著者
森川 剛 久保田 健 寺島 孝徳 岡澤 香津子 湯本 みゆ紀 柄澤 裕 塚田 晃裕
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.768-775, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
18

目的:当院の夜間緊急入院対応病棟における薬剤師業務において,薬剤関連入院の実態を調査し,また薬剤師の介入による医療経済的評価を行った。方法:対象は,2016年4月〜 2018年3月までの2年間で,夜間緊急入院対応を主とする病棟で薬剤管理指導を実施した1,754例とした。薬剤師の介入によって薬剤関連問題が原因の入院であると医師が診断した症例とその入院費,処方中止・減量を提案した薬剤のうち費用最小化分析が適応できる症例を調査した。結果:薬剤関連問題による入院と診断された症例は3.6%(64例/1,754例)あり,その入院医療費は計約5,454万円であった。薬剤師による中止・減量提案は410薬剤あり,費用最小化分析が適応できる医薬品削減費は計約710万円であった。結論:入院早期に薬剤師が介入することで,薬剤関連問題が明確化され,医療経済効果も明らかとなった。
著者
久保田 健彦 冨田 尊志 濃野 要 阿部 大輔 清水 太郎 杉田 典子 金子 昇 根津 新 川島 昭浩 坪井 洋 佐々木 一 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.109-116, 2015 (Released:2015-05-07)
参考文献数
28

目的 : 超高齢社会の現代において, 咀嚼・会話・審美に不可欠な歯を喪失する最大の原因となっている歯周病を防ぎ健康増進を図ることは, 歯周病が糖尿病や直接死因につながる循環器・脳・呼吸器疾患などと密接に関係することからも国民にとって急務である. 本研究は, 抗炎症効果を有するホエイペプチド (WHP) 配合流動食摂取が臨床的歯周組織検査項目, 唾液および歯肉溝滲出液 (GCF) 中の生化学的マーカー・炎症性サイトカインレベルに及ぼす影響について調べたものである.  材料と方法 : 本研究は新潟大学倫理審査委員会の承認を得て, 新潟大学医歯学総合病院にて実施した. インフォームドコンセントが得られた36名の慢性歯周炎患者 (男性24名, 女性12名, 66.8±11.7歳) を対象とし, WHP摂取群 (n=18), Control群として汎用流動食 (Control) 摂取群 (n=18) に無作為に振り分けた. 実施方法は評価者盲検法とし, 摂取前と摂取4週間後に臨床検査としてPlaque Control Record (PCR), Gingival Index (GI), Probing Pocket Depth (PPD), Bleeding on Probing (BOP), Clinical Attachment Level (CAL) の測定, さらに生化学的検査として最深歯周ポケット部位よりGCFを採取し, 炎症性サイトカイン (TNF-α, IL-6) 量, Alanine Transaminase (ALT) 量, Asparate Transaminase (AST) 量, 唾液中遊離ヘモグロビン (f-Hb) 量を測定した. 群間比較にはMann-WhitneyのU検定, 群内比較にはWilcoxonの符号付き順位検定, 相関分析はPearsonの積率相関分析を用い, 有意水準は5%に設定した.  結果 : GCF中の生化学的パラメーターでは, TNF-α, IL-6はWHP群においてのみ有意に減少した. Control群では有意差は認められなかった. ALT, ASTは両群ともに有意差は認められなかった. 臨床パラメーターは両群ともにPCR, GI, BOPにおいて改善傾向が認められた. PCRの低下したControl群でのみ, 有意にGI, BOPが減少した. PPD, CALは両群ともに有意な変化はなかった. 唾液中のf-Hb量は両群ともに有意差は認められなかった.  結論 : WHP群, Control群ともに, 4週間の摂取により歯周病臨床パラメーターが改善されることが示された. 特に, GCF中のTNF-α, IL-6がWHP群でのみ有意に減少したことより, WHPに含まれるホエイペプチドがGCF局所での炎症性サイトカインレベルに影響を与えた可能性が示された.
著者
三宅 邦夫 久保田 健夫
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.21-25, 2015 (Released:2017-02-16)
参考文献数
34

