著者
丸山 昭生 小杉 敏勝 小西 明
出版者
上越教育大学
巻号頁・発行日
vol.26, pp.399-420, 2007-02

特別支援学校は,障害児に対する教育が必要不可欠であるという先人達の固い信念と熱意に基づいて,盲学校,聾学校,養護学校として誕生した。本稿では,新潟県内の盲・聾・養護学校4校の誕生に際し,どのような経緯があったのか,どのような多くの人々の苦労があったのかを明らかにした。そして,開学以来,今日まで営まれてきた各学校の教育基盤と,それを支えてきた精神は何であったかを明らかにした。結果,新潟県の特別支援学校の開学のきっかけは,障害のあるこどもたちの近くに存在していた人々の思想や行動が大きいことが分かった。とりわけ,親や祖父母を始めとする家族,教師,医師,地域の人々等の身を削るような努力があった。その思想や努力は,何らかの形で受け継がれ語り継がれなければならないと考えた。
著者
与田準一 等著
出版者
河出書房
巻号頁・発行日
vol.5(童話篇 5), 1955
著者
松島 憲一 竹村 真奈美 畠山 佳奈実 須田 元輝 山谷 美紀生 馬場 真優子 根本 和洋 南 峰夫
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.52, pp.41-48, 2016-03-28

長野県駒ヶ根市内で栽培利用されている在来作物について,その分布と利用状況の聞き取り調査を信州大学と駒ヶ根市の共同研究として2014年10月から12月にかけて実施した。この結果,在来の果樹3品目としてカキ,マメガキおよびナシが,在来の蔬菜類4品目としてサトイモ,ウリ,トマト,チョロギが栽培利用されていることが明らかになった。このうち,在来のカキ品種'せんぼ柿'については,地域の他産業(養蚕および馬による運送業)との関係が明らかになった。
著者
利光 功
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.23-34, 1976-12-30

Soetsu Yanagi (1889-1961), who was the founder of Japanese folkcraft movement, defined Mingei (=folkcraft) as the following ; 1. things made for the domestic life of the people, 2. things made to be used, not to be looked at, 3. things made in quantity, 4. things made as cheap as possible, 5. things made by anonymous unlettered craftsmen. It is nothing but a traditional ordinary handicraft, and to see its beauty, following him, we must reject the criterion of beauty of the pure art which is based on the individualism. The beauty of folkcraft is born of use, simple, healthy, and common. Then Yanagi insists that the true beauty is not the antithesis of ugliness, but the non-dual beauty which transcends the duality of beauty and ugliness. That is just the idea of beauty from the standpoint of Buddhism or Zen. This paper is an attempt to criticize his theory.
著者
並松 信久
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 = Acta humanistica et scientifica Universitatis Sangio Kyotiensis (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.49, pp.359-389, 2016-03

柳宗悦(以下は柳)は河井寛次郎や濱田庄司らとともに「民芸運動」を展開したことで著名である。その民芸運動の一環として柳は,戦前の日本人では珍しく,沖縄,アイヌ,台湾の文化に強い関心をもった。これらの地域は日本の「周縁」に位置付けられ,近代化が遅れているという理由で,低い評価しか与えられていなかったからである。柳は沖縄文化に着目し,その周縁の文化の豊かさに気付き,それらは日本の将来にとって重要なものであると説く。柳と沖縄文化に関する先行研究では,民芸運動において,柳による沖縄への関心がどのような意味をもったのか,そして沖縄のほうは民芸運動をどのように受け止めたのかは明らかになっていない。本稿では,戦時体制によって極端な集中化・画一化が進んでいくなかで,日本の周縁に注目する民芸運動は大きな変容を遂げ,そして沖縄という周縁の地域振興には有効ではなかったことを明らかにした。この根本的な要因は2 点ある。1 点目は沖縄の文化的な「個性」を重視した柳が,その個性は何に由来するのか明確に語っていない点である。これは柳が歴史性を重視していないことに由来する。2 点目は民芸の担い手である「民衆」のとらえ方である。柳における民衆は,本来は実存しない理念的概念であったが,それをそのまま実在の民衆に当てはめようとした点に問題があった。
著者
辛 那〓
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.28-40, 2002-12-31

