著者
福富 雅夫 平形 〓 浜田 正博
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.20-27, 1982

本報告はブラジル国パラ州トメアスー地方の篤農家について聞き取り調査により, <I>Fusarium solani</I>, β-typeの菌に基因する根腐病および胴枯病の過去における発生の実態を調べた結果である.<BR>1) 本病発生に関係がみられなかった要因-挿穂母樹の樹令, 枝令, 挿穂の節数, 圃場における定植間隔, 植穴の大きさ, 土性, 地形, 通風, 前作植物 (コショウを除く) の種類などは本病発生に影響しなかった.<BR>2) 本病発生に関係のあった要因-苗床に表土を用いた場合, 堆肥などを混用した場合は心土盛土の場合に比して育苗中の根腐の発生が多くなった. 焼土を高く盛土した苗床では種々病害の発生が少なくなった. 重粘土質の排水不良の圃場, 有機質肥料および敷草施用ならびに草生栽培は本病の発生を助長する傾向にあった. 無肥料, 極端な少肥, 年6~7回の分施, 燐酸, カリ主体の極端な窒素少量施用, 鶏糞単用などは一般に胴枯病の発生を減ずる傾向にあった. 特に, 雨季に1度に多量の施肥は本病が激発する傾向にあった. 樹令と本病発生との間には明瞭な関係があり, 1~2年木では本病の発生はほとんど見られないが, 3年木より多発し始めた.<BR>3) 本病発生の地域的推移一根腐病はコショウ栽培の当初より点発的に発生していた. 胴枯病は1962年にブレウで始めて発生が見られた. 初発地よりの距離と根腐病, 胴枯病の初発年との間には高い正の相関が認められ, 年速3.9±2.9kmの速さで新しい移住地へと拡がって行った. 以前はコショウ栽培開始後約20年を経て病害の発生を見ていたが, 現在では3~5年木ですでに激発している.<BR>4) 本病発生の季節的消長-毎年3月頃より発生が見られ, 5~7月に激発した. 感染は雨季に入った1月~2月より盛んに起っていた. 乾季には新しい感染はほとんどないようである.
著者
山田 偉雄
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.8-11, 1979-03-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

ベニフキノメイガの発育と温度および日長との関係について調査を行なった.1. 幼虫は4令を経過し, 23℃恒温条件下においては約2週間で蠕化した.2. 卵, 幼虫および蜻期の発育零点は, それぞれ10.9, 12.7および12.9℃と推定された. 発育有効積算温量は, それぞれ51, 156および89日度となり, 産卵から成虫羽化に至るまでの発育零点はほぼ12℃で, 発育有効積算温量は約295日度と算出された. 成虫の産卵前期間における発育有効積算温量は約328日度と推定された.3. 幼虫は, 短日条件によって4令期に休眠した. 休眠誘起の臨界日長は13~14時間であった.4. 雌雄成虫の寿命は, 23℃条件下でともに10日前後, 産卵数は1雌当り約180卵で, 羽化の5日後に産卵のピークがみられた.5. 本種は, 東海地方では, 1年に3~4世代を経過していることが推定された.
著者
松浦 誠 八田 茂嘉
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-24, 1971

本報では温州ミカンを加害するサンホーゼカイガラムシの天敵についての調査結果を述べた.<BR>捕食種として, ヒメアカボシテントウ, トビイロケアリ, チャミノガの3種, 寄生蜂として, ハネケナガツヤコバチ, <I>Prospaltella</I> sp., <I>Aphytis</I> sp. <I>Physcus</I> sp.の4種が認められた. 優占種はヒメアカボシテントウとハネケナガツヤコバチであったが, 前種はアシガルトビコバチ, 後種はマダラツヤコバチにそれぞれ寄生をうけた. これらの天敵の年間発生消長, 寄生様式, 攻撃発育態などの知見も述べた.
著者
井村 岳男 玉井 喜文 鳥居 名実子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.173-174, 2020-05-31 (Released:2020-09-01)
参考文献数
8