遺伝的・環境的要因による調節機構の破綻が神経発達障害の発症や病態に関与していることが知られている。エピジェネティックな遺伝子発現機構の中心分子をコードする MECP2 はレット症候群の原因遺伝子であるだけでなく,自閉症や成人精神疾患にもかかわることがわかってきた。また,これらの病態に神経細胞とともにグリア細胞も関与していることが判明し,これらの患者から作製された iPS 細胞を用いた治療薬開発研究も盛んになりつつある。さらに妊娠中の喫煙や飲酒,残留性有機汚染物質の曝露によって生じた胎児の DNA メチル化異常が,自閉症や注意欠陥 / 多動性障害などの発達障害の発症要因となりえることも明らかにされつつある。このようなエピジェネティックな変化には可逆性があることから,これを修復する薬物よる治療法の確立が期待されている。
著者
森川 剛 花岡 容子 小池 恵理 清野 義一 寺島 孝徳 久保田 健 岡澤 香津子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.32-36, 2022-06-10 (Released:2022-06-21)
参考文献数
18

Home-based and in hospital pharmacists at our hospital pharmacy participated in this study. A survey of the home-based pharmacists’ work contents was tabulated from November 2019 to May 2021. Furthermore, a questionnaire survey was administered within the pharmacy in May 2020. 90% of the hospital pharmacists would consider some drug information management to be able to work from home. Moreover, evaluation of the questionnaires revealed that more than 90% of the in-hospital pharmacists were “satisfied” or “somewhat satisfied” with deliverables of home-based pharmacists. The in-hospital pharmacists found communication tools (e.g., social networking services, telephone, and web-conferencing systems) to be useful for facilitating collaboration with the home-based pharmacist. Therefore, it is necessary to improve the internet environment to work from home. Moreover, it is important to create an environment where pharmacists can work from home according to their desire and needs in cases such as childcare, nursing care, during treatment, and during a pandemic. This study indicates that hospital pharmacists can carry out their responsibilities and demonstrate their work abilities not only in the hospital pharmacy setting but also in a remote working environment.
著者
長元 法喜 水田 博志 坂本 憲史 坂田 浩章 久保田 健治 甲斐 功一 北川 敏夫 井上 誠一 沼田 亨 大島 隆志
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.1213-1216, 1988-04-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

Fifteen cases with ruptures of musculotendinous juncture of the medial head of the gastrocnemius muscle which occurred during sports activities were studied. Of these cases, 7 were males and 8 were females. The mean age was 36 years and 6 months with ages ranging from 15 to 56.Six of these cases were involved in track-and-field events, three in volleyball, two in softball, two in badminton, one in judo and one in recreational game. Prodromic symptoms such as dull aching of the affected leg were seen in 8 cases. All cases were injured in a position of the ankle joint in dorsiflexion with the knee joint in extension.Conservative treatments resulted in a satisfactory recovery of their activities of daily living in all cases.The results indicated that prophylactic stretching is of value for preventing this injury, especially in middle-aged players.
著者
久保田 健夫
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.200-207, 2016 (Released:2016-09-30)
参考文献数
80
被引用文献数
5

Epigenetics is an important mechanism of gene regulation that is dependent on the chromatin structure, which is determined by the epigenetic chemical modification of DNA and histone proteins. It is known that the failure of epigenetic mechanisms causes congenital neurodevelopmental disorders (NDs), and that early life exposure to mental stress and endocrine disrupting chemicals, such as phthalates, bisphenol A, and tobacco, can change epigenetic mechanism and gene expression in the brain and cause NDs. Moreover, environmentally induced epigenetic changes are not erased during gametogenesis and are transmitted to subsequent generations, leading to changes in behavior phenotypes. However, epigenetics has a reversible nature because it is based on the addition or removal of chemical residues, and thus the original epigenetic status may be restored. Indeed, several drugs used for mental disorders and NDs restore the epigenetic state and gene expression. Improved epigenetic understanding of NDs will provide important clues for the development of new drugs that take advantage of epigenetic reversibility.
著者
久保田 健市 吉田 富二雄
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.116-124, 1995-12-15 (Released:2016-12-04)

