1 0 0 0 OA 芒消と朴消

著者
渡辺 武
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋醫學會誌 (ISSN:1884202X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.27-33, 1956-08-31 (Released:2010-10-21)
参考文献数
30
著者
大宜見 義夫
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.301-308, 1995-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

咳, 鼻水, 鼻閉, 悪心, 悪寒, 頭痛, 腹痛などの急性症状を訴える患者に対して漢方製剤がしばしば即効性を示すことがある。筆者は, 急性症状を呈する患者に漢方製剤を投与する際, 証の判定に迷ったり, 決定した処方の有効性を確認したい時,「確認投与」と称して, 漢方製剤を外来で投与し, 30分以内でその効果を確かめる方法を行っている。これまで行った確認投与の中から, 対象として選んだ339例について漢方エキス製剤 (ツムラ) による即効性の検討を行った。使用回数の多かった漢方エキス製剤は, 麻杏甘石湯, 五苓散, 人参湯, 半夏厚朴湯, 真武湯, 半夏瀉心湯, 黄連解毒湯, 川〓茶調散などであった。70%以上の有効性を示した主なエキス製剤は, 苓甘姜味辛夏仁湯, 川〓茶調散, 安中散, 半夏瀉心湯, 小青竜湯, 麻杏甘石湯, 麦門冬湯, 真武湯などであった。外来での, 即効性を生かした確認投与は, 証の判定や処方の決定に際して有用である。
著者
田中 政彦 小俣 浩 鈴木 輝彦 大野 修嗣 土肥 豊
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.351-357, 1994-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

MCTD症例における人参養栄湯の有用性について, 特にレイノー現象 (レ現象) を中心に検討を加えた。対象はMCTD 19例, 男女比2:17, 平均年齢38歳, 平均罹病期間57.6ヵ月である。方法は人参養栄湯エキス顆粒 (医療用) 9.0gを3分服とし, 4週間の連続投与とした。試験期間はレ現象が多発する11月1日より翌年の3月30日までとした。投与前後において, レ現象を含む臨床症状, 種々の検査データを比較検討し, またサーモビュアーを用いて投与前後の皮膚温も測定した。比較検討のため関心領域を設定し, その平均値を統計処理した。レ現象改善率は, やや改善以上が74%で, 悪化例は認めなかった。サーモグラフィーでは, ほぼ全関心領域において皮膚温は上昇傾向で, 特に左第I指関心領域では有意な皮膚温の上昇が認められた (P<0.05)。
著者
津久井 誠 大塚 紘司 筋 一男 松岡 敏郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋醫學會誌 (ISSN:1884202X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.186-190, 1975-06-30 (Released:2010-10-21)
参考文献数
16

当帰芍薬散水エキスを飼料中に0.1, 1.0%添加し, CF#1系マウス雄雌とも4週令から第5産終了時まで30週間以上, 自由摂取により連続投与を行なった。無投与対照群の出産率51%に対し, 当芍エキス0.1%投与群60%ならびに1.0%投与群59%を示したことから当芍エキスはマウスの妊娠, 出産に何らかの影響を与えるものと推察された。また本実験の範囲内では当芍エキスの毒性はきわめて低いものと推察された。
著者
後藤 由夫
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.145-158, 1993-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
22
著者
岡 孝和 松浦 達雄 三島 徳雄
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-108, 1989-10-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12

いわゆる心臓神経症患者にみられる胸背部過敏点の臨床的意義を検討し, 以下の結論を得た。心臓神経症患者では, 第4, 5, 6胸椎棘突起上, 左第4, 5胸肋関節上に高頻度に過敏点を認めた。同部位は健常人においても出現頻度が高かったが, 患者群では有意に高頻度であった。また, 過敏点の出現頻度と神経症傾向, 顕在性不安との間に有意な相関関係は見出せなかった。胸部過敏点では, 圧迫により過敏性疼痛を示したにすぎなかったが, 背部過敏点では, 圧迫により胸痛, 動悸, 胸部圧迫感等の自覚症状を訴えた者が多く, 背部過敏点を検索することは, 患者の愁訴を理解する上で有用な身体所見であると考えられた。第4, 5, 6胸椎棘突起レベルには厥陰兪, 心兪, 督兪が配されていることと比較すると興味深い結果と考えられた。
著者
鉄村 進 木村 豪雄 佐藤 祐美 古田 一史 三潴 忠道
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.103-108, 2005-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

