著者
中井 浩之
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.582-591, 2009 (Released:2010-02-16)
参考文献数
29

アデノ随伴ウイルス(AAV)は,その誕生から現代に至るまで,自然選択(natural selection)により非常にゆっくりと進化を遂げてきた.ところが,2002年に100種を超える血清型やバリアントが霊長類組織から単離されて以来,人為的操作により急速な進化を遂げつつある.ウイルスの構造が単純で外殻蛋白の遺伝的操作が容易であることから,合理的設計法(rational design)と定向進化法(directed evolution)を用いることにより,使用目的に最も適したカスタムメイドAAVベクターが容易に作成,使用できるようになってきている.
著者
窪田 泰夫 森上 徹也 森上 純子 中井 浩三 横井 郁美 藤田 名都子 宗廣 明日香 前田 麗子 石川 絵美子 細川 洋一郎 小浦 綾子 米田 耕造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.432-438, 2012-08-01 (Released:2012-11-15)
参考文献数
7
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎 (AD) 患者を対象に標準的 AD 治療のひとつとしてスキンケアにビーソフテン® ローション (B) およびヒルドイド® ローション (H) を使用し,患部皮膚の角質水分量,経皮水分喪失量の推移,AD の皮膚症状に及ぼす影響を左右半身比較による検討を行った。両製剤の使用感や利便性に関する評価と満足度も検討した。両製剤とも4,8週後に皮膚症状は有意に改善し,製剤間に差はなかった。角質水分量,経皮水分喪失量については,治療前後および製剤間の差はなかった。Visual Analogue Scale (VAS) による評価では「皮膚のうるおい」,「皮膚のなめらかさ」,「患部皮膚の色調」では,両製剤とも4,8週後に有意に改善し,製剤間に差はなかった。「痒み」は4週後では両製剤とも有意な改善を認め,8週後では (H) のみが有意に改善したが,製剤間には差はなかった。薬剤使用感のVAS評価では,「薬剤塗布時の使用感」で (B) が有意に優れていたが,「塗りやすさ」,「薬剤塗布時のにおい」,「薬剤塗布した翌朝の皮膚の状態」,「薬剤の継続使用希望」は製剤間に有意差はなかった。AD 外用治療の基礎であるスキンケアにおける保湿剤の使用は皮膚炎の軽重にかかわらず長期にわたる。患者の好み,塗布範囲,季節,発汗などに応じた剤形選択がアドヒアランス向上をもたらし,高い治療効果や QOL の改善にも寄与するものと考えられた。
著者
中井 浩二 Kozi NAKAI
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
共同利用機関の歴史とアーカイブズ2004
巻号頁・発行日
pp.298-309, 2005-08

第Ⅱ部 研究会「大学共同利用機関の歴史とアーカイブズ」 第10章
著者
清野 淳司 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.1-17, 2014-03-21 (Released:2014-03-21)
参考文献数
63
被引用文献数
3 6

本稿では,大規模な重元素化合物を高効率・高精度に計算するための理論を取り上げる.まず相対論的量子化学の現状を概観し,それを踏まえて目的を遂行するためにどの部分を考察しなければならないのかを述べたい.次にこれらの問題点を解決すべく,著者らが開発した高効率・高精度な2成分相対論計算手法,無限次Douglas-Kroll-Hess変換に基づく局所ユニタリー変換法の理論について解説し,数値検証を行うことで有用性を示す.さらに本手法を分割統治法へと拡張することにより,計算全体の線形スケーリングを達成する手法となることを示す.本手法に基づけば,非相対論と同等の計算コストで (スピン非依存の) 4成分相対論と同程度の精度を与えることができるため,従来の非相対論的なSchrödinger方程式から相対論的なDirac方程式へのパラダイムシフトが可能となる.
著者
三船 康道 小出 治 中井 浩司 樋村 恭一
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会梗概集
巻号頁・発行日
no.10, pp.51-54, 2000-11

The purpose of this paper is to compare the status quo of temporary housings internationally. Japan, Turkey and Taiwan constructed different type of temporary housings. Through the anaiysis, this paper shows the fact the Japanese system is a lowest standard as a place of residence.
著者
影山 椋 清野 淳司 藤波 美起登 五十幡 康弘 中井 浩巳
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2C11, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
4

