著者
楢崎 幸範 平川 博仙 大津 隆一 深町 和美
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.59-68_1, 1989-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
23

メラミン樹脂製食器の安全性を確認する目的で, 種々の条件で溶出試験を行い, 樹脂の変化, 溶出物及びその変異原性について検討した. 一連の実験から, 通常の使用状態では, 樹脂が分解して多量のホルムアデヒドが基準を越えて溶出することはなく, 微量に存在する未反応のホルムアルデヒドがわずかに溶出する程度であった. また, カドミウム, 鉛の溶出は認められず, メラミンが微量検出された. 一方, ホルムアルデヒドはサルモネラTA104株に対し弱い変異原性 (28rev/μg) を示したが, 溶出物による変異原性は認められなかった.
著者
棚田 益夫 内田 晴彦 井出 知佐子 玉置 幸美 沢 久美子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.437-442, 1973-10-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
4

The absorption and decomposition of hydrogen peroxide (H2O2) on Japanese noodle was studied in previous papers. The sterilizing effect of H2O2 on Japanese noodle where the residual amount was under 100ppm and the relation between the concentration of H2O2 residue and the viable cell counts in the commercial Japanese noodles were studied in this papers.In case of combined treatment of H2O2 and steaming (100°C, 4 minutes), the satisfying concentration of H2O2 to sterilize the packed 20g of Japanese noodle-paste increased proportionally with the logarithm of the added viable cell counts.The viable cell counts less than 104/g in the most of the commercial Japanese noodles containing more than 20ppm of H2O2.
著者
近藤 竜雄 川城 巌
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.372-378, 1964-10-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
15

Determination of trimethyl-lauryl-ammonium-2, 4, 5-trichlorophenoxide in food was studied and the colorimetric method was established. Its principle is based on the oxidative condensation of 2, 4, 5-trichlorophenol, produced from trimethyl-lauryl-ammonium-2, 4, 5-trichlorophenoxide in food by steam distillation, with 4-aminoantipyrine in pH 7.8 phosphate buffered medium to yield an indophenol type pigment.Residual trimethyl-lauryl-ammonium-2, 4, 5-trichlorophenoxide in the fruit of Citrus natsudaidai HAYATA which had been soaked in 10v/v% ethanolic aqueous solution containing 500ppm of it for one hour, was determined according to the authors' method.3-10 days after soaking, the amount of residual trimethyl-lauryl-ammonium-2, 4, 5-trichlorophenoxide was not detected in the fruit (except peel and seed), but 16-22ppm of it was found in the peel of Citrus natsasdaidai HAYATA.
著者
佐藤 昭子 寺尾 通徳 石橋 美也子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.63-67_1, 1993-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4

液体培地及び魚肉 (アジ, カツオ) ホモジネート中における V. parahaemolyticus に対するニンニク抽出液の抗菌作用を検討した. ニンニク抽出液を20, 10及び5%添加した培地に供試菌を約105/ml個接種し, 経時的に生菌数を測定した結果, 15分, 30分及び1時間以内に供試菌は死滅した. 同濃度のニンニク抽出液を添加した無処理のアジ魚肉ホモジネートに, 供試菌を約105/g個接種した場合, 30分後の生菌数は約102, 104及び104/g個であった. カツオの魚肉ホモジネートを用いて同様の実験を行った結果, アジ魚肉に比べ抗菌効果はやや低下したが抗菌作用が認められた. ニンニク抽出液を-20, 4, 25及び37°で120時間保存し, 抗菌活性を測定した結果, 4°以下では安定していたが, 25°以上では24時間後, 活性は徐々に減弱した.
著者
三浦 利之 粟飯原 景昭
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.270-272_1, 1976-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
10

テトロドトキシンの毒力検定に鶏胚法の応用を試み, 従来のマウス法と比較検討した.卵黄嚢内接種法ではすべての胚令において感度が低く, その応用は困難であることが分った. しかし気室内接種法では5日令の鶏胚において最も高い感度を示し, そのLD50値は0.044μg/eggで, この値はマウスの腹腔注射による毒性試験のLD50値=0.2μg/mouseの約1/5に相当する.鶏胚法のテトロドトキシンの毒力検定への応用は5日令の鶏胚による気室内接種法ならば感度が高く現れるので, 応用は有用であることが示唆された.
著者
小谷 新太郎 千葉 裕典 千葉 昭二 内田 和子 田中 平夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.503-507_1, 1966-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5