重症骨粗鬆症により多発性骨折をきたし, 痛みのため寝たきりとなった患者に対して桂枝附子湯を投与し著効を得た1例を経験した。患者は68歳の女性。6年前に骨粗鬆症による腰椎圧迫骨折の診断を受けていた。2000年11月, 原因不明の胸背部の強い疼痛と全身性接触性皮膚炎にて入院となった。患者は強い痛みのため寝たきり状態であった。骨シンチグラフィーにて胸郭・脊椎部に多発性の集積像がみられたが, 明らかな悪性疾患は見出せなかった。またMRIでは胸腰椎に多発性の圧迫骨折がみられた。強い表在性の痛みと四肢の冷えを目標として桂枝附子湯を投与した。痛みは除々に軽減し, 2ヵ月後には機能訓練を開始することが出来た。その後, 痛みと皮膚の状態によって黄耆建中湯, 桂姜棗草黄辛附湯および八味丸を投与した。11ヵ月後には介助起立が可能なまでに回復した。桂枝附子湯の骨粗鬆症による多発性骨折に伴う痛みに対する有用性が示唆された。
著者
田原 英一 斉藤 大直 川上 義孝 荒川 龍夫 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1-2, pp.63-69, 2002-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7

療養型病床群で釣藤散投与を契機に経管栄養から経口摂取が可能となったと考えられる症例を経験した。症例1は84歳, 男性。誤嚥性肺炎の後, 寝たきり, 胃瘻状態で当院へ転院。入院時は会話もほとんど不能であったが, 釣藤散 (TJ-47) を投与開始後, 意欲の向上が見られ, その後嚥下訓練を行い, 経口摂取が再開となった。症例2は99歳女性。大腿骨骨折術後, 経鼻経管栄養状態で当院へ転院。経口摂取に対して拒否的であったが, 釣藤散投与開始後徐々に経口摂取が可能となった。症例3は84歳女性。誤嚥性肺炎の後, 寝たきり, 経鼻経管栄養状態で当院へ転院。左大転子部に褥瘡形成を認め, しばしば発熱があったが, 釣藤散投与後意欲の改善を認め, 嚥下訓練と合わせて経口摂取が可能となった。また経口摂取に伴い, 褥瘡も治癒した。高齢者の経管栄養からの離脱に際し, 釣藤散は試みられて良い方剤と考えられた。
著者
片寄 大 白土 邦男
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.25-38, 2001-07-20 (Released:2010-07-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

循環器疾患の危険因子としての怒りを治療目標とする, 柴胡を含む医療用漢方製剤は循環器疾患の予防および制御に有用である可能性があるが, その循環器外来におけるその適用は確立されていない。そこで当科循環器外来で, 柴胡を含む医療用漢方製剤として使用頻度の高かった柴胡加竜骨牡蛎湯が投与された9名 (年齢44±13歳〉mean±SD〈 男性3名, 女性6名) について, 治療効果を解析した。柴胡加竜骨牡蛎湯使用9名中7名有効で有効率は78%であった。柴胡加竜骨牡蛎湯は上室性期外収縮, 心因性咳嗽, 高血圧, 心臓神経症などの患者における動悸, 胸部不快感, 咳嗽などの胸部症状および不眠に有効であった。柴胡加竜骨牡蛎湯使用例においては, 降圧効果, 抗不整脈効果, β遮断薬との比較しての安全性などが示された。以上, 肝関連方剤のなかで, 柴胡加竜骨牡蛎湯が動悸, 不眠の改善を介して, 循環器疾患の制御および予防に有用であると思われ, 循環器外来において使用が考慮されてよい薬剤と考えられた。
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.275-309, 2002-07-20 (Released:2010-03-12)
被引用文献数
1 1
著者
岡本 康太郎 岡本 芳文 高橋 栄司
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.579-586, 1995-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9

