著者
大津 孝佳 中村 啓輔 Ohtsu Takayoshi Nakamura Keishuke
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 第13回「宇宙環境シンポジウム」講演論文集=JAXA Special Publication: Proceeding of the 13th Spacecraft Environment Symposium (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-16-010, pp.71-74, 2017-02-15 (Released:2017-02-15)

プラズマと中性粒子の相互作用として、核融合の分野では、中性粒子が炉壁からプラズマ内に侵入し、プラズマ内で衝突を繰り返し、加速される現象が報告されている。この現象は、人工衛星などの宇宙空間放電によって発生するプラズマと、宇宙空間に存在する微細なデブリに於いても生じることが懸念される。そこで、この現象をシミュレーションによ って解析し、下記のことが明らかとなった。①微細なデブリがプラズマによって加速される、②プラズマ温度が高いほど、加速後の速度が速く、加速される粒子数が増加する、③質量が炭素原子の 10 倍以下の微細なデブリに顕著に生じる。 会議情報: 第13回宇宙環境シンポジウム (2016年11月1日-2日. 情報通信研究機構 本部 国際会議室), 小金井市, 東京 形態: カラー図版あり Meeting Information: The 13th Spacecraft Environment Symposium (November 1-2, 2016. National Institute of Information and Communications Technology), Koganei, Tokyo, Japan Physical characteristics: Original contains color illustrations
著者
加藤 明 Kato Akira
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 第6回スペースデブリワークショップ講演資料集=JAXA Special Publication: Proceedings of the 6th Space Debris Workshop (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-14-013, pp.93-105, 2015-03-27 (Released:2015-03-27)

スペースデブリの発生の防止と衝突被害からの保護のための規格やガイドラインが様々な国際機関、国の政府、宇宙機関などから発行されている。国際標準化機構(ISO)でも種々の規格や技術レポートを発行し、現在も作成作業を続けている。これら規格の全貌を紹介し、他の世界の規格類と比較して紹介する。また、現在日本から提案し、制定作業中の「デブリ対策設計・運用マニュアル」の趣旨を説明する。このアニュアルにてISO のデブリ対策活動の全貌が把握でき、システムレベルからコンポーネントレベルまでのデブリ対策活動の要点が包括的に理解できることを願っている。 Several debris mitigation standards and guidelines have been developed in the international organizations, the administrations of national governments, and national space agencies. The international organization for standardization (ISO) has also developed and being developed various debris related standards and technicalreports. This presentation will introduce them and show the comparison among them. Also the current work to develop the “Space Debris Mitigation Design and Operation Manual” for spacecraft and launch vehicle orbital stages, which were submitted from Japan, will be introduced. This manual will support the space engineers to understand the total concept of the debris mitigation measures in ISO, and present recommendable activities with the hardware oriented manners for design and operation of the spacecraft subsystems and components. 会議情報: 第6回スペースデブリワークショップ (2014年12月17日-19日. 宇宙航空研究開発機構調布航空宇宙センター(JAXA)(CAC)), 調布市, 東京 形態: カラー図版あり Meeting Information: 6th Space Debris Workshop (December 17-19, 2014. Chofu Aerospace Center, Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA)(CAC)), Chofu, Tokyo, Japan Physical characteristics: Original contains color illustrations
著者
加藤 明 Kato Akira
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 第13回宇宙環境シンポジウム講演論文集=JAXA Special Publication: Proceeding of the 13th Spacecraft Environment Symposium (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-16-010, pp.127-131, 2017-02-15 (Released:2017-02-15)

宇宙専門誌に公表された世界の人工衛星の不具合の情報のデータベースを源泉として、そこから発生時期、不具合原因、現象、発生部位に関する統計分析を行った結果の概要を紹介し、特に放射線等宇宙自然環境に起因する不具合について整理し、宇宙自然環境の研究に携わる方々を支援することを目的とする。宇宙天気に起因する不具合は、全発生数455件のうち40件(約10%程度)を占める。不具合発生部位は軌道姿勢制御系のセンサ、コンピュータ、ホイール、イオンエンジン等プロセッサを有する多種の機器に及ぶが、その影響は一時的な機能停止が多く、全損に至ったケースは少ない。海外の分析で帯電・放電の不具合の割合が多いと報告されているが、今回の分析ではそれほど多くは検出できていない。本稿では先ず、2項にて不具合全体について報告し、次に3項にて自然環境に起因する事象について説明する。 会議情報: 第13回宇宙環境シンポジウム (2016年11月1日-2日. 情報通信研究機構 本部 国際会議室), 小金井市, 東京 形態: カラー図版あり Meeting Information: The 13th Spacecraft Environment Symposium (November 1-2, 2016. National Institute of Information and Communications Technology), Koganei, Tokyo, Japan Physical characteristics: Original contains color illustrations
著者
驛 賢太郎
出版者
神戸大学法学部
雑誌
神戸法學雜誌 / Kobe law journal (ISSN:04522400)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.1-45, 2014-03 (Released:2014-04-18)
著者
得田 雅章
出版者
Center for Risk Research (CRR), Shiga University
雑誌
CRR Discussion Paper, Series J
巻号頁・発行日
no.No. J-59, pp.1-17, 2016-09 (Released:2016-09-06)

