著者
榎本 平
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

西日本各地のダム湖から野生の重油生産藻類ボトリオコッカス(Botryococcus braunii, Bb)を採取し、液体培養法と寒天培養法を組み合わせて育種法によって約1年5カ月間増殖力の優れたBb株の選別を行った。その結果、これまでには考えられなかった分裂速度(Doubling Time, DT)≒2. 5日を持つ新規のBb株を分離することに成功した。またこの株は、最適培養温度=29~30℃という比較的高温で生育する新規のBb株であることも明らかにした。
著者
南方 寛一
出版者
神戸大学
雑誌
國民經濟雜誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.48-63, 1964-08
著者
金井 壽宏 三品 和広 上林 憲雄 原 拓志 平野 光俊 高橋 潔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

長らく停滞した後、再復興期に入った日本の産業社会の活力の向上のため、企業の持続する競争優位性の元となる組織能力を再構築する必要がある。従来この議論は、たとえばリソースベースの経営戦略論として論じられてきたが、本研究では、組織能力構築に真に貢献できる、企業のコア人材、とりわけ経営人材と高度専門職人材に焦点を合わせて、人材の体系的な育成に関する理論的・実証的研究をおこなった。国家レベルの競争力を高めるうえで人材育成が果たす役割について米国を主たる比較研究も実施した。その結果、第1に、戦略の成功の問題は、人材育成の問題と切り離しては考えられないことが確認された。戦略的人的資源管理という名のもとに、戦略とリンクしてひとの問題を扱う重要性が示唆されてきたが、その育成内容は、次期経営幹部候補の体系的な育成、またその育成プロセスの加速化に焦点をあわせる研究が有望であることが判明した。また、どのように経営人材になるかという問題だけでなく、より早く最高経営責任者になり、より長く采配を振るう機会を与えることの重要性も確認された。第2に、経営人材、高度専門職人材を問わず、コア人材の育成は、フォーマルな座学の育成とのかかわりをけっして軽視することはできないが、産業のなかで、また個別の企業のなかで、いったいどのような仕事をどのような時期にだれのもとで経験するかという点がいっそう重要である。したがって、リーダーシップ開発の問題も、高度専門職の育成の問題も、なんらかの「経験の理論」にも裏付けられる必要があることがわかった。第3に、大きな展望としては、経営学におけるシステムに目を向ける視点と、ひとの問題を照射する視点とが今後は、意味ある形で統合されると、真に国家レベルの復興に経営学も貢献しうることが示唆された。経営学における人材育成を天下国家レベルの国の活力に結びつける研究への橋頭堡となった。
著者
丹生 健一 志水 賢一郎 大津 雅秀 石田 春彦 菅澤 正 石橋 敏夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

