著者
関 栄二 三輪 誠 鶴岡 慶雅 近山 隆
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.2533-2543, 2012-11-15

モンテカルロ木探索(MCTS)の登場により,コンピュータ囲碁プレイヤの棋力は大幅に向上した.こうした成功を受け,静的評価関数とアルファベータ木探索による従来の手法が成功を収めてきた将棋においても,モンテカルロ法の適用が模索されている.MCTSの改良は,モンテカルロ木の扱いに関するものと,プレイアウトの方策に関するものに大別される.本稿では後者に着目し,モンテカルロ将棋の方策の学習に,囲碁で成功を収めているシミュレーション・バランシングを適用することを提案する.実際に,3,000局面でのバランシング方策の学習を行った.対戦実験による評価の結果,提案手法の特に序中盤での有用性を示すことができた.また,バランシングを適用するうえで,詰み付近の局面における将棋特有の課題を解析し,プレイアウトに詰み探索を導入することで一定の改善が行えることを示した.Since the advent of Monte-Carlo tree search (MCTS), strong computer players using Monte-Carlo methods have been built for the game of go. Following these successes, application of the methods has been explored to the game of shogi for which conventional methods have also been successful. Improvement efforts of MCTS can be roughly classified into two: the way to deal with Monte-Carlo tree and the simulation policy. In this paper, we propose to apply simulation balancing that has succeeded in go to learn the policy of Monte-Carlo shogi players. We use this learning method with 3,000 positions and evaluate the performance. The proposed method is found to be effective in opening and middle game. Then, we analyze a problem unique to shogi endgames and alleviate it by performing checkmate search in playout.
著者
辻井 潤一 米澤 明憲 田浦 健次朗 宮尾 祐介 松崎 拓也 狩野 芳伸 大田 朋子 SAETRE Rune 柴田 剛志 三輪 誠 PYYSALO SAMPO Mikael 金 進東 SAGAE Kenji SAGAE T. Alicia 王 向莉 綱川 隆司 原 忠義
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文解析研究で成功してきた手法、すなわち、巨大な文書集合を使った機械学習技術と記号処理アルゴリズムとを融合する手法を、意味・文脈・知識処理に適用することで、言語処理技術にブレークスルーをもたらすことを目標として研究を遂行した。この結果、(1)言語理論に基づく深い文解析の高速で高耐性なシステムの開発、(2)意味・知識処理のための大規模付記コーパス(GENIAコーパス)の構築と公開、(3)深い文解析の結果を用いた固有名、事象認識などの意味・知識処理手法の開発、(4)大規模なテキスト集合の意味・知識処理を行うためのクラウド処理用ソフトウェアシステムの開発、において世界水準の成果を上げた。(2)で構築されたGENIAコーパスは、生命科学分野でのテキストマイニング研究のための標準データ(Gold Standard)として、国際コンペティション(BioNLP09、BioNLP11)の訓練・テスト用のデータとして、採用された。また、(1)の研究成果と機械学習とを組み合わせた(3)の成果は、これらのコンペティションで高い成績を収めている。また、(1)と(4)の成果により、Medlineの論文抄録データベース(2千万件、2億超の文)からの事象認識と固有名認識を数日で完了できることを実証した。その成果は、意味処理に基づく知的な文献検索システム(MEDIE)として公開されている。
著者
三輪 誠 伊豆田 猛 戸塚 績
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.81-92, 1998-03-10
参考文献数
19
被引用文献数
4

人為的に酸性化させた褐色森林土で育成したスギ苗の乾物生長と土壌pH, 土壌中の水溶性Al濃度および(Ca+Mg+K)/Alモル濃度比との関係を調べた。火山灰母材, 花商岩母材および砂岩・粘板岩母材の褐色森林土1Lに, 10,30,60および100meqのH^+を硫酸溶液で添加して酸性化させた。また, 硫酸溶液を添加しない各土壌を対照土壌とした。これらの酸性化させた土壌および対照土壌に, スギ(Crypromeria japonica D. Don)の2年生苗を移植し, 1994年6月13日から9月5日までの12週間にわたって温室内で育成した。土壌への硫酸添加量の増加に伴って, いずれの土壌においても, スギ苗の乾物生長が低下した。これらの乾物生長の低下は, いずれの土壌においても, 土壌pH(H_2O)の低下に伴って生じたが, これは土壌中の水溶性Al濃度が増加したためであるとえられた。火山灰母材土では, 土壌中の水溶性Al濃度が風乾土あたりで10.5μg/gに増加すると, すでにスギ苗の乾物生長が低下したが, 他の土壌では, その濃度が30μg/gより高くなるとスギ苗の乾物生長が低下した。また火山灰母材土および花岡岩母材土では, 水溶性元素濃度から算出した(Ca+Mg+K)/Alモル濃度比が5より小さくなると, スギ苗の乾物生長が低下し始めた。これに対して, 砂岩・粘板岩母材土では, 同比が9.21のとき, すでにスギ苗の乾物生長が低下したが, この処理区の土壌中の水溶性Al濃度は37.8μg/gであった。以上の結果より, 硫酸溶液を添加して酸性化させた褐色森林土では, 土壌中の水溶性Al濃度が風乾土あたりで30μg/gより高くなると, 共存する塩基の濃度に関係なく, スギ苗の乾物生長が低下するが, その濃度が30μg/gより低い場合, Alの影響は共存する塩基の濃度に依存し, (Ca+Mg+K)/Alモル濃度比が5より小さくなると, スギ苗の乾物生長が低下すると考えられた。
著者
王 青躍 鈴木 美穂 中島 大介 三輪 誠
出版者
埼玉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

近年、黄砂の飛来とスギ花粉飛散ピークと重なって度々出現し、同時にスギ花粉アレルゲン含有粒子の高濃度現象が観測されているため、都市部において、黄砂がスギ花粉と接触し、スギ花粉アレルゲンの放出や修飾影響、アレルギーの増悪など、花粉症罹患への黄砂や汚染物質の複合影響を評価した。特に、スギ花粉アレルゲンの微小粒径への移行は降雨が影響しており、降雨のイオン成分やpHによるスギ花粉アレルゲンの溶出挙動とその活性変化を検討した。
著者
佐藤 敬一 内山 厚 伊豆田 猛 三輪 誠 渡辺 直明 久保 隆文 伏谷 賢美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.94, no.155, pp.61-67, 1994-07-20

酸性雨が土壌酸性を引き起こし樹木に水ストレスを与えていることを考慮し、酸性土壌に植えたスギの2年生苗木について12週間にわたりAEを測定し、発生したAE特性について検討した。その結果、夜や曇り、雨などの日射量のないときはAEが検出されなかった。健全な対照区の苗木では、AEは日照開始時に集中しており、蒸散流の開始によるキャビテイションにともなって発生していることが分かった。また、水ストレスを受けている植え替え直後や酸性区の苗木では、AE発生の日照開始時の集中度は低く、日射がある時間帯ははんべんなくAEが発生した。
著者
三輪 誠 若林 伸和 矢野 吉治
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.114, pp.243-250, 2006
被引用文献数
2 2

The regulation to enforce improvement of security level was executed in 2004. Ships which are obliged should take the cost for introduction of new security system. We tried to construct on-board LAN using wireless technology aboard existent ship in operation, in order to utilize ship's monitoring system. In this paper, we describe outline of implementation of on-board LAN system aboard T. S. Fukae-maru and conclusion of the radio intensity measurement of wireless LAN, also describe ship monitoring system utilizing network camera as a practical application of the LAN.