Nine insecticides were used as treatments against cucumber moth larvae on cucumber leaves. At three days after treatment, all insecticides were found to have high toxicity at commercial concentration, but flubenziamide, chrorantraniliprol, and acetamiprid were found to have low toxicity at 1/10 of commercial concentration. These results suggest that cucumber moths exhibit low susceptibility to two diamides.
著者
田中 寛 保田 淑郎 柴尾 学
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-9, 2015

関西国際空港において1994~97年に一期島(生息可能面積 143 ha),2007年に二期島(同 139 ha)でトノサマバッタが大発生し,群生相に特有の黒色とオレンジ色の2色の幼虫が認められた。調査は主にライントランゼクトおよびコドラート法により,管理はMEP 乳剤の散布により行った。1994~97年の推定生息個体数の最大値は1,338万個体で,天敵糸状菌<i>Entomophthora grylli </i>の発生とともに1997年に大発生が終息した。2007年の推定生息個体数の最大値は3,884万個体で,同じく<i>E. grylli </i>の発生とともに2007年7月に大発生が終息した。大発生の原因は,埋め立てにより出現した天敵不在の生物環境下に移入した成虫が数世代激しく増殖したことにあると考えられる。トノサマバッタの群生相集団は一期島,二期島とも島の北西部に偏在する傾向が認められ,この原因は6~9月の南ないし南西の風によるものと考えられる。関西国際空港においてトノサマバッタの生活史は主として年2化であり,卵だけでなく成虫,幼虫についても越冬が確認された。2007年の大発生時には効率的な調査および管理のための基本戦略を設定した。すなわち,①迅速な調査,②結果の地図化による全体把握,③高密度地点から低密度地点へと順に行う防除,④次回調査による防除効果の的確な評価(=①),⑤「①~③」の繰り返し,⑥天敵保護を目的とした低密度地点における薬剤散布の抑制,の6点とした。この戦略にしたがってMEP 乳剤により防除したところ,2007年6月9~11日に3,884万であった推定生息個体数は6月19日に14万に急減した。以上の結果,一期島,二期島におけるトノサマバッタの大発生は適切に管理され,航空機の運航に支障はなかった。
著者
奥谷 禎一 吉岡 英二
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-3, 1983
被引用文献数
1

ナメクジ類が硫酸銅を忌避するといわれていたが濃度などについて研究は行われていなかった. われわれはチャコウラナメクジが銅板及び硫酸銅を用い忌避効果をたしかめ, 銅板では巾20mm以上, 硫酸銅では10mM以上を必要とすることを明らかにした.
著者
杉本 琢真 吉田 晋弥 相野 公孝 大西 稔治 塩飽 邦子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.93-96, 2003-05-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11

Using the agar medium inoculation method, three isolates of Phytophthora sojae were tested for virulence on six cultivars. In about 10 days, they were classified into race A, B or H, respectively. That period was from 14 to 19 days earlier than the conventional flooding inoculation method. Our proposed new method is available for the pathogenic test of Phytophthora sojae.
著者
大谷 洋子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.71-76, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
13

トマト青枯病菌に対する土壌還元消毒の新規資材として,糖含有珪藻土または糖蜜吸着資材を用いた場合の処理条件について検討した。両資材とも,土壌に対して重量比で 1%以上混和して土壌還元消毒処理すると,青枯病菌に対して対照の廃糖蜜 0.6%処理に優る効果が得られることが示唆された。また,20~50°Cの範囲では温度が高いほど還元が進んだ。和歌山県で7~8月に施設内で土壌消毒を実施すると,地下 30 cmでは 40°C以上を12日間維持できた。一方,地下 40 cmでは,みなべ町では処理開始13日後以降 40°C以上を維持したが,海南市では 40°Cに達することはなかった。これらのことから,地下 30 cmより浅い層では高地温による菌密度低減と還元による菌密度低減が併せて起こり,地下 30~40 cmより深い層では溶出した糖含有珪藻土および糖蜜吸着資材の成分による還元が起こって菌密度が低減することが期待される。
著者
小澤 朗人 内山 徹 亀山 阿由子
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.113-116, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
11

