著者
相良 順子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.174-181, 2000-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1

従来の性役割発達研究では, ステレオタイプの知識の獲得に重点が置かれていたが, 本研究では, そのステレオタイプをどう評価するか, という態度を扱った。本研究の目的は, 1. 子どもの性役割態度の発達を認知的, 感情的側面から明らかにし, 2. 性役割態度の発達に関連する要因を検討することである。542名の小学2年生, 4年生, 6年生を対象に, 質問調査を実施した結果, 1) 2年生から6年生の間, 性役割ステレオタイプに対する認知的態度, 感情的態度は年齢とともに柔軟になった。2) 4年生と6年生について, 男子は, 視聴するTV番組の数, 父親の家事参加が認知的態度の柔軟性と関連し, 親のしつけが感情的態度の柔軟性に関連していた。女子は, 親が男性的な職業を期待することが認知的, 感情的態度の柔軟性に関連していた。
著者
喜納 育江
出版者
琉球大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本年度は、前年度に調査、収集した資料をもとに、19世紀アメリカにおけるアメリカ先住民女性の作家として、いかにして当時の白人中心的イデオロギーと折衝する言説を作り出しているかという点を検証の中心課題とした。特に、本年度においては、米国国会図書館の特別資料閲覧室で収集した19世紀から20世紀にかけてアメリカの大衆文化の中心的役割を果たしたダイムノベル(Dime Novels)に関する資料から、ダイムノベルが、モーニングドーブの文学的創造性にどのように関わっているかに着目した論文を作成することに専念した。ダイムノベルとは、印刷と流通のシステムの近代化による文化の物質的な変容によって誕生したいわゆる三文の大衆小説であるが、量産され、大衆化される文学の中で作り出される言説は、同時に、そこで好んで描かれた西部やアメリカ先住民などのイメージをステレオタイプ化する大衆の意識を形成するプロセスにも加担していた。白人文化の優勢の結果として形成された大衆意識に対し、拙論文では、まず、ダイムノベルによって作り出されたアメリカ先住民の大衆的イメージとは具体的にどのようなものであったかを示し、次に、社会的他者の作家であるモーニングドーブにとって、そのようなステレオタイプに抵抗する意識が、小説の定義する問題とヒロイン像決定の重要な背景になっていたことを究明した。以上の成果を、「ダイムノベルと20世紀初頭の大衆的イメージへのモーニングドーブの文学的抵抗(“Dime Novels and Mourning Dove's Literary Resistance to Turn-of-the-Century Mass Images")」と題し、1998年10月にカナダ、アルバータ州で開催された西部文学会(米国)とカナダアメリカ研究学会の合同学会で口頭発表した。

3 0 0 0 OA 浅草の灯

著者
浜本浩 著
出版者
コバルト社
巻号頁・発行日
1946
著者
瀬尾 和男 横田 隆史
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4(1987-ARC-048), pp.81-88, 1988-01-21

我々の研究所において開発を進めているRISC方弐μプロセッサ"Pegasus"は、カスタムVLSI技術に基づくProlog処理の高速化を目指したものであり、Prologの実行形態に即したスタック操作、タグ操作、Backtrackに伴う状態の退避・復旧等を効率良く実行できる命令セットを備えている。特に、Backtrackに伴う状態の退避・復旧に関しては、互いにコピー可能なレジスタ対によって構成されるレジスタ・ファイルをカスタムVLSI設計によって実現し、高速化を図っている。本報告では、Pegasusアーキテクチャを検証する目的で行ったプロトタイプ・チップの開発について述べる。このチップは、プロトタイプ開発に要する時間の短縮化を目標にフルカスタム/スタンダード・セル方式によって設計されている。テスト・ボードに組み込んだ試験の結果、マシンサイクル200nsで動作可能であり、Append:239KLIPS、Quicksort:149KLIPSの推論性能を達成している。
著者
物性若手グループ事務局
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.258-266, 1967-07-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。

3 0 0 0 OA 愛知県統計書

著者
愛知県 [編]
出版者
愛知県
巻号頁・発行日
vol.昭和11年 第5編, 1943
著者
東京高等予備校 著
出版者
東京高等予備校
巻号頁・発行日
vol.大正6年度, 1917
著者
宋 剛秀 番原 睦則 田村 直之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1_67-1_80, 2017-01-25 (Released:2017-03-25)

近年SATソルバーの求解性能が飛躍的に向上しており,様々な分野で応用が進んでいる.しかし,SATソルバーは連言標準形の命題論理式を入力としており,実用的な応用が多くある算術制約を含むような問題を直接記述して解くことには向いていない.このため,より表現力のある入力形式に対応できるようにSATソルバーを利用・拡張したシステムが研究されている.本解説では,そのような利用・拡張の1つとしてSATソルバーの求解性能と制約プログラミングシステムの表現力を融合させたSAT型制約プログラミングシステム(SAT型CPシステム)について説明し,その周辺技術についても概説する.
著者
近藤 和都
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.5-23, 2015-11-25 (Released:2017-08-07)
参考文献数
42

Recently, an increasing number of researchers have tried to reveal the mode of exhibition during early cinema period, and shown that film exhibition was originally influenced from the prior theater practices and audiences experienced something beyond the screen. This kind of research is significant in the point that they demonstrate how film experiences are shaped by the environment of showing. However, they usually assume that there was a clear distinction between early cinema period and classical Hollywood cinema period, and based on this binary opposition of attractions versus narrative, they allot a diversity to the former and uniformity to the latter. Therefore, these researches tend to abstract various exhibition practices during classical Hollywood cinema period. In contrast to this current, this paper focuses on the mode of exhibition during the 1920’s in Japan and examines how the various experience was mediated through that mode.
著者
近藤 弘幸
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.41-73, 2014-09-16

本論の目的はふたつある。ひとつは、鶴屋南北の『心謎解色絲』を『ロミオとジュリエット』の翻案であるとする主張を退け、一八七九年の春から夏にかけて刊行された『遊戯雑談 喜楽の友』という雑誌に連載された「ロミオとジユリエットの話」を、日本最初の『ロミオとジュリエット』として位置づけることである。そしてもうひとつの目的は、この無署名の連載の作者を、小栗貞雄と推定することである。小栗貞雄は、現在では消毒剤アルボースの発明によって財を築いた経済人としてその名を記憶されているが、その前半生においては、兄の矢野文雄とともに『郵便報知新聞』を支えた新聞人であり、翻案悲恋小説『色是空』を上梓した文人でもあった。そして「ロミオとジユリエットの話」をめぐるさまざまな断片をつなぎ合わせると、この小栗貞雄がその作者として浮かび上がってくるのである。
著者
清水 希容子 松原 宏
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.118-134, 2014 (Released:2014-11-29)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

東日本大震災から3年半が経過した.本稿の目的は,大震災後の製造業の回復過程を明らかにするとともに,地域経済の復興に向けて出されてきた産業立地政策を整理することである.鉄鋼,石油精製,セメントなどの沿岸部の素材型工業は,津波による大きな被害を受け,復旧にも時間がかかった.これに対し,内陸部の電子や自動車などの機械工業では,一部でサプライチェーンを通じて内外に被害が波及した工場があったものの,被害は相対的に少なく,早い時点での回復がみられた.震災後,中小企業向けのグループ補助金,国内産業立地補助金,地域イノベーション戦略推進地域など,さまざまな産業立地政策が,経済産業省や文部科学省によりとられてきた.被害の大きかった地域への新規投資を促すとともに,広域的観点から,東北各地の回復力と地域間の連携を強化することが今後の課題といえる.