Two studies using the minimal group paradigm were conducted to investigate the intergroup discrimination in an experimentally created minority and majority groups. In both studies, subjects were divided into the minority and the majority group by drawing lots, and asked to allocate points between other ingroup members and outgroup members. In the first study, it was found that the minority group showed significant ingroup favouritism whereas the majority group did not. The minority group was more aware of their membership in the group than their counterpart. In the second study, subjects were led to believe that the minority group and the majority group had either similar or different social attitude. On the whole, both the minority and the majority group favoured a similar group and discriminated against a dissimilar group. The effects of attitudinal similarity in minimal groups were discussed.
著者
堀川 朝広 久保田 健治 小田 勇一郎 原 慎太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.680-685, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【はじめに】内側開大式高位脛骨骨切り術(以下OWHTO)は術後に膝蓋骨低位が発生する問題点がある.我々は膝蓋骨低位にならない手術手技として近位骨片に脛骨粗面を連続させ骨切りを行う方法(distal-tuberosity osteotomy, 以下DTO)を施行してきた.本研究では従来の遠位骨片に脛骨粗面を連続させる方法(proximal-tuberosity osteotomy, 以下PTO)とDTOを比較検討した.【対象と方法】OWHTOを施行した59膝をPTO群(P群)30膝とDTO群(D群)29膝とに分けた.それぞれの骨切り開大角度,脛骨後傾角,術前術後の膝蓋骨の高さ,また鏡視下に膝蓋大腿関節面を評価した.【結果】平均開大角度はP群9.4°,D群12.0°であった.脛骨後傾角はP群で10.8°から11.8°,D群で10.1°から10.9°に増大したが有意差はなかった.Blackburne-Peel比でP群が術後に平均0.11(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし),Caton Deschamps indexではP群が術後に平均0.12(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし)低下した.また,P群では開大角度が増大するにつれて膝蓋骨がより低下したが,D群ではほぼ変化しなかった.膝蓋大腿関節の変性はP群で33.3%が進行したが,D群では9.1%のみが進行し86.4%は不変であった.【考察】DTOは術後の膝蓋骨低位や膝蓋大腿関節変性を抑えうることが示唆された.
著者
寺田 昭彦 堀 知行 久保田 健吾 栗栖 太 春日 郁朗 金田一 智規 伊藤 司
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.91-105, 2022 (Released:2022-05-10)
参考文献数
119

近年の超高速シーケンサー技術, 顕微鏡, 質量分析装置の開発のスピードは目覚ましいものがあり, 純然たる環境微生物学や微生物生態学を専門としない工学系研究者でも複合微生物系の機能や活性の解明といった, 微生物群集の高度な生理生態解析が行えるようになっている。このような潮流により, 水処理施設に潜む新奇微生物の存在や, 新機能の発見が進んでいる。本総説では, 水処理施設や自然環境の水質変換に関与する微生物の遺伝子, 細胞, 活性, 代謝物を高解像度に診る最新手法の紹介を行う。さらに, 手法の導入によってもたらされた水処理施設に存在する微生物群の生理生態に関する最新知見と今後の水処理技術の進展に向けた微生物生態研究の展望について概説する。
著者
久保田 健夫
出版者
聖徳大学
雑誌
研究紀要 = Bulletin of Seitoku University, Bulletin of Seitoku University Junior College (ISSN:21876843)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.73-80, 2020

要旨 胎児の発生過程で遺伝子を精巧に調節するしくみであるエピジェネティクスが、幼少期の環境で変化し子どもの体質や性格を変えることが明らかにされ、子育てや保育、療育の生物学的エビデンスになる可能性が考えられ始めた。これを踏まえ、本研究では、子どもの神経と精神の発達の面からエピジェネティクス研究論文を探索し、子どもの発達理解に役立つ知見を抽出することを試みた。その結果、エピジェネティクスは、環境ストレスに対するからだやこころの受け皿、虐待によって子どもの脳に変化がもたらされるメカニズム、そして幼少期の環境で確立した体質を生涯持続させるシステムとして働いていることが判明した。以上よりエピジェネティクスは、幼少期の良好な食習慣の確立や発達障害児へのストレスの少ない環境など、良好な子どもの脳の発達を促す環境の理解に有用な生物学的エビデンスを提供する学問分野になると思われた。
著者
伊藤 俊一 久保田 健太 隈元 庸夫 森山 秀樹
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-51, 2009
被引用文献数
2

慢性腰痛に対する筋ストレッチングとセルフエクササイズの効果に関して検討した.<br> 研究デザインは無作為化対照試験とし,外来受診からの治療期間を最大3カ月間として,コントロール群と,SLRと体幹筋強化を行ったエクササイズ1(E1)群,SLRと体幹筋強化とさらに腰背部ストレッチング加えたエクササイズ2(E2)群として,3カ月後,6カ月各群の痛みと身体機能変化と健康関連QOLをご検討した.<br> 結果,E2群では痛みおよび身体機能は3カ月以内の改善を認め,E1群も6カ月では同様の結果を示した.痛みの軽減と最も関連が高かった項目は,体幹の柔軟性と伸展筋力であった.<br> 以上の結果,慢性腰痛にけるセルフエクササイズによる体幹伸展筋力強化と柔軟性の改善を優先しての外来でのフォローアップは,疼痛および身体機能改善と患者満足度の改善により効果的と考えられた.
著者
白銀 夏樹 村田 美穂 久保田 健一郎 奥野 佐矢子 小野 文生
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.93, pp.145-150, 2006-05-10 (Released:2010-01-22)
参考文献数
9

