著者
高橋 仁大
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は.テニスの電子スコアブックを用いた新しいパフォーマンス評価法の開発を目的とした.2007年度は各種データとゲーム結果との関連を検討した.その結果,プレーの高速化や時間的要素がプレーヤー個人の特徴を示していることを明らかにした.2008年度はスコアブックの機能追加として時間的要素と最終ショットの頻度を出力するプログラムを開発した.これにより,試合修了後即座にパフォーマンスの結果を出力することが可能となった.
著者
濱田 初幸 前田 明 小山田 和行
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

柔道の前回り受身の補助機能付上衣「初転君」を用いた指導は、前回り受身の際の圧力分布パターンが、熟練型パターンに近づき滑らかな回転動作を習得することができた。さらに内省報告による理解のしやすさからも、従来の柔道衣による指導よりも即時的効果が高まることが明らかとなった。このことから、「初転君」は指導用教材として有効であることが検証された。柔道を専門としない体育教員が受身を指導する際の効果的な教材として有効であることも示唆された。
著者
平沢 信康
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

1921(大正10)年4月から、卓越した教養教育を少数の女子生徒に施し始めた文化学院の設立に至る経緯と趣旨、および自身の資財を投じて創立を敢行し初代校長に就任した西村伊作(1884-1963)の人間形成と経歴について詳細に調べた。あわせて大正自由教育を代表する文化学院の学監、教授、講師たちの経歴および同校との関わりを精査し、カリキュラムを含め、芸術教育に主眼を置いた同校のリベラルな教育の歴史と特質を、社会背景と共に明らかにした。
著者
松村 勲
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

競技スポーツ選手のコンディショニングにおける総合的な評価基準を構築するため,陸上競技長距離選手を対象に,練習前後の疲労感,簡易な身体能力の測定,血液検査を実施し,それぞれの関連性や独自性を探った.現段階では総合的な評価基準の構築には至っていないが,疲労感が競技実施(継続)期間の経過とともに漸増すること,主に脚を主動力として使う競技種目ではリバウンドジャンプのRJ指数がコンディション評価に有用な可能性があること,血液検査においては前日の練習は実施しないこともしくは実施してもごく軽くに留めることが正確なコンディション把握に繋がることが考えられた.
著者
野川 春夫 萩 裕美子 山口 泰雄
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究の目的は、スポーツイベントに参加するツーリストの消費行動と支出傾向を調査することによって日本人のスポーツ・ツーリズムの実態を明らかにすると共に、スポーツ・ツアーがスポーツイベント開催地にもたらす経済効果を考究することであった。具体的には、1993年2月末にフィールド調査(奥日光クロスカントリースキー大会)で収集したデータの分析を行い、その研究成果を平成5年度の日本体育学会(11月大阪府)において発表するとともに、鹿屋体育大学研究紀要第11巻に『スポーツ・ツーリズムに関する研究II』として掲載される。また、1992年11月に実施した日本最大のウォーキングイベントである日本スリーデーマーチ(埼玉県東松山市)の調査データを分析・検討し、国際保健体育レクリエーシヨン協議会(ICHPER)第36年次世界大会(横浜市開催:1993年8月18〜22日)に『A Study of Japanese Sport Tourists』として発表し、Proceedingsに掲載されている。さらに、日本ウォーキング研究会第3回定例発表会(1993年9月28日:東京)において発表した。1993年11月には全国レベルの生涯スポーツイベントである日本スリーデーマーチの追跡調査を実施し、本助成金の研究成果報告書『スポーツ・ツーリズムと経済効果に関する研究』(印刷中)の参考資料として発表することになつている。生涯スポーツイベントよりもエリートスポーツイベント的な全国レベルの大会としてトライアスロンジャパンカップイン佐渡大会(新潟県佐渡島:1993年9月)を遊び、トライアスリートのフィールド調査を実施し、データの分析・検討を行い、前述の「奥日光クロスカントリースキー大会」と「日本スリーデーマーチ」の研究成果と併せて、月刊社会教育に『地域におけるスポーツイベントの動向』として発表し、さらに日本のスポーツ・ツーリズムの実態とその経済効果をまとめ、研究成果報告書『スポーツ・ツーリズムと経済効果に関する研究』(印刷中)を作成した。
著者
田中 孝夫 荻田 太 田巻 弘之 浜岡 隆文
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【目的】本研究は、一流競泳選手を対象とし、泳成績と生理的、力学的指標との関係からパフォーマンスの規定要因を解明し、さらに年間トレーニングにおける各指標の変化と泳成績の変化との関連性や、技術要因の数値化を試み、国際競技力向上に資するための実践的資料を得ることを目的とした。【方法】被検者は、オリンピック、アジア大会、ユニバーシアードなどの国際大会出場選手を含むインカレ3連覇中のチームに属する女子競泳選手であった。本研究では、生理的指標として最大酸素摂取量、最大血中乳酸濃度、OBLAが、力学的指標として抵抗-泳速関係、抵抗係数・指数、最大推進パワー、および推進効率が計測され、各距離種目の泳成績との関係、縦断的変化が検討された。力学的指標の測定は、本学で開発されたMAD(Measurement of Active Drag)システムを用いて行われた。【結果及び考察】一流選手における各距離種目の泳成績と、生理的および力学的指標との関係を検討した結果、体力の代表指標とされてきた最大酸素摂取量とは必ずしも相関はなく、短距離種目ではより大きな機械的パワー発揮と無酸素性エネルギー供給能力、さらにはそれを生み出すための大きな筋量(体格)が、長距離種目では低い乳酸蓄積と、抵抗係数を小さくする泳技術が重要な要因であることが示唆された。また、縦断的に同一選手の測定を行い、そのときの泳記録の変化との関係を検討した結果、記録の向上は最大努力泳時の抵抗の低下のみと有意な相関が得られ、エリート選手における記録の更新は、体力要因の維持向上はもちろんであるが、特に抵抗を軽減させるような泳技術の改善に起因していたことが示唆された。また、一流選手における規定要因については、年間のトレーニングを通じて有意差が出るほど顕著な変化が得られないこと、さらに本被検者における推進効率は73.2±8.3%であり、これまで報告されている値よりも高く、非常に優れた技術を有していることも明らかとなった。
著者
田口 信教 田中 孝夫 荻田 太
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