We estimated the density of shoot blight from Pestalotiopsis longiseta and rolled leaves produced by Adoxophyes honmai or Homona magnanima in tea fields using a direct counting method based on aerial photography from a multirotor-type drone. We used a DJI Phantom 4 to conduct aerial photography of shoot blight and rolled leaves. We then counted the densities of both the diseased and rolled leaves in-situ. We examined the aerial photographs on a LCD, and identified and counted the densities of both the diseased and rolled leaves. The relationship between the densities of shoot blight counted using the LCD and in-situ was R2 = 0.69 and 0.76, respectively. The accuracy of estimation using the LCD was about 80%. These results suggested that estimation of the density of shoot blight based on aerial photography was effective. For the rolled leaves, the accuracy of counting using an LCD increased to about 60% from <40%, after comparing to the first count.
著者
德丸 晋 桑原 大樹 久下 一彦
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.37-40, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
14

ピリフルキナゾン水和剤のネギアザミウマおよびネギえそ条斑病に対する防除効果について露地ネギ栽培ほ場において調べた。その結果,ピリフルキナゾン水和剤を3週連続で散布した区では,ネギアザミウマの成虫および幼虫の発生は無処理と比較して有意に少なく,被害度を無処理区の約2分の1に抑えた。ネギえそ条斑病の発病葉率は 0.7~2.4%の範囲で抑えられ,20株あたりの発病葉数は,無処理区の約5分の1から約3分の1に抑えられ,ともに有意な差が認められた。さらに,20株あたりのえそ条斑数は,無処理区の約3分の1に抑えられ,有意な差が認められた。
著者
川上 拓 鈴木 啓史 中嶋 香織 礒﨑 真英 黒田 克利
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.15-22, 2019-05-31 (Released:2019-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

耐性菌の発生動向を把握し,それに応じた効果的な防除を行うことを目的に,県内トマト栽培圃場において,2015年作~2017年作にかけて灰色かび病菌を採取した。得られた菌株の主要殺菌剤に対する感受性を培地検定法および生物検定法により評価し,耐性菌の発生動向を調査した。また,当該殺菌剤の散布と耐性菌発生との関係性について解析した。調査圃場のうち,ほぼ全ての圃場で耐性菌発生リスクの高いQoI剤,SDHI剤耐性菌を確認した。これら耐性菌については,当該殺菌剤の散布がある場合,散布がない場合と比較し発生が多い傾向にあった。一方,耐性リスク中程度の殺菌剤であるメパニピリム剤,リスク低~中程度の殺菌剤である,フルジオキソニル剤については,散布回数が多かったにもかかわらず,調査期間を通じて耐性菌が確認されなかった。これら主要殺菌耐性菌の発生動向は,FRACの定義する耐性菌発生リスクと概ね一致する結果であった。また,本調査において,耐性菌の発生が全体的に少なかった圃場では,TPN剤のような保護殺菌剤の使用およびローテーション散布が徹底されており,これら保護殺菌剤を含めた効果的な防除が重要であることが示唆された。以上より,感受性モニタリングは,FRACの耐性菌発生リスクに基づき,耐性菌対策の実践効果の検証のために,必要な殺菌剤や圃場に限って実施することが現実的であると考えられた。
著者
福島 正三 梶田 泰司
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.11-20, 1962-02-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
12

