著者
瀬藤 乃理子 丸山 総一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.395-405, 2004-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
53
被引用文献数
3

本論文では,日本でも社会的ニーズが高まっている遺族のブリーフケアの今日的意義を見直し,特に喪失悲嘆が強いとされる「子どもとの死別」を取り上げ,死別後に生じる心理・社会的問題とそのグリーフケアのあり方について,国内外の文献から考察した.子どもを亡くした家族のグリーフケアにおいては,当事者の喪の過程における心理的問題だけでなく,喪失によって引き起こされる家族システムの問題や,遺された兄弟姉妹への影響,悲嘆の重症化や慢性化に関連する心身医学的問題などにも対応していく多角的な視点が必要である.グリーフケアとは何か,ブリーフケアを行う際の注意点,今後の死別研究の課題について言及した.
著者
壁谷 英則 藤田 雅弘 森田 幸雄 横山 栄二 依田 清江 山内 昭 村田 浩一 丸山 総一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.70-74, 2008-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

全国23都道府県のペットのグリーンイグアナについてSalmonella, PastemllaおよびStaphylococcusの保菌状況を検討した.Salmonellaは, 98頭中17頭 (17.3%) の糞便から分離された. 分離株49株中47株は, 生物群IVのS. enterica subsp. houtenaeであり, わが国のイグアナが原因と思われる乳児サルモネラ症の原因となった血清型45: g, Z51:-が3株, 生物群IのS. enterica subsp.entericaも2株分離された. 陽性個体17頭由来の17株中9株 (52.9%) はstreptomycin耐性株であり, また, すべての株は上皮細胞侵入因子 (invA) およびエンテロトキシン (stn) 両遺伝子を保有していた.P. multocidaは89頭中3頭 (3.4%) から, また, S. aureusは18頭 (20.2%) の口腔からそれぞれ分離された.
著者
丸山 総一 平賀 慎也 横山 栄二 直井 昌之 鶴岡 祐二 小倉 吉洋 田村 勝利 灘波 信一 亀山 やすひこ 中村 悟 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.997-1000, 1998-09
被引用文献数
11 35

1994年5月から1995年6月にかけて, 神奈川県および埼玉県の7ヵ所の動物病院より採取した総計471検体の飼育猫の血清について, B.henselaeとT.gondiiの感染状況を調査した.さらに, これらの中の無作為に抽出した67頭の猫について, 猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体ならびに猫白血病ウイルス(FeLV)抗原の検索を行った.B.henselae抗体価は間接蛍光抗体法で, T.gondii, FIV抗体ならびにFeLV抗原は市販のキットを用いて測定した.調査した猫のうち, 43頭(9.1%)がB.henselaeに対し, 41頭(8.7%)がT.gondiiに対する抗体を保有していた.B.henselaeに対する雄猫の抗体陽性率は12.9%と雌猫の5.2%に比べ有意に高い値を示した(p<0.01).一方、T.gondii抗体陽性率は雄猫の9.1%, 雌猫の8.7%で有意な差は見られなかった.各病院ごとの猫のB.henselae抗体陽性率は0〜19.5%, T.gondii抗体陽性率は4.0〜18.8%であった.B.henselaeおよびT.gondii抗体陽性の猫は1歳以下〜14歳まで見られ, T.gondii抗体陽性率は年齢とともに上昇する傾向が見られた.無作為抽出した67頭の猫血清のうち, 16頭(23.8%)がFIV抗体を6頭(8.9%)がFeLV抗原をそれぞれ保有していたが, これらとB.henselaeの陽性率との間に関連性は認められなかった.
著者
森田 幸雄 新井 真理子 野村 治 丸山 総一 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.585-587, 1994-06-15
被引用文献数
4

2歳の雄, 輸入伝書鳩において総排泄口後方の皮膚に結節(直径約15mm)を認めた. 皮膚の結節および糞便からMycobacterium avium血清型2型が分離された. 分離菌のうち光沢があり隆起した親水性の集落(SmD株)ならびに光沢がなく小さい疎水性集落(RG株)を, 鶏(白色レグホン, 雌, 40日齢)の翼静脈内にそれぞれ10^6個および10^7個接種したところ, RG株投与鶏は39日目に, SmD株投与鶏は77日目に死亡した. SmD株, RG株投与鶏はともに肝臓, 脾臓の腫大が著しく, SmD株投与鶏の肺, 肝臓および脾臓には粟粒大の白色結節が認められた. 投与鶏の肺, 肝臓, 脾臓, 腎臓ならびに膵臓からSmD株およびRG株が回収された.
著者
丸山 総一 田中 司 勝部 泰次 仲西 寿男 貫名 正文
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1237-1244, 1990-12-15 (Released:2008-02-14)
参考文献数
20
被引用文献数
8 11