目的:甲状腺疾患は食生活や人種により発生頻度や病態が異なることは良く知られているにも関わらず、日本人のret/PTC遺伝子発現に関する報告は、これまでのところ、ほとんどない。本研究では、日本人の各種甲状腺疾患におけるret/PTCの有無を調べ、病理組織・臨床的事項との相関を検討し、本邦の甲状腺疾患におけるret/PTCの意義を研究した。対象と方法:東京大学附属病院耳鼻咽喉科および神戸大学附属病院耳鼻咽喉科において治療が行われた日本人の各種甲状腺疾患の手術標本を用いて免疫組織染色手法によりret/PTC遺伝子の有無およびp53遺伝子の過剰発現を調べ、得られた結果を、病理組織像ならびに臨床的事項と比較検討した。結果:対象となった症例は濾胞腺腫19例、濾胞腺癌2例、分化型乳頭癌40例、低分化型乳頭癌6例・未分化癌4例、髄様癌2例であった。Ret/PTC遺伝子は、分化型乳頭癌40例中14例に認められたが、他の組織型には全く認められなかった。一方、p53遺伝子の過剰発現は、分化型乳頭癌の中では1例にしか認められなかったが、低分化型乳頭癌6例中2例、未分化癌4例中4例に認められた。臨床的事項との関係を検討したところ、ret/PTC遺伝子は40歳以上34例中12例に認められたが、40歳未満の6例には一例も認められなかった。病期分類との関係では、T分類、N分類、いずれとも相関は認められなかった。一方、慢性甲状腺炎を合併した症例では9例中4例(44%)、慢性甲状腺炎を合併しなかった症例では31例中8例(26%)にret/PTC遺伝子が認められた。考察:ret/PTC遺伝子は日本人の甲状腺乳頭癌においても35%に認められた。低分化型や未分化型には全く認められないことから、分化度の低い乳頭癌では発生機序が異なると考えられた。
著者
佐藤 隆広
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の特筆すべき研究成果は以下の3点にある。第一に、解雇規制がインド労働市場に与える効果を事業所レベルのミクロデータや州パネルデータなどを通じて分析した。第二に、労働市場にかかわるデータ整備を行い、そうしたデータの一部を用いてインド経済のマクロ分析を行った。第三に、家計調査のミクロデータを用いて、労働供給の規定的要因である人口問題や貧困層向けに政府が自営を奨励したり賃金雇用を提供したりする貧困対策事業などの政策評価、などの実証分析を行った。
著者
福田 伊津子
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、食事性AhRリガンドであるフラボノイド類のうち、フラボン、フラボノール、フラバノン、カテキンの各サブクラスから数種の化合物を選定し、これらの化合物がAhRの活性化に関わる事象に対する影響と、投与形態がその体内動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。その結果、1.フラボン、フラボノール、フラバノンに属する化合物はAhRとアゴニストとの結合を競合的に阻害するのに対して、カテキンは阻害しないことが分かった。2.培養肝細胞においてダイオキシン類が誘導するAhRの核内移行に対しては、フラボンとフラボノールに属する化合物がこれを阻害した。3.(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCg)のみを投与したときの総EGCgが43nMであったのに対して、GTEを投与したときの総EGCgが427nMであった。同じ動物個体から得た血清を用いてマウス肝腫瘍由来Hepa-1c1c7細胞に処理したところ、4.2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-p-ジオキシンによって誘導されるシトクロームP450 1A1の発現を有意に抑制した。
著者
上田 徹一郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸法學雜誌 (ISSN:04522400)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.503-514, 1954-12
著者
吉田 典子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、ゾラの小説および美術批評と、同時代の絵画の動向との相関関係を調査・分析することによって、小説家と画家たちが共有した関心はいかなるものであったかを、近代都市パリの歴史的・社会的・文化的な文脈の中で検討することである。本研究の成果は、次の3点にまとめられる。1.アカデミズム絵画とその表層の美学について、『獲物の分け前』における第二帝政期のパリ・モードと女性の身体の問題の視点から考察した。虚飾に満ちた第2帝政期を批判する内容を持つこの小説は、絵画との関連から見て、なめらかな表層と物語主題を追い求めるアカデミズム絵画に対する批判と解釈できる。2.第3共和政成立期の都市パリと新しい絵画の関係について、『パリの胃袋』と都市風景画の問題を、二つの観点から分析した。ひとつは、パリ・コミューンによって多くの建物が廃墟と化した都市パリの再構築と産業化の問題である。鉄とガラスの近代建築の賛美、光を浴びた鮮やかな色彩による都市の装飾は、モネや印象派の絵画と共通する。もう一つは「共和主義」と絵画の問題であり、ゾラの小説と、モネおよびマネによる都市風景画の関連を指摘した。3.商品経済の発達と絵画の関連について、とりわけ近代絵画における物質主義や、商品と女性へ注がれるまなざしの問題を、二つの観点から考察した。ひとつは、『パリの胃袋』における食料品の描写と静物画の問題である。ゾラにおける中央市場の食品の描写とマネの描く静物画には、物質主義的側面が顕著であると同時に、それらの食材や花には商品性が刻印されている。もうひとつは近代商業の象徴としてのショーウインドーの問題である。商店や売り子を扱ったゾラの小説や同時代の絵画には、女性の身体の断片化や商品化が頻繁に見られるが、彼らはまた、近代の商業社会において、自分たちの芸術もまた商品であるという意識をもっていたことが指摘できる。
著者
横山 雅彦 水谷 雅彦 山崎 康仕 三浦 伸夫 宗像 恵 片柳 榮一 櫻井 徹 山田 広昭
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

我々は平成6年度から平成8年度までの3年間にわたって本研究を行ない、その結果、概略的にほぼ下記のような成果を得た。片柳は、ヨーロッパの自然法思想に独自の緊張を与え続けた旧約聖書の宗教的法思想が、古代イスラエル民族の苦難にみちた歴史的体験と密接不可分に結びついていることを、聖書解釈学の視点から明確にした。横山は、古代末期から12世紀のシャルトル学派にいたるまでのプラトン主義的な思想的系譜の展開の中に、中世ヨーロッパにおける自然法則概念の確立の重要な契機があることを、具体的な史料分析によって明らかにした。桜井は、17世紀後半のイギリスの宗教家カンバーランド主著『自然法の哲学的探究』の緻密な分析によって、彼の自然法思想が、当時のイングランドの支配階級の利害関係を強く反映するとともに、また王立学会の重鎮たるボイルの自然法則観とも通底していたことを実証的に示した。宗像は、17世紀のデカルトから18世紀中葉のルソーにいたるまでの自然法と自然法則に関する様々な思想を概観するとともに、それらの思想全体の相互関係を哲学史的視点から明確にした。三浦は、イスラム文化圈における自然法則概念の歴史的展開という、これまで全世界的にほとんど無視されてきた研究テーマを開拓し、その歴史的展開が近代西欧科学に対するイスラムの現代的対応とも連関していることを示した。山崎は、近年ますます大きな問題となりつつある生命倫理の問題に対する多様な法学的対応の中にもしばしば自然法的な思想が隠れていることを、妊娠中絶論争や尊厳死問題論争という 問題と関連して具体的に分析した。水谷は、パソコン文化の急激な大衆化と絡む電子ネットワークの情報倫理的問題に着目し、旧来の問題とのアナロジーに依拠した伝統的な法律的対応が引き起こす混乱の諸相を具体的な事例に基づいて明確にした。
著者
伊藤 光利 (2006) 五百旗頭 真 (2005) VICTOR KUZMINKOV
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

