著者
矢儀 真也 中村 雄一 山内 利宏
雑誌
コンピュータシステム・シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.84-94, 2011-11-23

SELinux のセキュリティポリシは設定が難しいため,汎用的なポリシを利用することが多い.しかし,汎用的なポリシは,個々のシステムに必要のない権限を許可している可能性がある.また,ポリシが占有するメモリ使用量が多く,組み込み機器には適していない.これらの問題への対処として,不要なポリシを自動で検出し,削減する手法を提案する.提案手法は,SELinux が出力するログを利用して不要なポリシを検出する.また,システム管理者にポリシの修正を提案し,システムのセキュリティを向上させ,ポリシのメモリ使用量を削減できる.本論文では,SELinux のポリシの問題点と対処方法を示し,設計と評価について報告する.
著者
大出訓史 今井 篤 安藤 彰男 谷口 高士
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1111-1121, 2009-03-15

音楽や音響システムの評価に人の嗜好や感性を加えることを目的として,心に何らかの良さを強く感じたときに用いられる"感動"という観点から音を評価することを検討している.著者らは,これまでに心理実験によって感動を表現する言葉(以下,感動語)を分類し,"感動"に含まれる心理状態が一意ではないことを示した.本稿では,分類した感動語を感動評価尺度として,音楽聴取における"感動"を評価させた.その結果,楽曲によって感動評価尺度の評価の傾向は異なり,音楽によって喚起される感動にも種類があることが分かった.また,同じ楽曲を評価した場合に,「感動」を高く評価した実験参加者と低く評価した実験参加者では,音楽の持つ感情価測定尺度の評価値よりも感動評価尺度の評価値にグループ間で大きな差異がみられた.「感動」の評価値は,感動評価尺度の評価値の重み付き線形和で近似できた.
著者
伊藤 忠夫 Tadao Itoh 中京大学教養部
雑誌
中京大学教養論叢 = Chukyo University bulletin of the Faculty of Liberal Arts (ISSN:02867982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.999-1070, 1990-02-28

モンボト〓の『言語の起源と進歩について』その源泉, 創まり, 背景特に弁護士図書館に注目してこの論文は, モンボド〓の『言語の起源と進歩について』 (全6巻, 1773-1792) の源泉と初期の展開を同時代の知的背景に照らして検討し, その時代の文脈におけるこの著作の目的と意義のより充分な理解を目的とする。この論文は, モンボドによる弁護士図書館所蔵の文書・著作の広範な活用と, この図書館の創設と結び付いていた16世紀のスコットランド法学の人文主義的伝統の彼に対する影響とに, 特に関心を向けている。この論文は, 『言語の起源と進歩について』の最初の二巻を集中的に検討しているが, それは, この二巻が言語の自然的歴史と普遍文法を扱い, モンボドの言語観の真髄を含んでいるからである。しかし, 修辞学 (残りの四巻の主題)は, 背景として必須のものであり, 従って, 概括的な形で扱われている。モンボドの主要な目的は, イングランドとの合邦以後のスコットランドが直面している言語的, 文化的, 哲学的な諸問題に対する解答を提供することであったこと, そして, 彼の解答は, 「スコットランド啓蒙運動」をその本来の人文主義的諸原理に立ち帰らせることを含んでいた, との主張が提出されている。言い換えれば, ロックとヒュームによって提起された「人間の経験的科学」の代わりに, モンボドは, アリストテレス的な技能の言語の諸原理に基づく人間的科学を提案したのであった。モンボドの哲学的, 言語的, 法学的諸見解は, 完全に首尾一貫している, との主張も提出されている。
著者
川嶋 尚正
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2013

東京海洋大学博士学位論文 平成25年度(2013) 応用環境システム学 課程博士 甲第344号
著者
澤田 隼 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.941-950, 2018-03-15

本稿では,Generative Theory of Tonal Music(GTTM)を音楽のスペクトログラムに直接適用して階層的クラスタリングによってタイムスパン・セグメンテーションを生成する新しい方法を提案する.まず初めに,スペクトログラムを時間軸方向に分割し,周波数方向に縦長の矩形(bin)をピッチイベントとして,スペクトログラムを一連のbinの集合として考える.binのテクスチャの特徴は,グレーレベル同時生起行列(Gray level co-occurrence matrix: GLCM)を使用して抽出され,テクスチャ特徴量の時系列データを生成する.テクスチャ特徴量による隣接bin間の類似度によってフレーズの近接度および変化量が計算される.並列性および反復性などの大域的な構造は,一連のbinの自己相似性行列(Self-similarity matrix: SSM)によって検出される.隣接するbin間の境界の強さを表す時系列データが与えられ,隣接するbinをボトムアップに反復的に併合していくことで,最終的にタイムスパン・セグメンテーションに対応する系統樹を生成するアルゴリズムを開発する.MozartのK.331とK.550を入力して実験を行った結果,音高や調和などの音楽知識をほとんど考慮していないにもかかわらず,有望な結果が得られた.
著者
村越 真 菊池 雅行
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:2432079X)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.81-107, 2017-11