2013 年より本格始動したアベノミクス(Abenomics)ももう3 年が経過した。アベノミクスは3 本の矢として「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」を標榜しているが、これは経済学的には狭義のポリシーミックス(金融・財政政策)の亜種に過ぎない。なかんずく日銀の金融政策に世間の耳目が集まっているが、これは非伝統的金融緩和の一種であるQQE(量的・質的金融緩和)が実施されたことが大きい。QQE は果たして実体経済に影響を与えたのだろうか。黒田東彦日銀総裁は、戦力の逐次投入はしないと豪語していたにもかかわらず、何発もの「バズーカ」を放つことになり、2016 年に入ってからはマイナス金利という新兵器まで併せて投入してきた。このようにいわば金融政策の実験場と化した日本経済への金融政策効果について、時系列分析を試みる。「試み」としたのは、金融市場における政策反応はさておき、波及までのタイムラグを加えた実体経済への影響となると、時系列分析によって判断を下すのは時期尚早といえなくもないからだ。一方で、アベノミクスの成果に疑問が生じている現況において、かつてないほど金融政策に関心が集まる中、暫定的にでも何らかの知見を示すことには意味があるだろう。過去10 年ほどの金融政策を取り巻く環境はまさに激変であり、対応する非伝統的金融政策も今ではすっかり普遍的になりつつある。本稿ではマイナス金利を含むQQE と実体経済への影響について、標準的な構造VAR モデルを主とする時系列分析手法を用いて評価する。結果、資産価格上昇、円安、長期金利の一層の低下を通じインフレ率に一定の上昇効果を確認した。一方で、実体経済に関して、失業率の低下が確認できたものの、鉱工業生産指数や実質GDP の明確な上昇は確認できなかった。 追加分析からは、政策パッケージとしての株式資産購入プログラムは効果がないあるいはむしろ逆効果となることが示唆された。
著者
金子 睦雄
巻号頁・発行日
2010-03 (Released:2010-10-20)
著者
太田 光一
雑誌
会津大学文化研究センター研究年報
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-32, 2004 (Released:2014-12-05)
著者
大喜多 紀明
出版者
北海道言語研究会
雑誌
北海道言語文化研究 (ISSN:18826296)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.103-122, 2015-03-30 (Released:2016-02-15)

本稿では、宮崎駿の長編アニメーション映画『風の谷のナウシカ』と『天空の城ラピュタ』を題材としての構造分析を行った。なお、本稿における構造分析は、裏返しモデル(ミハイ・ポップが示したモデル)を援用する手法による。本稿での分析の結果、本稿でとりあげた二作品は、裏返しモデルを適用できる構造からなると解釈できる知見を得た。このことは、宮崎のアニメーション作品における構造上の共通性を論じるうえで有用な知見であると筆者は理解している。
著者
田中 晋作
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.163-186, 2004-02-27 (Released:2016-03-29)