研究の第2部を構成するソ連解体後,エリツィンとプーチン時代の日ロ関係について研究を行った。まず,特徴なのは,ソ連時代と異なって新生ロシアと日本には,民主主義と市場経済の原理を信頼するという共通の価値観ができたことである。ソ連の解体とともに戦後に形成された二極支配の国際体系が崩壊し,日ソ間に存在したイデオロギーと体制上の対立がなくなった。第二に,1992年に登場したビル・クリントン政権はこれまでロシアに対して消極的であったブッシュ政権とは異なったロシアにおける民主化を積極的に指示することにした。また同盟国の日本の対ロシア政策の変化を求めた。第三に,国際情勢が変化するなかで,エリツィン・橋本の間で日ロは幅広い協力関係への転換を試みた。ロシアの政策が欧米との協調だけではなく,プリマコフ外相の下でアジアとの協力をも求める政策へと転換した。これを受けて日本はロシアに対する政経不可分の原則に基づいた「拡大均衡」政策から,更なる幅広い関係の発展を目指す「重層的アプローチ」の政策へと進んだ。日本政府は,アジア太平洋地域における安全保障のために,強いロシアの必要性を認めた上で,ロシアをG8の正式メンバーとして歓迎した。そしてエリツィンと橋本の両首脳の間に信頼関係が築かれ,それを基礎として,両首脳はクラスノヤルスクと川奈の非公式会談において画期的な合意を達成し,日ロ関係を新たな協力関係の段階に乗せた。しかし,二人のリーダシップによって築かれた日ロ関係はリーダの退場によってモメンタムを失い足踏みすることになった。日ロ両国を分断する国際構造は消えたが,両国共通の関心と利益を築くことは容易ではなかった。
著者
金子 由芳 松永 宣明 駿河 輝和 太田 博史 藤田 誠一 香川 孝三 三重野 文晴 川畑 康治
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アセアン諸国の従来の制度構築は、欧米モデルの端的な移植、あるいは多国籍企業の便宜に応える設計に重きが置かれてきた。本研究は、中小企業の利益に根ざした制度構築の課題を、グローバリゼーションにおける中小企業政策、コーポレート・ガバナンス、金融促進、労働者の保護育成、などの多角的視点から、経済学と法学の融合的アプローチを通じて分析することをめざした。成果として、中小企業の技術効率の総合的な評価手法、中小企業の効率の特殊要因を反映した中小企業政策、企業経営判断と企業規模分布の関係性の複合要因、輸出志向型産業への労働移動の貧困削減効果、輸出牽引型産業における金融部門の貢献の限定性、中小企業促進に立った教育政策・労働法制の見直し、閉鎖会社・無限責任会社に重点を置いた企業法制の見直し、といった諸点が明らかにされた。
著者
百橋 明穂 LUDVIK Catherine CATHERINE Ludvik
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

