- 著者
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奥田 健次
井上 雅彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.1, pp.51-62, 2002-04-20 (Released:2017-07-20)
- 被引用文献数
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1
本研究では,奥田・井上・山口(2000)の空間的視点取得課題に通過した3名の自閉症児者に対して,認知的視点取得課題において自己および他者の「知識の有無」状況を弁別可能にするための条件について検討を行った。まず,介入フェイズ1において,自己の「知識の有無」状況の弁別を獲得するための指導的介入を行った結果,自己質問に対して正答可能となったが,他者の「知識の有無」状況の弁別に転移しなかった。次に,介入フェイズ2において,自己と他者とで可視/不可視が異なる条件のみ指導的介入を行った結果,介入を行った条件での成績が向上したが,自己と他者とで可視/不可視が同一の条件での誤答が増加した。そこで,介入フェイズ3において,自己と他者とで可視/不可視が異なる条件に加え,可視/不可視が同一の条件についても指導的介入を行った。その結果,ポストテストにおいては,3名とも自己と他者の「知識の有無」状況の弁別を獲得し,指導的介入を行わなかった他者同士の「知識の有無」状況についても弁別することが可能となった。本実験の結果から,認知的視点取得課題や「心の理論」課題における課題設定の問題について検討を行った。