- 著者
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五十嵐 敦
福田 一彦
- 出版者
- 福島大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2009
本研究は,勤労者のメンタルヘルス問題のメカニズムについて,交代制勤務による睡眠問題と職場適応の問題について実証的なアプローチを試みたものである。特に,3交代制から2交代制に移行を予定している病院の看護職の調査をメインに,地方自治体職員や一般企業との比較調査を行った。結果,初回調査では2交代制が3交代制の看護職者よりよい状況であった。しかし,3交代者が2交代に変更した後の状況については良好な状況になっていることは確認できたが,縦断調査への協力者の数が少なかったことで統計分析に十分耐えるものではなかった。3交代からの変更者が少なかったこと,交代制自体が状況によってサイクルが不安定に変更されている状況があったと見られる。自治体においては労働時間よりも作業遂行の問題や日中の眠気・入眠の問題などが精神的健康には有意に関連していることが明らかとなった。また,人材育成としての研修への積極的態度も重要な要因であった。一般企業では抑うつ傾向に対して休日の眠気や希望的態度が抑制要因となっており,Karasek(1979)のコントロール感の重要性が確認された。