今回のシンポジュウムで与えられた課題は,古墳時代の軍事組織についてである。小論の目的は,この課題について,今までに提示してきた拙稿をもとに,とくに,古墳時代前期後半から中期を対象にして,①古墳時代前期後半以降にみられる軍事目的の変化,②中期前半に百舌鳥・古市古墳群の被葬者集団による常備軍編成の可能性,③中期における軍事組織の編成目的について検討し,つぎの私見を示すことである。前期後半,それまでの有力古墳でみられた示威や防御を目的とした武器が,一部の特定古墳で具体的な武装形態を反映した副葬状況へと変化する。この変化は,既存有力古墳群でみられるものはなく,この段階で朝鮮半島東南部地域の勢力とそれまでにない新たな関係を結んだ新興勢力の中に現れるものである。中期に入り,百舌鳥・古市古墳群の被葬者集団によって,形状および機能が統一された武器の供給がはじまり,大規模な動員を可能とする基盤が整えられる。この軍事組織の編成を保障するために,両古墳群の被葬者集団の特定の人物もしくは組織のもとに,人格的忠誠関係に基づいた常備軍が編成される。さらに,武器の副葬が卓越する一部の古墳で,移動や駐留を可能とする農工具を組み込んだ新たな武器組成が生まれる。このような武器組成は,国内に重大な軍事的対峙を示す痕跡が認められないことから,計画的で,遠距離,かつ長期間にわたる軍事活動を視野に入れた対国外的な組織の編成が行われていたことを示すものである。以上の検討結果によって,古墳時代前期後半以降にみられる軍事組織の編成は,政治主体が軍事力の行使によって解決を必要とした課題が,それまでの対国内的な要因から,朝鮮半島を主眼とした対国外的な要因へと変化したことを示していると考える。 The given theme in this symposium is the archaeological analysis of military organization in the kofun period. The aim of my article is to investigate 3points of analysis from the latter half of first period to the middle period of the kofun era. The first point is the evolution of change of the organization and function of the military since the latter half of the first period. The second point of analysis concerns the ability to establish a standard army in the first half of the middle period by the developing political power whose members were later buried during in the Mozu-Furuichi cluster of mound tombs. The final point is the aim of organization in the middle period.In the latter half of the first period, the change in the burial procedure of weapons in tombs reflects the change in the aim and purpose of the demonstration of power and use of defense. This influence was also reflected in the condition of the armament itself. At that time, this change was brought about by newly-risen groups connecting with other groups located in the south-east region of the Korean peninsula.During the middle period the foundation for the large scale mobilization of armies was established through the supply of similarity equipped weapons. These were unified in function and form and supplied by the Mozu-Furuichi group. The standard army was controlled by the presiding organization or chief of this group and bound by a pledge of allegiance. The standard army would then guarantee the stability of the military organization.Further, a new composition of weapons included farm implements used in the transferring and stationing of armies appeared in some tombs which surpassed previously buried weapons. This composition of weapons indicates the existence of a military organization that has the ability for deliberate, long-distance and long-prolonged military action, if the circumstance at a given time did not include a serious military confrontation in the country.Through these investigations I hope to present the following conclusion. The focus of the military organization that was established since the latter half of the first period in the kofun era changed from internal to external, mainly regarding the Korean peninsula.
著者
内田 康郎
出版者
Faculty of economics, university of toyama
雑誌
Working Paper, No.304, 2016.12, Faculty of economics, university of toyama
巻号頁・発行日
vol.304, pp.1-13, 2016-12 (Released:2016-12-28)

本稿は多国籍企業における国際ビジネスの展開において、IoTがどのようにかかわっているかについて、特に国際標準との関係性から考察を加えているものである。国境を挟んだ事業運営を前提とした旧来の国際ビジネス研究と異なり、業種や業界を超えることが前提となる IoTビジネスでは、何が、どう異なるのかということについて、既存研究では十分な整理ができていない。本稿は、その整理をする上での端緒に位置づけられるものと捉えている。
著者
島村 義樹 玉谷 大 水木 佑輔 國安 翔太 遠藤 良夫 大久保 敬 中西 郁夫 久保 健太郎 口池 大輔 乾 利夫 宇都 義浩
巻号頁・発行日
2015-03-27 (Released:2015-03-19)

