著者
友沢 稔 高田 雅介 John ACOCELLA E. Bruce WATSON 高森 剛
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:00090255)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1056, pp.377-383, 1983-08-01 (Released:2010-04-30)
参考文献数
31
被引用文献数
7 9

約8wt%までの水を含むNa2O・3SiO2ガラスを高温高圧下で合成し, そのガラス転移点 (Tg) をDTA法により測定した. ガラス中の水はTgより高温で発泡を伴って溶離した. ガラス転移点と発泡温度はともに含水量の増加につれて減少した. 含水量の変化に対するガラス転移点の変化を高分子の可塑剤に対する種々の方程式と比較し, OHと分子状H2Oの両方の寄与を考慮に入れた方程式により, 最もよく記述されることを見出した. OHはTgを急激に下げ, 一方分子状H2Oは単にガラスを薄める効果によりわずかにTgを下げることが結論付けられた.
著者
高田 大輔 安永 円理子 田野井 慶太朗 中西 友子 佐々木 治人 大下 誠一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.517-521, 2012 (Released:2012-10-26)
参考文献数
6
被引用文献数
9 9

放射性核種の降下時に土壌表面を被覆していた鉢植え樹体と非被覆の鉢植え樹体を比較することにより,土壌由来の放射性Csのモモ樹体中への移行を検討した。土壌中の放射性Csは被覆処理により6分の1に低下した。被覆の有無にかかわらず,根の放射性Csは検出限界値以下であった。地上部の放射性Cs含量は地下部に比べて多いが,被覆の有無による差は見られなかった。以上のことから,事故当年において地上部の放射性Cs濃度に対する土壌中の放射性Csの寄与は極めて少ないことが示唆された。
著者
渡部 欣忍 新井 通浩 竹中 信之 松下 隆
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.993-996, 2013-10-25

大規模コホート研究を含む臨床研究の結果では,低出力超音波パルス(LIPUS)照射による遷延癒合・偽関節の治癒率は67~90%と報告されている.しかし,①偽関節が萎縮型である,②骨折部に不安定性がある,③主骨片間の間げきが8~9mm以上である,という特徴をもつ遷延癒合・偽関節にはLIPUSの効果が低い.これに該当する遷延癒合・偽関節に対しては,LIPUSは偽関節手術後の補助療法として使用するのがよいと考えている. 現行の健康保険制度では,骨切り術や骨延長術に対してはLIPUSを術直後から使用することができない.ランダム化比較臨床試験の結果では,LIPUS照射により延長仮骨の成熟が促進されることが証明されている.骨延長術の術後早期からLIPUSが保険適用されることを期待する.
著者
Keith A. GARLEB Maureen K. SNOWDEN Bryan W. WOLF JoMay CHOW
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.43-54, 2002 (Released:2010-06-28)
参考文献数
119

フラクトオリゴ糖は医療用食品に理想的な発酵性食物繊維源である.医療用食品の典型は液体であり, 多くはチューブを介して患者に給与される.チューブから給与される液体医療用食品は粘度が低くなければならない.フラクトオリゴ糖は可溶性であり, 栄養チューブに詰まらず, 製剤の粘度を大きく上昇させることがない.医療用食品にフラクトオリゴ糖を使用する理論的根拠として腸管機能の正常化, 大腸完全性の維持, 腸管定着抵抗性の回復, 窒素排泄経路の変化, カルシウム吸収の改善が挙げられる.腸管機能の正常化とは, 医療用食品を給与されている患者での便秘または下痢の治療もしくは予防を指す.フラクトオリゴ糖は結腸内の細菌による嫌気性発酵と短鎖脂肪酸の産生を介して大腸萎縮の予防や遠位潰瘍性大腸炎の治療に有用と思われる.またビフィドバクテリウム属の増殖を選択的に助ける, またはある種の病原微生物の増殖を促進しない環境 (例: 短鎖脂肪酸濃度の上昇, pHの低下) を作ることから, 腸管定着抵抗性の回復に役立っ.フラクトオリゴ糖の嫌気性発酵では細菌細胞の成長と結腸pHの低下が起こるため, 窒素の排泄経路が尿から糞に移ると考えられる.カルシウム吸収が改善されるのは短鎖脂肪酸吸収と大腸pH低下が関与するメカニズムを介するためと思われる.総合すると, 液体製剤との適合性と患者に対する数多くの生理的利点が, 医療用食品にフラクトオリゴ糖を使用する十分な根拠となる.
著者
鈴木 優
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.46-58, 2013-09-27