1986年5月から1987年4月までの1年間にわたり, 神奈川県の海岸および墓地に棲息するカラスの新鮮糞便500検体より, 高温カンピロバクターの分離を試みると共に, 分離したC. jejuniについてSkirrowの生物型別ならびにPennerの血清型別を行った. 年間を通じて, 海岸のカラスの糞便270検体中169検体 (62.6%), 墓地のカラスの糞便230検体中106検体 (46.1%) から高温カンピロバクターが検出された. 本菌の月別検出率は, 海岸のカラスでは32.0%から85.0%, 墓地のカラスでは20.0%から75.0%であった. 検出された菌種は, 海岸のカラスでは, C. jejuniが150検体から, C. coliが21検体から, C. laridisが14検体から, 墓地のカラスでは, C. jejuniが80検体から, C. coliが12検体から, C. laridisが16検体からそれぞれ検出された. 両地点のカラス由来C. jejuni192株の多く (91.1%) は生物型Iであった. 192株中169株が20の血清型に分類され, 両地点とも血清型2が最も優勢であった.
著者
森本 兼曩 丸山 総一郎
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.241-251, 2001-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
26

情報化社会, 高齢化社会の到来といった社会経済構造の変革, 疾病構造の変化などにより, われわれのライフスタイルは大きく変わろうとしている.このような現代社会において, 国民の健康意識は高く, 病気になって考えるのではなく, 健康な時期に将来発生するかもしれない疾病に対する一次予防の方法を積極的かつ科学的に考え, さらにQuality of Life(QOL)を高める具体的方策を追求していくことが, 緊急かつ重要な課題となっている.こうした問題に対するアプローチとして, われわれが必要と考えているのはストレスに強いライフスタイル, より健康的なライフスタイルへの変容に個々人が自主的, 自発的に取り組むことである.喫煙, 飲酒, 運動などのライフスタイルが, 心身の健康と関連性のあることをこれまでに報告してきた.われわれは, 勤労者, 地域住民, 高齢者, 阪神・淡路大震災被災者を対象に, 一般的健康質問票, 健診データ, 染色体変異, NK細胞活性, IgE, コルチゾールなどを調べた.われわれは, これまでの研究やBreslowの報告に基づき, 8つの健康習慣として, (1)喫煙しない, (2)適量飲酒, (3)定期的な運動, (4)7〜8時間の睡眠, (5)栄養バランスを考える, (6)労働時間10時間未満, (7)毎日朝食を食べる, (8)ストレスを適正に保つ, を抽出した.同時に, この8つの健康習慣をいくつ守るかによって健康習慣指数(HPI)を算出した.2, 148人の勤労者における6年間の追跡調査の結果からは, 不健康なライフスタイルの人は, 慢性疾患の発症の割合が有意に高いことを示した.一方, 癌免疫力の指標の一つであるNK細胞活性は, 良好なライフスタイルの人で有意に高いことも明らかにした.遺伝的健康度は, リンパ球染色体変異の頻度(姉妹染色分体;SCE, 小核;MN)で測定した.その結果, 良好なライフスタイルを多くもつ人ほど, 染色体変異の頻度が有意に低かった.また, 不健康なライフスタイルの人で異常にIgEが高くなっていることも明らかにした.震災の被災者を対象にした調査では, 不良なライフスタイルの人ほど, また心的外傷後ストレス傷害(PTSD)傾向の強い人ほど, NK細胞活性が有意に低く, コルチゾールは有意に高くなっていることを示した.勤労者や高齢者のデータからは, 良いライフスタイルの人やヒューマンサポートの多い人ほど, 高い職場ストレスや身体的健康状態が良くないにもかかわらず, 高いQOLを示していたことを報告した.以上の結果から, われわれがライフスタイルをより健康的なものに変容させようとするのも, 個々人のいわば短い生涯のうちで, なるたけ大きな自己実現に向けての活動が, 健康であればあるほど容易になるからである.そのような意味からは, より健康的なライフスタイルは, 将来のさまざまな健康破綻への負荷に対する防御力, 耐性力, 抵抗力を示す資料でもある.
著者
松立 大史 三好 康子 田村 典子 村田 浩一 丸山 総一 木村 順平 野上 貞雄 前田 喜四雄 福本 幸夫 赤迫 良一 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.63-67, 2003 (Released:2018-05-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 16

国内5郡県で採集されたタイワンリスCallosciurus erythraeus 24個体およびヌートリアMyocastor coypus 53固体について内部寄生蠕虫類の調査を行った。これら2種の外来哺乳類における本格的な寄生蠕虫調査は今回が初めてである。その結果,タイワンリスからはBrevistriata callosciuviおよびStorongyloides sp.が,またヌートリアからはStorongyloides myopotami. Calodium hepaticumおよびFasciola sp.がそれぞれ見つかった。Fasciola sp.がヌートリアに寄生していた例は日本において初めての報告である。Fasciola sp.とC.hepaticumは人獣共通寄生虫症の病原体なので留意すべきである。
著者
森本 兼曩 丸山 総一郎
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.241-251, 2001-04-01
被引用文献数
2

