著者
元濱 奈穂子
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.207-219, 2022 (Released:2022-09-10)
参考文献数
26

本稿は、大学教育の質保証において「抵抗」とカテゴライズされてきた教員の行為が生じる要因を、医学部医学科のアセスメントテスト「臨床実習前OSCE」を事例として検討した。フィールドワークからは、臨床実習前OSCEが定義する能力の必然性を説明する論理として機能していた「段階的発達観」がこの制度の支持と「抵抗」をわける論点となっており、この発達観の非共有が多くの教員の「抵抗」につながっていることが示唆された。
著者
元濱 奈穂子
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.445-454, 2021-09-30 (Released:2021-12-04)
参考文献数
57

本稿は、政策を主な対象とした大学教育改革研究の傾向を批判的に再考するため、欧州質保証研究の動向を検討した。欧州質保証研究では、政策設計に焦点化した研究への偏重が、政策の野心と実態の乖離や、グローバリゼーション言説の強化と多様性の軽視を招いてきたという反省が為され、ローカルな文脈から質保証を再定義しようとする試みが始まっている。欧州の動向は、日本の研究者の立場性の再考を促すものとしても受け止めることができる。
著者
元濱 奈穂子
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.269-277, 2019-03-29

Undergraduate professional education in Japan is now in its big reform, in which all students must accomplish standardized outcome while at the same time they are asked to participate in student-centered learning. This article examine whether standardization is compatible with individualization (student-centeredness) or not. By reviewing literature on “Objectivism versus Constructivism” in the instructional design, we found that there’s no relevant solution to let standardization and individualization coexist so far. Critical studies are needed to question the current situation where both standardization and individualization are encouraged.
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。