつデータを入手できた155カ国を解析の対象とした。国ごとに各年の農業投入水量と主食作物の農業生産量の相関係数Rを求め、R>0.33の場合に水不足によって食糧生産が減少する国と判定した。ここで、主食作物とは小麦、トウモロコシ、米の三種の穀物のうち、最も生産量の多いものとした。 米を主食作物とする国は、他の二作物を主食作物とする国比べて、水不足により食糧生産が減少する国が少なかった。米は他の二作物と異なり、主に水田で栽培される。水田は貯水機能により、降雨を有効に利用できるため、水不足による農業生産量の減少が生じにくいものと考えられる。日本のように十分な灌漑設備を有する国や東南アジアのように降水量が多い地域では、降水量の多い年には日照が不足し農業生産量が減少することから、農業投入水量と農業生産量の間には負の相関がみられた。また、インドは米を主食作物としながらも水不足の影響を受けやすい国として判定された。インドは将来の人口増加による水需要の逼迫が特に懸念されている国であり、食糧生産が大きな影響を受ける可能性が高いことが確認された。 一方、小麦を主食作物とする国では、先進国・発展途上国問わず多くの国で水不足による農業生産量の減少が生じると判定された。1960年代の緑の革命以降、小麦の単収は、窒素肥料の投入により飛躍的に向上したが、広範囲で渇水が生じた場合、大幅に総生産量が減少する可能性が示唆された。
著者
山田 拓也 山田 正
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第18回(2005年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.138, 2005 (Released:2005-07-25)

津波の河川遡上や洪水波の流下等,河川を伝播する波動現象は河川管理上非常に重要な問題である. 特に河川蛇行部では曲率に伴う遠心力の影響により,波の振幅が増大する事が考えられる.従って川を遡上・流下する波動の解析には河川形状の影響を正確に反映する必要がある.従来,波動論では水深変化に伴う波形変化や砕波・分散の影響に関する1次元解析が幾多の研究者により研究され,優れた成果が示されている.一方,河川で生じる波動現象に着目し,河川形状を正確に考慮した二次元理論解析を行った研究は著者が調べる限り存在しない.本研究では, 任意河川形状に適合する一般化座標系を用いて河川形状を解析に正確に反映した河川に於ける波動解析を行う.
著者
竹田 稔真 朝岡 良浩 林 誠二
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.351-366, 2021-11-05 (Released:2021-11-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2

将来の気候変動の影響も考慮した大規模豪雨時に,下流側市街地の洪水緩和に寄与する田んぼダムの雨水流出抑制効果を検討した.まず,田んぼダムの流出抑制機能と畦畔越流を組み込んだ雨水流出モデルの妥当性を検証した上で,田んぼダムの効果を2019年台風19号の降雨を適用した数値計算により確認した.次いで,気候モデルにより推定された阿武隈川流域内4地点の現在並びに将来降雨を適用した計算を行い,水田水深や排水路水深の変動状況の比較から,気候変動に対する田んぼダムの有用性を定量評価した.結果として台風19号に対しては,田んぼダムにより排水路水深を0.10 m~0.16 m低下させ,流出ピークを60分遅延できることが示された.次いで,現在並びに将来降雨を適用した場合,現況の畦畔高では畦畔越流が生じ,田んぼダムの効果は必ずしも機能しなかった.これに対し,越流が生じないよう畦畔高を最大0.42 mまで嵩上げした場合,将来降雨適用時にも田んぼダムにより排水路水深の上昇が抑えられ,水害リスク軽減に繋がる可能性が示された.以上より,田んぼダムは畦畔高の嵩上げと併せて行うことが適応策として効果的と考えられる.
著者
佐藤 航 土屋 修一 山田 正
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第19回(2006年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.76, 2006 (Released:2006-09-11)

