著者
真砂 佳史 原本 英司 久保田 健吾 大瀧 雅寛 斉藤 繭子 風間 しのぶ
出版者
国際連合大学サステイナビリティ高等研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は効率的な新興病原ウイルスの発見に適した検出手法の開発を目標とした。下水中のウイルスゲノム群から解析対象のゲノムのみを選択的に回収し,次世代シーケンシング法によりその塩基配列を決定することで,下水中の存在量が低いウイルスであってもゲノム解析を可能にする手法を開発した。また,下水中のウイルスを対象としたメタゲノム解析を行い,得たほとんどの配列がデータベースに近縁配列がないことを確認した。メタゲノムで得た塩基配列で得た塩基配列をもとに,未知のウイルスによると考えられるコンティグを作成し,その配列を持つウイルスゲノムが国内下水に常在する可能性を示した。
著者
久保田 健稔 足立 忠文 山﨑 勝己 小川 倫子 濱田 傑
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.236-240, 2009-05-20 (Released:2012-08-28)
参考文献数
21
被引用文献数
2

We report a rare case of rhinogenous optic neuritis(RON)that was induced by odontogenic maxillarysinusitis in a 34-year-old woman. The patient was referred to our hospital because of visual disturbance of the left eye, gradually developing over the course of 1 month. On presentation to the Department of Ophthalmology, the corrected visual acuity and central critical flicker frequency of the affected left eye was 1.0 and 24Hz, respectively (1.2 and 45 Hz for the right eye). The left eye also showed paracentral scotoma. Computed tomography and magnetic resonance imaging revealed left sphenoid and maxillary sinus opacification, which indicated thickening of these sinus membranes. For a clinical diagnosis of RON in the left eye, a otolaryngologist performed endonasalsphenoid and maxillary sinusotomy under general anesthesia. After sinusotomy the patient came to our department for further evaluation. A panoramic radiograph showed projection of root canal filling material to the left maxillary sinus from the apex of the left maxillary second premolar. We extracted this tooth and the projecting material. Visual symptoms completely resolved 3 months after diagnosis by collaboration among the patient’s ophthalmologist, otolaryngologist, and oral and maxillofacial surgeon.
著者
伊藤 俊一 世古 俊明 田中 智理 久保田 健太 富永 尋美 田中 昌史 信太 雅洋 小俣 純一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0326, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】筋ストレッチングは,疼痛改善や関節可動域改善のための治療法の一つとして臨床で多用されている。その実施に関しては,静的ストレッチング(static stretching:以下,SS)と動的ストレッチング(dynamic stretching:以下,DS)が一般的である。SSは,目的とする筋群を反動動作なしにゆっくりと伸張を数秒から数十秒間保持する方法であり,SSは筋や腱の損傷の危険性が低く安全に実施することが可能とされている。近年では,近赤外線分光法(Nuclear Information and Resource Service:以下,NIRS)を用いた動物実験での筋血液動態の検討結果として,DSではSSに比べて筋収縮による血液循環の改善が認められるとされているが,ヒトにおける詳細な検討はない。また,ヒトを対象とした研究では,ストレッチング前後の関節可動域やパフォーマンスの比較は多数みられるが,血液変化での検討はほとんどない。本研究の目的は,ストレッチング法の違いがヒトでの筋血液量に与える影響を検討することである。【方法】対象は健常成人女性20人(21.7±0.7歳)とし,内科および整形外科的疾患を原因とする肩こりを有し薬物を使用している者や通院している者は除外した。また,対象のBMIは22.4±0.8であった。方法は,各被験者の利き手側を対象として,僧帽筋上部線維に対して頚部側屈他動的伸展によるSSとDSを24時間以上の間隔を空けてそれぞれ施行した。SSはストレッチ持続時間を30秒間×3セットとし,セット間は10秒間の安静とした。DSは5秒間の筋収縮後25秒間の安静を1セットとして3セット施行した。また,各ストレッチングの施行順序は無作為とした。