【目的】本研究は、昨年度の成果をもとに、低圧環境下を用いて一流選手にスプリントトレーニングを施し、エネルギー供給能力、泳パフォーマンスに対する有効性について検討することを目的とした。【方法】被検者は、年齢20±2歳、身長165.6±1.7cm、体重57.7±5.1kgの全日本学生選手権3連覇中の水泳部に所属する選手であり(女子4名、男子2名)、うち3名はリレーにおける日本記録保持者、1名はヨーロッパサーキットグランプリ出場、その他も全日本選手権、全日本学生に出場する選手であった。トレーニングは加減圧調整可能流水プールを用い、1日1回、週5回の頻度で4週間、海抜4000m相当の低圧環境下において行われた。トレーニング内容は、5秒の運動を10秒の休憩を挟み5回繰り返す間欠的運動とし、これを20分の休憩をはさんで2セット行った。強度は、常圧環境下において10秒程度で疲労困憊に至る強度とした。トレーニング効果は、常圧環境下における最大酸素摂取量、最大酸素借、最大推進パワー、50m、100m自由形泳記録の変化によって評価した。【結果および考察】4週間のトレーニング後、最大酸素摂取量に有意な変化は見られなかったが、最大酸素借は27%増加(前:2.85±3.57、後:3.57±1.56l)、さらに最大推進パワーも18%増加(前:90.1±45.2、後:106.4±40.4W)し、いずれの有意であった(P<0.01)。さらに泳記録についても50m(前:27.33±1.64、後:26.78±1.46秒)、100m(前:59.40±3.22、後:58.15±2.94秒)ともに有意に向上した(P<0.01)。以上の結果より、低圧環境下におけるスプリントトレーニングは、エリート選手に対してもエネルギー供給能力および泳成績の向上に有効であることが示唆された。
著者
志村 正子
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

これまでに集積したデータを分析し、今年度は特に運動が精神状態に及ぼす影響とその個人差に関する研究の学会報告を行った。一方、運動の対精神影響に関する実験を評価テストを一部交換して続行し、音楽の効果に関してもジャンルの異なる曲を用いてさらに実験を重ねた。音楽が精神状態に及ぼす影響は、これまでの検討でも概して曲の性質によく対応していたが、躍動的な音楽としてロック音楽を、静かで明るいクラシック音楽としてヴォルフ・フェラーリのマドンナの宝石を用いても、不安・緊張・抑うつ・攻撃・混乱などのネガティブな気分の低減はマドンナの宝石で著しく、活動性の高まりはロック音楽の方でやや大きかった。また、マドンナの宝石による抑うつの低減は、内向性格あるいはタイプA傾向のもので大きい、音楽を聴いて集中度が高まったのは特性不安の低いものであった等、効果の個人差も認められた。2カ月間程度の有酸素的運動の精神影響としては、不安と抑うつの低減が再認され、新たに検討したCMIにおいても身体的・精神的自覚症がともに減少傾向にあった。さらに、2年度にわたる実験的検討の結果、運動の対精神影響は、身体的影響よりも認めやすいだけでなく、それらの効果は、性別、年齢の高低、性格、心理・行動傾向などの個人的特性によっては異ならないことが明らかになった。種々の運動種目毎に、短期的・即効的な対精神影響を評価しても、ネガティブな気分の低減と爽快な気分の増大という精神影響は著明であり、かつ運動種目による差異は認め難かった。運動・音楽いずれにも著明な好ましい精神影響を認めたが、音楽の効果が曲や聴く側の性質に依存しやすいのに対して、運動の効果は、運動の種類や人を選ばず認められる傾向にあった。運動はメンタルヘルスを目的として処方できる可能性が大きいと評価された。