・弁才天と宇賀神の結び付き、いわゆる『弁天五部経』の英訳;宇賀弁才天の漢訳儀軌を解読;宇賀神の姿と名前の起源を判明するため、経典に登場するインドと中国の蛇神の系譜を調べた。・比叡山弁天堂の年中行事、儀礼を調査し、さらに他の弁才天関係の現地調査した:鎌倉の鶴岡八幡宮旗上弁財天社、銭洗弁天宇賀裾神社、江ノ島神社、竹生島宝厳寺と都久夫須麻神社、鹿児島の最福寺大弁財天、名古屋の桃巌寺等。九月に研究室の中国での研究調査旅に参加し、弁才天関係の志発見・新知見を得た。・弁才天像のデジタル・フォトアーカイブを作成した。従来の印度・日本の弁才天の図像に加え、今回殊に調査に基づいた中国の新発見・新知見の作例増加させて完全なものとした。・上の三つの研究方法で宇賀弁才天関係の資料や写真を収集した結果、当初本一冊を刊行する計画であったが、中国の新たな作例と新知見の増加により、研究が大幅に展開し、著書2冊と論文を執筆することとなった:Uga-Benzaiten: The Origins and Development of the Combined Deity(準備中);The Indian and East Asian Metamorphoses of a Goddess: From Sarasvati to Benzaiten(準備中)。・仏教学と美術史学関係のセミナーや学会に参加し、意見交換した。
著者
品田 裕 大西 裕 曽我 謙悟 藤村 直史 山田 真裕 河村 和徳 高安 健将 今井 亮佑 砂原 庸介 濱本 真輔 増山 幹高 堤 英敬 平野 淳一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、国会議員を主とする政治家と有権者の関係、あるいは政治家同士の関係がどのように変容しつつあるのかを調査し、その変化の要因を実証的に解明することを目的として開始された。その結果、本研究では、選挙区レベルの詳細な観察・データを基に、実証的に現代日本の選挙政治の変容を明らかにすることができた。取り上げた研究対象は、集票活動・有権者と政治家の関係・政治家同士の関係・議員活動・政治家のキャリアパス・政党下部組織など、多岐にわたった。これらの分析から得られた成果を基礎に、さらに、国会のあり方や選挙制度にまで分析を進めることができ、現代日本の選挙政治理解に一定の貢献を果たすことができた。
著者
寺田 努 塚本 昌彦 柳沢 豊 須山 敬之 宮前 泰恵
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ウェアラブルコンピューティングを手術時や災害時などに実践的に利用するためにはハングアップなどの不慮のトラブル時にも情報提示を継続することが必要である.そのため,システムダウン時に周辺デバイスが動的に結合し,PC 本体無しでも提示を継続する仕組みを実現した.提案手法では状況認識技術を用いて,システムダウン時に現在の入出力デバイスの組合せから人間の認知特性を考慮した最適な組合せを決定する機構をもつ.
著者
柴田 明穂
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、国際法理論と環境条約交渉のインターフェイスを分析することを通じて、形成途上にある条約制度がそれを基礎づけ枠づける国際法の理論的支柱とどのように関連づけられたのかを、動態的に解明することを目的として行われた。その結果、一般国際法理論たる責任(liability)概念が「学者外交官」の主張により環境条約交渉に反映されることもあったが、現場の交渉状況を反映した政治的判断により、条約解釈に関する一般国際法との整合性を排して特別法を創設する国際法の断片化現象が顕著であることが分かった。
著者
南条 厳 小林 桂 吉田 重喜
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.111-120, 1995-01-30

梅山豚の繁殖豚の飼育及び,子豚の生産・育成を通して得た調査結果を纏めると次のとおりである。1. 梅山豚の外貌は皮膚が薄墨色で,深い皺があり,毛は疎ら,耳は大きく垂れ,体型は背幅,腰幅薄く尻は傾斜し,腿とともに厚みに欠ける。種豚の体重は成豚で雄は約170kg前後,雌は150kg前後である。性質はいたって温順である。2. 種豚に対する緑葉野菜の給与は必要不可欠ではなく,種豚用配合飼料のみでもよいことが分かった。3. 耐病性については,子豚に乾いた咳をするものがでて,剖検でも肺炎を裏付ける結果がでた。4. 成熟は極めて早く,導入間もなく分娩をした2頭の受胎月齢が4ヶ月前後であったと,推定されることからもその早熟性は,充分に窺うことが出来た。5. 発情の徴候は非常に明瞭であった。6. 母体による子豚の圧死の危険がないため,分娩柵を必要としなかった。7. 母豚の平均産子数は10.1∿15.9頭で産子豚のうち生産子豚は8.7∿14.4頭であり,母豚によってはようきひ号の様な産子の40.8%が死産という生産子成績の悪い例も見受けられた。8. 子豚の平均生時体重は,父豚も梅山豚の純粋子豚では,1.0kg弱で最小体重0.38kgの子豚も活力旺盛であった。父が金華豚では梅山豚純粋種と同程度で,父がランドレースでは純粋子豚に比して約15%程度大きくなった。9. 母豚の離乳後の発情再帰日数は4.5±0.7∿10.2±2.8日で,個体によってかなりの差がでた。雄の許容日数は1.9±0.6∿2.2±0.9日であり,妊娠期間は112.7±1.2∿115.6±1.6日であった。10. 母豚の乳頭数は16∿18でヨーロッパ改良種に比して多く,産子豚では16以上の乳頭数の子豚は,母豚4頭の総産子319頭の85.6%であった。F_1子豚では父が金華豚の場合は,純粋種と同程度かもしくは多いのに比し,父がランドレース種では平均60%弱であった。11. 例数は少ないが離乳時(35日齢),3ヶ月齢の体重は,ヨーロッパ改良種との比較でほぼ同等の発育成績を示した。又,一般に仕上げ期と見做される7ヶ月齢においてもヨーロッパ改良種と比べて遜色はなかった。