筋血液量の変化は,ストレッチング介入前後での酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)をDyna Sence社製NIRSを用いて測定した。NIRSのデータの測定間隔は1秒とし,僧帽筋上部線維(第7頸椎棘突起と肩峰を結ぶ線上で,第7棘突起から3横指外側)に筋線維の走行と平行にプローブを貼付した。さらに,頚部側屈角度は酒井医療社製REVOによりストレッチング施行側の最大側屈角度を測定した。関節可動域の測定方法は,日本整形外科学会の測定方法に準じた。筋硬度の測定箇所は,イリスコ社製筋硬度計PEK-1を用いてNIRSのプローブ貼付部位と同一箇所とした。被験者は,いずれの条件下でも15分以上安静を保った後に測定を開始した。頚部側屈角度と筋硬度の測定は椅座位とし,筋ストレッチング実施前と実施後の2回の測定を行った。統計的解析には,Mann WhitneyのU検定とWilcoxonの順位和検定を用い,関節可動域および筋硬度には対応のあるt-検定を有意水準は5%未満として検討した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は,福島県立医科大学会津医療センター倫理委員会の承認を得て,全対象者に書面により本研究の趣旨を説明し,同意書を得て実施した(承認番号24-21)。【結果】Oxy-Hb変化量(安静時値とストレッチング後の値との差)は,DSではSSと比較して有意な増加を認めた(p<0.01)。しかし,deoxy-Hbの変化および頚部側屈可動域,筋硬度には有意な差を認めなかった。【考察】NIRSの測定値に影響を与える因子として,被検者の皮下脂肪圧が挙げられている。先行研究では,BMI20-24の被験者では皮下脂肪厚が影響されないとされており,本研究の対象はすべてBMI20-24の範囲内であったことから,測定値に皮下脂肪厚の影響はないと考えられた。また,光岡らによるNIRSを用いた運動前後の筋内酸素動態の検討結果では,動脈血内においてはoxy-Hb量・deoxy-Hb量は両者ともに変化するが,静脈血内においてはoxy-Hb量は変化するがdeoxy-Hb量は変化しない,あるいは減少傾向を示すと報告されている。今回の結果,DSでは随意的な筋活動により,筋の収縮-弛緩による静脈還流を高めるミルキング作用が働き,DSではSSに比べ有意にoxy-Hb量を増加させた理由と考えられた。しかし,本研究により頚部側屈可動域,筋硬度には有意な差を示さなかったことは,今回の対象を健常成人女性としたためと考えられ,肩こりや頚部痛を有する対象者で再検討する必要がある。またさらに,本研究の対象者は20歳代の成人女性だけであるため,今後高齢者での加齢変化や性差の影響なども検討していく必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】従来から,疼痛の原因の一つとして筋の血行障害が挙げられている。これまでのヒトを対象としたストレッチングの検討結果は,ストレッチング施行前後の可動域,筋出力,パフォーマンスでの比較であり,筋血液動態での検討は少ない。本研究結果は,今後臨床において血行障害改善のためのストレッチングの選択や適応を検討するに際に有用になると考えられる。
著者
久保田 健彦 戸村 淳嗣 田井 秀明 村田 雅史 百瀬 学 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.30-40, 2015-03-28 (Released:2015-05-13)
参考文献数
40
被引用文献数
1

テトラサイクリン・エピジヒドロコレステリン含有歯科用軟膏は抗菌薬に抗炎症薬が配合された歯周炎局所治療剤であり,今回,歯周炎罹患歯肉への塗布塗擦による治療の有効性を検討した。新潟大学医歯学総合病院または研究協力3歯科医院を受診し,本研究の文書同意が得られた慢性歯周炎患者32名を対象とした。Supportive Periodontal Therapy(SPT)期で同意取得時にProbing Pocket Depth(PPD):6~8 mm, Bleeding on Probing(BOP)を有する患者を実薬群またはプラセボ群に無作為に割り付け,二重盲検法で比較評価した。薬剤投与は8日間,1日3回毎食後,患者自身が塗布塗擦を行い,臨床検査,細菌学的,生化学的検査による評価を術前,塗布8日目,塗布後21日に行った。臨床および細菌学的指標は両群とも経時的改善を示し,塗布後21日のplaque indexで,実薬群はプラセボ群に比し有意な改善を示した。中等度の炎症のある患者(gingival index:GI=2)を対象とした層別解析では,塗布8日目のBOPで実薬群はプラセボ群に比し有意な改善を示した。以上より,本剤の8日間の塗布塗擦はSPT期におけるGI=2の中等度の歯肉炎症のある歯周炎患者において,歯周ポケットからの出血を減少させる効果が期待できることが示された。
著者
久保田 健吾 林 幹大 松永 健吾 大橋 晶良 李 玉友 山口 隆司 原田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G (ISSN:18806082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.56-64, 2010 (Released:2010-03-19)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

都市下水を処理しているUASB-DHSシステムのG3型DHSリアクターの微生物群集構造をrRNAアプローチを用いて解析した.クローン解析による結果はリアクター上・中・下部において微生物群集構造が異なっていることを示しており,微生物多様性はリアクター上部において最も低かった.定量Real-time PCR法による各種微生物のrRNA遺伝子の定量結果は,アンモニアおよび亜硝酸酸化細菌の存在率がリアクター中・下部に行くにつれて増加することを示していた.リアクター上部からのアンモニア除去は,活性汚泥と同程度以上のアンモニア酸化細菌群の存在率に加え,DHSリアクターの高い汚泥保持能力および酸素供給能力に由来する可能性が示唆されるなど,除去メカニズムに関する知見を得ることが出来た.
