著者
石上 イアゴルニッツァー 美智子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際日本文学研究集会会議録 = PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON JAPANESE LITERATURE (ISSN:03877280)
巻号頁・発行日
no.10, pp.35-47, 1987-03-01

Two kinds of works seem to exist among the literary works based on life: firstly the works which spring spontaneously out of the life fully lived by the authors, and secondly the ones composed consciously by the authors with their own or others' lives as material. Zen literature falls into the first category.Then what is the particularity of Zen literature which flourished in the Middle Ages in japan, first with the Shôbôgenzô of Dôgen, then with other works of Zen masters under the name of Gozan literature?Isn't it paradoxical that the experiences of Zen life are communicated by the very words that Zen monks are supposed to disdain?Dôgen says clearly in his Shôbôgenzô that beside the normal logical language there exist "words of insight "which spring out of "bodhi"(insight) and contain inner experiences inexplicable in normal language.The particularity of Zen literature is in these "words of insight."The concrete example of Ryôkan, one of Dôgen's faithful disciples of the Edo era, shows that Dôgen's essential teaching was understood and practiced by Ryôkan. However the latter chose what pleased him among the written messages of his master, himself creating an original way of zen.
著者
小髙 桂子 藤田 淳子 佐藤 雄紀
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.179-184, 2021 (Released:2021-05-31)
参考文献数
26

【緒言】筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の患者の難治性疼痛に対し,フェンタニル貼付剤を導入し,患者の苦痛緩和に有効であった症例を経験したので報告する.【症例】75歳男性.2010年ごろより歩行困難,全身の疼痛を自覚し,2013年にALSと診断された.2019年に胃瘻造設・気管切開となり,全身痛にモルヒネ塩酸塩を1日6回使用していたが効果不十分であったため,フェンタニル貼付剤を導入することで安定した疼痛緩和が可能となった.【考察】ALSの疼痛緩和に対するモルヒネの有効性は確認されている.しかしながら投与経路・投与法の煩雑さや効果の切れ目による苦痛の自覚という問題点もあり,フェンタニル貼付剤はその欠点を改善できる可能性がある.
著者
小笠原 毅輝
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:21870365)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.105-111, 2017-02-20 (Released:2017-08-22)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
杉谷 和哉
出版者
日本医療福祉政策学会
雑誌
医療福祉政策研究 (ISSN:24336858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.133-156, 2021 (Released:2021-06-15)

本論文では、EBPM(Evidence-based Policy Making)が企図する「政策そのものの合理化」と、「政策過程の合理化」について、公共政策学が提示している論点を検討し、以下の含意が得られた。具体的には、①EBPMを推進する上で、公共政策の立案及び実施に関係するコンテクストを理解する必要があること、②EBPMを実現する上で、政策過程の内実を理解しなければならないこと、③政治に含まれている価値や構想力が重要であること、④EBPMは知識活用だけでなく知識創出にも関わっているため、社会をどのように捉えるかという点においても強い影響力をもち、よりラディカルなテクノクラシーを招来する可能性があること、の四つである。
著者
織田 克利
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は子宮体癌と卵巣癌(特に明細胞腺癌)において、分子生物学的なサブグループおよび治療標的候補分子を同定し、新規分子標的治療薬の有効性について新たな知見を得た。1. 子宮体癌、PI3K経路を阻害する薬剤の抗腫瘍効果を増強する治療法を探索し、MAPK経路阻害剤もしくは放射線照射との併用で、相乗的な効果が得られることを示した。PI3K/mTOR経路において、HIF-1α/VEGFの活性化が腫瘍増殖に重要であることを見出した。2.卵巣明細胞癌において、ゲノム解析により予後不良なサブグループを明らかとした。MDM2高発現が予後不要因子であり、MDM2を阻害する治療薬が抗腫瘍効果を示すことを報告した。
著者
佐々木 信幸
出版者
学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会
雑誌
聖マリアンナ医科大学雑誌 (ISSN:03872289)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.177-182, 2021 (Released:2021-04-12)
参考文献数
19