【目的】ポルフィリン化合物は励起光によって細胞障害性の高い一重項酸素を発生するため光線力学療法(PDT)の増感剤として用いられている。一方、超音波力学療法(SDT)の増感剤としての有効性も報告されているが詳細な作用機序は不明である。そこで本研究では、ポルフィリンおよびクロリン誘導体の超音波増感活性とその作用機序について検討した。【方法】超音波増感活性は、96ウェルプレートにマウス乳腺がん由来EMT6/KU細胞もしくは4T1細胞を播種し、分子設計・合成したポルフィリンもしくはクロリン誘導体を添加後、Sonitron GTS (ネッパジーン社)もしくはUST-770 (伊藤超短波社)を用いて液面から超音波を照射し、WSTアッセイにより評価した。OHラジカルはAPF法により、一重項酸素は1,3-diphenylisobenzofuran (DPBF)および近赤外分光測光装置(浜松ホトニクス社)により評価した。ミトコンドリア膜電位の解析は蛍光標識薬JC-1を用いたタイムラプス測定(ニコン社)により行った。【結果および考察】5-アミノレブリン酸(5-ALA)由来PpIXおよびTinChlorin e6は超音波との併用において有意な抗腫瘍活性の増強を示した。PpIXと超音波の併用において、DPBF法および発光スペクトル法でも有意な変化は観測されず、この抗腫瘍活性に対する一重項酸素の関与は小さいことが示唆された。また、超音波照射によってOHラジカル由来のAPF蛍光の増加が観測されたが、PpIXを併用しても有意な増加は認められず、OHラジカルも超音波増感活性の要因ではないことが示唆された。一方、5-ALAと超音波の併用によりJC-1由来の緑色蛍光が増加したことから、ミトコンドリアが標的分子の1つでることが示唆された。 日本薬学会第135年会
著者
柏本 隆宏 カシモト タカヒロ KASHIMOTO Takahiro
出版者
西南学院大学大学院
雑誌
西南学院大学大学院研究論集 (ISSN:21895481)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.47-106, 2016-02 (Released:2016-05-30)

本研究の目的は、キリスト教再建主義(Christian Reconstructionism)の神学思想が、教理史・教会史的にどのような背景を持ち、「神の国の建設」という宣教(mission)の観点からどのように位置付けることが出来るかについて考察することである。そして、そのための予備的考察において、再建主義者が、1960年代後半以降アメリカで広がった世俗的人間中心主義(secular humanism)と対決する一方で、福音派(evangelicals)を含め、聖書を誤りなき神の言葉として信じるキリスト者において広く信じられていた契約期分割主義(dispensationalism)を批判するという問題意識を持っていたことを確認した。そして、契約期分割主義においては、反律法主義的な傾向が見られると共に、この世はサタンが支配しているので、正義と平和の実現のために行動するのは無意味であると考えられていることを、再建主義者は問題にしていることが明らかになった。キリスト教再建主義の神学者であるゲイリー・デマー(Gary DeMar)は、ゲイリー・ノース(Gary Kilgore North, 1942-)との共著『キリスト教再建主義――それは何であるか。また、何でないのか』(1991年)において、再建主義の神学的特徴として、再生(regeneration)の必要性の強調、現代社会に対する聖書の律法(Biblical law)の適用、前提主義(presuppositionalism)に基づく認識論、脱中央集権型の社会秩序(decentralized social order)の志向と共に、千年期後再臨説(postmillennialism)に基づく終末論を挙げている。千年期後再臨説とは、キリスト教の終末論の一つである千年期説(millennialism)の中の一つの立場である。千年期説は「万物の終わりがくる前にキリストが千年間地上を治められる(黙示録20:1-5)という信仰」と一般的に理解されている。その上で、イエス・キリストの来臨(παρουσία)と地上支配の時期をめぐって、(1)千年期の「前に」イエス・キリストの来臨があると考える千年期前再臨説(premillennialism: 前千年王国説)、(2)千年期の「後に」イエス・キリストが来臨すると考える千年期後再臨説(postmillennialism:後千年王国説)、(3)千年期の存在を否定する無千年期説(amillennialism: 無千年王国説)という3つの見方が教会史の中で夫々展開されてきた。千年期後再臨説は、福音の宣教を通じて神の国が進展していき、あらゆる悪が征服されていくと説く。しかし、このことは、人間が自分の力だけで神の国をもたらすことが出来、神の計画をも左右し得ると考えているかのようにしばしば受け取られてきた。マーク・ユルゲンスマイヤー(Mark Juergensmeyer)は、再建主義者が千年期後再臨説に基づき、「キリスト教徒はキリストの再臨を可能にするような政治的、社会的条件を整備しておく義務をもっている」と考えているという見方を示している。アメリカ宗教史を専門とするマイケル・J. マックヴィカー(Michael J. McVicar)も、「非常に単純化している」と断りつつも、千年期後再臨説について「キリスト者がまず神の国を確立した後、イエス・キリストは地上を支配するために戻って来るだけである(will only return to rule the earth)」と説明している。こうした見方から、再建主義者の千年期後再臨説は、現代社会に対する律法の適用を説く神法主義(theonomy)と共に、キリスト教の内外において厳しい批判や激しい反発を受けてきた。例えば、栗林輝夫は「キリストの再臨を人間の力で早めるというのは、神学的にナンセンスである」と批判している。勿論、そのような批判に対し、再建主義者は、自らが拠って立つ千年期後再臨説に対する弁証に努めてきた。再建主義者に対する批判、及びそれに対する彼らの弁証の妥当性について検討するためには、彼らの千年期後再臨説がどのような背景を持ち、実際のところ何を主張しているのかを押さえる必要があるだろう。そこで、本論文では、教会史・教理史における千年期説の展開を見ることで、キリスト教再建主義が拠って立つ千年期後再臨説が歴史的・神学的にどのように位置付けられるかについて考察を行う。第1章では、19世紀・20世紀のキリスト教神学の主流において展開されてきた終末論について、キリスト教再建主義の千年期後再臨説との対比において見ていく。次に、第2章では、最初期の教会において形成された千年期説(的思想)が、古代から宗教改革期にかけてどのように展開していったかについて論じる。その上で、第3章では、イギリスとアメリカにおける千年期説の展開について叙述する。特に、再建主義者が批判の対象とする契約期分割主義が、アメリカの保守的なプロテスタントのキリスト者の間で受け入れられていった背景と経緯について述べる。
著者
青野 幸平
出版者
Research Center for Price Dynamics, Institute of Economic Research, Hitotsubashi University
巻号頁・発行日
2009-03-30

