著者
片山 義雄
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成27年度には、マウス造血組織である骨髄、胸腺、脾臓だけでなく造血幹細胞株やT細胞株での匂い感受シグナル特異分子 AC3 と Golf の mRNA 発現を確認できた。これらの一部は蛋白レベルでも確認できた。In vivo の実験として、植物由来匂い物質であるα-ピネンをG-CSFによる造血幹細胞動員に併用したが、動員効率を変化させる効果はみられなかった。平成28年度には、in vitro で血球のみでなく間葉系も含めた各種細胞株における、ある匂い物質による細胞運命制御の検討に集中して研究を進め、この部分に関しては今後特許申請予定となったため公開を差し控える。
著者
呉 遵民
出版者
神戸大学
巻号頁・発行日
2000

博士論文
著者
石原 武明
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

過去の文献および海外の学会から手に入れた情報をもとにholeのサイズ、holeの間のサイズ、表面あたりのholeの個数、その配列情報を収集した。これらの情報より人へ照射できるサイズのグリッドを作図し、鉛素材をつかって、金属加工の業者に作成していただいた。まずはこのグリッドをX線が正確に通過することを確認する必要があり、そのためフィルムを使った照射実験を行った。照射を行ったフィルム解析では、想定どおりの線量のvalleyとpeakが表現できており、照射可能な状況であることを確認した。また、エネルギーを変えたり、線源を変更したが、いずれも問題なくこのholeを通過することを確認することができた。
著者
窪田 充見
出版者
神戸大学
雑誌
神戸法学雑誌 (ISSN:04522400)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.239-278, 2000-01
著者
石森 大知
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、ソロモン諸島におけるバハーイー教徒とキリスト教徒の共生関係を考察するものである。バハーイー教徒は、改宗後もキリスト教徒の諸儀礼や行事に参加している。そこには2つの論理がみられる。1つは、彼らは自らを「見えない存在」とする実践を行っていること。もう1つは、彼らは「宗教(lotu)」と「伝統」を異なるものとみなし、後者の領域に親族的な事柄を置くことで、既存の社会関係の維持を図っていることである。これらの論理が村落部における二者間の共生関係の基盤にあることが明らかとなった。
著者
橋本 隆夫 内田 正博 小紫 重徳 光末 紀子 石川 達夫 三木原 浩 平野 雅史 石光 輝子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

冷戦構造の解体後の新たなナショナリズムのうねりの中で、ユーロ通貨統合に象徴される統合体としてのアイデンティティを模索するヨーロッパの文化の交錯をめぐるわれわれの研究は、これまでの成果を深めさらに一層の広がりと深みの地平を獲得し、ここでひとまず4年の区切りをつける。今年度は各自が4年の研究活動の集大成として、研究会の発表を基に、また、ある者は海外より持ち帰った最新の文献資料を駆使し、それぞれの研究を論文に結実させた。個々の活動としては、1 研究会としては11月30日に橋本隆夫氏が「新石器革命と大地母神信仰」と題して、ヨーロッパの基層にある大地母神信仰について考古学的知見とホメロスやヘロドトスの文献的研究をクロスさせた学際的発表を行った。2 7月12日に立命館大学教授西成彦氏を迎え、「小説の一言語使用」の題目で講演会および討論会を行い、ポーランド生まれのイギリス作家ジョセフ・コンラッドの言語的アイデンティティのゆらぎを中心に活発な意見が交わされた。3 12月7日には静岡文化芸術大学専任講師小林真理氏による講演会「ヨーロッパの文化権と文化法について」が行われた。文化芸術振興基本法についての議論が進められる中、文化の中心地として長く君臨したヨーロッパの現在の文化支援や文化政策について多くの知見が得られた。研究会、講演会、海外調査研究を通じて、わたしたちはヨーロッパにおける文化の交錯とアイデンティティの複雑さ、強靭さの一端を垣間見ることができた。地域研究=個別文化研究の枠組みにおさまりがちだったヨーロッパ研究の守備範囲を少しでも広げられたのではないかと小さな自負を感じるしだいである。
著者
坂井 貴行 忽那 憲治 井内 健介
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

