- 著者
-
藤原 翔
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 若手研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
本年度は2015年に中学3年生とその母親を対象として行った調査の追跡調査を行った.ベースサンプルの分析結果から明らかになった課題,高校に進学していたら2年であること,2012年の高校生調査との比較が可能なことなどを踏まえて調査票を作成した(2017年4月開始,11月確定).そして,東京大学社会科学研究所研究倫理審査委員会の承認を受けた上で,2017年11月から2018年1月にかけて,郵送調査を行った.郵送調査の結果,2015年の調査で有効回答が得られた1,854世帯のうち,1,591世帯(85.8%)の回答を得た.ただし,母親のみ回収の世帯が92世帯,子のみ回収の世帯が3世帯あり,ペアで回収できた世帯は1,496世帯であった(80.7%).調査票には,子どもの情報については進学した高校の情報や高校卒業後にどのような学校に進学したいか(学校名・学部学科名)などの項目が追加された.データの納品後はこれらの情報のクリーニングとコーディング(職業,高校偏差値,高校学科,大学偏差値など)を行った.基礎的な分析として,中学時の進学を希望していた高校の偏差値・学科と教育期待・教育アスピレーションと実際に進学した高校の偏差値・学科と教育期待・教育アスピレーションの情報を用いた固定効果モデルによる分析を行った.その結果,普通科希望から専門学科への変化は,教育期待・教育アスピレーションを下げることが示唆された.この結果については,高校階層構造の影響をみるための因果分析として論文をまとめている.