現代の人間形成論においては、「美」「倫理」という言葉によって、人間形成をめぐる現代的状況を解明しようとする議論や人間形成論の可能性を提起しようとする議論が少なからず見受けられる。だが「美」と「倫理」の概念の接点をさぐりながら人間形成論の現代的射程を探る共同研究の試みは、いまだ豊かに展開されているとはいいがたい。教育哲学会第四八回大会 (香川大学) において「美」と「倫理」の概念に関心を寄せる若手研究者が集まり、「美的・倫理的人間形成論の現在性をめぐって」と題したラウンドテーブルを開催した。ドイツ語圏の美的人間形成論 (白銀・久保田) 、英語圏の道徳や倫理を扱う人間形成論 (奥野・村田) 、ドイツ教育思想史における「美」「倫理」概念 (小野) といった各々の関心から、現代の「美」「倫理」概念の人間形成論的射程を議論した。以下はラウンドテーブル当日の提案者四名 (村田、久保田、奥野、白銀) と指定討論者 (小野) による報告である。本論の最終的な文責は企画者 (白銀) が負うが、それぞれの項目は担当者が執筆したものである。
著者
久保田 健一郎
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87, pp.67-82, 2003-05-10 (Released:2010-05-07)
参考文献数
26

The present paper pursues the possibility of contemplating about education or about the human being, even after the death of the human and of the concomitant death of their education. Such an attempt will pose a fundamental challenge to conventional thinking because the former tries to contemplate about those concepts posthumously. A new concept of education replete with novel possibilities is expected to emerge.For this purpose, the author will present, firstly, as an alternative to the conventional super-historical pedagogy, the design of historical-pedagogic-anthropology. This anthropology regards the object of analysis as an historical construct. Then, from the standpoint of historical-pedagogic-anthropology, he will restore mimesis, which had been banished from the educational domain to the aesthetic one, in an educational, and especially in educators', domain. By analyzing the narration about a wild child from the point of view of mimesis, one can witness humanism, which underpinns the concept of education, disintegrate from within. Nonetheless, the collapse of humanism is not the collapse of education itself. With the affirmation of the difference between those who educate and those who are educated, there will be revived anew the concept of education.
著者
伊藤 俊一 久保田 健太 隈元 庸夫 森山 秀樹
出版者
日本腰痛学会
雑誌
日本腰痛学会雑誌 (ISSN:13459074)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-51, 2009 (Released:2009-12-19)
参考文献数
11
被引用文献数
1

慢性腰痛に対する筋ストレッチングとセルフエクササイズの効果に関して検討した. 研究デザインは無作為化対照試験とし,外来受診からの治療期間を最大3カ月間として,コントロール群と,SLRと体幹筋強化を行ったエクササイズ1(E1)群,SLRと体幹筋強化とさらに腰背部ストレッチング加えたエクササイズ2(E2)群として,3カ月後,6カ月各群の痛みと身体機能変化と健康関連QOLをご検討した. 結果,E2群では痛みおよび身体機能は3カ月以内の改善を認め,E1群も6カ月では同様の結果を示した.痛みの軽減と最も関連が高かった項目は,体幹の柔軟性と伸展筋力であった. 以上の結果,慢性腰痛にけるセルフエクササイズによる体幹伸展筋力強化と柔軟性の改善を優先しての外来でのフォローアップは,疼痛および身体機能改善と患者満足度の改善により効果的と考えられた.
著者
久保田 健夫
出版者
聖徳大学
雑誌
児童学研究 : 聖徳大学児童学研究所紀要 = CHILD STUDIES : Journal of the Institute for Child Studies, Seitoku University (ISSN:13442732)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.51-59, 2020-03