1. 本実験はモンシロチヨウの発育期間中における酸素消費量, 含有水分量および脂肪量の季節的変化をしる目的で行なわれた. 供試材料は実験室で飼育した第4令幼虫および発育中期のさなぎ, ならびに室内のものと発育程度のほぼひとしい野外より採集の幼虫およびさなぎである.2. 1959年における調査によると, 岐阜市近郊におけるモンシロチヨウ成虫は春から夏にかけて多発するが, 盛夏にはとばない. しかし秋にはふたたび出現するが, 個体数は春におけるよりも少ない.3. 室内外の幼虫の酸素消費量にははつきりした季節的変化はみられないが, 夏季にいくぶん低下の傾向を示す. 一方さなぎの消費量は材料のいかんにかかわらず夏に増加し, 秋から冬にかけて減少する. しかし1月以降の消費量は多くなつている.4. 野外採集幼虫の含有水分率は9月にかなり低下するほかは, 一般に幼虫, さなぎとも春秋において夏より低い. このうち, キヤベッ畑より採集のさなぎの水分率は9月以降翌年の3月までゆるやかに低下する.5. 材料のいかんにかかわらず幼虫およびさなぎの含有脂肪率は夏季において低率を示す. そして秋にむかつて高率となるが, 幼虫の脂肪率は晩秋にふたたび低下の傾向を示す. しかし越冬さなぎのそれは秋末より漸次高くなるが, 12月以降はあまり変化せず, 2月にいたつてやや低下する.6. 休眠発育の進んださなぎの酸素消費量は温度にあまり影響されないが, 休眠深度の浅いものではかなり影響をうけるようである.7. 羽化前の高湿はさなぎの発育を遅延させるようである.8. 温度以外に1日当たりの明時間の長短が含有脂肪量にかなり影響するようである.9. 寄生バエによるモンシロチヨウの被寄生さなぎと健全さなぎの含有脂肪量にはほとんど差がみとめられない. また寄生バエさなぎとモンシロチヨウの健全さなぎとの問においても同様なことがいえる.
著者
河野 勝行 飯田 博之
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.3-6, 2013 (Released:2013-09-01)
参考文献数
6

キャベツほ場におけるウヅキコモリグモの個体群密度調査において,落とし穴トラップ法と見取り法の間で,両者の傾向の違いを比較した。同時並行的に行われた落とし穴トラップ法による週あたりトラップ当たりに換算した捕獲個体数と見取り法によるキャベツの畦 5 mあたり2条あたりに換算した目撃個体数の間には相関が認められない場合が多かったが,それぞれの調査期間中の平均値と最大値の比率は 1:2 を超えなかった。したがって,そのほ場において環境保全型農業が行われているのかどうかを,ウヅキコモリグモの個体群密度がある一定レベル以上にあるかどうかで判断する場合,これらの換算法を用いることにより,栽培期間を通した平均値を両調査法の間で比較することがある程度可能であると判断された。
著者
神谷 克巳
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.139-141, 2015-05-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
11

The diamondback moth (Plutella xylostella) is a serious pest to many cruciferous vegetables. Several entomopathogenic fungi were collected from the larvae of P. xylostella from fields in Gifu prefecture, Japan. We obtained four isolates of the entomophthoralean fungus, Erynia blunckii, which was considered a major natural enemy to P. xylostella in Japanese radish fields in Takasu, Gifu. The character of the fungus as a biocontrol agent was investigated. These isolates showed over 20 times higher conidia production than Zoophthora radicans isolates obtained from Takasu. A dose mortality assay on the E. blunckii isolate T10A showed that the LC50 value for 4th instar larva was 3.73 conidia/mm2.
著者
竹内 昭士郎
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.14-19, 1972-02-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
12
被引用文献数
3

作期を変えて栽培した水稲(農林29号)の出穂期にイネ馬鹿苗病菌の分生胞子を噴霧接種し, 得られた種籾からのFusarium菌発生を指標として汚染率を調査した. その結果, 汚染率は接種日前後の気象条件, とくに日平均気温と関係が深く, 高温期の接種ほど汚染率が高い. しかし, 接種日ごろの日射量が極度に少ないことも汚染率を高めるようである.数種の有機水銀剤を用い, 種々の処理方法で汚染籾の種子消毒効果を試験した. その結果, 現在の有機水銀剤ではどのような処理方法によっても完全に本病を防除することはできなかったが, 浸種籾消毒は乾燥籾処理よりも効果が高く, 消毒後の浸種・催芽は発病を多くするようであった.
著者
我孫子 和雄
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.49-52, 1978-03-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1