Orbital-free密度汎関数理論(OF-DFT)では、原子・分子のエネルギーを軌道を用いず電子密度の汎関数で表す。我々は運動エネルギー(KE)項について、Kohn-Sham DFT(KS-DFT)計算で得た電子密度とKE密度の関係を機械学習で結び付けKE密度汎関数(KEDF)を構築する手法を開発した。機械学習により構築されたKEDF(ML-KEDF)は従来のあらゆるKEDFより小さい誤差でKS-DFTのKEを再現した。一方、ML-KEDFを用いてOF-DFT計算を行うには初期電子密度から基底状態の電子密度を決定する最適化計算が必要となる。本研究はこの計算を実装した。またこの計算で用いる、ML-KEDFの電子密度に関する微分で表される運動ポテンシャル(KP)を機械学習により構築する手法を開発した。幾つかの原子・分子に対し最適化された電子密度と全エネルギーの計算精度について検証を行った。
著者
中井 浩二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.16, no.12, pp.605-613, 1974-12-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
24
著者
寺西 慶 石川 敦之 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.A15-A29, 2016 (Released:2016-08-10)
参考文献数
115
被引用文献数
3 4

アルカノールアミンによるCO2の化学吸収法は,発電所などの大規模CO2排出源における排出削減措置として現在最も有効な手段の1つと考えられている.現在,主にCO2回収過程におけるエネルギーコストの削減を目的として様々な吸収液が開発されており,CO2吸収液に用いられるアミンの分子設計が実験・理論の両面から精力的に進められている.本稿では,CO2とアミンの化学反応の理解・分析において理論計算,特に量子化学計算および第一原理分子動力学計算がどのように用いられてきたかを解説する.
著者
中井 浩三
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

表皮のフィラグリン発現低下による皮膚バリア機能障害はアトピー性皮膚炎の原因である。我々はフィラグリン発現が低下したアトピー性皮膚炎モデルマウスでは皮膚バリア機能に重要なEGFR、E-cadherin、Occludinの発現が低下していることを発見した。抗酸化剤であるNアセチルシステインを同マウスに投与したところ、一部改善された。さらに、Nアセチルシステインをヒトアトピー性皮膚炎患者に外用したところ皮膚バリア機能は改善した。以上のことから酸化ストレスが角化と皮膚のバリア機能を低下させていることが示唆された。
著者
中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
pp.2021-0020, (Released:2021-08-14)
参考文献数
130

日本コンピュータ化学会(SCCJ)は,日本化学プログラム交換機構(JCPE)と化学ソフトウェア学会(CSSJ)が合併して2002年1月1日に設立され,まもなく創立20周年を迎える.この記事では,コンピュータ化学に関連する文献を紹介することにより,SCCJの過去20年間を振り返りる.まず,化学,物理学,工学,材料科学,生化学などの研究分野ごとに文献数を比較する.次に,引用数の多い上位100位の文献のいくつかを,方法論,ソフトウェア,データベース,およびトピックに分類して説明する.
著者
中井 浩三
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

マクロファージは自然免疫の中心となる細胞である。我々はアトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚のマクロファージの活性化を調べた。アトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚では通常マウスの皮膚と比べて異常なマクロファージの活性化がみられた。マウスのアトピー性皮膚炎の治療薬として、インターロイキン17Aの阻害薬を投与したところ、アトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚のマクロファージは通常皮膚のマクロファージとは違った活性化抑制がみられた。
著者
中井 浩司 渡邊 晴美 高橋 幸子 宮本 浩三 土井 厚 花隈 淳 森下 雄亮 澤田 知広 尾辻 眞矢 平手 裕市 進藤 義明 小菅 浩司
出版者
Japanese Society of Medical Instrumentation
雑誌
医療機器学 (ISSN:18824978)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.638-646, 2009 (Released:2010-01-07)
参考文献数
18

We studied the utility and drawbacks of the earlobe probe sensor on the percutaneous arterial oxygen saturation (SpO2) measurement. The SpO2 from the earlobe, forehead and finger sensor were measured simultaneously, and then changes of SpO2 readings induced by medical interferences and influence by the sensor attachment were compared among three types of sensor. The SpO2 from the earlobe sensor responded to the rapid change of patient clinical condition as well as from the forehead and finger sensor. The pulse wave signal from the earlobe sensor was more stable compared to those from forehead and finger sensor, but the time to display SpO2 readings after the earlobe sensor attachment was similar to the forehead sensor and it took longer than that in case of the finger sensor attachment. Some cases were difficult to measure SpO2 because of extremely thin earlobe and edema of earlobe. The long-term attachment of the earlobe sensor did not leave any surface imprint on the patient skin that is often found with the use of forehead and finger sensor. Also no patient had removed the earlobe sensor on a voluntary basis. While the SpO2 measurement with the earlobe sensor may be affected by several factors such as the earlobe shape and the peripheral circulation, it is the least painful for the patient. The active utilization of the earlobe sensor in clinical practice is promising as a new approach of the SpO2 measurement.
著者
秋葉 欣哉 大越 昌樹 菊池 那明 渥美 照夫 中井 浩巳
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集) 第20回基礎有機化学討論会(第39回構造有機化学討論会・第59回有機反応化学討論会)
巻号頁・発行日
pp.30, 2009 (Released:2009-11-20)

