著者
佐藤 章悟 谷端 淳 今泉 和彦
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
雑誌
生体の科学 (ISSN:03709531)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.426-427, 2009-10-15

[用いられた物質/研究対象となった受容体] クレンブテロール,デキサメタゾン/β-アドレナリン受容体 骨格筋のβ-アドレナリン受容体(AR)を介した情報伝達は筋タンパク質合成と分解,グリコーゲン代謝,脂質代謝など様々な生理機能に関与する。骨格筋に分布するβ-ARサブタイプはβ2-ARが80-95%,β1-ARが5-10%を占め,β3-ARは殆んどない。また,β2-ARの密度は収縮速度の低い筋(slow-twitch muscle:ST筋)(ヒラメ筋)では収縮速度の高い筋(fast-twitch muscle:FT筋)(長指伸筋・足底筋)より2-3倍高い。一方,心筋のβ-ARを介した情報伝達は心収縮力や心拍数などの生理機能に関与する。心筋に分布するβ-ARサブタイプはβ1-ARが60-70%,β2-ARが20-30%を占め,β3-ARは殆んどない。特に左心室筋(left ventricle muscle:LV筋)ではβ1とβ2-ARの密度が高い。このような骨格筋と心筋のβ1とβ2-AR発現は,カテコールアミンやグルココルチコイドなどの生体内情報伝達物質によって影響を受ける。また,各種作動薬によっても骨格筋と心筋のβ1とβ2-AR発現は変動するが,遺伝子発現に着目した研究は比較的少ない。
著者
佐藤 章 Sato Akira
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-15, 2013

本稿は、アフリカ開発にとって不可避の課題として認識されている紛争解決と平和構築の問題に関して、とくに国連や欧米諸国などのアフリカ域外の主体によって行われてきた軍事的取り組みの歴史と現状を考察しようとするものである。紛争解決・平和構築を目的として域外主体によって行われてきた軍事的取り組みは、1990年代のソマリアとルワンダでの経験を踏まえて試行錯誤が積み重ねられてきた。これを経て近年では、域外主体がアフリカ諸国の平和構築能力の強化を支援しつつ、国連PKOに代表される域外の軍事要員がアフリカ側と連携する体制が確立されてきている。本稿ではこのような歴史を整理したのち、アフリカの紛争解決・平和構築に深く関わる新しい考え方として注目されている「保護する責任」をめぐる問題を論ずる。具体的には、「保護する責任」に依拠して2011年4月にコートジボワールで行われた国連PKOによる軍事行動を取り上げ、「保護する責任」をめぐり提起されてきた諸論点が、この現実の軍事行動においてどのように現れていたかを検討したい。
著者
滑川 光裕 塩野 康徳 佐藤 章
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.34, no.133, pp.26-30, 2014
被引用文献数
1

ファジィグラフは、人間関係のようなファジィな情報を質的に分析することを可能とする。ファジィグラフのもつ特徴を明確にするためには、ファジィグラフの近似的な表現や、ファジィグラフの類似性や連結状態のような特徴の抽出が役に立つ。そのためには、ファジィグラフの構造に関する情報を可視化することが必要となる。また、解析には対象となるファジィグラフの構造に関する多種多様の情報を処理して、素早く、解析者に分り易く表示する表示する必要がある。 <br>  我々は、コンピュータを用いてファジィグラフを解析するシステムを開発している。そのシステムは、ファジィグラフを格子状の交点にノードを配置する図形化、分割樹形図、類似度別に分類されたクラスタや近似的なグラフの表現などを用いて、ファジィグラフの分析できる機能をもたせている。本稿では、この解析システム、さらにそれらを使用した事例研究を記述している。
著者
佐藤 章 今井 良二 中溝 喜博 平田 正
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.765-770, 1979-03-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
2 5

Guanine and xanthine nucleoside derivatives (3, 4 and 6) bearing nitrosourea functional groups were synthesized from guanine nucleoside ureas (2) obtained by the reaction of 2'-deoxy-2'-aminoguanosine (1) with isocyanates and their antitumor activity against sarcoma-180 solid tumor and leukemia L-1210 were determined. Among the compounds tested, 2'-deoxy-2'-[3-(2-chloroethyl)-3-nitrosoureido]-xanthosine (4b) found to have the most potent activity. Moreover, very slight decrease in white blood cells of mice bearing sarcoma-180 solid tumor was observed after administration of 4b.
著者
佐藤 章夫 田坂 捷雄
出版者
山梨医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

