- 著者
-
平沢 和司
杉野 勇
歸山 亜紀
- 出版者
- 北海道社会学会
- 雑誌
- 現代社会学研究 (ISSN:09151214)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, pp.77-93, 2023 (Released:2023-08-01)
- 参考文献数
- 26
日本で行われているウェブ調査のほとんどは,調査会社などのモニターを対
象にしているため,対象者が確率抽出されていないという問題がある。そこで
選挙人名簿(一部は住民基本台帳)から無作為に抽出した者を対象に,まず郵
便で調査を依頼しウェブで回答を求めた。ただし,ウェブ回答ができない(好
まない)対象者もいるので郵送法を併用したミックスモード調査とした。その
結果,(1)回答者に回答モードを選択させる同時型だとウェブ法は郵送法にく
らべて選択されにくいが,ウェブ法を先行させる逐次型で,かつ第2モードの
郵送法を適切な時期に提示すれば,ウェブ法の回答比率を上げることができ,
最終的な回収率も郵送法で約10%ポイント付加された。(2)モードによって
回答傾向に多少の差異が検出されたが,回答者の属性を統制しても効果が残っ
た質問はかなり限られていた。(3)以上の無作為抽出者と,非確率抽出者(調
査会社のモニター)では,約半数の質問で回答傾向に違いがみられた。データ
の質を重視するのであれば,ウェブ法を中心として郵送法を併用するミックス
モード調査の拡充が望まれるが,いかにそのコストを下げるかなど更なる議論
が求められる。