我が国の大学等には,優れた科学技術の研究成果が多く存在するものの,多くの研究成果は商業化まで至っていない.大学等における産学連携・技術移転はイノベーション創出に極めて重要であると考えられており,科学技術の研究成果を産み出す「研究者」と研究成果の商業化の担い手である「産学連携実務者」の考え方,取り組み方はイノベーション創出可否の鍵になると考えられる.本研究では,研究成果の商業化に関わるステークホルダーである「産学連携実務者」と「理系研究者」とに着目し、日本において何が商業化の課題・制約となっているのか,その心的要因を明らかにし,更に欧州の分析結果と比較して我が国が抱える科学技術研究成果の商業化における問題点を明らかにすることを目的としている.平成30年度は,産学連携実務者を対象に,Quadruple Helixモデルによる6Pマーケティングミックスを用いて大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)をおよび分析を行った.平成31年度は、平成30年度に実施した研究成果は論文として取り纏め、産学連携学会誌『産学連携学』に投稿し、acceptされた。また同様のモデルを用いて、大規模大学と中小規模大学の理系研究者を対象に、大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)を実施し、理系研究者が自身の研究成果の商業化に対してどのような意識を持ち,何が商業化の制約になっているかを分析した。
著者
坂井 貴行 忽那 憲治 井内 健介
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

日本の産学連携組織(大学等の産学連携部門・TLOなどの技術移転機関)においては、成果・収入を経年的に向上させている優良組織とそうでない衰退組織の二極化の傾向がある。本研究では、大学・研究機関における産学連携組織の成功要因を精査するために衰退する要因に着目し「衰退しない要因」を導出する。インタビュー調査により、これまで積極的に取り上げてこられなかった衰退に関するデリケートな情報を体系的に収集し、組織に関する一次データを用いた質的比較分析を実施することで、大学・研究機関・TLO等の産学連携組織のガバナンスの在り方など、我が国の抱える大学・研究機関における産学連携組織の問題点を明らかにする。
著者
西野 友年
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

有限温度密度行列繰込み群(DMRG)では、有限温度の一次元量子系を表現する筒形の二次元古典系に「切れ目」を入れて密度行列を構成することが、一般的に行われている。この場合、系のトポロジーが平面とは異なるので、従来から行われて来た単純な密度行列構成が、フリーエネルギー最小の意味において必ずしも最適ではないことが判明した。その理由は、筒を「回り込む」形の情報伝達が正しく取り込まれないからである。同様な困難は三次元古典系にも現れる。そこで本年度はDMRGの基礎に立ち返って、テンソル積で表現された変分関数を改良するという視点から、三次元古典系に対する有効な密度行列構成方法を検討した。その結果として、補助的な自由度を持ったテンソル積型変分関数を最適化する基本方程式を得ることに成功した。また、角転送行列繰込み群(CTMRG)を用いると、この方程式を数値的に解けることが判明した。以上のようにして得られた、新しい密度行列変分法(TPVA)を三次元Ising模型およびPotts模型に応用し、相転移温度や潜熱の測定などを行い、モンテカルロ法の結果と比較し得るデータを得た。他方、CTMRGを16vertex模型に適用することによって、これまでに調べられていなかったパラメター領域での相図を確定した。
著者
廳 茂
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

「社会学」という学問の形成に歴史的にみて重大な意義を果たした19世紀後半から20世紀初頭の初期ドイツ社会学の包括的な思想的布置は、ウェーバー研究を除けば、今日に至るまで十分に解明されていないテーマである。本研究は、当時を代表するディルタイ、テンニース、ジンメルの3人の思想家の関係と相違に着目しつつ、そもそも社会学とはいかなる思想的課題を担ったものであったのかを明らかにしようとしたものである。とりわけ、ジンメルを中心におき、そこにディルタイとテンニースなどを絡ませる形で、研究を進めた。ドイツ社会学の思想的意味をめぐる研究の基礎を立ち上げるまでには、研究は確実に進捗したといえる。