著者
小野 盛司 吉野 守
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

将来AI/ロボットが大半の雇用を奪ってしまうと言われている。そのときはベーシックインカムという方法が提案されているが、巨額の財源が必要になる問題と労働意欲の喪失が欠点とされている。その両者を解決するために解放主義社会を提案する。
著者
片桐 智志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

クリック率 (CTR) 予測はweb広告プラットフォームを持つ企業にとって最も重要なタスクの一つである. しかしながら, CTR予測は非標準的な機械学習のタスクであるため, 例えば ROC 曲線の area under the curve (AUC), 対数損失 (別名: 交差エントロピー) などの従来の評価指標は不適切になりうる. 我々の目的は, CTR予測のための新たな指標を開発することにある. 本稿では, これら従来の評価指標の欠点と, カリブレーションプロット的なアプローチに基づく指標の展望について述べる.
著者
大上 隆史
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

濃尾平野の西縁を画する養老山地,とくにその東斜面には起伏が大きい山地地形が発達している.これらは養老・桑名断層帯の活動に伴う山地の活発な隆起,および東流する河川網の下刻に伴って形成されたと考えられ,山地で生産された土砂が東麓に扇状地群を形成している.扇状地の形態に関して多くの研究が蓄積されており,扇面勾配が集水域面積(≒河川流量)と負の相関を持つことが広く認識されている.さらに,扇面勾配の大きさが土砂流量/河川流量と相関関係を持つことが地形実験によって示されており(Whipple et al., 1998),実際の扇状地においても扇面勾配が河川流量に加えて集水域の削剥速度にコントロールされている可能性が高い.しかし,それらの関係を具体的に検討するためには,集水域の平均削剥速度や扇状地における堆積速度を定量化する必要がある.それらの値を直接得ることは一般に難しいため,集水域における削剥速度の指標として斜面傾斜や起伏比が計測されてきた.ところが,“Threshold Hillslope(限界傾斜)”を獲得するような険しい流域では削剥速度は斜面傾斜と無関係となることが示されており(Burbank et al., 1996),起伏比は集水域面積と負の相関をもつ場合が多いため河川流量と切り分けた議論が困難である.一方で,ストリームパワー侵食モデルにもとづいて“平衡状態にある”岩盤河川の河床縦断形の解析手法が発展しつつあり,隆起速度と岩盤の抵抗性に依存する流路の「Steepness(急峻さ)」の概念が導入されている(Wobus et al., 2006).岩盤強度が一様であれば,“平衡状態にある”河川のSteepnessは隆起速度(≒侵食速度)の関数となることが期待されており,近年ではSteepnessと侵食速度の関係が実際に検討されつつある(DiBiase et al., 2010).特に限界傾斜を獲得するような山地では,Steepnessが岩盤河川の下刻速度を表し,河川の下刻速度が山地の削剥速度を規定している可能性がある.そこで,養老山地東斜面の河川群における河床縦断形から流路のSteepnessを試算するとともに,それらと扇面勾配との関係を検討した. 養老山地の東斜面を流下する河川群のうち,養老山地の中央分水嶺に谷頭を持つ25流域を研究対象とした.国土地理院が公開している5 mメッシュ数値標高データにもとづき直交座標系(UTM53N)における10 mグリッドのDEMを発生させ,これを用いて集水域解析を行った.谷頭を起点とする河床縦断形を作成し,それらをχ−標高プロット(Perron and Royden, 2013)に変換した.χ−標高プロットが直線回帰されるとき,その河床縦断形は“平衡状態にある”とみなせる.また,χ−標高プロットの勾配は「Steepness」を表す.流路距離および集水域面積を用いてχを計算するのにあたり,A0=10 km2とし,定数m/n=0.5を採用した.χ−標高プロットにもとづき,流路は大きく3つのセグメントに分けられる.最上流部におけるχ−標高プロットの勾配は比較的小さく,これらの流路の集水域は<0.1 km2程度である(最上流セグメント).集水域面積>0.1 km2程度の山地河川の流路ではχ−標高プロットの勾配は大きくなり,その勾配はほぼ一定で直線回帰される(上流セグメント).上流セグメントはχ−標高プロットで直線回帰されるため“平衡状態にある”流路とみなせる.下流部の堆積域ではχ−標高プロットの勾配は小さくなっている(下流セグメント).養老山地東斜面の山地における河川網の大部分は上流セグメントに属する.そのため,各集水域の流路のSteepnessを,本流の上流セグメントにおけるχ−標高プロットの勾配とした.本発表ではχ−標高プロットの勾配をそのままSteepnessとした. 対象河川の集水域面積は0.15−5.09 km2であり,それらの平均傾斜は36−44°,起伏比は0.09−0.45である.Steepnessは35.2−89.6×10-3の値をとる.これらの集水域の地形量のうち,起伏比は集水域面積と負の相関関係を示すが,その他は明瞭な相関関係が認められない.ただし,起伏比とSteepnessの関係に着目すると,同程度の集水域面積のクラスター毎に概ね正の相関がある.扇頂から下流に連続する直線的な河床勾配(以下では堆積勾配と呼ぶ)は0.024−0.338であり,これらはよく知られているように集水域面積と負の相関関係を示す.Steepnessと堆積勾配の関係を見ると,同程度の集水域面積のクラスター毎に正の相関関係があるとみなせる.このことは,堆積勾配が集水域面積とSteepnessによって規定されていることを意味する.また,Steepnessが流域の削剥速度を表していることを間接的に示し,養老山地東斜面における削剥プロセスは“Threshold Slope”パラダイムにもとづく侵食モデル,つまり岩盤河川の下刻速度が流域の削剥速度を律するモデルによって説明できる可能性が高いことを示唆する.すなわち,集水域における土砂生産速度と集水域面積(≒河川流量)が扇状地の扇面勾配にあらわれていると解釈できる.引用文献:Whipple et al., 1998. Journal of Geology 106. Burbank et al., 1996. Nature 379. DiBiase et al., EPSL 289. Wobus et al., 2006. GSA Spec. Pap. 398. Perron and Royden, 2013. EPSL 38.
著者
水野 貴之 小髙 充弘
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