トマトうどんこ病の発病に及ぼす温度ならびに湿度の影響について実験を行ない, 次の結果を得た.1) 分生胞子は10-30℃の間で発芽し, 35℃では発芽しなかった. 最適温度は20℃前後であった. また, 分生胞子は湿度45-100%の範囲で発芽し, 発芽率および発芽管長とも湿度の高低との間に顕著な差異は認められなかった.2) 分生胞子の形成は10-35℃の間で起こり, 最適温度は15℃前後であった. 28℃以上では分生胞子の形成量はきわめて少なかった.3) 発病は15-26℃の間で認められ, 10℃以下および28℃以上では発病しなかった. 発病の最適温度は23℃前後であった. 湿度との関係では, 発病は45-100%の範囲で認められた. 発病に好適な湿度条件は85-95%と考えられ, また湿度100%では発病が抑制された.
著者
松浦 誠
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.28-32, 1976

柑橘類の訪花害虫であるコアオハナムグリについて, 成虫の年間の発生消長, 成虫の越冬へ入る時期と越冬後の活動開始期, 越冬後の成虫の死亡時期および孵化時期の異なる幼虫の発育経過について調査を行なった.<BR>本種の成虫は4月下旬より11月上旬まで訪花活動が見られたが, 5月中旬と9月中旬に発生のピークがあり, これらの個体は世代を異にする. 越冬態は通常成虫で, 9月中旬より11月に土中に潜入し, 翌春4月下旬~5月下旬の間に再び地上に現われた. これらの成虫は, 繁殖活動ののち, 7~9月に死亡して, 新世代の成虫と交代する. 6月上旬~7月中旬に孵化した幼虫は3令を経過し, 同年8~10月の間に羽化したが, 室内飼育条件下で12% (5/41) の幼虫が4令に達し, 越冬に入った.
著者
太田 泉 武田 光能
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-5, 2014
被引用文献数
7

害虫アザミウマ類の捕食性天敵であるタイリクヒメハナカメムシに,コリアンダー,シロツメクサ,スィートアリッサム,スカエボラ,ソバ,ディル,バーベナ,ハゼリソウ,ホーリーバジル,マリーゴールドの花もしくは葉を与えて飼育し,生存期間の比較を行った.フレンチマリーゴールドを除く9種類の植物において,花を与えられた個体は同植物の葉を与えられた個体よりも長く生存できた.特に,コリアンダー,スィートアリッサム,スカエボラ,ソバ,ディル,ホーリーバジルの花では,生存期間が葉の場合の4倍以上長くなった.タイリクヒメハナカメムシ幼虫にソバの花を与えて飼育した場合,成虫までに発育できた個体は,スジコナマダラメイガ卵を与えた個体より少なく,また,成虫まで発育した個体の後脚脛節長もスジコナマダラメイガ卵で発育した個体より短くなった.さらに,雌成虫にソバの花を与えた場合の産卵数も,スジコナマダラメイガ卵を与えた個体の産卵数より少なかった.
著者
岩本 豊 長田 靖之 相野 公孝 神頭 武嗣
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.17-21, 2003-05-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

チンゲンサイ根こぶ病に対して熱水土壌消毒法の適応性を検討した。 熱処理が根こぶ病菌の生存に及ぼす影響を検討では, 50℃: 8時間, 55℃: 4時間, 60℃: 3時間の熱処理によって, 根こぶ病菌の根毛感染は阻害されたことから, チンゲンサイ根こぶ病を対象に熱水土壌消毒を行う場合は, 55℃では4時間以上, 60℃では3時間以上が必要であると考えられた。 根こぶ病激発圃場において熱水土壌消毒を行ったところ, 地温55℃以上の継続時間は7.4時間であった。 熱水処理区の根こぶ病の発生は著しく抑制され, 収量も増加傾向であった。 熱水土壌消毒法のチンゲンサイ根こぶ病に対する適応性は高いと考えられた。