著者
藤田 裕嗣 吉田 剛 高橋 清吾 鈴木 康之 宇根 寛 牛垣 雄矢 安藤 哲郎 深瀬 浩三 宮里 修 上島 智史 堀 健彦 仁木 宏 山元 貴継 塚本 章宏
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

歴史地理学研究で取り上げられた地図・絵図資料の中には地震・水害など、災害に関わる古地図も多数含まれるが、現在の地図情報には反映されておらず、実際の対策に活かされてきたとは言い難い。そこで本研究課題は、地域中心として機能し続けた城下町に特に注目し、全国各地に残る過去の古地図情報をGISデータ化し、それらをデジタル地図情報に反映させて、防災・災害復興に向けた歴史災害情報をデータベース化し、情報発信することで各地の防災・災害復興への寄与を目指す。2022年度の高校教育「地理総合」必修化も念頭に置き、中等教育に貢献できる歴史災害GISコンテンツの提供も視野に入れる。
著者
海道 住
出版者
神戸大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
宇野 雄一 奈邉 健 新田 陽子 鶴田 宏樹
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

イチゴにより口腔アレルギー症候群を発症するケースがあり,生活の質の低下や,生産物の消費低迷が懸念されている.本研究では,イチゴに含まれるアレルゲンおよび抗アレルギー成分の解析を行い,誘発性評価システム開発のための基礎的知見を得た.IgE結合能の解析により,イチゴの主要アレルゲンはFra a 1であると考えられた.Fra a 1 の含量は,品種,栽培方法,生育段階,および部位の違いにより増減し,その構造は,60℃以上の加熱により変化した.また,イチゴの抗アレルギー成分にも品種間差がみられた。以上により,品種,栽培方法,調理方法などの適切な選択によりイチゴアレルギーが緩和できる可能性が示唆された.
著者
桑原 哲也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

日本の製造企業の国際競争力は、工場の内部で作り出されてきた。そうした工場管理のプロトタイプは、第2次大戦前の紡績工場に見られる。その形成のプロセスを、日露戦争後の鐘淵紡績会社の兵庫工場に於ける、武藤山治の試行錯誤を事例としてつぎのように説明した。第1 鐘紡の問題は、品質の不安定であった。第2 工場を、武藤山治は技術のシステムと社会のシステムからなるシステムとして捉えた。技術システムとしての側面を、各工程の糸切れ調査によって、数値的具体的に把握した。そして、後工程の品質は前工程の品質に規定されることを実証し、トータルシステムとして捉えた。第3 その為にハードウエアと作業方法の標準化を進めた。其れは科学的管理法の実践であった。第4 しかしそれだけでは品質は安定しなかった。それは、工場には常に攪乱要因がもたらされるからである。この攪乱要因の処理は現場の労働者の技能と意欲に規定される。そこで武藤は、労働者の技能を高めるとともに、かれらの社会的心理的欲求を充足して貢献意欲を引き出した。こうして、技術と社会の間に補完関係を作り出した。第5 これによって品質安定は可能となり、こうした管理能力に基づいて、製品の高付加価値化を推進することができるようになった。以上の分析成果により、次の貢献をした。日本企業の生産システムの源流の解明(連続性)、国際的に見た其の個性の析出、日本に於ける科学的管理法の源流の把握、武藤山治にたいする従来の解釈の修正。
著者
藤野 英己 近藤 浩代 植村 弥希子 中西 亮介
出版者
神戸大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