秋葉らは3中心4電子超原子価結合の概念に基づき、オクテットを超え、中心炭素原子が形式的に10個の価電子を収容する安定な5配位超原子価炭素化合物(10-C-5)を合成した。 本研究では、同様の概念に基づき12個の価電子を収容する、6配位超原子価炭素化合物(12-C-6)の安定構造が存在することを量子化学計算により示し、またその誘導体における置換基の影響を解析し、より安定な超原子価結合を有する12-C-6化合物を提案する。
著者
稲森 真由 五十幡 康弘 王 祺 中井 浩巳
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.124-126, 2018 (Released:2018-10-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The crossing of potential energy surfaces plays an important role in photo-decay processes and photochemical reactions. The energies and geometries of the crossing points have been reported for various molecules using quantum chemical calculations. In this research, excitation energy components of uracil are investigated to understand the characteristics of the crossing points. We revealed that the HOMO−LUMO exchange integral becomes approximately zero at the minimum energy conical intersection between S0 and S1 states. Furthermore, it was found that the HOMO−LUMO gap is close to the HOMO−LUMO Coulomb integral at the crossing structures.
著者
窪田 泰夫 宗広 明日香 小浦 綾子 白髭 由恵 横井 郁美 前田 麗子 石川 絵美子 細川 洋一郎 森上 純子 森上 徹也 中井 浩三 米田 耕造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.630-635, 2012-12-01 (Released:2013-02-26)
参考文献数
7

ダラシン® T ローション 1 %はざ瘡の炎症性皮疹に対して有効性と安全性が確認された外用抗菌剤である。今回,炎症性皮疹を有する成人ざ瘡患者 23 例に,ダラシン® T ローション 1 %を 8 週間,半顔には直接塗布により,また対側半顔にはコットンパフを用いて塗布し,炎症性皮疹の減少率と安全性,また刺激感や使用感等に対する患者自身による評価を比較検討した。その結果,コットンパフ使用法および直接塗布法ともに開始時と比較して外用開始 8 週後には炎症性皮疹減少率が有意に高かった。しかし両群間の炎症性皮疹の減少率において 4 週後,8 週後に有意差は認められなかった。全症例において特記すべき有害事象はなかった。患者自身による評価では,両群間の治療効果・使用感・刺激感に有意差は認められなかったが,70 % (16 例/23 例) の患者が「医師から具体的な塗布方法について説明を受けて良かった」と回答していた。これはざ瘡外用治療の際に医師が患者に外用方法の具体的な説明・指導をすることが患者の治療満足度を向上させるためにも重要であることを示唆していると思われた。また,液状のざ瘡外用治療薬とコットンパフを用いて塗布する方法は日常の化粧行動でコットンパフの使用に慣れている「大人の女性」のざ瘡患者には勧めやすいものと思われた。≥
著者
窪田 泰夫 森上 徹也 中井 浩三 横井 郁美 藤田 名都子 宗広 明日香 森上 純子 米田 耕造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.163-168, 2010-04-01 (Released:2010-06-25)
参考文献数
8

尋常性乾癬患者19例を対象に,カルシポトリオール軟膏(ドボネックス® 軟膏50μ/g)とベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(アンテベート® 軟膏0.05%)を用いた9週間の外用連続療法を実施し,その臨床的有用性をPASIとVASスコア,患者QOLにより評価した。外用連続療法の導入期では両剤を1日2回併用塗布し,続く移行期では平日はカルシポトリオール軟膏のみを,土・日は両剤を1日2回併用した。維持期ではカルシポトリオール軟膏の単独塗布を行った。皮膚症状の評価はPASIスコアから顔面,頭部を除いた準PASIスコアと患者によるVAS評価を併用した。QOL評価はDermatology Life Quality Index(DLQI日本語版)を用いた。その結果,治療開始時20.2であった準PASIスコア平均値は導入終了時には8.1となり60%の低下を示し(p<0.01),その後も経時的に減少して,観察終了時には4.4に低下した(baselineから78%の低下,p<0.01)。また,治療開始時9.2であったDLQI合計スコアは観察終了時には3.1となり(p<0.01),下位尺度のうち「症状・感情」,「日常生活」,「余暇」での改善が顕著であった(p<0.01)。副作用については局所の刺激感,血清Ca値の異常変動などは認められなかった。尋常性乾癬に対する今回の外用連続療法は,皮膚症状を速やかに改善すると共にその後の寛解維持も良好で,主に精神面,生活および行動面での患者QOLの改善をもたらすことが示唆された。