In this Paper, I examine the relationship between criticism on modernization and the system of modern art in the Mingei Movement, clarifying Yanagi's thought on the ideal art and his strategy which he used to make the Mingei Movement successful. I argue, first, that Yanagi understood the relation between things and human beings not on the basis of dualistic relation as the subject and the object, but on the basis of harmonious one that human nature was reflected in the things which were used by the human beings. Therefore, he developed the Mingei Movement, criticizing the way of thinking of modern people who gave too much importance to reason and logical knowledge, and the system of modern art which was isolated from daily life. His Mingei Movement, however, was performed in a modern way exceedingly, so it made use of an advantage of the modern art structure sufficiently. Accordingly, I will conclude that even the Mingei Movement in itself is a kind of modern art movement that succeeded in drawing the public attention by using the system of modern art well.
著者
竹本 貞之 TAKEMOTO SADAYUKI
出版者
岩手大学学芸学部
雑誌
岩手大学学芸学部研究年報
巻号頁・発行日
no.24, pp.人文1-13, 1965-03

1 0 0 0 OA 日本の美

著者
林 良一
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢大学文化 (ISSN:02896613)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.73-107, 1987-03

一八五三年、日本が開国してから、ヨーロッパには、日本産の美術品や工芸品がさかんに輸入され、いわゆる「ジャポネズリーJaponaiserie(日本趣味)」の流行をみ、やがてそれはアメリカにもひろがっていった。江戸期の陶器、蒔絵の硯筥(すずりばこ)や櫛(くし)、印籠(いんろう)、牙彫りの根付(ねつけ)、青銅の鍔(つば)や矢立て、香炉、その他煙管(きせる)などの日用の小物類が、各地のコレクションや美術館に蒐集された。なかでも、何十万点という浮世絵が買いつけられていったことは、パリやニューヨークの好事家たちの、想像以上の心酔ぶりをうかがわせている。一八八六年に、日本へ来朝したアメリカの有名な画家ジョン・ラ・ファージ(John La Farge)は、日本の美術の装飾性と手際の良さを賞讃し、ことに手仕事の根付や鍔などの小品にみられる斬新な意匠や入念な仕上げは「芸術と工業との幸福な結合」と絶唱している。(久富貢・桑原住雄訳『画家東遊録(An Artist's Letters from Japan)』)また、パリを中心とした印象派や後期印象派の画家たちに、日本の浮世絵が、大きな影響をあたえたことは、よく知られている。浮世絵の単純化した形象や装飾的な明るい色調、ことに視点を自由にとった大膿な構図は、ただひたすらに、古代ギリシア以来のレアリズム美術を本領としてきた作家たちにとって、全く新しい美の世界であった。一言でいえば、これまでのヨーロッパにはかつてみられなかった印象主義的な美術に、眼をひらかれ、この「日本の美」の発見が、かれらの新しい美術を産みだすエネルギーとなったのである。
著者
宇野 耕司
出版者
目白大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では第Ⅰフェーズから第Ⅴフェーズの5段階で計画し,平成29(2017)年度は第Ⅴフェーズ:「新米ママと赤ちゃんの会」実施者研修体制開発を行った。具体的には,「① 研修実施体制の構築」として,以下に述べる報告会及び養成講座に関する準備委員会を組織化した。準備委員会では実践現場の創意・工夫・改善点を盛り込む形で検討し,実施者の養成と研修のあり方を明らかにした。同時に「② 既存関連有効モデルの分析」として先行研究レビューを行った。特にインストラクショナルデザインに関する知見を検討した。既存関連有効モデルの分析として,既存の類似したグッドプラクティスプログラム(ノーバディズパーフェクトプログラムやコモンセンス・ペアレンティング)の研修方法についての現状把握や研修プログラムの課題を明確にしようとしたが,研修は組織の保有する知財に関係することでありアプローチが困難であった。そこで,先に研修プログラムを開発し,それに対してグッドプラクティスプログラムの指導者的立場の人から助言指導を受けることで,研修プログラムの課題を明らかにする方法に切り替えた。しかし,研修プログラムの完成版に関する助言指導を受けるまでに到達できなかった。「③ 研修の実施と試行的効果評価」を行った。まずプログラムの概要と実績およびアウトカム評価の成果報告として,プログラム報告会の企画・運営を行った。報告会の参加者は子ども家庭福祉と母子保健領域の行政職員,市議会議員,子育て支援の実践家,助産師,保健師などが参加した。報告会に続いて,ファシリテーター養成講座の企画・運営を行った。形成的評価として試行的に1回実施した。実施前後の研修効果の評価(レベル1とレベル2)を行った。本プログラムの基本的な考え方や進行内容について理解できる研修となった。