本論文は,Wikipediaに記述されている情報の質に関する研究のサーベイである.Wikipediaは,不特定多数の利用者によって容易に編集を行うことができるという特徴から,従来の紙媒体による百科事典と比較して速報性が高いことや,広範囲な情報が得られる利点がある一方で,質が低い情報が含まれるという欠点も存在する.利用者は,必ずしもすべての情報に対して質が高い情報かどうかを適切に判定することができないため,Wikipediaに対して質の高さを測定しようという試みが数多く行われている.本論文では,質の定義についての議論を行ったうえで,現在までに行われているWikipediaに関する調査について紹介し,Wikipediaに含まれる情報に対して,情報の質を測定する研究について紹介する.
著者
清水 弘
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.635-653, 1955 (Released:2011-10-14)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2
著者
嶋崎 隆
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.p536-554, 1988-04

論文タイプ||論説
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
vol.第85 (大正小説集), 1957
著者
槇島 誠
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.478-479, 2011-10-15

核内受容体はDNA結合領域とリガンド結合領域を有する転写因子型の受容体であり,ヒトにおいて48種類の存在が知られている。核内受容体は,1)ステロイドホルモン受容体,2)ホモ二量体型オーファン受容体,3)retinoid X receptor(RXR)ヘテロ二量体型受容体,4)単量体型またはその他の受容体の4種類に大きく分類できる。ビタミンD受容体(VDR)はオキシステロール受容体liver X receptor,胆汁酸受容体farnesoid X receptor,生体異物受容体pregnane X receptorと同じく,RXRヘテロ二量体型受容体である。生体内で最も重要なVDRリガンドは,1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)である1)。コレステロール生合成系の中間代謝産物である7-デヒドロコレステロールが,紫外線の作用によりプレビタミンD3を経てビタミンD3に変換される。そして,肝臓での25水酸化,腎臓での1α水酸化を経て活性型の1,25(OH)2D3になる。食物由来のビタミンD3やビタミンD2も同様の水酸化反応を受ける。1,25(OH)2D3はVDRに作用することで骨・カルシウム代謝をはじめとして,炎症・免疫,心血管機能,細胞の増殖・分化,胆汁酸代謝など様々な生体機能を調節する。また,VDRとpregnane X receptorなどの近縁の核内受容体との類似性に着目した研究により,二次胆汁酸であるリトコール酸がVDRのリガンドであることが明らかにされた1)。肝臓においてコレステロールを原料にコール酸やケノデオキシコール酸などの一次胆汁酸が合成される。消化管に分泌された一次胆汁酸の一部は,腸内細菌によりデオキシコール酸やリトコール酸などの二次胆汁酸に変換される。1,25(OH)2D3やリトコール酸によって活性化したVDRは,生体異物代謝系を誘導して胆汁酸代謝に影響を与える。VDRは骨・カルシウム代謝疾患のほか,悪性新生物,感染症・自己免疫炎症性疾患,心臓血管系疾患などの疾患においても有望な分子標的とされており,多くの合成リガンドが開発されている。種々のリガンドのVDR作用の研究により,VDRの活性化機構が解明されつつある。
著者
大野 哲也
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.73-90,198, 2008