世界の3億社と1.4億人に関する株所有情報を含むデータセットを用いて,グローバルな株所有ネットワークにおける中国の間接支配を調べる.はしめに,ネットワーク上のパーコレーションモデルを拡張することによって,支配関係をグローバルな株所有ネットワークのサブグラフ(サブネットワーク)として抽出する.このモデルは,直接所有だけではなく,支配下企業を介した間接所有も加味して,企業が支配されるか(ノードがパーコレートするか)を定める.次に,中国株主と米国企業(投資会社とGAFA)による世界支配を,支配に必要な所有比率を変化させて観測する.中国株主が協調することで,世界支配は大きく拡大する.中国は, 1%を超える間接的な株所有によって世界の全従業員の47%を支配している.中国による支配は,タックスヘブン地域,フランス,南アフリカ,ナイジェリアで顕著である.フランスは旧植民地であるアフリカで多くの企業の株を持っている.支配関係は階層構造を持っている.すなわち,中国はフランスを介してアフリカを支配している.特に,採掘業で顕著である.中国の世界支配は強いけれども,米国企業による支配はその比ではない.
著者
水田 孝信
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

ETF(Exchange Traded Funds, 上場投資信託)は手軽な分散投資を提供する商品として,近年,投資家に普及してきている.しかし,一部のETFは注文量が少なく取引したいときに適切な価格で取引しづらい状況になっていた.そのため取引所によっては,裁定取引の手数料を引き下げるなどの売買を増やそうとする制度を導入する場合がある.しかし,裁定取引にかかるコスト(必要な利益も含む総合的なコスト)によってETFや株式の流動性がどのように変化するのか,そのメカニズムはどのようなものなのかといったことは分かっていない.そこで本研究では,2つの株式とそれら合計と同じ価値のある1つのETFという3つの証券があり,これらの証券間の裁定取引を行うエージェントを実装した人工市場モデルを構築した.そして,株式とETFの裁定取引にかかるコストによって流動性がどのように変化するかを調べた.その結果,ボラティリティよりコストが小さければ裁定の機会が訪れやすく,裁定エージェントの売買が増え,ETFと株式の価格の乖離が小さくなることが分かった.
著者
石橋 克彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