1990年代から関東地方では,夏季に集中豪雨などのごく短時間に30_-_50mm/hrの雷をともなう激しい雨が頻発しており,それにより都市河川の氾濫や交通網の麻痺といった災害が社会問題とされている..著者らは,ドップラーレーダを用いて約10年間の降雨観測を行い,関東平野で発生するメソβスケール降雨の発生から消滅までの一連のメカニズムについて明らかにしてきた.本研究は,夏季の集中豪雨の降雨特性を明らかにするためドップラーレーダによる観測から,関東平野における雷雨性降雨の発生時間・発生地点,降雨強度32mm/hr以上の強雨の降る地域分布,強雨域の移動について解析を行った.結果をしめすと 雷雨性の降雨は東に移動するものが多く,他の方向に移動する降雨域よりも移動速度は早く,降雨強度も大きい傾向がある.
著者
新井田 拓也 脇山 義史 高田 兵衛 谷口 圭輔 藤田 一輝 コノプリョフ アレクセイ
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
pp.360, 2021 (Released:2021-12-30)

本研究では,河川における137Cs動態および海域への影響を明らかにすることを目的として、福島県浜通り地域の3河川の下流域において出水時の採水を行い,懸濁態・溶存態137Csの濃度変化を記述するとともに,懸濁物からの137Cs溶脱を含めて海域への137Cs移行量を求めた.新田川原町地点,請戸川幾世橋地点,高瀬川高瀬地点において、2019年9月9~10日,2020年7月14~22日,2020年7月28~30日の出水イベント時に採水を行い、懸濁態・溶存態137Csの濃度を測定し、懸濁態137Cs流出量・溶存態137Cs流出量および懸濁物からの137Cs溶脱量を推定し,海域への137Cs移行量を求めた.懸濁物の137Cs濃度はいずれの河川においても有意な正の相関(p <0.05)を示し,溶存態137Cs濃度は新田川と請戸川で有意な正の相関(p <0.05) を示した.137Cs流出量は新田川で6.6~24 GBq,請戸川で1.9~8.8 GBq,高瀬川で2.8~13 GBqであった。このうち,懸濁態137Csからの溶脱量は0.19~2.8 GBqであり,溶存態として流出する137Csの量の0.8~15倍の値となった.海域への移行を考える上でも,懸濁態137Csの動態の理解が重要であることがわかった.
著者
本谷 研
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.408-419, 2003 (Released:2004-05-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

1998年の観測後に改修された2001年航空機搭載型分光走査放射計 (AMSS) の観測データについて, 各種地表面に対応するスペクトラム, 3波長 (可視1近赤外2) による植生·積雪指標の代表値を求めた. また検証のための詳細な植生密度観測を行い, 指標や積雪のある森林におけるアルベドと植生密度との関係を求めた. さらに, 2高度における観測の比較から大気補正の問題と指標に与える影響について, 放射伝達モデルの理論値と比較して考察した. 高度3960m (13200ft) での観測では490nmよりも短波長側ではレイリー散乱による影響が無視できないが, 植生·積雪指標に用いる可視 (625nm) , 近赤外1 (865nm) では大気の影響は少なく, 近赤外2 (165nm) も水蒸気により若干減衰するが指標への影響は少ない. さらに, 2高度について近紫外 (380nm) , 可視 (625nm) , 近赤外1 (865nm) , 近赤外2 (165nm) のセンサのViewing Angle依存性を調べたところ, 1000nmより短い波長帯ではViewing Angle依存性は1998年のデータの半分程度になった. これはセンサの瞬時視野角 (IFOV) を2.5mradから5mradに大きくしたためと考えられる.
著者
花崎 直太
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2012

地球温暖化による水資源への影響を地球規模で予測し、適切な適応策を立てることは重要である。これに関して、これまでに多くの報告書や論文が出版されてきた。しかし、先行研究には3つの課題がある。第1に、先行研究の多くが年単位で水資源の評価をしていることである。第2に、先行研究の多くが気候と人口以外の要素を現状で固定して評価を行っていることである。第3に、先行研究はNakicenovic and Swart (2000)による社会経済・排出シナリオ(以下SRES)およびそれに基づく気候シナリオCMIP3を利用していたことである。現在、SRESに代わる新しいシナリオRCPが整備されつつある。本報告では、これらの問題に対応した新しい全球水ストレス評価の検討結果を報告する。
著者
木下 陽平
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.46, 2018-01-05 (Released:2018-02-20)

誰もしていないことをするというのは研究の醍醐味のひとつであろう.著者の研究経過を振り返り,考えてきたこと・学んだことを簡単に紹介する.