再生医療は幹細胞を患部に移植をすることで完了するのではなく,移植後の微小環境が重要であり,再生を促進するための微小環境の管理が必須である.本研究では微小環境形成に関与すると考えられるエクソソームに焦点を絞り,骨格筋に対する物理的刺激で放出されるエクソソームがニューロン再生を促進させ脊髄損傷後の運動機能回復に有効であるかを検証するのが目的である.特に再生微小環境の形成には毛細血管ネットワークの退行予防と血管新生促進が不可欠であると考え,骨格筋から放出されエクソソームが脊髄の毛細血管網の構築に関与するかを検証し,再生医療における神経再生の管理のためのリハビリテーションを開発する.
著者
洲崎 敏伸 橘 裕司 吉村 知里
出版者
神戸大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ミドリゾウリムシは細胞内に共生クロレラを持つ。3-D電顕解析により、ホスト細胞のミトコンドリアがクロレラの定着に重要であることがわかった。プロテオーム・トランスクリプトーム解析により、クロレラ包膜のタンパク質を網羅的に解析した。さらに、この生物が放射性セシウムを蓄積する能力を持つことを見出した。嫌気性原虫Entamoeba属はマイトソーム(DNAを失ったミトコンドリア)をもつ。赤痢アメーバから単離したマイトソームを同一種に、またE. nuttalliとE. invadensに移植することができた。一部の移植されたマイトソームでは、レシピエント由来のマイトソームタンパク質が共局在した。
著者
松本 絵理子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日常生活場面において複数の情報処理を並列して行うことが多々ある。マルチタスクとは、文字通り複数の課題を同時に遂行する事態を指し、従来の心理学研究では、二重課題(dual task)や課題の切り替え(task-switching)などのパラダイムを用いて検討が行われてきた。脳イメージング研究では,マルチタスクの遂行には両側の頭頂側頭ネットワークを含む広範な領域が関与しており,タスク間の認知資源の調整やワーキングメモリの負荷が要求されることが示されてきている。本研究課題では、マルチタスク環境下における注意配分とその個人差を検討するために、課題目的非関連かつ予期せずに与えられる刺激への注意捕捉を手がかりとして検討を進めてきた。平成29年度は視覚課題の認知的負荷を操作し、課題非関連の聴覚刺激への気付きについて予告のない状況での実験を行った結果、ワーキングメモリ容量の個人差が気付きと相関があり、回帰分析の結果、ワーキングメモリ容量の高さが気付きの失敗を予測することが示された。平成30年度はこの課題非関連聴覚刺激への気付きの失敗が予期の有無に依るのかを検討するために、あらかじめ教示され学習を行った場合の効果とワーキングメモリの個人差について検討を重ねた。また、同一モダリティの非関連刺激の抑制に関連する脳波実験では、注意制御に関わる成分に着目して実験データ収集と解析を進め、国際学会にて発表した。令和元年度以降は、課題非関連刺激の予告と学習との関連について、非注意性聞き落としのパラダイムを用いた検討を行った。更に,音刺激の種類や呈示頻度を操作して、ワーキングメモリ上の負荷を増すことによる聞き落としへの影響を調べた。この結果は令和2年度に実施される日本心理学会にて発表を行った。令和3年度は国際学会への発表を行うと共に,これまでの成果の再解析と投稿準備を進めた。
著者
茶谷 直人 久山 雄甫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、<魂><精神><身体>からなる「人間三元論」の系譜について、「プネウマ」から「ガイスト」にいたる概念の連なりに着目しつつ多角的に考察するものである。当年度は、茶谷と久山のそれぞれが発展させてきたギリシア哲学研究(プネウマ・プシュケー研究)とドイツ文学・思想研究(ガイス ト・ゼーレ研究) を発展的に継続させつつ、相互的な討議を行うことで、ひとまとまりの系譜論の構築をめざす作業を昨年度に引き続き遂行した。一連の作業を通じての本科研最重要の実績は、2021年12月12日に阪神ドイツ文学会シンポジウムとして「プネウマ、スピリトゥス、ガイスト――概念史点描の試み」をオンライン開催したことである(本科研が共催)。本シンポジウムでは茶谷がアリストテレス、久山がゲーテについて発表したほか、河合成雄氏(神戸大学教授)がフィチーノ、蘆田祐子氏(神戸大学博士課程後期課程)がシュティフターについてそれぞれ論じ、プネウマからスピリトゥスをへてガイストにいたる概念史を素描した。本科研が計画していたヨーロッパ思想史再検討の一端がこれによって実現したと言える。この実績は、本科研の最終的な目的である、プネウマとガイストをめぐる論文集刊行に向けてた蓄積作業を大きな柱の一つとなるものである。その他久山は、昨年度より延期されていた国際独文学会での口頭発表(ゲーテの『メルヒェン』論)をオンラインで行った。これは高い評価をえて国際論文集掲載の依頼があったため、発表内容を論文化して提出した(未刊)。また産総研でゲーテと化学についての招待講演を行い、一般雑誌『未来哲学』にゲーテ・ホムンクルス論を寄稿するなど、国内でも研究成果をひろく学際的ないしは社会的に提示し検討する機会に恵まれた。