●徳島県海陽町宍喰の大日寺に伝わる「円頓寺開山住持宥慶之旧記」(猪井・他,1982)の中の「当浦成来旧記書之写」(A)は,永正九年(1512)八月に洪浪が同地を襲い,浦中流失して約2200人が死亡したと記す.これは,石橋(2014,2015),Baba et al.(2017),馬場・他(2017)などが引用した『震潮記』中の記事(B)や,『大日本史料』『増訂大日本地震史料』『宍喰村誌』『海部郡誌』などが掲載する『宍喰浦旧記』(『徴古雑抄続編』所収,C)の元だと考えられる.BとCには大きな誤写があるが,Aについても幾つかの疑問がある.猪井・他(1982)が紹介した翻刻に拠って問題点を指摘する.●まず,「当浦成来旧記書之写/永正十一年正月に書記すとこれあり候」以下の中核部分に,以下のような内容的疑問がある:(1)橋より南の町は残らず流失したが死者は少なく,橋より北の町家は痛みは多くなかったが死人多く,「両町の人老若男女とも三千七百余人の相助し人一千五百余人也」という大被害のもとで,二人の城主が翌年十二月中旬までに諸寺諸社13を含む家数1805軒を再建したというが,被災地にそれほどの財的・人的・物的資源があったのか.(2)生存者1500余人に対して「町家千七百家」の再建は多すぎるだろう(しかも北町の損家は少数!).(3)北町で死者が多かったのは不自然.(4)海辺の大松原や集落周囲の山林を皆伐して建材を調達したというが,その後の高潮・豪雨災害を懸念せずに本当にやったのか.(5)「御取立(建築)の諸寺諸社」の中に祇園拝殿も記されているが,大永六年(1526)の再建棟札があるから(宍喰村誌),矛盾している.(6)城主「藤原朝臣下野守元信公 同宍喰村城主藤原朝臣孫六郎殿」と記すが,『阿波志』『宍喰町誌』によれば,愛宕山城主は藤原孫六郎元信,祇園山城主は藤原下野守持共で,名前が混乱している.●中核部分に続いて,「新寺駅路山一寺円頓寺宥慶/時に慶長十年三月四日書記す也」と末尾に記された「九ケ所寺々名附所付」などがあるが,その中の「御当代蜂須賀阿波守茂成公の御先祖蓬庵公」という記述にも次の疑問がある:(7)茂成(本名,家政)は天正十三~慶長五年(1585-1600)の藩主,以後元和六年(1620)までの藩主は子の至鎮,しかも蓬庵は家政の号だから,二重におかしい.●永正九年洪浪の記録全般に関する疑問:(8)宍喰は戦国期より前は高野山蓮華乗院の荘園だったが,文安二年(1445)の「兵庫北関入舩納帳」(林屋,1981)に木材運搬の宍喰船の記録が20件あり,その後も堺などとの交易や海部刀の輸出などが盛んだったというから(宍喰町誌),舟運被害が記されていないのは不自然ではないか.(9)宍喰の壊滅は畿内などにも影響を与えた可能性があり,他の記録があってもよいのではないか.●Aは「円頓寺開山住持宥慶之旧記」の一部だが,全体についての疑問:(10)冒頭に「元文四己未年の春駅路山円頓寺開山住持宥慶の旧記等円頓寺の二階の上鼡の巣の中より取出し候其の時々拝見の僧円頓寺住持嘉明真福寺住持大雲也旧記の本紙は円頓寺にこれあり候旧記本紙の通相違なく写取るもの也/時に元文四己未年三月十四日」とあるが,慶長十年(1605)頃の膨大な古記録(慶長九年津波のものも含む)が元文四年(1739)まで鼠の巣の中にあって,鼠害に遭わずに詳しく読めたのは不自然ではないか(後のほうの一部には「鼡喰い云々」とあるが).(11)「円頓寺開山住持宥慶」というが,同寺(大正元年<1912>大日寺に合併)の「御建立成来旧記之事」(宍喰町誌)は,「駅路山円頓寺住侶 法印快厳(花押)/慶長四己亥年正月二十八日書記之」として「当時開山住侶 <中略> 久米田寺多門院一代法印快尊弟子快厳時代也」と記すから,宥慶は開山住持ではないだろう.●以上の問題点は,書記や書写の各段階での思い違いや写し間違いの所為にされるかもしれない(翻刻ミスもありうるが,そのレベルではない).だが,不自然な記述が多く,Aの信憑性は低いのではないだろうか.ただし,Aの内容がすべて事実無根と言えるわけではなく,地元の記憶・伝承が融合されて架空の記録が作られたのかもしれず,生起年代は別として,個別的な歴史的事実は含まれているかもしれない.しかし「永正九年八月の宍喰浦洪浪災害」の実在に関しては,現段階では疑問と言わざるをえない.今後Aの記述内容を,史料学と地学的・考古学的現地調査によってさらに検討することが重要であろう.なお「宥慶之旧記」全体の精査は,慶長九年十二月十六日(1605.2.3)の宍喰の地震動・津波という歴史地震学の大問題に直結している.