著者
島袋 公史 平山 史朗 渡邉 英夫 久保田 健治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0757, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 近年、大腿骨近位部骨折患者の高齢化は進んでおり、当院でも85歳以上の超高齢者が7割を占めている現状である。大腿骨近位部骨折患者の中でも、超高齢者(85歳以上)と年齢で回復状況を比較しているのは渉猟した限りでは多くない。そこで今回、大腿骨近位部骨折を受傷した高齢者を85歳前後で年齢別に分け、回復状況を比較、検討したので報告する。【方法】 対象は、2009年6月から2011年5月末日までに受傷後当院で手術を受けた大腿骨近位部骨折患者161例の内、受傷前は自宅生活し杖歩行自立以上の条件を満たす32例とした。その中から、85歳以上の群(以下,超高齢者群)20例(大腿骨頸部骨折10例、大腿骨頸基部骨折1例、大腿骨転子部骨折9例)と85歳未満の群(以下,高齢者群)12例(大腿骨頸部骨折8例、大腿骨転子部骨折4例)の二つに区分した。尚、年齢は超高齢者群89±4.7歳,高齢者群80±3.6歳で差があり、リハに影響する中枢神経疾患、運動器疾患、重度認知症、転科転棟例は除いた。調査項目は手術日を基準として、リハ開始までの日数(以下,リハ開始日数)、訓練室移行に要した日数(以下,訓練室移行日数)、起き上がり・移乗・排泄・移動各項目獲得までそれぞれに要した日数(以下,起き上がり獲得日数・移乗獲得日数・排泄獲得日数・移動獲得日数)とした。その他の項目として、FIM改善率、在院日数、自宅復帰率とした。尚、統計学的処理は対応のないt検定にて実施し、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言にもとづくとともに当院の倫理委員会の承認を得て比較、検討した。【結果】 リハ開始日数は超高齢者群1.4±1日,高齢者群2±1.2日であった。以下同様に、訓練室移行日数は4.9±3日, 3.9±1.8日、起き上がり獲得日数16.7±13日,8.6±5日、移乗獲得日数24.5±21日,23±25日、排泄獲得日数41.2±33日,27.8±26日、移動獲得日数52.7±42日,28±20日という結果となった。訓練室移行日数、移乗獲得日数、起き上がり獲得日数、排泄獲得日数、移動獲得日数は超高齢者群の日数が遅延する結果となったが、起き上がり獲得日数のみ有意に差を認めた。FIM改善率は81%,89%で高齢者群の改善率が高い結果となり、在院日数は75.5±36日,71.2±36日で超高齢者群の在院日数が長い結果とはなったが有意に差はなかった。自宅復帰率は65%,75%で高齢者群の自宅復帰率が高い結果となった。【考察】 超高齢者群と高齢者群とでは、起き上がり動作獲得日数に有意な差が生じた。この理由として、起き上がり動作は基本動作の中でも様々な動作が合わさった複合的な動作で習得が困難であるとともに、術後の疼痛やそれによる可動域制限、筋出力低下などが動作に影響すると思われる。しかし、術部の影響は超高齢者群だけには当てはまらない。今回、超高齢者群は、高齢者群に比べリハ開始日数が早い結果となっているが訓練室移行日数は遅い結果となっている。このことから考えられるのが、超高齢者群は術後の全身状態変化の影響を受けやすく発熱などにより安静臥床を強いられることで廃用が起こると思われる。そのため、術部の影響だけではなく、術後初期に取り組む起き上がり動作は高齢者群と比較すると差が出る結果となったのではないかと考えられる。排泄動作獲得日数、移動獲得日数は今回超高齢者群が遅くなる結果となったが有意差はみられなかった。これは、低侵襲的な手術の施行、術後早期からの積極的なリハビリや福祉用具などの環境面の整備実施が奏効したものと思われた。【理学療法学研究としての意義】 高齢化社会を迎えているわが国の現状として、今後さらに高齢の骨折患者が増えることが予測され、その中でも大腿骨近位部骨折患者の年齢による比較は有用だと考える。また、年齢を重ねるごとにADL動作の獲得が遅延する傾向にあることから、基本動作を中心としたADL訓練も進めていく事が今後重要であると思われた。