非侵襲的に脳神経活動性を変化させる反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)は,脳卒中症状のより本質的な改善を目指す新たなリハビリテーション治療的技術として,近年著しい発展を遂げている。慢性期においては,半球間抑制のバランスを正常化させるニューロモジュレーションを行うことで上肢麻痺が改善することが知られているが,急性期においては,それに加えて病巣の進展自体を妨げるニューロプロテクション効果があることも示されている。特に急性期では下肢機能の改善に対する需要が高い。下肢は同側性支配率の高い近位帯が機能において重要な役割を果たすため,両側の下肢運動野を共に賦活するような手法も有効である。またリハビリテーション治療自体への参加が不良な自発性低下を示すような場合には,内側前頭前皮質から背側前帯状回を賦活するrTMSが有効である。急性期脳卒中に対するrTMSは,改善にかかる時間を短縮するというよりも,最終的な改善度自体を高める可能性が示されている。安全かつ有効な補助的治療手段と考えられる。
著者
吉岡 照高 松本 亮司 奥代 直巳 山本 雅史 國賀 武 山田 彬雄 三谷 宣仁 生山 巖 村田 広野 浅田 謙介 池宮 秀和 内原 茂 吉永 勝一
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
no.8, pp.15-23, 2009 (Released:2011-07-13)

1. ‘麗紅’は1984年に果樹試験場口之津支場(現 果樹研究所カンキツ研究口之津拠点)において、‘清見・アンコールNo. 5’に‘マーコット’を交配して育成された品種である。1996年より‘カンキツ口之津32号’の系統名でカンキツ第8回系統適応性・特性検定試験に供試した。その結果、2004年1月26日付けでタンゴール農林9号‘麗紅’と命名、登録された。また、2005年12月7日付けで種苗法に基づき品種登録された。登録番号は第13542号である。2. 樹勢は中庸で、樹姿は直立性と開張性の中間である。枝梢は長く、太さは中位で密生する。雄性不稔性で、花粉を形成しない。かいよう病に対する抵抗性はやや弱いものの、栽培管理上の問題はない。また、そうか病に対する抵抗性は強い。3. 果実は平均200g程度で、扁円形~扁平形である。果皮は濃橙色~淡赤橙色で、果面は平滑である。果皮の厚さは平均2.4mmと薄い。剥皮性は容易~やや容易である。果肉色は濃橙色で、果肉は柔軟、多汁である。1月下旬における果汁の糖度は平均12.4%、酸含量は平均的な大きさの果実では1.10~1.30g/100mLとなる。成熟期は1月中下旬である。4. 各地の試験地において果実の肥大は良好で、栽培適地は広いと思われるが、1月以降も樹上越冬ができる温暖な地域での栽培が望ましい。また、雄性不稔性で花粉を形成しないが、周囲の他品種花粉の受粉により含核数が著しく多くなるので、無核果あるいは少核果生産のためには、周囲には多量の花粉を形成するような品種を植栽しないことが重要である。
著者
山岡 敬和
出版者
國學院大學
巻号頁・発行日
2015

博士論文(文学)
著者
田代 倫子 井上 華
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ラット心室筋細胞において、TRPM7チャネルを活性化させるナルトリベンは、Mgイオンの流入も加速させ、その効果はTRPM7に対する効果と同等だった。ラット心筋由来の培養細胞株H9c2細胞のTRPM7発現をRNA干渉法にて抑制すると、細胞内Mgイオン濃度は保たれていたが、細胞外Mg濃度上昇によって促進されるMg流入は減弱した。以上より、心筋細胞でTRPM7はMg流入経路として働くことが示唆された。
著者
児玉 恵子 児玉 和仁
出版者
Japan Veterinary Cancer Society
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.11-16, 2022-05-30 (Released:2022-05-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

9歳齢、去勢手術済みの雄のマンチカンが元気消失、食欲廃絶を主訴に来院した。腹部超音波検査で腸間膜リンパ節が複数腫大しているのが明らかとなり、細胞診と免疫組織化学の結果から、細胞障害性T細胞由来の大顆粒リンパ球性(LGL)リンパ腫が示唆された。nimustine(ACNU)(25mg/m2, 静脈内投与, 3週毎)で治療したところ、807日以上に渡る長期の完全寛解を得た。ACNUの有害事象はグレード1の好中球減少症のみであった。本症例は猫のLGLリンパ腫をACNUで治療し長期生存を得た初の報告である。
著者
田中 聡
巻号頁・発行日
pp.62-85, 2012-03-31

新しいアイヌ史の構築 : 先史編・古代編・中世編 : 「新しいアイヌ史の構築」プロジェクト報告書2012