2009年3月27日 本論文では,日本における金融政策の株式市場,債券市場への影響を明らかにする為に,4つの分析を行っている.1つ目は,日本における株式収益率や債券収益率に予測可能性があるかどうかについての分析である.青野(2008)では,株式市場のみを対象にしていたが,本論文では,Campbell and Ammer(1993)の分析手法に倣い,株式市場に関連する変数と債券市場に関連する双方の変数を含むVAR体系を利用し,株式市場と債券市場を分析している.その結果,株式収益率には,青野(2008)と同様に,予測可能性が存在する事を確認するとともに,債券収益率にも予測可能性が存在する事を確認した.2つ目は,Kuttner(1996)やBernanke and Kuttner(2005)で利用されている,先物金利を利用した「Surprise」変数に対応する変数を,日本のデータを用いて作成した上での時系列分析である.本論文では,日本における先物金利として,Honda and Kuroki(2006)と同様に,「先物ユーロ円3ヶ月もの」を利用した.その結果,株式収益率・債券収益率に対して,「Surprise」変数だけが有意に説明能力を持つ事が確認出来た.この結果より,本論文で作成した金融政策変数が「予期されない」金融政策の代替変数として,一定程度有効に機能していると判断出来る.3つ目は,「Surprise」変数を用いて,産業別の株式収益率に対する金融政策の影響を分析した.この結果,「非鉄金属・機械・小売業」などの業種では「Surprise」変数が有意に説明能力を持つが,公共性の高い「電気・ガス」や,「水産・農林業」などの第1次産業,政府の規制が強い「保険業」・「空運業」などの業種では,「Surprise」変数が有意な説明能力を持たず,金融政策の影響を受けにくい事を確認した.4つ目は,これまでの分析を踏まえた上で,アメリカでのBernanke and Kuttner(2005)における分析に倣った,「Surprise」変数を用いた金融政策に対する株式市場と債券市場への影響についての分析である.結果は,短期において,金融政策が株式市場に影響を与えるものの,その効果は減少していく事が確認された.株式市場における「Campbell型分散分解」の各要因の反応係数を確認すると,配当と実質利子率の係数が正となった.これは,予期しない金融政策に対して,配当と実質利子率が正の方向に反応することを通じて株式収益率へ影響していることを示している.配当の反応はアメリカにおける結果とは異なっている.このことから,ショックの影響の源泉が日本とアメリカにおいて異なる可能性が推察された.債券市場における「Campbell型分散分解」の各要因の反応係数を確認すると,実質利子率とインフレ率の係数がとなった.これは,予期しない金融政策に対して,実質利子率とインフレ率が正の方向に反応することを通じて株式収益率へ影響していることを示している. 日本学術振興会・科学研究費補助金(学術創成研究費) = JSPS Grant-in-Aid for Creative Scientific Research 4th draft version
著者
斎藤 菜穂子
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.33-43, 2002-06-15 (Released:2016-11-21)