情報化社会, 高齢化社会の到来といった社会経済構造の変革, 疾病構造の変化などにより, われわれのライフスタイルは大きく変わろうとしている.このような現代社会において, 国民の健康意識は高く, 病気になって考えるのではなく, 健康な時期に将来発生するかもしれない疾病に対する一次予防の方法を積極的かつ科学的に考え, さらにQuality of Life(QOL)を高める具体的方策を追求していくことが, 緊急かつ重要な課題となっている.こうした問題に対するアプローチとして, われわれが必要と考えているのはストレスに強いライフスタイル, より健康的なライフスタイルへの変容に個々人が自主的, 自発的に取り組むことである.喫煙, 飲酒, 運動などのライフスタイルが, 心身の健康と関連性のあることをこれまでに報告してきた.われわれは, 勤労者, 地域住民, 高齢者, 阪神・淡路大震災被災者を対象に, 一般的健康質問票, 健診データ, 染色体変異, NK細胞活性, IgE, コルチゾールなどを調べた.われわれは, これまでの研究やBreslowの報告に基づき, 8つの健康習慣として, (1)喫煙しない, (2)適量飲酒, (3)定期的な運動, (4)7〜8時間の睡眠, (5)栄養バランスを考える, (6)労働時間10時間未満, (7)毎日朝食を食べる, (8)ストレスを適正に保つ, を抽出した.同時に, この8つの健康習慣をいくつ守るかによって健康習慣指数(HPI)を算出した.2, 148人の勤労者における6年間の追跡調査の結果からは, 不健康なライフスタイルの人は, 慢性疾患の発症の割合が有意に高いことを示した.一方, 癌免疫力の指標の一つであるNK細胞活性は, 良好なライフスタイルの人で有意に高いことも明らかにした.遺伝的健康度は, リンパ球染色体変異の頻度(姉妹染色分体;SCE, 小核;MN)で測定した.その結果, 良好なライフスタイルを多くもつ人ほど, 染色体変異の頻度が有意に低かった.また, 不健康なライフスタイルの人で異常にIgEが高くなっていることも明らかにした.震災の被災者を対象にした調査では, 不良なライフスタイルの人ほど, また心的外傷後ストレス傷害(PTSD)傾向の強い人ほど, NK細胞活性が有意に低く, コルチゾールは有意に高くなっていることを示した.勤労者や高齢者のデータからは, 良いライフスタイルの人やヒューマンサポートの多い人ほど, 高い職場ストレスや身体的健康状態が良くないにもかかわらず, 高いQOLを示していたことを報告した.以上の結果から, われわれがライフスタイルをより健康的なものに変容させようとするのも, 個々人のいわば短い生涯のうちで, なるたけ大きな自己実現に向けての活動が, 健康であればあるほど容易になるからである.そのような意味からは, より健康的なライフスタイルは, 将来のさまざまな健康破綻への負荷に対する防御力, 耐性力, 抵抗力を示す資料でもある.
著者
森田 幸雄 丸山 総一 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.475-479, 1994-06-15
被引用文献数
8

1988年から1990年の3年間に, 群馬県内のG食肉処理場で, 処理された豚1,776,294頭中4,919頭(0.28%)に非定型抗酸菌症が発見された. 結核様結節の多くは, 下顎リンパ節(64.4%)と腸間膜リンパ節(29.0%)にみられた. 上記の食肉処理場に出荷している1,200養豚場のうち4農場に集団発生が, 870農場に散発的な発生がみられた. 1988年9月から1989年12月の間に発見された2,076頭中231頭について病変部ならびに胃, 盲腸内容からの非定型抗酸菌の分離を試みた. 結核様病変がリンパ節のみにみられたもの219頭中141頭の病変部から, 肝臓または実質臓器とリンパ節の両者にみられたもの12頭中12頭の病変からMycobacterium avium-intracellulare complex(MAIC)が分離された. また, 細菌検査を実施した231頭のうち11頭の胃内容および6頭の盲腸内容からMAICが分離された. 分離株431株のうち336株は13の血清型に分類された. MAIC血清型6型(34.6%)が最も優勢で, 次いで8型(21.8%), 4型(8.6%), 10型(6.5%)であり, MAIC血清型3型も4株検出された. 16頭の豚で複数の血清型が分離された. 群馬県ではMAICによる豚の非定型抗酸菌症が蔓延していることが示唆された.
著者
丸山 総一 新野 猛 山許 和昭 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.139-141, 1994-02-15
被引用文献数
1

14週齢の雌の白色レグホン種に犬回虫感染子虫包蔵卵1,500個を経口投与し, 投与1日目から50日目まで肝臓, 心臓, 脾臓, 脳, 筋肉(ササミ, 胸筋, 脚筋)の幼虫分布状況を調べるとともに, 肝臓の病理組織学的検討を行った. 幼虫寄生数は, ササミの0〜132隻, 胸筋の0〜10隻, 脚筋の4〜30隻, 肝臓の40〜192隻, 心臓の0〜4隻, 脾臓の0〜2隻, 脳の0〜1隻であった. 投与第6日以降の肝臓表面に, 小数の微細な白斑が観察された. 組織学的には, リンパ球, 好酸性顆粒球からなる肉芽腫性結節が多数観察され, 病変は時間の経過とともに重度になる傾向にあった.