Many regions in contemporary Japan are struggling to achieve the revitalization of local communities, where depopulation is progressing day by day. Under these circumstances, those communities having a unique culture or nature have discovered the possibility of revitalization through registration as a World Heritage Site. In order to turn their own nature or culture into tourist resources, many such communities are trying to apply for World Heritage registration. The world "heritage" has another important meaning in Japanese society. The policy of the World Heritage Convention is "development through protection", which is quite different from the policy of "either protection or development" which has been maintained by the Japanese administration. The fact that World Heritage sites became tourist attractions opened up the possibility for development while protecting, without destroying significant culture and nature. Even though Owase City in Mie Prefecture has been registered as a World Cultural Heritage site, there are some people who are still strongly opposed to the registration. Owase has "Yaki-yama", one of the famous tourist panoramic viewpoints in "Kumano-kodo¯", registered in 2004 as the World Heritage site "Kii-sanchi no reijo¯ to sankeido¯: Kumano-kodo¯" (Sacred Sites and Pilgrimage Routes of the Kii Mountain Range). Why does Owase maintain its objection despite its problem of depopulation? Taking this question as a starting point, this paper introduces the logic of their protest, while exploring another possibility of local community revitalization based on the arguments accumulated in the field of sociology.
著者
姜 恩和
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.63-75, 2014-05-31 (Released:2018-07-20)

韓国では,2012年8月に全文改正された養子縁組特例法が施行され,養子縁組の成立を当事者による届出のみとするのではなく,家庭裁判所による許可制とするなど,子どもの権利保障という点で大きく前進した.しかし,施行後,養子縁組斡旋機関に預けられる子どもの人数が減り,乳児の遺棄事件が絶えないとして議論が続いている.この議論について,本稿では,出生届の捉え方に焦点を当て,子どもの出自を知る権利対未婚母のプライバシー保護の権利と,家庭で育つ権利という二つの論点に分けて分析した.その結果,養子縁組は,虚偽の出生届を媒介とし,望まぬ妊娠をした女性を対象とした社会福祉制度として機能してきたが,2012年特例法への改正に際して,この機能が看過されたことが,施行後すぐに再改正の議論が起きている最たる要因であることが明らかになった.韓国社会で未婚の状態での出生届がいかに負担感の大きいものかが改めて問われているのである.
著者
小山 みずえ
出版者
Society for the Historical Studies of Early Childhood Education and Care in Japan
雑誌
幼児教育史研究 (ISSN:18815049)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-12, 2017 (Released:2018-03-27)
参考文献数
17

Today, traditional annual events are believed to play an important role in early childhood education in Japanese kindergartens and nurseries. This paper examines how traditional annual events were introduced and established in kindergarten education in Japan and clarifies how the content of these events and ways of celebrating them were modified depending on the period. In particular, this paper focuses on the Doll Festival. With the adoption of the new calendar in 1873, the Meiji government abolished the “Gosekku” (the five seasonal festivals); accordingly, the Doll Festival declined. However, from the 1890sto the 1900s, the Doll Festival was revived against the backdrop of rising nationalism and as a commercial strategy for promoting the sale of dolls by department stores. For example, it was confirmed that Aisyu Kindergarten in Osaka started celebrating the Doll Festival around 1910. Then, from the Taisho to the early Showa period, the Doll Festival spread extensively in kindergartens throughout Japan. In the Meiji and the Taisho periods, the main purpose of the Doll Festival was to participate in the festival on March 3 and enjoy playing with dolls. Songs, plays, storytelling, and other activities related to the Doll Festival were only partially introduced into daily life. In contrast, after the early Showa period, traditional annual events, including the Doll Festival, were placed in the kindergarten curriculum, which implies that the educational value of the Doll Festival was formally recognized. As a result, kindergarten teachers tried to integrate various activities (manufacturing, songs, plays, storytelling, etc.) under the subject matter of the Doll Festival. In addition, along with the festival itself, the process of preparing for the festival also held educational value. The Doll Festival was planned so that children could take part in the preparation with enthusiasm and organize events in cooperation with their friends and teachers.
出版者
雄山閣出版
雑誌
季刊考古学 (ISSN:02885956)
巻号頁・発行日
no.59, pp.33-61, 1997-05