向精神薬服用後に口渇や口乾を訴えた37例 (男性18例, 女性19例) に, 五苓散または麦門冬湯を投与して有効性と安全性につき検討を加えた。五苓散は口渇に対しての改善率 (著明改善+改善) は40.0%,口乾に対しては25.0%であった。麦門冬湯は口渇に対しての改善率 (著明改善+改善) は47.1%, 口乾に対しては59.1%であった。口渇に対しては五苓散, 麦門冬湯で効果に差はみられなかった。しかし, 口乾に対しては麦門冬湯がきわめて有効であった。

1 0 0 0 OA 原穴の意義

著者
遠藤 次郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.19-22, 1986-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

著者は古典に基づいて原穴の意義を探究し, 次の知見を得た。「腎を介して四関に蓄えられた五臓の精気は各々の原穴から湧出し, その反応を体表にあらわす。また, 四関は外界の精気を感受し, この周期性に合わせて五臓の精気を原穴から各々の経脈に流出させる」。
著者
小川 幸男
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.161-165, 1985-01-20 (Released:2010-12-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1
著者
盛岡 頼子 佐藤 弘 代田 文彦 山内 浩
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.845-849, 1999-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

肝硬変による腹水の治療は困難なものが多いが, 腹部症状を目標に大建中湯を用いて腹水が消失した症例を経験した。症例は67歳, 女性, 胃癌手術の際にC型慢性肝炎が発見され, 胃癌の術後より腹水が出現し, 利尿剤を投与されたが, 腹水貯留は著明で, 腹壁瘢痕ヘルニアのため2回手術が行なわれた。開腹時の肉眼所見では肝硬変像を呈していた。食欲不振, 易疲労が改善しないため, 漢方外来を受診した。補中益気湯, 五苓散, 小建中湯などを投与したが, 効果はみられなかった。しかし腹部の冷え, 腹鳴を目標に大建中湯を投与したところ, 腹部症状は改善し, 腹水が徐々に減少し, 腹部超音波検査でも消失し, 利尿剤も中止することができた。大建中湯による腹水消失の報告は調査した範囲ではみられず, 興味ある症例と考えられ報告した。漢方では患者の訴える症状や所見を注意深く観察し処方を決めていくことが重要と思われた。
著者
南澤 潔 古田 一史 三潴 忠道 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.515-519, 2002-09-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20

抗生物質治療に抵抗性であった84歳男性の敗血症患者に対して, 黄耆建中湯が奏功した症例を経験した。患者の血液培養からは継続してクレブシエラが検出され, 明らかで無いながら感染源として腸管からの bacterial translocation が疑われた。2週間の抗生物質治療にも関わらず弛張熱と血液培養陽生が持続し, 菌交代現象が示唆された。このため抗生物質を中止の後, 黄耆建中湯単独にて加療したところ徐々に発熱, 炎症反応の低下が見られ, 抗生物質を再開することなく血液培養も陰性化し, 患者は完全に回復した。黄者建中湯は「虚労を治す」とされているが, 敗血症治療に奏功したとの報告は見られない。機序は明らかでないが, 黄耆建中湯が特に高齢者や免疫機能低下状態の重篤な感染症の治療に有用である可能性が示唆された。
著者
小山 誠次
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.469-475, 1996-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
39
被引用文献数
2 2

帰脾湯及び加味帰脾湯の出典について論考した。今日一般的に帰脾湯は人参, 白朮, 茯苓, 竜眼肉, 酸棗仁, 黄耆, 遠志, 当帰, 木香, 甘草, 生姜, 大棗と処方される。『済生方』の帰脾湯には当帰, 遠志が配合されず,『玉機微義』では『済生方』処方に当帰を加味した帰脾湯が記載され,『薛氏医案』中の諸書では更に遠志も加味した処方が記載されている。一方, 加味帰脾湯は『薛氏医案』中の諸書にあっては, 柴胡, 山梔子加味の処方, 柴胡, 牡丹皮, 山梔子加味の処方, 牡丹皮, 山梔子加味の処方の3種類が記載されている。いずれも我が国で江戸時代の通用処方書に採用されていたが, 今日では柴胡, 山梔子の加味方が最も多く処方される。これは恐らく『勿誤薬室方函』及び『勿誤薬室方函口訣』の影響によるものではないかと思われる。総じて, 出典としては帰脾湯も加味帰脾湯も共に『済生方』,『玉機微義』,『薛氏医案』をもって充てるのが順当である。