非イオン, 陰イオン, 陽イオンおよび両性界面活性剤の発育阻止効果について E. coli, Staphylococcus aureus, B. subtilis を用いて検討を行なった. 非イオンは, 阻止効果が認められず, 陰イオンは E. coli 以外の2種に対して1920倍まで効果があった. 陽イオンは B. subtilis と Staphylococcus に対し30, 720倍でも効果があった. 両性では B. subtilis には960倍, Staphylococcus には480倍で効果があったが E. coli には60倍以下であった. 非イオン10%, 陽イオン10%, 両性1%の混合は, 石炭酸係数170で両性を15%に増しても係数に変りはなかった.
著者
山崎 幹夫 堀江 義一 宇田川 俊一 越後 多嘉志 君 政子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-6_1, 1975-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

国内および国外のはちみつ, 合計23試料について着生菌類の分離を試みたところ, はちみつ病原菌として知られる Ascosphaera apis のほか Chaetomium, Eurotium, Aspergillus, Cladosporium, Penicillium 属などの菌が分離された. 酵母に比べると一般に菌出現頻度は低く, 輸入試料に比べると国内産試料の出現頻度が低かった. グルコース, ショ糖の各濃度添加培地における分離菌の生育は可能であり, はちみつ自体における生育も可能であった. したがって, はちみつが発黴しにくい原因は単なる糖高濃度, 低pH性にあるだけでなく, 酵母による優先型環境のために菌の発育を妨げられるのであろうと推定される.
著者
里見 正隆 山口 敏季 奥積 昌世 藤井 建夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.29-34_1, 1995-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
17
被引用文献数
7 9

大腸菌の培養条件 (増殖段階, 培養温度, 培地) 及び加圧条件 (温度, pH, 浸透圧) の変化が加圧耐性に及ぼす影響について検討した. 大腸菌に対する圧力の効果は1,500atm 以上でみられ, 特に, 1,800から2,000atmの加圧で生残率が急激に減少した. 生育時の培地及び酸素の有無と耐圧性の間に相関はみられなかったが, 増殖段階が進むにつれ大きく耐圧性を獲得した. また, 44°培養で得られた菌体の耐圧性は低かった. 加圧時のpHは耐圧性に大きな影響を与えなかったが, 加圧時の温度は44°で生残率が減少した. また, 浸透圧が高いほど生残率が高く, 損傷及び細胞内物質の漏えいも少なかった.
著者
関田 寛 武田 明治 内山 充
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.57-63, 1983
被引用文献数
1

多種多様の果実野菜類が世界中で大被害をこうむっているミバエ類に対して, 唯一有効なくん蒸剤であるとして植物検疫上世界各国で使用されているEDBには近年発癌性のあることが判明して以来, 食品衛生上重大な危ぐの念が抱かれるに至った. これを契機として, 著者らはEDBくん蒸後に輸入された生鮮果実類中のEDBの簡便迅速な残留分析法の確立を検討し, あわせて著者らの方法を用いて実態調査を行った.<br>1) EDBは果実類 (可食部) の均一化試料の水混和物から Dean-Stark 蒸留装置を用いて留出し, ヘキサン層に移行させ, ヘキサン層を液相分離用ロ紙を用いてろ過したものをECD付きガスクロマトグラフィーを行うことにより, 簡便かつ迅速に, しかも, 高感度かつ高精度に定性及び定量することができた. 本法におけるEDBの検出限界は0.005ppmであった.<br>2) 今回検討した果実類のうちで, グレープフルーツ以外の全ての果実試料検液のガスクロマトグラム上にそれらの果実成分に由来する大小多様のきょう雑ピークが観察された. これらのきょう雑ピークの除去法を検討したところ, 残留農薬分析に常用されている活性化フロリジルを検液中に直接添加することにより, レモン, オレンジ及びマンゴー試料の場合には, きょう雑ピークのみを完全に除去することができた. この方法により, レモン及びオレンジの場合には, ガスクロマトグラフイーの所要時間を大幅に短縮することができ, マンゴーの場合には, 保持時間が近接しているためにEDBとまぎらわしいきょう雑ピークを除去することができた. しかし, このフロリジル添加法は, パパイヤの成分に由来する検液注入約3時間後に出現する巨大なきょう雑ピークを消失させる効果は, 全く認められなかった.<br>3) 今回の調査結果では,1981年10月に米国から輸入されたレモンから0.045~0.617ppm, ネーブルオレンジから0.042~1.890ppm, 同時期にハワイ州から空輸されたパパイヤから0.084~0.465ppmのEDBが検出された. そしてこれらの一部のものには, 厚生省が定めたEDBの残留許容値 (0.13ppm) を越えるものがあった. 他方, 同時期にメキシコから輸入されたグレープフルーツからは0.040ppm以下の極めて低いEDB残留が認められたに過ぎなかった. また, 1982年3月フィリピンから空輸されたマンゴーからは, EDBは全く検出されなかった.<br>4) 生鮮果実類中に残留するEDBは, その初期濃度が同一でも, 果実の種類, 果実の保管貯蔵場所の室温あるいは通風換気の状況によって, その経時的減衰の動向が大きく異なることが推測された.
著者
佐藤 昭子 寺尾 通徳 本間 ゆかり
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.328-332_1, 1990-08-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
16
被引用文献数
5 6