1)新潟県下のトリクロロエチレン作業者を対象にしてトリクロロエチレン暴露と消化器症状および強皮症様症状の出現頻度との関係を調べた。腸管嚢腫様気腫と関連の深い症状(腹部膨満感、排ガス、腹痛、交代性便通異常、泡沫状粘血便)は女性のトリクロロエチレン作業者に症状合併率が有意に高かった。強皮症様症状(手足・顔・体幹の皮膚の硬化、指の皮膚が硬くつっぱる、指のこわばり、寒さで皮膚が変色する)の合併率は男女ともトリクロロエチレン作業者に多いことが確認された。また、長野県下で行った同様の調査で、トリクロロエチレン作業者における腹痛と腹部膨満感の訴え率とトリクロロエチレン暴露の間に量ー影響関係が認められた。2)腸管嚢腫様気腫新発生4例の作業環境を調査するとともに、長野県下で過去に発生した15例(計19例)の腸管嚢腫様気腫症例の労働衛生状況について調査した。その結果、多くの症例がトリクロロエチレンと同時に高濃度のメタノ-ルに暴露されていることが判明した。トリクロロエチレンとメタノ-ルの混合暴露が腸管嚢腫様気腫の発生にどのような影響を与えるか検討する必要が示唆された。3)トリクロロエチレンとメタノ-ルを単独あるいは混合して経口的に与え、腸管の変化を観察した。2回のバリウム注腸・X線検査で腸管に変化は認められなかったが、トリクロロエチレンあるいはメタノ-ル群の腸管(下降結腸)の粘膜下組織あるいは漿膜下組織に浮腫が認められた。同一部位から採取したコントロ-ル群には全く認められなかったので、この変化はトリクロロエチレンあるいはメタノ-ルの投与によって起こったものと思われる。しかしこの変化が腸管嚢腫様気腫とどのような関係にあるのか不明である。
著者
小林 繁樹 佐藤 章 古口 徳雄 水流 京子 和田 政則 宮田 昭宏 中村 宏 渡辺 義郎 八木下 敏志行
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.13-18, 2004 (Released:2007-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
6 7

Indication of early treatment remains controversial for patients in poor clinical condition (Hunt & Kosnik Grade 4 or 5) after subarachnoid hemorrhage (SAH). Since 1997, we have adopted endovascular treatment using Guglielmi detachable coil (GDC) as a treatment option for these patients. In this study, we compared clinical courses of the cases treated in 1990-1996 to those treated in 1997-2002 to evaluate the efficacy of changes in treatment strategy. Between 1990 and 2002, 130 cases with SAH in Grade 4 and 5 underwent angiography as candidates of early aggressive treatment in our hospital. For the 63 cases in 1990-96 (Group 1), treatment options were early and intensively delayed craniotomy surgery and conservative management, while for the 67 cases in 1997-2002 (Group 2), GDC embolization at acute stage was added to these 3 treatment options. We compared the 2 groups of patients in terms of clinical courses and outcomes, assessed with Glasgow Outcome Scale Score (GOS) at discharge. The percentage of the patients in which aneurysm was occluded at acute stage increased from 67% in Group 1 to 87% in Group 2 for Grade 4 and from 33% to 52% for Grade 5. In Group 2, 44% of Grade 4 and 83% of Grade 5 patients were treated by GDC embolization. The outcomes of the cases in both Grade 4 and 5 were better in Group 2 than in Group 1. That is, for Grade 4 cases, the percentage of Good Recovery (GR) significantly increased from 7% in Group 1 to 27% in Group 2. And for Grade 5 cases, good outcome (GR or MD) increased from 5% in Group 1 to 18% in Group 2. Two patients recovered completely from Grade 5 in Group 2, both of which were treated with GDC while none in Group 1 recovered completely from Grade 5. The incidence of symptomatic vasospasm was not changed between Group 1 (20%) and Group 2 (16%). The introduction of GDC embolization extended the indication of early treatment for severe SAH patients because it was less invasive and, as a consequence, improved the outcome of those patients.
著者
矢嶋 聰 東岩井 久 佐藤 章 渡辺 正昭 森 俊彦 星 和彦 米本 行範 鈴木 雅洲
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1657-1663, 1978-12-01
被引用文献数
1

(1) 宮城県の子宮頚癌住民検診は,昭和50年末までに,のべ受診者数が553,954人に達した.この間に発見された浸潤癌および上皮内癌患者数はそれぞれ707人,および701人であつた. (2) 昭和50年の年令階層別受診者は,40才台が最も高く対象婦人の27.4%であつた.高年令層は頚癌のhigh risk groupであるにもかゝわらず受診率はきわめて低い. (3) 頚癌の継続検診を行なうと,上皮内癌,浸潤癌の発見率は年度の推移にしたがつて減少するが,高度異型上皮の発見率はほゞ一定である. (4) 昭和40年,45年および50年のCytology Activity indexは,それぞれ60.0, 116.7および193.2であつた. (5) 検診車法による受診者の上皮内癌および浸潤癌のprevalence rateは,昭和45年および50年でそれぞれ192.8, 99.9,および102.3, 71.5であり,両者とも検診の継続により減少した. (6) 宮城日母登録方式による上皮内癌prevalence rateは,昭和45年,50年でそれぞれ213.3および205.1であり年度の推移による変化はほとんど認められなかつた.この方式による浸潤癌のprevalence rateはそれぞれ769.2および636.0であつた. (7) 昭和44年〜47年における宮城県の子宮頚浸潤癌incidence rate(年間)は32.9であつた. (8) 県下の子宮癌死亡率は5.0(10万人当り)から4.0程度であり,速度はおとろえたとはいえ,減少を続けているのが近年の傾向である.