著者
細井 勇
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.1-20, 2017-02

日本の戦後社会福祉理論は、社会福祉を社会政策との関係から説明する「補充論」に特徴があった。この場合の社会政策とは大河内一男のマルクス主義的な社会政策論であり、労働力の保全策、言い換えれば労働力の「商品化」政策であり、経済政策と同定される社会政策であった。それは正義や自由の問題を形而上学=非科学として排除するものであった。しかし、今日の社会福祉のテキストでは、「補充論」と併記して、エスピン・アンデルセンの福祉レジームとその指標としての「脱商品化」や、ロールズやセンによる自由の正義論が紹介されている。そこで本論文は、「商品化」論と「脱商品化」論の関係は如何に把握されるべきかを以下のように論じた。すなわち、正義と自由の概念との関係で社会福祉が論じられる背景を正義論の歴史的系譜として説明し(1章)、戦後日本の社会福祉理論形成において正義と自由が何故排除されたかを歴史的文脈から説明し(2章)、戦後日本の社会福祉展開において「脱商品化」論は如何に受容されてきたか、またされるべきかを論じた(3章)。
著者
金水 敏
出版者
国立国語研究所
雑誌
国語研プロジェクトレビュー (ISSN:21850119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.108-121, 2015-02

疑問文の研究の視点を整理した上で,衣畑(2014a, 2014b),野村(2001),高宮(2003)等に沿って日本語疑問文の歴史的変化の方向性やその動機づけ等について概観する。衣畑(2014b)によれば,前上代においては,焦点位置に「か」を置くという原則だけで疑問文形成の説明ができたが,上代に肯否疑問文の焦点位置に「や」も置かれるようになり,中古には疑問詞疑問文と肯否疑問文を区別する方向性が強められたとする。本稿では,なぜ肯否疑問文の領域に「や」が進出してきたのかという問いを立て,その説明のためには「か」と「や」の機能の違いに着目すべきであるということを主張する。さらに衣畑(2014b)では,中世にいったん疑問詞疑問文から「か」が消えたとするが,竹村・金水(2014)では中世末期のキリシタン資料で「か」文末の疑問詞疑問文が一定量存在することを示している。本稿では,竹村・金水論文で示された「ぞ」文末疑問詞疑問文と「か」文末疑問詞疑問文の性質の違いを踏まえ,「リスト表現」という形式の発達,および間接疑問文の発達という観点から,この新しい「か」文末疑問詞疑問文の起源についての仮説を提示する。
著者
野中 麻由 戸渡(上野) 智子 大中 忠勝
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-97, 2009-11
参考文献数
17
被引用文献数
1

被験者は21〜24歳の健康な女子学生18名とし、夏期と冬期に上下温度差がある温熱環境(上方が暖かく、下方が涼しい状態)に曝露した。平均皮膚温が温熱的中性域(33℃〜34℃)に保たれる条件で、中立的な温冷感、快適感が得られる「平均皮膚温と身体各部位の皮膚温の差」の範囲を検討した。夏期において中立的な温冷感、快適感が得られる平均皮膚温と身体各部位の皮膚温の差はそれぞれ2.3℃、2.7℃以内となった。同様に、冬期において中立的な温冷感、快適感が得られる平均皮膚温と身体各部位の皮膚温の差はそれぞれ3.1℃、3.2℃以内となった。また、冬期よりも夏期の方が、皮膚温の分布が小さくても寒さや不快感を訴える傾向にあった。

3 0 0 0 OA 禁酒叢話

著者
長尾半平 著
出版者
日本評論社
巻号頁・発行日
1928
著者
東京帝室博物館 編
出版者
東京帝室博物館
巻号頁・発行日
vol.第8区 紙革品 第9区 印鈕篆鐫, 1921
著者
鈴木 宏子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.494-490, 2017-03

[要約] 明治期に短詩型の革新を志した正岡子規は「歌よみに与ふる書」において、『古今和歌集』は「くだらぬ集」であり、紀貫之は「へたな歌よみ」であると痛罵した。この文章は、時代の文脈から切り離されて、現在に至るまで『古今集』のイメージに悪影響を及ぼしている。しかし子規自身の最晩年の歌の中にも、『古今集』的な「こころ」や「ことば」の伝統が色濃く感じられる例がある。このような近代短歌と古典和歌のあいだに存在する連続性を認識することから、文学や言語についてのより豊かな考察が可能になると考える。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1911年04月20日, 1911-04-20

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1947年11月21日, 1947-11-21

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1918年08月07日, 1918-08-07
著者
前田 英昭
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤法学 (ISSN:13476599)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.43-81, 2002-03-10

3 0 0 0 OA 世界聖典全集

出版者
世界聖典全集刊行会
巻号頁・発行日
vol.前輯 第7巻, 1920
著者
山口 仁
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.76-93, 2009-01-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
24

In this paper, I consider the media coverage of dioxin emissions i n Japan. The“disproportionality” i s one element of the moral panic, and this focuses on theextent to which the“ degree of public concern over the behavior i tself, the problemi t poses, or condition i t creates i s far greater than i s true for comparable,even more damaging actions (Goode & Ben-Yehuda 1994:36)”. But about socialproblems have high “uncertainty”, such as environmental problems i n therisk society, we are hard to explaining the “objective” risk of social problemsand reviewing the process of construction. In this paper, I would suggest a standard to consider“ uncertainly”, and applyto the media coverage of dioxin emission i n Japan.