第58次日本南極地域観測隊員に,冬期総合訓練前後と出発直前の計3回,南極リスクに関する質問紙調査を実施した.その結果,①リスクに対する態度では「南極リスクの脅威」,「南極リスクへの効力感」の2因子が得られ,②両因子の得点とも経験者が高かった.③リスク対応の自己評価では,「作業工具による打撲等」「一酸化酸素中毒」が全時点で経験差がなかったが,他の南極特有のリスクの多くで経験差が見られたほか,④未経験者の「クレバス転落」「タイドクラック転落」への対応の自己評価で調査時期による向上が見られた.⑤発生可能性が場所に依存するクレバス,タイドクラック,ウィンドスクープ転落について,未経験者は経験者より発生を過剰に評価していた.結果より,訓練や全員打ち合わせ等による情報提供は,未経験者のリスク対応の自己評価を高めるが,場所に依存するリスクを十分に理解できていない点に課題があることが指摘された.A questionnaire was completed by members of the 58th Japan Antarctic Research Expedition before and after winter training, and shortly before departure. The questionnaire yielded the following results: 1) the factors "threat of risks in Antarctica" and "self-confidence regarding risks in Antarctica" were yielded from attitude items. 2) Members with JARE experience yielded higher scores for both factors. 3) There was no difference in the self-evaluation of measures to prevent "injury by work tool" and "carbon monoxide poisoning" between experience groups for all survey periods, but significant differences were observed among other risks in Antarctica. 4) Self-evaluation of members without JARE experience regarding "fall into tidal crack" or "fall into crevasse" improved over time. 5) Members without JARE experience evaluated the risk of "fall into crevasse", "fall into tidal crack", and "fall into wind scoop" to be higher than did members with JARE experience. It is concluded that information given at the training sessions improved the self-evaluation of members without JARE experience, although they may not comprehend that the occurrence of risks is dependent on site characteristics.
著者
KISHI Toshimitsu
出版者
GRIPS Policy Research Center
雑誌
GRIPS Discussion Papers
巻号頁・発行日
vol.17-15, 2018-02

During the Sato Administration period, the Cabinet Research Office, which was an intelligence agency directly under the Cabinet office, commissioned many studies regarding the nuclear policy of Japan. This chapter introduces seventeen of them with emphasis on three of them which seems to have influenced the development of non-nuclear policy of the Sato Administration. Scholars and intellectuals like Kei Wakaizumi, Teiji Yabe, Kiichi Saeki, Yonosuke Nagai, and Michio Royama were involved in these studies.
著者
芳賀 俊之 西田友是
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.89(2001-CG-104), pp.13-16, 2001-09-13

市販の画像編集ソフトには、画像に対して各種の効果を付加する機能があり、“ステンドグラス化”もその一つである。しかし、その結果は十分満足できるものではない。そこで、ボロノイ図を用いてステンドグラスの各領域を表現し、自動的にステンドグラス風画像の生成を行う手法を提案する。提案法は、大きく二つのプロセスから成り、1) 単純な操作の組み合わせにより、入力画像の特徴(輪郭等)を表現した、ボロノイ領域の生成を行うモデリングプロセスと、2) 得られた母点やボロノイ辺の情報から、よりステンドグラス風な画像を生成するレンダリングプロセスである。また、グラフィックスハードウェアを利用することで、効率的な画像生成を可能にした。
著者
中里 直人 濱田 剛
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SIG7(ACS14), pp.162-171, 2006-05-15

天体物理学では重力多体問題専用計算機GRAPE が非常に大きな成果をあげてきた.本論文では,演算機能が固定されているというGRAPE 計算機の欠点を解消すべく,Field Programmable GateArray(FPGA)を利用した計算機上で,浮動小数点演算を実行し天体物理学計算の高速化を行った.我々が開発したFPGA に浮動小数点演算による演算回路を実装するためのソフトウエアPGR を使用し,重力多体問題を大幅に高速化できることだけでなく,世界で初めてSPH 法の専用計算機による高速化に成功した.本論文の結果は,FPGA による浮動小数点演算の実用性を実証している.
著者
守山 昭男 モリヤマ アキオ Akio Moriyama
雑誌
経済科学研究
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-15, 2008-09-30
著者
井上 円了 イノウエ エンリョウ
雑誌
井上円了選集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.289-709, 1999-03-20