主な食中毒菌及び腐敗細菌23菌種25株を供試し, ニンニク抽出液の抗菌作用を検討した. その結果, 大部分の供試菌に対するニンニク抽出液のMICは, 0.62~1.25%の範囲で, 強い抗菌作用を有することが認められた. なお, 検液1mlはニンニク0.5g水抽出液に相当する. 次に, 抗菌活性の安定性について, 加熱及びpHによる影響について検討した. その結果, 抗菌活性は加熱による影響が顕著で, 100°10分間の加熱で半減し, 20分間加熱で完全に失活した. また, pH 6.0~7.0付近の抗菌活性は最も強く安定していたが, pH 5.0やpH 8.0以上では減少することが認められた.
著者
鈴木 学 大和 康博 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.160-167, 1973-04-05 (Released:2010-03-01)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

土壌に残留する農薬の野菜への移行を検討しつぎのような結果を得た.1) 土壌中に残留する各BHC異性体は, ニンジン, カブ葉, ダイコン葉, ホウレンソウなどに多く移行し, トマト, キャベツなどへの移行は少なかった. 現在の土壌残留量から考えるとニンジン, カブ葉などで残留許容基準をこえる可能性がある.2) アルドリンとディルドリンのキュウリ, ニンジン, ホウレンソウへの移行率は, それぞれ16.6%, 9.6%, 4.4%であった. アルドリンは野菜中でディルドリンの型で検出された. 移行率はキュウリについて文献値にほぼ一致したが, ダイコン, ニンジンについてはかなり低い値を示した.3) エンドリンのキュウリ, キャベツ, ダイコンへの移行率は, それぞれ21.8%, 14.5%, 9.1%であった. エンドリン, アルドリン, ディルドリンの野菜への移行率と土壌残留量から考えると, 日本の残留許容基準をこえる可能性が多い.4) DDTは土壌中にかなりの濃度で残留していたが, 野菜への移行は極めて少量であった.
著者
一色 賢司 津村 周作 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.344-349, 1983-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
9 9

防カビ剤及び防虫剤の摂取レベルについて検討を加え, 次のような結果を得た.1) 7家庭より採取した1人1日分の喫食直前の飲食物 (陰膳) から防カビ剤が検出された. 平均含有量はジフェニル165μg, オルトフェニルフェノール24μg, チアベンダゾール33μgであった.2) 国民栄養調査による果物の摂取量を基にして可食部に由来する防カビ剤の1人1日当りの摂取量を算出した. その結果得られた防カビ剤の摂取量は, ジフェニル0.29μg, オルトフェニルフェノール0.09μg, チアベンダゾール0.04μgであった.3) 7家庭のいずれの陰膳からも防虫剤ピペロニルブトキサイドは検出されなかった.4) 穀類の摂取量を基にして防虫剤の1人1日当りの摂取量を算出したところ, 1.77μgという値が得られた.
著者
山中 英明 久能 昌朗 塩見 一雄 菊池 武昭
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.454-458_1, 1983-10-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
6 7

シュウ酸に基質特異性があり, 感度のよい酵素法の適用を検討し, さらに各種食品中の含量を測定した. 定量はシュウ酸に oxalate decarboxylase を作用させてギ酸にし, 次いで nicotinamide-adenine dinucleotide (NAD) とともに formate dehydrogenase を作用させ, NADHの生成に伴う340nmの吸光度の増加量から算出した. 植物性食品61種, 動物性食品30種のシュウ酸を測定したところ, 高含量のものは植物性食品に限られ, ホウレンソウの1,760mg/100gを最高に, ツルナ894mg/100g, 緑茶426mg/100gなどが高く, 水産物ではアオノリ193mg/100g, テングサ165mg/100gなど海藻にかなり高いものがあった. 動物性食品はいずれも低含量であり, 魚肉0.3~3.7mg/100g, 牛肉8.0mg/100gであった. ホウレンソウの生長に伴いシュウ酸含量が増加すること本認めた.