全国的に発達障害児が急増し専門医療機関では予約が殺到している。その結果,診療まで2年待ちの病院もあると言う。一方,発達障害傾向を認める子どもには,養育・保育環境を整え,その子に必要な手立てを行うことが,2次障害を防ぎ,情緒や行動を落ち着かせ,脳を活性化させることが,教育現場でも実践研究や基礎生物学的実験から示されてきた。このような背景の下,昨年,児童学研究所の中に,本学の児童学科・心理学科・短期大学部の教員によって構成される「発達支援研究部門」が発足した。本部門では,発足後1年半,臨床心理士と医師の教員がペアを組んで県内の幼稚園,小学校,中学校を訪問し,発達障害傾向を認める子どもたちに関わる担任や保護者の困りごとを聞きとり,心理学的・医学的な立場からの助言を行うアウトリーチ活動を行ってきた。また担当教員は活動を通じて得られた経験を学生や大学院生の教育に,教科書には書いていない生きた情報として還元してきた。今後は発達障害児に対する栄養療法・音楽療法・運動療法にご関心がある先生方にもご参画いただき,オール聖徳・多職種協働体制の下で,学際的な視点で支援を行なっていきたいと考えている。以上の経緯をふまえ,本稿では本部門創設の科学的基盤ともなる,100余年前にイタリアの女医モンテッソーリが創設した教育観に対する最新の生物学知見からの解釈を記した。
著者
久保田 健市 吉田 富二雄
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.116-124, 1995

Two studies using the minimal group paradigm were conducted to investigate the intergroup discrimination in an experimentally created minority and majority groups. In both studies, subjects were divided into the minority and the majority group by drawing lots, and asked to allocate points between other ingroup members and outgroup members. In the first study, it was found that the minority group showed significant ingroup favouritism whereas the majority group did not. The minority group was more aware of their membership in the group than their counterpart. In the second study, subjects were led to believe that the minority group and the majority group had either similar or different social attitude. On the whole, both the minority and the majority group favoured a similar group and discriminated against a dissimilar group. The effects of attitudinal similarity in minimal groups were discussed.
著者
杉田 典子 中曽根 直弘 花井 悠貴 高橋 昌之 伊藤 晴江 両角 俊哉 久保田 健彦 奥田 一博 吉江 弘正
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.219-228, 2014 (Released:2014-06-30)
参考文献数
24

目的 : 化学的プラークコントロール法としてグルコン酸クロルヘキシジン (CHG) 配合洗口液が効果的であるが, アレルギーなどの副作用が問題視されている. そこで今回, 塩酸クロルヘキシジン (CHH) と塩化セチルピリジニウム (CPC) を抗菌成分として配合した洗口液を開発し, 基本治療終了後の歯周炎患者が4週間使用した場合の口腔細菌に対する効果を評価した.  材料と方法 : 新潟大学医歯学総合病院歯周病科を受診中で, 20歯以上を有し歯周基本治療後5mm以上の歯周ポケットを1~7部位有する歯周炎患者30名を対象とした. 新洗口液 (CHH+CPC群), CHG配合のコンクールF (CHG群), 抗菌成分を含まないコントロール洗口液 (コントロール群) を使用する3群にランダムに各10名を割付け, 二重盲検法で比較した. ベースラインおよび使用4週後に唾液・舌苔・歯肉縁上プラークを採取し, 総菌数, 総レンサ球菌数, Porphyromonas gingivalisおよびStreptococcus mutansの菌数を測定した. またterminal restriction fragment length polymorphism (T-RFLP) 法による解析を行った.  成績 : いずれの洗口液でも有害事象は認められなかった. ベースライン (術前) と4週目を比較した結果, CHH+CPC群において唾液中総菌数とS. mutans数, 舌苔中総菌数, 縁上プラーク中総レンサ球菌数が有意に減少していた. CHG群においては, 縁上プラーク中総菌数の有意な減少が認められた. コントロール群では舌苔中総菌数および総レンサ球菌数が有意に減少していた. T-RFLP解析の結果, CHH+CPC群の唾液中において制限酵素Msp I切断断片から推定されるStreptococcus群, Hha I切断断片から推定されるStreptococcus・Eubacterium群, Parvimonas群およびPorphyromonas・Prevotella群が有意に減少していた. 縁上プラーク中の細菌については, Hha I切断断片から推定されるStreptococcus・Veillonella群がCHG群で有意に減少していた. その他に有意な変化は認められなかった.  結論 : これらの結果より, CHH+CPC配合洗口液はより安全に使用でき, CHG配合洗口液と同程度以上の抗菌効果をもつことが示唆された.